In the Beginning

1971年に、まさに「あの」Hound Dog Taylor を録音してリリースしたいがために生まれた Alligator。
わたしにとっては過去から現在にいたるまでを眺めてみても、Chicago における最も重要なレーベルは CHESS や Delmark ではなく、この Alligator です。
なぜなら、そこには(もちろん商売である以上、経済的な側面は無視できないにしても)「音楽に対する情熱」を一番強く感じるから。
そして所属するアーティストに対する「深い愛情と理解」を感じるから。


1947年、Ohio 州 Cincinnati に生まれた(と Alligator の HP その他の主なサイトでは紹介されているけど、なんでか allmusic では Jul.10, 1947 in Ann Arbor, Michiganとなってるのよねー、さすが allmusic?! )白人、Bruce Iglauer がブルースに目覚めたのは 1966年とされています(ワタシより 2年早い!)。
Mississippi Fred McDowell(そう言えば当 BLUES DIARY ではただの一度として採り上げていませんでしたねえ。)の演奏に触れて、大きな感銘を受けたようで・・・
ま、Fred McDowell をそー片付けちゃうと、あちこちから非難が殺到しそうですが、ワタシがストーンズからいきなり Albert King に飛び込んで、れっきとした(?)エレクトリック・ブルースを全身に被爆したのに対し、ちょうど対照的な(ワタクシに言わせれば、ね)「フォーク・ブルース」から入った、というのが面白いところです。
もっとも、そんな彼でしたが、後にはフォーク・ブルースなどとは「もの凄〜く」隔たった(?)ワイルドでダーティ、パワフルでときには卑猥、ある意味、轟音系(あ、McDowell の音からするとね)の Hound Dog Taylor によって「人生を変えられちゃう」んですから面白いものですよね。
その 1966年当時の彼は、まだ Wisconsin 州 Appleton*の Lawrence University の学生でしたが、ただザンネンなことに、今のところ、それまでの彼がどのような生活を送り、音楽的にはどのような環境で育ってきたのか、を示唆するような資料には一切、出会っておりません。

* ─ Appleton, Wisconsin ; あの Paramount Records の Grafton や Port Washington からは、およそ 11時の方向に 100km ほどのところにある街。
その街なかを Fox River が流れていることから、生活環境も良かったようで 1848年に最初の入植者が入り、さらに 1853年には「村落」となり、1857年には City となっています。
19世紀末にはすでに人口が 1万人を超え、第二次世界大戦の終了後には 3 万人に達しています。2005年の国勢調査によれば人口は 7 万人を超えていますから、そこそこ順調に発展してきた、と言えるでしょう。そして、それを支えたのが Fox River を利用しての水力発電と、Amos Adams Lawrence( born in Boston, Massachusetts, 1814-1886. John Brown の奴隷制度廃止論を経済的に支援し、後に University of Kansas の設立の際に融資を行っている)によって創設された Lawrence University で、現在も Lawrense University はほぼ町の中心部、Fox River の北岸にあります。


ブルースに「目覚めた」彼は College Radio Station に働きかけて、ブルースを採り上げるようにし、さらに自身はシカゴのブルース・シーンに飛び込んで、当時のナマのブルースを全身で浴びることとなります。
マディを始め、あの Magic Sam(もちろんホンモノでっせ〜!あの iTunes でダマそうとしてる Westside Guitar Wizard やら the Final Session なんて、いかにも「ヒョっとしてマボロシの音源を発掘!か?」なんてえ実に悪質な詐欺まがいの偽マジック・サムこと、デブの白人スライド・ギタリスト、ロン・トンプソンじゃおまへん!)に Otis Rush、そして Carey Bell などをナマで聴いてるんですから、実に羨ましい!!
ま、それはいいのですが、College Radio Station の活動が実を結び(?)大学の Activities Committee(学内活動委員会、とでも訳すものか?)が学内で Howlin' Wolf のライヴを計画した際に、その有無を言わせない独善的な実行ぶり、特にまったく不充分なプロモーションに大いに失望することとなりました。
そこで彼はそのような組織に頼らず、彼自身のポケットマネーで Luther Allison を招聘し、見事にそのライヴではチケットを Sold Out に導き、ちゃんと「理解している人間が、熱意を持って事に当たれば、確実に手応えは得られる」ことを証明したのです。

