Impressions-SCREAMIN' JAY HAWKINS

ALBUM NOTES

この CD は、SJH の初期の録音(1955年の 1月と 5月、ともにニューヨークで)から、1974年の 8月(これもまたニューヨーク録音)までを集めた二枚組のアルバムで、ここは、DISC-1の解説です( DISC-2 についてはこちら)。
全 48曲中、他のアルバムと重複していないのが、33曲(ただしその中で、オリジナル・テープからのリミックス的な重複があります)と、なかなか効率のよい(?)アルバムですが、重複するもののうち、特に Classic world CWP 2011/THE BEST OF SCREAMIN' JAY HAWKINS/'00 の元ネタと思われる、もっと「音質の良い」テイクも含まれており、「DISC 1-05.I PUT A SPELL ON YOU」、「DISC 2-15.I NEED YOU」同じく「18.MOVE ME」がそれです。
DISC-2


accompanists

なにしろ寄せ集めなので共通したパースネルではありません。
判明しているものについては個別の曲に、あるいはまとめて表記しました。


1. VOODOO

1974年の 8月、ニューヨークの「The Hit Factory」での録音で、RCA PB 10127( 45rpm EP )としてリリースされました。プロデュースは Joey Levine、Marc Bellack に Paul di Franco の共同で、この曲はそのうちのふたり、Joey&Bellack の作。
ただし、SJH 以外の演奏者のデータが不明です。
曲は例によって奇声で始まりますが、やはり彼の作じゃないとこから、ちょっと違う味があって面白いですね。
コード進行は Gm→D7→Cm→F の繰り返しと「Voodoo, Voodoo〜」のところが Gm と D7 の繰り返しになります。後半、全体に転調してキーを半音アップして G#m に。


2. YOU PUT THE SPELL ON ME

これも 01.のVOODOO と同じ録音で、VOODOO とのカップリング曲だったもの。当然こちらも共演者が不明となっています。
タイトルからも判るように、自らのヒット曲、「I PUT A SPELL ON YOU」のアンサー(?)曲になっているようです。
ただ、作りはもっとバックを整理してクリーンに(どこがじゃ?)して、そこに朗々と歌い上げる、ってパターン。
イントロは G7→F#7→Bm でそこから、Bm・Em の繰り返し、そして F#7/G7/F#7 から Bm に戻ります。エンディングでは、Bm→G7→F#7→Bm のリピートです。


3. MAKAHA WAVES

1962年ころ、Pat Newborn という女性歌手とふたりで、Screamin' Jay & Shoutin' Pat というコンビを組んでいた時に、ホノルルの「Forbidden City」というクラブで、SJH がピアノと M.C.も兼ねて出演してたらしいのですが、彼はそこで出合った女性、Virginnia Sabellona と結婚しました。
しかし、Shoutin' Pat はそれがお気に召さなかったようで、刃渡り 20cm 超の肉切り包丁をブッ刺して、SJH は肺と横隔膜をやられちまった、なんてことがあったのですが、そんなハワイの「思い出」から録音した、なんてのはワタシの想像(?)でございますが。
実際には 60年代に、たびたびハワイに静養に訪れていたようで、その影響で生まれた曲のようです。MAKAHA とは、オアフ島西岸の地名で、良く知られたサーフ・ポイントだとか。
04.の「THERE'S TOO MANY TEARDROPS」の B 面に収録されたもので、録音は1969年に Los Angeles で行われています。
その「THERE'S TOO MANY TEARDROPS」同様、SJH 以外の演奏者の氏名は不明で、Joseph Ryan の作。
基本的には Eb→Ab→Bb の循環コードで、サビ部分では Ab→Eb→Ab→Bb となります。


4. THERE'S TOO MANY TEARDROPS

03.の「MAKAHA WAVES」の A 面だったナンバーで、こちらは彼自身の作です。
MAKAHA WAVES が純粋のハワイアン・チューンだったのに対し、こちらは、どっちかというと、C&W 色の強い曲で、1969年に、Phillips 40636 としてリリースされています。
キーは G で、まずイントロでは、G→C/Cm→G→D7→G/C/G/D7(途中の間奏もこのパターンです)で始まり、G→D7→G→G7→C/Cm→G→D7→G で歌が乗ります。サビでは C→G→D7→C→D7/C/G/D7 という進行に。


