Impressions-SCREAMIN' JAY HAWKINS

ALBUM NOTES

この CD は、SJH の初期の録音(1955年の1月と5月、ともにニューヨークで)から、1974年の8月(これもまたニューヨーク録音)までを集めた二枚組のアルバムですが、この2枚目の方は、1969年(1.〜12.が初夏に、13.〜24.は年末)に録音されたものです。
全48曲中、他のアルバムと重複していないのが、33曲(ただしその中で、オリジナル・テープからのリミックス的な重複があります)と、なかなか効率のよい(?)アルバムですが、重複するもののうち、特に THE BEST OF SCREAMIN' JAY HAWKINS: Classic world CWP 2011の元ネタと思われる、もっと「音質の良い」テイクも含まれており、DISC 1では「05.I PUT A SPELL ON YOU」、DISC 2では「15.I NEED YOU」と「18.MOVE ME」がそれです。
DISC-1


accompanists

なにしろ寄せ集めなので共通したパースネルではありません。


1. WHAT THAT IS

シャッフル気味のライトなナンバーですが、マイナーのため、適当な湿度(?)も感じられます。キーは Fm なのですがすぐBbm→C となり、そっからサブドミナントである Bbm でしばらく行って、C から Fm、以後その繰り返しみたいなパターンです。
この曲から、12.の「REPRISE」まではほぼ共通データで、SJH 自身のピアノ(4.と 7.を除く)。
[accompanists─Mike Anthony: guitar& Banjo/ Eric Gale: guitar/ Lyle ritz: bass/ Earl Palmer: drums/ Plas Johnson: saxophone/ Milan Melvin: produce/ JUNE 23/24,1969,Club Amigo,North Hollywood,California]


2. FEAST OF THE MAUMAU

これも 1.のWHAT THAT IS と同じ録音ですが、次のDO YOU REALLY LOVE ME と共に [Carl 'Beef' Gottlieb, Christopher 'Egg' Ross, Sal Valentino, Deidre La Porte, Tom Reid & Thea Marcus:chorus] が [accompanists] に追加されています。また、この曲ではギターが Herb Ellis に替わっています。(ハーブ・エリスは、1921年テキサス生まれの白人ジャズ・ギタリストで ─ ただし、最初の楽器はバンジョーだったとか ─ 少年時代からブルースにも親しみ、大学で本格的に音楽を学んだ後、1944年にカサ・ロマ楽団ってとこでプロとしてのスタートを切っています。そこからジミー・ドーシー楽団、オスカー・ピーターソン・トリオ、JATP などを経てエラのバックや、スタジオ・ワークでは数々のレコーディングに参加しています)
REAL LIFE:CHARLY R&B CD CHARLY 163 にも収録されていますが、まったくの別テイクです(向こうは'83年のパリ録音)。コード進行などはそちらを参照してください。こちらのテイクの方が14年も早いのですが、ナゼかクリアーなイメージです。音質もいいような気がすんだけどなあ。


3.DO YOU REALLY LOVE ME

2.で説明したとおり、この曲も基本の [accompanists] に、コーラスをプラス。
VOODOO JIVE:THE BEST OF SCREAMIN' JAY HAWKINS:RHINO R2 70947 に、まったく同じものが収録されています。したがって解説、コード進行などはそちらをどーぞ。


4. STONE CRAZY

イキのいいブギウギ・ピアノ風のリズムに乗せていつものヴォーカルが・・・バックには(やや間遠いながら)かき鳴らすバンジョーも聞こえております。
この曲は STONE CRAZY:DEMON RECORDS FIENDCD 728 にも収録されていますが、まったくの別テイクです。
キーは G で、G-C-G-D-D を2回繰り返してC-G-C-D-D というパターンです(イントロのピアノは G-D )。
なお、この曲では、[accompanists] にかなりの異動があり、[Ernest McLean: banjo/ Ron Johnson: bass/ Eddie Hoh: drums/ Grahame Bond: piano] となってます。
7.のI'M LONELY と、Phillips 40606 でカップリングされてリリース。


5. I LOVE YOU

また1.と同様に、基本 [accompanists] に戻ります。アダルトなフンイキ(?)のピアノで始まり、珍しく「落ちついた」バラードを!
キーは F。まずイントロが、F/Dm-Gm/C を2回→F-F7-Bb-Bbm-F/D-Gm/C-F/Dm-Gm/C ただしサビ前は、F-F7-Bb-Bbm-F/D-Gm/C-F/Eb-F/F7。サビは、Bb-Bbm-F-F7-Bb-Bbm-C-C