このときの Luther Allison のライヴによって Bruce Iglauer を認めたのが Delmark の Bob Koester で、彼を雇い入れることにしたのでした。
最初のポジションは、週給 30ドルの製品発送の部署で、これが 1970年のことです。
念願かなって Chicago の住民となった彼は、夜毎にウェストサイドやサウスサイドのブルース・クラブに現れる生活を送ることになりました。
さらに Bob Koester とともにスタジオで Junior Wells などの録音にも立ち会っていたそうですが、そのような機会を通じて、彼自身でもブルースのレコードを作ってみたい、という意欲が湧いてきたもののようです。
その彼が僅か 2500ドルの開業資金でアパートの一室で自らのレーベル、今でこそブルースのファンだったら知らないひとはおそらくいないと思われる Alligator を設立したのが 1971年、とされていますから、Delmark にはほぼ一年くらいしかいなかったのでしょうね。

1971
Release the Hound!

1970年に Chicagoで Delmark Records に職を得た Bruce Iglauer は、ブルース・クラブ巡りをするうち、サウスサイドの Florence's Lounge で Hound Dog Taylor を見て「電撃」を受ける・・・となるとドラマチックでよろしいのですが、実際には Bruce Iglauer がまだ大学に在学中と思われる 1969年に、Chicago に通いつめていたおかげ(?)で、すでに Hound Dog Taylor その人の演奏には触れているんですね。
ただし、その時は Brewer Phillips に Ted Harvey という the HouseRockers と一緒にではなかったせいか、Bruce は「たいしたミュージシャンではない」と判断していたそうです。
それが、翌年の 2月に Florence's Lounge で初めて the HouseRockers としてのステージを見て、その魅力を見直したのでしょう。しばらくは Delmark のボス、Bob Koester に彼らをレコーディングするように、と口説いていた、とされますが、ついには、それでは自分でレコード化しよう、と考えたようです。

1971年の春、二晩(そ、まだみなさん Day Job をお持ちですからね。スタジオ入りは「夜だけ」なのです)連続で Chicago の Sound Studios を使って録音が行われ(その部分ではおそらく Delmark の Bob Koester のなんらかの助力があったのではないでしょうか?ジャケットには Very special thanks to... として彼の名前が「ちゃんと」記されています)、それが Alligator の記念すべき一枚目のアルバム、AL-4701、Hound Dog Taylor and the HouseRockers となりました。
このときレコーディングに使ったボロボロのギターアンプは、どうやら Florence's Lounge で彼らが使っていた(おそらく店の備品じゃなかったか?と思うのですが、確認は出来ておりません) Sears Loeback に OEM されていた Silvertone 製で、ALTEC の 10 インチ・スピーカー 6 発、というものだったようです。
レコーディングはシンプルな 2 トラックのステレオ・テープレコーダーにダイレクトに録音され、当然、オーヴァー・ダブや後処理も行われていません。
この時の録音には 900 ドルを要した、とされています。

ところで、そのブランド・ネーム Alligator ってのがどこから来たのか、という点ですが、とあるサイトでは、Bruce Iglauer がお気に入りのリズムを取るときに歯をカチカチ言わせていたから、というのが載っておりました。
ザンネンながら、ワタクシ、Alligator ってヤツの実物をじっくりと観察したことがございませんので、ホンモノも歯をカチカチさせるのかどうか定かではないのですが、もしかすると、漫画チックな揶揄から来たニックネームとして言われていたのかもしれませんね。

初回プレスは僅か 1,000 枚。
それを自分のクルマ Chevy の後部座席に載せて Chicago から New York にいたるロック専門局や大学があればその College Radio Station に AL-4701 Hound Dog Taylor and the HouseRockers を託し(もちろん、それがスグにオン・エアされる、と言うワケではなかったようですが)、その実績をバックに地域のレコードのディストリビューターの元に行き、「この地域のロック FM 放送局ですでに流されている」と告げ、そのアルバムを扱う気があるか?と持ちかけると、どこでも「売りましょう」と言ってくれたとか。ま、ウソじゃないですからねえ。

もちろん、この時点では Delmark での勤務と、自分のビジネスを両立させていたワケで、それでいて Hound Dog Taylor の面倒までみていたようですから、さすがに手に余るようになり、ついに独立することとなり、アパートの自室を「本社」として資本金 2,500 ドルで Alligator Records を設立しました。
当然その部屋は「製品」で溢れ梱包台が場所を取り、普段の生活を多少は不便にしたようですが、多くの弱小マイナー・レーベルが陥る「そのままフェード・アウト」ということにはなりませんでした。

