Impressions-SCREAMIN' JAY HAWKINS

1972年に Tennesse 州 Nashville の Woodland Sound Studios で(たぶん)白人ミュージシャンをバックに Cutlass/Hot Line に録音したのが、この Hot Line 10024-25、Portrait of A Man and his Woman なのですが、Charly からリリースされた際にそのアルバム・タイトルを「より判り易い(?)」I Put A Spell On You に変えられてしまっております。
ところが、さらにややこしいのが、Fuel 2000 Records からも「ほぼ」同内容のアルバムが出ておりまして、そのアルバム・タイトルが My Little Shop of Horrors
ま、もう買っちゃったよ、ってえ場合は仕方ありませんが、そのアルバム、ザンネンなことに、この Portrait of A Man and his Woman から Itty Bitty Pretty One と What Good Is It ( Part 2 ) を「抜いた」不完全な Reissue なんですねえ。
せめて、まったくの同内容なら(あ、それでも知らずに買って「全ダブ」だとガックシ来ますが)まだしも、なんで二曲が削られてるんだか理解できまへん!
どうか My Little Shop of Horrors には気をつけてくださいませ。


ALBUM NOTES

さて、この Hot Line 10024-25、Portrait of A Man and his Woman のバックを「(たぶん)白人」としたワケは、バンド・リーダーの Tommy Allsup ってのが C&W 界では大物ミュージシャンとの共演も多い 6 弦ベース奏者でバンド・リーダーでもある(例えばバディ・ホリーのバックも務めていた ─ ただしギターで。1959年 2 月 3 日の飛行機事故、The Day the Music Died と言われたバディ・ホリー、リッチー・ヴァレンス、そしてビッグ・ボッパー=リチャードソンが死んだあのフライトに「乗らなかった」運命のひとでもあります)のですが、このひとが白人だ、ってのは調べがついてる(?)からなんざます。
あ、ここでの 6 弦ベースってのを、最近ハヤリの 5 弦ベース→ 6 弦ベースってえ、あの流れで出現した「すんごい」ベース、と思うのはたぶんマチガイでしょ。
この 1972年当時のこってすから、おそらく 1961年から 1968年あたりまで生産されていた Fender Bass VI、つまりボディは Jaguar 系のデザインで、そのままスケールを 30 インチに延長してギターよりは 1 オクターヴ低く、ピック・アップは 3 個でちゃんとアームまでついた、ギターとベースの中間モデルだったのではないでしょか(左上の画像。クリックで拡大します)。
ただ、ザンネンながらそいつを持ってる画像には辿り着けなかったんで(ギブソン系のヘッドのギターを持った画像*だけ。でも Gibsonではありません。Samick というメーカーのような・・・)、ホントにそうかは「?」ですが。
また他のサイドメンも検索してみましたが、すくなくとも判った範囲では白人でした(困ったことに検索して出てくるのは CD 屋さんの紹介リストか、でなきゃワタシの HP の Screamin' Days ばっかりで、それじゃなにも判らんがな!)。
そして 21st Century Singers ですが、辿り着いた資料を見る限り Who Wouldn't Serve A God Like This であるとか What A Friend We Have In Jesus なんて曲を(普段は?)歌っておられたようで、それをまあ I Put A Spell On You なんてえ「邪教」の悪臭紛々たる演奏に投入するんですから・・・ 実にもうバチ当たりなことでございますねえ。


accompanists

Jimmy Kovards: lead guitar / Joe Allen: bass / Tommy Allsup: 6-strings bass / Kenny Malone: drums, bongos & Vibes / Tony Migliario: piano & organ / Chips Young: rhythm & bongos / Henry Dotson & David McKinely: backing vocals / 21st Century Singers: backing chorus ( led by Henry Dotson) ─ 1972,Woodland Sound Studios: Nashville, Tennessee


1. Portrait of a Man

いささか Screamin' Jay Hawkins らしからぬ「ダウナーな」曲調で、「重い」スロー・ナンバーとなっております。
ま、エンディングでは「絶唱」を見せてはくれますが、全体に抑えめ、ミョーにアダルトなフンイキが漂ってますねえ。
Screamin' Jay Hawkins には滅多に使われることが無さそな「内省的」なんてえ形容詞がチラっとアタマを掠めましたが、いやいや気のせいでしょう。


2. Itty Bitty Pretty One
  
( Byrd)