6.CONSTIPATION BLUES

あの、あまりにも有名な「便秘」のブルース。REAL LIFE: CHARLY R&B CD CHARLY 163/'83 にも収録されていますが、まったくの別テイクです。こちらの方が年代は古い(1969年。『REAL LIFE』は1983年の録音です)のに、音もクリアーなのは、なんでじゃろ?
なんだかもったいぶった語りから始まります。「紳士ならびに淑女の皆様(原文では「淑女」が先であるのはトーゼンでございましょう)、多くの方々が求める歌は、愛について、孤独にについて、あるいは失恋についてのものです。誰も本当の悩みを歌った曲をリクエストすることが出来なかった。本当の『痛み』それは・・・便秘」てなコトを言ってるんじゃないかなあ。
C からの「まともな」進行のブルース(って言ってもイミ無いけど)。[accompanists] は基本セット(?)そのまま。


7.I'M LONELY

この曲では、4.の「STONE CRAZY」と同様、[accompanists] にかなりの異動があり、[Ernest McLean: banjo/ Ron Johnson: bass/ Eddie Hoh: drums/ Grahame Bond: piano] となってます。そして、その「STONE CRAZY」とカップリングで、Phillips 40606 としてリリースされました。
いきなり「オレは疲れた〜!」で始まります。曲調としちゃあ「枯れた」I PUT A SPELL ON YOU (?)でしょか?
キーは、Fm で、オープニングは Fm-C-Fm。そっから Bbm-Fm-Bbm-C と流れますが、それ以降は、Fm-C-Fm-Fm-Fm-Bbm-Fm-Fm-Bbm-Fm-Bbm-C・・・とルールがあるんだか無いんだか、さっぱ判らん、ってえ構成ですが、なあに、使ってるコードはこの「Fm・Bbm・C」の三つだけなんで、「ヤル気」さえありゃぜ〜んぶ判明しますって。(ま、そんなモノズキがワタシ以外にもいるとは思えませんが)


8.THING CALLED WOMAN

この曲ではギターが Herb Ellis に替わっています。シンプルなピアノのリフに乗って、まず最初は左チャンネルから、続いてそっくり右チャンネルに移動し、なんのイミがあるのか、またしても全員、左チャンネルにお引越し。エンディング直前に突如ステレオになる、っちゅーワケ判らない仕上がりとなっております。
キーは Fm で始まり、最初の左チャンネルの間はず〜〜っと Fm。右チャンネルへの移動とともに Bbm になり、Fm に戻ってもいっかい Bbm に行って、そっから C、なんてのを繰り返します。しっかし、ハーブ・エリスのギターって、なんかバックでサイド切ってるらしー「ささやかな」ヤツだけ?なんか居ても居なくてもいーよな感じ。


9.DIG!

サックスのブロウで始まる、ややヘヴィィなバラード(?)。どことなくPERSON TO PERSON をホーフツとさせますね。
キーは G。イントロは G-C-G-D からで、G-G7-C-Gdim.-と来て、フツーならそっから「G/E or Em-A/D」なんて行きそーなもんなんですが、なんとそっからブレークがらみで、G-G-G-G-G-G と「G」の六連発の後、やっと D ってえネチっこい進行になってます(あ、でも、さすがに間奏では G-G で D )。


10.I'M YOUR MAN

なんでか 3/4 のリズムで艶っぽく(?)セマってまんなあ。
キーは Fm で、C#-C7-Fm-Fm がイントロ。Bbm-Fm-Bbm-Fm-Bbm-Fm-C#-C7-Fm の繰り返しで、エンディングはずっと Fm で流してるようです。


11.ASK HIM

この曲ではギターが Herb Ellis に替わり、また、Bill Watkins Singers(このグループについて検索してみたのですが、収穫はゼロでした)がバックにゴージャスな(?)コーラスをつけています。やや落ちついた(うぷぷ)バラード(?)。
キーは F なんですが、ちょっと、コード進行がなあ・・・ F-Dm-Gm-F-F-Dm-C-F-F-Dm-Gm-Bb-F-Bb-C-C みたいな感じなんですが、ちょと自信ありません。なんでしたら皆様も(?)お試しくださいませ。閉口すると思いまっせ。で、ブレークが入って、Dm-Dm-F-F-Dm-Dm-F-F となるのでございますが、エンディングでは F-C-F-C の繰り返しでフェイド・アウトでげす。


12.REPRISE

ここではまた基本パーソネルに立ちかえり、マイナー系ながらリズムは陽気っぽく、っちゅうワケ判んないイントロに続いて、曲が始まるのか、と思ったら、これまでに出て来たFEAST OF THE MAUMAU DO YOU REALLY LOVE ME ASK HIM をコラージュしたような「お遊び」でございました。チャンチャン。


13.PLEASE DON'T LEAVE ME

この曲から 24.のSO LONG までは、1969年の12月にテキサス州のヒューストンで録音されたものですが、スクリーミン・ジェイ以外のミュージシャンは不明です。(プロデュースだけは Huey P.Meaux という人物)。
さて、この曲ですがコーラス隊とコール&レスポンスで歌う必然性があったんでしょか?
キーは G で、珍しく全部が同じ、G-G-C-G-D-G の繰り返しです(イントロも)。