1972
Big Walter & Carey Bell

彼がリリースした Hound Dog Taylor は「目覚ましい」セールスとまでは行かないまでも、着実に売れ続け、そこで得た利益を元に翌1972年には Alligator の第二作、AL-4702、Big Walter Horton with Carey Bell をリリースすることが出来ました。
もちろん、多大な融資が見込めない当時の状況では、リリースしたアルバムの売り上げが充分に溜まったところで次作に、という態勢ですから、まだ一年に一枚、というペースが精一杯だったようですね。
その AL-4702 ではギターに Eddie Taylor が入り、全体をグっと引き締めています。このアルバムも「爆発的」ではないものの着実に売れて、次の 1973年、AL4703、the Son Seals Blues Band へとつながって行ったのでした。

1973
Who the Hell is that?

この Son Seals については、彼が発掘した、と言うより、彼の友人で、ブルースマニアの Wesley Race に「教えられた」というエピソードがライナーには記されています。
ある晩、Chicago's Jazz Record Mart( Chicago's Jazz Record Martって Bob Koester のお店です。今は、単に Jazz Record Mart って呼ばれてます。・・・ by 江戸川スリム氏)の閉店間際、そろそろ帰ろうかな?という時に Bruce Iglauer に電話があり、出てみると Flamingo Club からで、Wesley Race がバックの轟音に負けないように怒鳴っている声が・・・「 Bruce!ちょっとこれを聴いてみてくれ!」そう言うと受話器のマイクをステージの方に向けると、そこで聞こえて来たのは、少なくとも Chicago のブルースマンはすべて知っている、と自負していた Bruce Iglauer でさえ初めて聞く新鮮な演奏だったのだそうです。

Bruce; Who the hell is that?(こ、こいつは誰だ?)
Wesley; That? That's Son Seals.(こいつかい? Son Seals ってヤツさ)

ただ、別な話として、Hound Dog Taylor が、次は誰を録音しようか?と迷っていた Bruce Iglauer に、かって自分のバックでドラムを叩いてくれてたこともある Son Seals をプッシュした、という説もありますので、そちらも併記しておくことにいたしましょ。

1974
A.O.R.
Not Adult!

1970年代と言うと Bob Grossweiner によれば、AOR、つまり Album Oriented Rock が主流となっていった時代、とされていますが、不思議なことに日本ではその「 AOR 」が「アダルト・オリエンテッド・ロック」ということになっており、「大人向けのロック」なんてことになってますねえ。
ワタシなんぞはネが短絡的なもんですから、

大人向けのロックだあ?
バカこくでねえ!てめえらみたいなつまらねえ大人になんかなりたかねえや!ってのがロックだろ!それがそいつらに「受ける」ロックだなんて媚を売る気か!

なんて毒づいてたもんですが、そう、Album Oriented Rock!それなら「判る」。
そろそろアルバム一枚をまるごと放送してくれる D.J. が出てきて、そうなるとミュージシャンも「まだ模索している線」や、「実はこんなとこもあるんだよオレ」みたいな作品を潜り込ませて反応を見たりすることが出来るようになった、ってあたりにその AOR の出現が帰せられるんでしょね。
・・・なんていきなり AOR なんぞの話になったってのも、本稿を起こすにあたって参照したなかに前述の Bob Gossweiner と Jane Cohen の共著になる Industry Profile: Bruce Iglauer があり、そこで Alligator の出発が、年代的にその AOR に放送界が席巻されつつあった時期に当たってしまった、という分析が載っていたからなのです。
なるほど、わたくしもこれまでなんだかんだ書き散らして来てますが、確かに主題はブルースとはいえ、周辺の音楽の動向というものが、必ず、なんらかの形で反映されているもんなんですよね。

ただ、主流は AOR であっても、それがこれまでのヒット・ソング一辺倒だった放送スタイルへの別な切り口の可能性の提案であったのと同様、もう少し視点を広げ、より根源的なものや、表面化はしないけれど大きく影響を与えているものにも目を向けよう、といった違った方向にも流れた、ということでしょうか、この時期あたりから、(黒人を対象とした局ではないのに)ブルースなども流す FMステーションが次第に増えており、それが Alligator の存在を次第に浸透させて行ったもののようです。
そのような「支え」があったからか、それまでは一年に一枚しか新しいアルバムをリリース出来なかった Alligator が 1974年には二枚のアルバムをリリースしています。

まずは、FM オン・エアのみならず、実際にブッキングまで手を貸して各地でのライヴ(クラブでの演奏ばかりではなく、北部一帯での、大学も含むフェスティヴァルに積極的に出演している) を行ったことでその名を知られて来た Hound Dog Taylor の二枚目、AL-4704、Natural Boogie、そう!あの See Me in the Evening や Sadie の入ったヤツ!それを送り出しました。
このアルバムではそれまで Alligator のジャケットの写真を担当してきた Peter Amft の名が消え、でももっと重要(?)なのは、これまで必ずあった Special thanks to とした Bob Koester のクレジットが「消えている」点かもしれません。かわりに「あの」Wesley Race などの名が挙げられています。