5. I PUT A SPELL ON YOU

1955年に Grand に吹き込んだことに始まるこの曲は、様々なアーティストによってカヴァーされていますが、1966年の暮れも押し詰まった12/29(!)New York の「Associated Recording Studio」で録音され、翌1967年に、Decca 32100(カップリングは 08.の「YOU'RE AN EXCEPTION TO THE RULE」)としてリリースされました。
ちょっと不謹慎な表現ながら、「あの」野球拳のバックを思わせるチョーシのいいアレンジで、なかなか「おバカ」な仕上がりになってます(ま、そうじゃないのを探すのがタイヘンなくらいなんですが)。
Classic world CWP 2011/THE BEST OF SCREAMIN' JAY HAWKINS/'00 にも、もっと音の悪いヴァージョン(つーより海賊盤ちゃう?)が収録されてます。
キーは Fm ですが、イントロは A→G→C。Fm→Bbm→Fm→Bbm→C、Fm→Bbm→Fm→C→Fm、Bbm→C→Fm→Bbm→Fm→C→Fm という流れになってます。例の「フサフサフサ」ってえヘンな女性コーラスの入るブレークのあとは、A→G→C を2回繰り返したあと、いきなりテンポを上げて、その A→G→C のままエンディングへと落ちてく変態ワザを。
この曲から、08.までは共通データで、
[accompanists─William Butler& Eric Gale: guitar/ Jouis Mauro: bass/ Bernard Purdie: drums/ Warren Smith: perc.(conga)/ Ernest Hayes: piano/ Joseph Grmaldi: tenor sax/ Buddy Lucas: baritone sax/ Ernest Royal& Joseph Wilder: trumpet/ Benjamin Gordon Powell: trombone/ Norbert De Coteaux: leader of chorus/ Dick Jacobs: produce/ DEC.29,1966(19:00-22:00),Associated Recording Studio]


6. TWO CAN PLAY THIS GAME

これと、次の「SHATTERED」は、1966年末に録音されていたのですが、どうやらこの CD によって、初めて世に出たもののようです。意外とマトモな「R&B」スタイルで、バックだけ聴いてると、オーティス・レディングみたい(バックだけ、ね)。
キーが F で、イントロは FとBb の繰り返し。F-F-C-F-Bb-F-C-F( Bb )、が基本ですが、途中 C-F-C-F を繰り返す部分があり、G-C を経て F に戻ってきます。


7. SHATTERED

一瞬ゲゲゲの鬼太郎みたいなギターが顔を出しますが、すぐ「ダンス天国」みたいな浮き立つリズムへ。でも曲はおー違い。なんでか?っつーと、それはね、この曲はマイナー(短調)だからなのですよん。
キーは Fm で、ずーっと行くんでワンコード?と思うと、C#-C-C#-C を挟んでまた Fm に戻ります、そして次も似てますが、C# が無く、C だけで戻る、というこの2パターン。でも、間奏部分では Fm-Bbm-C-Fm というのも出てきます。


8. YOU'RE AN EXCEPTION TO THE RULE

05.の「I PUT A SPELL ON YOU」のカップリング曲。なんだかちょっとちゃう、と思ったら、作は Bob Stone。ライトなシャッフルに乗せて、なかなかソフトな仕上がり。
キーは Ab で、まず Ab でずっと行き、ブレークの後「Db-Cm-Bbm/Eb-Ab」を2回。途中から例によって半音上げる転調をして A になります。


9. I'M NOT MADE OF CLAY

次の「ALL NIGHT」とのカップリングでリリースされています(Decca 32019)。
作者は Bob Stone。これもワリとマトモな「R&B」スタイルのバッキングですが、ウィリアム・バトラーのちょっと「おマヌケな」ギターもダレ加減がステキ。
キーは F で、C-F-C-F-Bb-F-C-F という構成になっています。
この曲から、12.の「I'LL BE THERE」まではこれも共通データで、
[accompanists─William Butler: guitar/ Albert Lucas: bass/ David 'Panama' Francis: drums/ Ernest Hayes: piano/ Zane Paul Zacharoff&Arthur Clarke: tenor sax/ Hayward Henry: baritone sax/ Edward Barefield: alto sax/ Joseph Newman&Reunald Jones: trumpet/ Wilbur Bascomb&Richard Harris: trombone/ Leroy Kirkland: leader of chorus/ Dick Jacobs: produce,July 8,1966(17:00-20:00),Associated Recording Studio, New York]・・・しっかしまあ、5.〜8.と同様、ここもレコーディングの時刻まで記入してあるよ!もしかすると、Associated Recording Studio ってのがやたら几帳面で、記録ちゃんと取ってあるのかも?


10. ALL NIGHT

09.の「I'M NOT MADE OF CLAY」とのカップリング曲。CHARLY R&B CD CHARLY 163/REAL LIFE/'83 にも収録されています。
解説(?)はそちらをご参照くださいませ。


11. MOUNTAIN JIVE

この CDのライナーでは、「Decca unissued」となっていますが、CHARLY R&B CD CHARLY 163/REAL LIFE/'83 にも収録されています。非合法ルートで流れたんでしょか?解説(?)はそちらをどうぞ。


12. I'LL BE THERE

これも、ROCK RCCY-1006/AT LAST/'97 に収録されていますが、この場合、この CD 自体が1990年にリリースされた後のものですから、この時点での「Decca unissued」は誤りではありません。