14.I WANTA KNOW

STONE CRAZY: DEMON RECORDS FIENDCD 728/'93 にも収録。ちょっとHIGH HEEL SNEAKER に似たリズムで、軽い感じ。
キーは F からで、進行はフツーの12小節です、が!最後のブレークだけは見逃せなかったようで、また要らんコトしてます。


15.I NEED YOU

THE BEST OF SCREAMIN' JAY HAWKINS: Classic world CWP 2011 にも収録(『Move Me:YEAAH! YEAAH30』とまったく同じもの。たぶんそっちの方が音質はいいハズ)。
なんでかネエちゃんがアヤしいタメイキやらシャウトを入れとります。シャッフル系(?)ナンバーで、キーは G の一見ブルース進行なんですが、でも聴いてると、G-G-C-G-D-C-G って場合と、 G-G-C-G-D-D-G という二つのパターンがあるようです。え?どー使い分けてるのか、って?んなコト天国(だったらいいなあ)のスクリーミン・ジェイに尋いてちょ。


16.MY MARION

ゆったりとしたバラード、ってえフンイキですが、バックにはもうひとり、ファルセット・テナーなんだか、アルトなんだか、性別不明のハミング(つーかモ〜ンつうか?)がず〜〜〜っと流れてます。ああ、この展開、どっかで・・・
キーは F で、F-Dm-Gm-C を繰り返すんですが、何回目かに(?)F/B-F/F7 をはさんでサビに行きます。サビは、Bb-Bbm-F-F7-Bb-Bbm-C-C。


17.BITE IT

ライトでシュアだけど、どこかコミカルなリズムが小気味いいナンバー。キーは G で、ごくまっとーなブルース進行。


18.MOVE ME

THE BEST OF SCREAMIN' JAY HAWKINS: Classic world CWP 2011 にも収録されていますが、音質はこちらのほうがいいです。
G-G-C-G-D/C-G のまともな進行。


19.GOOD NIGHT MY LOVE

"Yes, It's be nice. Yes, I love you・・・"なんておネエちゃんのセリフから始まる「Dreamy」な(って、どんなやねん?)ナンバーで、ストリングスもフンダンに使ってますぞ。
キーは C# で、C#-Bbm-Ebm-G# の繰り返しです。サビは Bbm-F# を3回繰り返した後 Eb-G#。


20.OUR LOVE IS NOT FOR THREE

まるでサム&ディヴみたいな(ベースは、むしろキング・カーティスか?)、リズムを活かしたナンバーで、ホーン・セクションとバック・コーラスも活躍してますが、SJH が地味(これでも?)。
キーは D で、イントロっから D7 のカッティング。D7-D7-D7-D7-Em/F#m-G/A という構成のようですが、D7-D7-D7-D7-B/A-G/F#m-G/A っちゅう進行になったりしてるみたい(ムセキニン)。


21.AIN'T NOBODY'S BUSINESS

これはもう、どなたもご存知、あの名曲でございます。ま、例によってPERSON TO PERSON (『COW FINGERS AND MOSQUITO PIE:EPIC/LEGACY EK 47933』に収録)みたいなミョーなリキミたっぷりで、SJHらしさ、をフルに発揮しておりますぞ。二番が終ったとこで、ナゼかシャウトが左チャンネルから右チャンネルまでスィープいたしますが、そのことにどのよーなイミがあるのか?などと悩んではいけまへん。
キーは Eb ですが、コード進行は皆様知っておられると思いますので割愛させていただきましょ。


22.TAKE ME BACK

ヴォーカルとユニゾンで弾かれるギターと一緒に軽くシャッフル系でトバします。『COW FINGERS AND MOSQUITO PIE: EPIC LEGACY EK 47933』に収録されている「TAKE ME BACK TO MY BOOTS AND SADDLE 」とは、ま〜ったくなんのカンケーも無い別な曲ですよん。
キーは F です。F-F-Bb-F-C-F という、ドミナント7th からサブ・ドミナントに落ちて来ない進行(彼はケッコー多用してますね)となっています。


23.TRYING TO REACH MY GOAL

こりゃまた、どっかで聞いたよな曲の造りですねえ。「オーイエ」と「ア〜ハン」だけのバック・コーラスがなかなか「おマヌケ」でヨい。
キーは C。C で流した後、Am に落ちて、そっからまた C で流すパターンと、Bb を往復してから Am っちゅーのがあるみたいで、さらに F/G/C と帰結してるような気もすんですが、よー判りまへん!この曲に関しては宿題としま〜す!


24.SO LONG

さて、いよいよ最後の曲でございます。思わせぶりなピアノから、一瞬、RECONSIDER BABY かいな?と思わせる「So long!」のひと声が出てまいります(この場合は、もちろん Lowell Fulson じゃあなく、 Freddie King の『TEXAS CANNONBALL:shelter 7243-8-53867-2-5』の方ね)。が、モチロンまったく別の曲であるのは申すまでもございません。
キーは G で、G-Em-Am-D7 の繰り返し。サビ部分は、C-Cm-G-G7-C-Cm-A-D7 という「よくある」パターンになってます。


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