そして同じ 1974年に出されたのは、1967年に Palos 1200(シングル)Somebody Loan Me A Dime / I Believe をリリースしていながら、あのボズ・スキャッグスに「これはオレが作った曲だ」などと「盗まれた」ことで有名な Fenton Robinson で、もちろん、Somebody Loan Me A Dime を再録音しています(で、まったくカンケー無いエピソードで恐縮ですが、このアルバムでキーボードを担当した Bill Heid は最長ヒッチハイク距離のギネス認定世界記録保持者なんだそうな・・・なんだそりゃ?)。

この Fenton Robinson のアルバムが日本ではかなり人気が出て、そっから日本公演の話がスタートし、それがあんなオチになるとは・・・

1975
Koko Taylor

1970年代の前半、Alligator はその所属ミュージシャンのライヴを積極的に組み、「彼らの」Recording Artists の浸透に努めました。
この時期、Alligator が手がけたライヴは年間 150 以上もあった、と言われています。
そのような「前向きの姿勢」はやはりブルースマンたちからも注目されるワケで、それがまた「良い」契約につながる、という理想的な方向に進むこととなったのではないでしょうか。

1963年に USAレーベルに初吹き込みを経験し、ただしそれはパっとせず、Chess で Willie Dixon の手になる Wang Dang Doodle がヒットして、一度は上昇機運を掴んだかに見えた Koko Taylor( Cora Walton; born in Memphis, 1938 )が結局どちらもいまひとつだったアルバム 2枚の後で Chess を離れて移籍してきたのも、そんな Alligator に可能性を見出したからかもしれません。
どちらかと言えばそれまでは制作サイドの言いなりのように、あてがわれた曲をあてがわれたバッキングで録音していたワケですが、この Alligator での Koko Taylor の「最初の」アルバム、AL-4706、I Got What It Takes では、まるでそれまでの反動であるかのように、バック・ミュージシャンはすべて Koko 自身がセレクトした、と言われています。

ギターには、数々のバッキングを通じ、いろいろなブルースマンの名盤の完成に貢献してきた Mighty Joe Young と Sammuel Lawhorn!
特に Mighty Joe Young は Koko 本人、Bruce Iglauer とともにプロデュースでも一枚噛んでいます。
そしてキーボードには、前年の Fenton Robinson の Somebody Loan Me A Dime に引き続き、(江戸川スリム氏によると)現在はデトロイトに住み、ギネス認定の最長ヒッチハイク距離の世界記録を持つだけあって、その放浪の途中、日本に立ち寄った際に覚えた(?)デタラメな日本語で歌をうたってる(!)っちゅう Bill Heid、そしてサックスの Abb Locke( Otis Rush の Cold Day In Hell や Albert Collins の AL-4730、Don't Loose Your Cool にも登場)に Cornelius Boyson のベース、そしてドラムは Vince Chappelle。
・・・この厚遇に Koko はかなり満足したようですが、せっかくその前年には年二枚のペースになりかけた Alligator がこの年には、この Koko Taylor 一枚で終わっているというのも、そのへんの「経費」が影響しているのかも(スタジオだって「いつもの」Sound Studios じゃないし)?
ま、もっとも、それ以外にも、この 1975年というのは、Alligator Records が初めて「従業員」を雇い入れた年であり、同時に、これまでのアパートの一室から、ノースサイドの一戸建(寝室が三つ!)に「社屋」(もちろん Bruce Iglauer の住居でもある・・・)を移転した年でもありましたから、そちらの経費の問題かもしれませんが。
それはともかく、受賞は逃しましたが、この Koko Taylor の I Got What It Takes は Alligator にとって初の Grammy 賞ノミネート作品となったのでした。

1976
Chase the Hound

そして翌1976年、こんどは別なアルバムがグラミーにノミネートされます。
それはその前年、1975年の 12月 17日に癌のために死亡した Hound Dog Taylor のライヴ録音からなるアルバム、AL-4707、Beware of the Dog でした。
いずれも 1974年の録音で、1月 18日に Illinois 州 Evanston の Northwestern University で行われたライヴを WXRT-FM のために録音したものと、同年 11月、22から 24日までの三日間 Ohio 州 Cleveland にある Smiling Dog Saloon でのライヴを、これも WMMS-FM のために録音していたものです。
さらにこの 1976年にはもう一枚、Son Seals の二枚目のアルバム、AL-4708、Midnight Son がリリースされています。
Bruce Iglauer によれば、Rolling Stone 誌が、「過去 10年間で最も優れたブルースアルバム!」と評したせいもあって、このアルバムから Son Seals が売れ始め、ライヴの予定が次々と入ってくるようになった、と・・・
やはり媒体の力って大きいですね。