これは後に( 1988年)フランスでのライヴ録音によるアルバム、Evidence ECD 26003-2、Live and Crazy にも収録されておりますが、ナゼかそこではそのタイトルが Little Bitty Pretty One とされております。
さらにその 10年後、再びパリに降臨した(?)彼は OLYMPIA でのライヴで、また採り上げておるのですが、なんでか、今度は Itty Bitty One、と Pretty がどっかに行っちゃってます!
シュアなハイハット・レガートに乗せて

Wooh Uh Uh Uh Uh Uh Uh Woo

てな覚え易いスキャット(ハミング?)で始まるこの曲は、全力疾走みたいな、かなり「ご陽気」なバカ騒ぎムードとその「ん〜んんっん んんんっんん〜」が交錯して独特な世界を作り上げております。
にしても、このドラム、Kenny Malone がなかなかいいタイトなドラミングで、もろズージャのドラマーみたいな「思わせぶり」なんぞ皆無なシンプルかつストレートなリズムで好感が持てます。
ただ、こいつに絡んでくる Jimmy Kovards のギターは、いわゆる「中途半端に」歪んだトーンといい、小賢しく挟むリックといい、ちょっとそれは違うんじゃないかい?(あ、ここはゼヒ北海道訛りで、ね)てなギターがやや耳障り。


3. Don't Deceive Me

マジ(?)なブルース・ピアノで幕を開けるスローなバラードで、これも本邦初お目見え(あ、ウチにはこれまで無かった、っちゅー意味ねん)でございます。
コード進行は Please Send Me Someone To Love みたいなタイプで、サビもあります(サビじゃ、もちっとカンタンな構造ですが)。
ギターがちと耳に近くて、やや耳障りかな?


4. What's Gonna Happen on the 8th Day

オープニング、ピアノひとつをバックに「お説教」臭い Screamin' Jay Hawkins の「マジメを装った」スピーチで始まる、この創世記をネタにした(?)らしきナンバーは、それでも多少は敬虔なキモチがあったんでしょか?なんだかバックの女性コーラスとのコール&レスポンスなど、一見スピリチュアルっぽい仕立てになってるよな気もするのですが、その割りにゃ Jimmy クンのギターは俗っぽすぎるぜ。
循環コードのようにも聞こえますが、どうもタンジュンではなく、ちょっと一筋縄ではいかないようです。


5. Ashes

1962年、Philadelphia での録音では、一緒に歌ってる女性ヴォーカルが、後にハワイで Screamin' Jay を刺しちゃう Shoutin' Pat Newborn でしたが、ここでは 21st Century Singers のおひとりでしょか?その Shoutin' Pat より「サディスティックな(?)」おそらく白人女性と思われる声がもっとキビシく「シャラップ!」とイジメておりますが、もちろん、そんなこと「どこ吹く風」の Screamin' Jay なのでした。
もうあの時のキズの痛みも忘れちゃったかな?
ところで、ここに入ってくるギター、これもまあ「論点がズレてる(?)」っつーか・・・


6. We Love

これはこれまで別テイクですら手元には無かった、まったくの初お目見え(ってワタシは、ね)でございます。
ゆったりとしたバラードっぽい作りですが、全体のトーンはドリーミィ(?)っつーか、ロマンチックつうか、ヤツには似合いそもないスタイルなんですが、ここでは 21st Century Singers のみならず、クレジットされている Henry Dotson に David McKinley っちゅう二人のバッキング・ヴォーカリストもハッキリと前面に出て来て活躍しております。
みんなで輪唱をキメたりして、ミョーにクォリティ高いですが、ただ、そのぶん、これじゃただの R&B シンガーじゃん、てな雰囲気もあって、ワタクシを始め、そんなものを彼に期待しとらん層にはちと物足りないかも。


7. It's Only Make Believe

これもまた、なんとも宗教臭い(あ、それも Voodoo なんかじゃなく、アメリカン・スタンダードたる、ピューリタニズム系ね)ナンバーで、おそらくこんなナンバーには 21st Century Singers がまさにピッタリ!
たぶん、これがやりたくて呼んだんじゃねえか?てな気がしますねえ。
ま、こんなに熱心に歌えば歌うほどウソ臭くなるとこはさすが Screamin' Jay、ではございますが。


8. Please Don't Leave Me

はお馴染み Fats Domino のナンバーで、彼のこの録音は 1969年 Texas 州 Houston で吹込んだのに続く二回目となります(後にはまたフランスでライヴ録音)。その最初の録音は LP ─ Philips 600-336、CD ─ Bear Family CD 15530、Spellbound に収録されました。
そちらで別なヴァージョンながらも聴いておりますので上二曲のような新鮮味はありませんが、そのオリジナルと比べたりするのも面白い(か?)。
特徴的なベースから入って、それこそ Fats Domino っぽいピアノまでご丁寧にあしらって、でもリズムはもっとシンプルかつストロング、いえいえストイックとさえ言えるよな「単調さ」でありながら、そのぶんコーラスとのおバカな掛け合いで聴かせてくれます。
あらずもがな、な例のギターが始まるとなんでか「こらえきれなく」なったのかベースまで暴れ出して、そこ、ちょっとオモシロいかも。


9. I Put A Spell On You

21st Century Singers の「敬虔な」祈りを思わせる

Ohhhhhh Spell!