13. YOU'RE ALL OF MY LIFE TO ME

ごく初期の録音で、次の「WELL I TRIED」とのカップリングで、Wing 90005 としてリリースされました。曲の構成としてはよくあるタイプで、キーは Eb。
Eb-Eb7-Ab-Abm-Eb/C-F/Bb-Eb これは前半が「Guilty」 、後半が「Night life」などと同じです。サビは、Ab-Abm-Eb-Eb7-Ab-Abm-F-Bb ってえヤツ。
この曲から16.の「TALK ABOUT ME」までは共通データ。
[accompanists─Mickey Baker: guitar/ Albert Lucas: bass/ David 'Panama' Francis: drums/ Ernest Hayes: piano/ Sam 'The Man' Taylor: tenor sax/ Big Al Sears: alto sax/ UNKNOWN: baritone sax/ Leroy Kirkland: leader/ May 11,1955,Fine Studio, New York]


14. WELL I TRIED

13.の「YOU'RE ALL OF MY LIFE TO ME」とカップリング。ダルでレイジーな入りのシンプルなブルース(?)で、(これでも)だいぶおとなしい仕上がりになってます。
キーは F で、イントロが F-Bb-C-F、F/Bb-F-Bb-C-F-Bb-F/C-F


15. EVEN THOUGH

こちらは Evelyn-Kirkland の作で、次の「TALK ABOUT ME」とのカップリングでリリースされました。Wing 90055。
ゆったりとしたテンポのブラスで始まり、そこにやや間伸びしたスクリーミン・ジェイのヴォーカルが無遠慮に入ってきます。
キーは Eb で、Eb-Cm-Fm-Bb を繰り返し Gm-Ab-Bb-Eb となります。サビは Ab-Abm-Eb-Eb7-Ab-Abm-F-Bb


16. TALK ABOUT ME

この曲は、Hawkins-Kirkland となっています。ラテンっぽいリズムに乗せて、ヴォーカルはジャンプっぽく、意外とまとも。
キーは C# で、C#×4→F#×2→C#×2→G#→F#→C# ってえモロなブルース進行、と思わせといて、ブレークがらみで始まるときは最後の「G#→F#→C#」をも一回繰り返す、ってえヘンな構成になってます(なんて、そのくらい、SJH のファンなら「ヘン」のうちにゃあ入らないよねー)。


17. IN MY FRONT ROOM

この CD 中では、この曲から、20.の「SHE PUT THE WHAMEE ON ME」までが、最も古い日付の録音となっています。
13〜16と同じ1955年ながら、こちらはおよそ4ヶ月も先の「新年早々(?)」。ただし、この曲そのものは結局この CD によって、初めて世に出たもののようです。
ジャンプ・ブルースっぽいナンバーですが、アーネスト・ヘイズのピアノが(ウルさいくらいに)華麗に転げまわり、ミッキー・ベイカーのギターはやっぱショボい(ファンの方ごめんなさい)っす。
F からの「まともな」ブルース進行。
当然、20.の「SHE PUT THE WHAMEE ON ME」まで共通データで
[accompanists─Mickey Baker: guitar/ Albert Lucas: bass/ David 'Panama' Francis: drums/ Ernest Hayes: piano/ Sam 'The Man' Taylor: tenor sax/ Big Al Sears: alto sax/ UNKNOWN: baritone sax/ Leroy Kirkland: leader/ January 10, 1955, New York]


18. THIS IS ALL

この曲は、Hawkins-Kirkland のクレジットとなっており、Mercury 70549 として、20.の「SHE PUT THE WHAMEE ON ME」とカップリングでリリースされ、RHINO R2 70947/VOODOO JIVE:THE BEST OF SCREAMIN' JAY HAWKINS/issued 1955 〜1969 にも収録されています。
G からの(二つめ上がる)「まともな」ブルース。ミッキー・ベイカーの平気でヴォーカルにカブってるオブリがちょと耳障り。


19. WHAT THAT IS

この曲は、1990リリースのこの CD によって初収録、ということになっています。典型的なジャンプ・ブルースのノリでランニング・ベースも軽やかに(?)トバしますが、キーは Ab。


20.SHE PUT THE WHAMEE ON ME

これも、Hawkins-Kirkland。18.の「THIS IS ALL」とカップリングでリリースされ、さらにこちらも、RHINO R2 70947/VOODOO JIVE:THE BEST OF SCREAMIN' JAY HAWKINS/issued 1955 〜1969 に収録されています。
解説はそちらを参照してください。


21.I PUT THE SPELL ON YOU

5.の「I PUT A SPELL ON YOU」と同テイクと思われるのですが、ナゼか、こちらの方が音質が良く、しかもこれまたナゼか女性コーラスがきれいサッパリと「落とされ」ております。リミックスの際に、デジタル処理でもして、ダイナミック・マージンを稼いだのでしょうか?したがって [accompanists] については、コーラス以外、05.のまま(のハズ)。
21.から 24.までは、おそらく、この CD のための「デジタル・リマスター」?ボーナス・トラックかもしれません。


22.TWO CAN PLAY THIS GAME

これも 6.より音質・ダイナミック・レンジともに向上していますが、やはり女性コーラスのトラックは消去されています。


23.SHATTERED

こちらも同様に 7.を参照のこと。


24.YOU'RE AN EXCEPTION TO THE RULE

音質が向上し、女性コーラスが無い以外 8.と同じです。


Go to: INDEX : VOODOO CAFE : SONG A-Y : BBS
inserted by FC2 system