ところで、この Son Seals の Midnight Son では再びジャケットの Special thanks to... に Bob Koester の名が「復活」しております。
ただ、Very special thanks to... という「より上級の」感謝目録も登場してはいるのですが(もっとも、その Special もつかない、「ただの」Thanks to... のクラスもいるので「いいほう」なんでしょか?)。

1977
Only one

続く 1977年の Alligator からは、たった一枚だけのアルバムがリリースされています。
その唯一のリリースであった AL-4709、盲目のピアニスト、Blind John Davis* の Stomping on a Saturday Night は現在、すでにカタログから「落ち」ており、ときおり中古盤市場に顔を見せる程度となりました。

*Blind John Davis ─ 1913年12月 7日、Mississippi 州 Hattiesburg 生まれ。
Bluebird 時代に多くの録音に参加した accompanist で、Tampa Red や、後に一緒に欧州ツアーを行った Big Bill Broonzy、そして Sonny Boy Williamson のバックも務めています。
他に Document に 1938年から 1952年までのコレクションなど。ヨーロッパでの録音が多い。この Stomping on a Saturday Night も 1976年、ドイツでの録音。
1985年10月12日、Chicago で死亡

1977年と言うと、実は年末の Fenton Robinson 日本ツアーが、法務省によって入国が許可されず、急遽 Eddie Taylor となったことで、日本ではエラい騒ぎ(?)となったものですが、その一件がおそらく原因だったのでしょう。すでに 7月17日と 8月 2日にレコーディングを済ませ、たぶんこれも 1977年中に発売される予定だったのでは?と思われる Fenton Robinson の二枚目は、翌年に持ち越されることになったのではないでしょうか?
そこらが、この 1977年には一枚しかリリースされていない「真相」かもしれませんねえ。
ところで毎度お馴染み(?)の Bill Heid ですが、この Fenton の二枚目のアルバムでもキーボードを担当してるんですよね。
ここ、Alligator では大活躍、でございます。

1978
from Texas!

さて、明けて 1978年、ようやく上記の Fenton Robinson の新アルバム、AL-4710、I Hear Some Blues Downstairs が発売されています。
前作ではホーン・セクションが後処理でオーヴァーダブされた、と言われていますが、今回は元録音からの参加のようで、そのヘンからもリキの入り方が感じとれます。
う〜ん、あの一件さえなきゃ・・・
特筆すべきは(って特筆するほどのもんでもないのかもしれませんが・・・)ジャケットのデザインに、今回は写真ではなく、あんまり「キモチ良くない」イラスト、っつうか「絵」が使われてる、ってことでしょか?
Chuck Nitti とかゆうイラストレーターらしいけど、ワタシにはこれを使ったセンスが理解できません。
あ、ついでながら、この Fenton Robinson の日本入国トラブルについては、Alligator の社史(?)みたいな Story のページでも「ヒトコトも」触れられてませんでした。

その社史(?)によれば、1978年の Alligator にとってイチバン大きかった出来事は、Albert Collins の参加であった!となっておりますが、ものには順序っつうものがありますから、リリース順に追っていくと、次は Koko Taylor の Alligator での二枚目となる AL-4711、The Earthshaker となります。
このアルバムではジャケット・デザインがまた写真に戻っておりますねえ。良かったぁ・・・
さて、ここではギターの一角、Mighty Joe Young が Johnny B. Moore*に変わり、キーボードとしてはピアノの Pinetop Perkins が参加しています。

*Johnny B. Moore ─ 1950年1月24日、Mississippi 州 Clarksdale 生まれ。8才のときに Jimmy Reed に出会い、13才では Chicago で Jimmy Reed と演奏していたとか。
それを見て可能性を感じた Little Johnny Jones の未亡人に目をかけられ育て上げられたようです。1975年に Koko Taylor のバック・バンド、Blues Machine に参加。

続く AL-4712 となったのは、すでに Alligator では三枚目となる Son Seals の Live and Burning です。
このアルバムはまさにタイトルどおり、シカゴ・ノースサイドのブルース・クラブ Wise Fools Pub でのライヴを録音したもので、なんと(と言うのもなんですが)Elmore JamesTalk To Me Baby (ただしここでの曲名は I Can't Hold Out になってますけど)で始まってて、そこらあたりがノースサイドかな?なんて半可通な印象を持ったものでした。