という清らかなバッキング・コーラスを土足で踏みにじるがごとき Screamin' Jay Hawkins のバチ当たりかつおどろおどろしくも禍々しい怪唱が響き渡り、毎度お馴染みの I Put A Spell On You の世界でございますよん。
なんだかこうしてバックをぜ〜んぶ白人で揃えるほがヤツの「胡散臭さ」が引き立って「いい」みたいですねえ。


10. I Don't Know

なかなか「クール(うぷぷ)」に始まるこの曲ですが、これもこの 18 年後の 1990年末にもういちど吹き込み直し、それは Stone Crazy っちゅうアルバムに収録、となるワケでございますが、ここでは、そのオリジナル(あ、この曲が彼のオリジナルって意味じゃなくて、彼にとっての I Don't Know のプロトタイプって意味ざます)として、またちょっとちゃう、女性コーラスをフルに活かしたおちゃらけかたで楽しませてくれます。
しかしまあ、この Joe Allen の実に「熱のない」シラケたベースはある種「あっぱれ」でございますね。ま、このギターについちゃもう言うのもヤになった・・・


11. Guess Who

これもワタクシの許には初お目見え。
なんだかロマンチックなバラードっぽいですが、こいつのオリジナルは誰じゃろ?と検索してみたんですが、うっかり Guess Who のまま検索なんてしようもんなら「イヤ」と言うほど、あの「アメリカン・ウーマン」たらいうヒットのあるバンドのほーのゲス・フーが出てきてもーウンザリ!
業を煮やして今度は歌詞サイトから攻めましたが B.B.も歌ってる、ってのが判りましたが、あいにくとワタクシ、B.B.は不得意科目なんで、これが「彼の」オリジナルなのかどうかも判りません。・・・あ、判ってるって方も、別に教えてくださらなくてケッコーですからね。
それにしても、こんな大甘のナンバーもやっぱ唄いたくなるんでしょね。カラオケ好きオヤジと同じ心境なのかも??


12.&13. What Good Is It Pt.1 & Pt.2

うひょー、これまた別な意味で時代を感じさせるワウ・ペダルを利かせたギターで始まる、ちょとロックっぽいナンバーですねえ。
これもまたワタシんとこには初登場でございます。
Screamin' Jay Hawkins の歌も、なんとなくロック・ミュージシャンに「なりきろう」としてる風なとこが見え隠れいたしますが、曲のせいか、あるいはバックが Nashville 勢なためか(?)どーも Jimi みたいにはならず、やたらヴォーカルが張り切ってるスリー・ドッグ・ナイトみたいになってるのが可笑しい!
ま、コード進行と、ベース・ラインのせいが大きいんですがね。
Part 2 も基本的には同じなんですが、多少ミキシング・バランスが違ってて、どっちかってえと、この part 2 のほうがドラムがハチャメチャぽくて好き。
各楽器ごとのソロ・パートらしきものもちりばめて、さらに遊んでますねえ。ま、もしかすると、そこら遊びすぎだ、ってんで『ショップ・オブ・ホラー』じゃ切られちゃったのかな?
ギターなんてケッコー張り切って弾きまくってて、最後にゃアンプのノイズまで入ってますから、そこらが原因かもしんないけど。プロデューサーやミキシング・エンジニアってそゆ「ノイズ」をスゴい嫌いますからね。


14. Same Damn Thing

これもまた、これまで別テイクですら手元には無かった、まったくの初お目見えのナンバー。
トリッキィなコード進行ですが、表面的にはブーギみたいな感じでございます。
ただねえ、この Jimmy Kovards の「安っぽい」ギターはなんだかなあ。
この曲でのピアノは、これ Screamin' Jay Hawkins じゃなく Tony Migliario でしょねえ。この華麗なトリルやダイナミックなグリッサンドなど、こんだけのスキルはヤツには無い(別なサイノーはありそうだけど)よな気が・・・


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