さて、いよいよ 1978年の Alligator Records の白眉(?)我が最愛の AL-4713、Albert CollinsIce Pickin'でございます。
みなさまもご存知のように、Albert Collins と言えば Texas!
つまりシカゴのブルースマンじゃない、初めての契約アーティストだったワケですね。
この Albert Collins が Alligator と契約したことで、雑誌 Rolling Stone などは、これで Alligator もメジャー・レーベルの仲間入りをした、なんぞと評したそうですが、それって Hound Dog Taylor や Koko Taylor なんかにシツレーだよね。

ま、それはともかく、その前までは Canned Heat のボブ・ハイト、Eagles でお馴染みのプロデューサー、ビル・シムジクなんてえロック系の白人にカモられてた(?)Collins が、ここ Alligator では、その魅力をきちんと活かしてもらえてるんじゃないか、ってえ気がいたします。もっとも逆に言うと、そういう「ロック寄り」な活動があったからこそ Rolling Stone 誌が、これで Alligator もメジャーだ!なんてトンチンカンなことを言ったんでしょね。
サイド・ギターに Larry Burton、キーボードには Allen Batts、ベース Aron Burton、ドラム Casey Jones というこのユニットで演奏された Honey Hush は、ワタクシにとって永久保存盤!てなショックでございました。
もちろん、このアルバムも Grammy Nominated となっております。

と、ここまでは Alligator の「通常アルバム(?)」として、4700番台からスタートしたシリアルが振られており、AL-4713 というと、ああ、13枚目のアルバムなんだな、とヒジョーに判り易かったのですが、ここに来て初めて「違う系統の」シリアルが登場します。
それが Alligator としては初めての Various Artists / Anthologies もの、AL-7701、Living Chicago Blues Iと、同じく AL-7702、Living Chicago Blues II でした。
このシリーズは後に( 1980年)その「 IV 」まで進んで完結するのですが、あまり世に知られていない、しかし充分な実力があるシカゴのブルースマンたちを広く紹介するためにリリースされたもので、そこには Jimmy Johnson Blues Band や Eddie Shaw and the Wolf Gang、Left Hand Frank and his Blues Band、そして Carey Bell's Blues Harp Band(ここまでが「 I 」、続いて「 II 」には)The Lonnie Brooks Blues Band、Magic Slim and the Teardrops、Johnny "Big Moose" Walker に Pinetop Perkins が収録されています。
この V/A、Living Chicago BluesI の方は Grammy Nominated となりました。
この「 I 」に収録された Eddie Shaw のセットではギターが Hubert Sumlin で、もちろん Alligator への初登場となります。
また Carey Bell とともに息子の Lurrie Bell も参加しており、これも初登場ですね。

なお、これらのシリーズは 1991年に CD化されるに当たり、リマスタリングを施されていますので、当初のアナログ・ディスクとは多少バランスなどが変わっているかもしれません。

1979

翌1979年には、まず前年の Living Chicago Blues II に収録されていた Lonnie Brooks のソロ・アルバム、Bayou Lightning: AL-4714 が発売されています。
Living Chicago Blues II では 4 曲( Don't Answer the Door / Two Headed Man / Cold, Lonely Nights / Move Over, Little Dog )が収録されていましたが、このアルバムはそれらとはまったく別に録音されたもので、当然、一曲もダブってはおりません。
なお、このアルバムで特筆すべきは、我らが Billy Branch センセが一曲だけとは言え、ハープで参加しておる点でございましょう。モチロン Alligator への初登場でございます。
その曲名がまた「歩くXXX」に相応しく(?)Breakfast In Bed、っちゅうんですから出来すぎだよね〜。

なおジャケットの、ヘッドから稲妻をトバしてる写真、やはり、と言うか、Albert Collins の Ice Pickin' と同じ Jim Matusik の撮影なのでございました。
そして、どーでもいいようなことですが、このアルバムでは Very だろうが Special だろうが、thanks to...ってのがクレジットから省かれております。ま、だからどーした?と言われれば返答に窮するのではございますが。

これまで、基本として自社制作の録音をプレスし、販売する、というスタイルで来た Alligator ですが、この 1979年には、そこに初めて他社録音のリースでプレスする、という、まるでメジャー・レーベルのような製品が現れています。
それが AL-4715、Phillip Walker* の Someday You'll Have These Blues でした。

Phillip Walker

Phillip Walker; 1937年 2月11日、Louisiana 州 Welsh で、小作農で、まだ 14才と13才で結婚していた(!)父、Malvin と母の Viola Weber Walker(そのまた母が Cherokee だったので、いわゆる「インディアン」の血が半分、ということになります)の 7人目の子供として生まれる(全部で12人だそう・・・)。
Phillip が 8才になったときに一家は Texas 州 Port Arthur に移りますが Phillip が 12才になったころから父の健康が悪化し、家計は逼迫してきたようです。
そのため Phillip はそこで学校教育から「脱落」した・・・
1920年代には、母方の叔父たちはみんなバンドに参加していたようですが、1930年代には現役を離れ、それでも機会があるごとに集まっては楽器演奏を楽しんでいたらしく、さらに Clarence "Gatemouth" Brown がどうやら「親戚」だったようですねえ。
Second Cousin と phillipwalker.com では記しています。
おそらく学校に行かなく(行けなく?)なってヒマになったあたりではないかと思うのですが、次第に音楽に興味を持ちはじめ、しかしギターを買えるアテもなかったため、お馴染みの Cigar Box Guitar を自作しました。
ヒマさえあればそれを弾き、どんどん上達したもののようですねえ。
また変装したりして歳をごまかしてジューク・ジョイントやダンス・ホールにも「潜り込む」ようになり、そこで演奏している中に参加するようになったのが、まだ 15才の時だったそうで・・・
そこで知り合ったミュージシャンたちからも多くのシゲキをウケるとともに、その才能も認められるようになり、1952年には、Booted で R&B チャートを登りつめた Roscoe Gordon に認められ、そのレコーディングに参加しました。
おそらくこのあたりからではないか、と思うのですが、Lonesome Sundown との交流も生まれています。また同様に Lonnie Brooks や Long John Hunter、Ervin Charles といったミュージシャンとの交流から、彼のスタイルは醸成されていったのではないでしょうか。
続いて 1953年には Clifton Chenier が地方のクラブに出演していたときに彼を「発見」し、家族の了承を得て、ツアーに連れ出しました。
さらに Clifton Chenier の Specialty や Chess、Argo でのレコーディングに参加しています。
一方、彼自身は慢性の鼻炎に悩まされていたらしく、ツアーで立ち寄った Los Angeles では、その気候が良いのか、鼻炎の症状がかなり改善されることを知って、西海岸を住処としたい、と考えたようです。
1954年に内紛からバンドが解体した後も Clifton Chenier と二人で演奏活動を続け、これがまた彼のサイドマンとしてのスキルをさらにアップさせたのではないでしょうか。
その腕を買われて Little Richard、Etta James のバックも務めています。
1955年には Fats Domino と Little Richard、他にも Lowell FulsonPercy Mayfield といったビッグ・ネームで組んだパッケージ・ツアーに加わり、全米を巡業しました。
ただし、そのような日々はそれなりに負担も大きかったようで、1959年にはウェストコーストに舞い戻り、そこで Ina Beatrice Gilkey という女性シンガーと組んで Bea Bopp というバンドを結成し 1963年には彼女と結婚。同年 AMC レーベルに録音もしています。また Model T. Slim や Eddie Taylor などのバッキングもしていました。
1973年には彼にとって初のソロ・アルバムとなる Bottom of the Top を Playboy レーベルに録音し、ここで「開花した」と言えるかもしれません。
ヒュー・ヘフナーの気まぐれみたいなこのレーベル自体は短命で終わっているのですが、原盤は Hightone に移り、1988年に再発されています。
ところで、同じ 1973年から翌年にかけて Phillip Walker は Chicago の WNIB-FM による Atomic Mama's Wang Dang Doodle Blues Show に出演し、シカゴ周辺でもその名が知られるようになりました。それが契機となって Bruce Bromberg の Joliet レーベルに吹き込まれたのが Someday You'll Have These Blues だったのです。

Tex-Ark-ana

この Phillip Walker もまたシカゴのブルースマンとは言えず、Louisianna で生まれてテキサスからメキシコ湾岸周辺で音楽を作り上げ、そこから西海岸にも進出し、というふうに、軸足は常にアメリカの南部から西海岸の一帯ですから、普通なら Alligator との接点はありません。
ま、そこらは例の社史でもまったく触れられてはいないので、あくまでも想像でしかないのですが、もしかすると Albert Collins の Ice Pickin' の手応えから、シカゴだけではなく、ある程度、南部のブルースも用意したほうが販売戦略的には「良いのでは?」という判断があったからではないか、なんて思っておりますが、さてどうでしょ?
なんたって Alligator の次のリリースだって Lonesome SundownBeen Gone Too Long ですからねえ( AL-4716 )。
もちろん、これも Joliet レーベル に 1977年に録音していたもので、この録音には、ギターで「ちゃ〜んと」Phillip Walker も参加しております。
実はこの Been Gone Too Long、これもまたワタクシにとっては忘れ難い一枚なのよねん。
なんでか、ってえと、そう! Louisianna Lover Man が入っているから!
もともとはそんなに過激じゃないんですが、そいつをワタクシと来たら、もう「絵に描いたよな」Rocn'N'Roll スタイルにしちゃって、ギターをバリバリに弾き倒す!てな「とんでも」なアレンジでやっております。

この Lonesome Sundown の Been Gone Too Long、そしてその前の Phillip Walker の Someday You'll Have These Blues も、現在では Alligator のカタログから「落ち」、その後 Hightone Records から 1991年に一緒に再発売されています。

Back to 1963

ここまでの Alligator は基本的に、その時代のリアルタイムで輝いている、あるいは輝きを放つことになるミュージシャンを採り上げています(ま、強いて例外に近いと言えば、すでに欠番となっている Blind John Davis でしょうか?この人はやはり Bluebird 時代、という言わば「過去」の人であり、1970年代でもヨーロッパではそこそこ「ウケ」てはいましたが、世界的にはもとより、カンジンのアメリカ国内でも、さほど評価はされなかったハズ)。
そうして常に「現代」を見据えて来た Alligator でしたが、この 1979年には、ひとつのアルバムが注目されます。

Alligator AL-4717 は、これまでの Alligator ではあり得なかったスタイル、つまり Alligator が創設された年( 1971年 )にはもう既に死亡していたブルースマンの録音(それもプロ機材ではなく、またピアノもスタジオ・コンディションではない)をプレスしたものでした。
Bruce Iglauer がまだブルースに目覚めていなかったハズの 1963年の夏、Pete Welding と George Mitchell それに Mike Bloomfield は、あの Elmore James の Broom Dusters の、というか Big Maceo の・・・等々、あまりに形容する言葉が「多過ぎる(!)」名ピアニスト Little Johnny Jones のためにシカゴ・ノースサイドの、客が 50人ほどのコーヒー・ハウス、Fickle Pickle に Billy Boy Arnold も呼んで、この二人に一緒に演奏させることとなりました。
それを録音していたのが Norman Dayron で、そのモノラルのテープレコーダーに二本のマイクをカンタンにミキシングして入れたものですが、その後のテープの管理が悪かったのか、ところどころ磁性粉が剥離していたようで、ごく短いながらも音が欠落したりしている、という状態だったようです。
それでもこの二人による演奏は Alligator AL-4717、Johnny Jones With Billy Boy Arnold として発売されました。

Little Johnny Jones; 1924年11月 1日、Mississippi 州 Jackson で、教会でピアノを弾いていた、という母 Mary、そしてギタリストであり、ハープも演奏したという父 George の間に生まれています。
どうやら 6才年下の Otis Spann とも血縁関係があったらしく、ただ、First Cousin とはされていないので、「いとこ」とは言えなさそうですが。
Johnny Jones は、その家庭環境から、ピアノとハープで音楽との関わりを持ち始めたようですが、そのピアノは(最初はともかくとして)母からではなく、主に Big Maceo Merriweather から学んでいた、と言われています( Document DOCD-5214 および 5215 では彼のピアノのみならず「ハープ」も聴くことが出来ます)。
1946年にはシカゴに来て、彼にとっての「先生」Big Maceo のもとで修行にハゲむことに。また Big Maceo も Johnny Jones をとても気に入り、大事に育てたみたいで、そこらの信頼関係が後に発病して半身不随となってしまった Big Maceo を Johnny Jones がサポートする、というスタイルを生み出したのではないでしょうか。
そして Big Maceo を通じて Tampa Red とも知り合い、その録音に参加しています( 1949年 )。
しかし、なんと言っても、彼のキャリアでもっとも重要かつ華々しいのは、「あの」Elmore James の Broom Dusters のメンバーとしての活動でしょう。
なお、この Little Johnny Jones については、実に詳しい解説が江戸川スリム氏のページに載っておりますので、ゼヒご参照くださいませ。

もはや肺癌がかなり進行していた、という Little Johnny Jones ですが、共演した Billy Boy Arnold は「自分のカラダの不調なんて感じさせない、常に楽しい雰囲気を感じさせてくれた」と語っているし、Eddie Taylor も「いつも冗談を言ってまわりを笑わせてくれてた」と回想しています。

この録音の翌年、1964年11月19日、Little Johnny Jones はついに還らぬひととなったのでした。
それは、早過ぎると言われた Elmore James の 45才での死から 1年半後のこと、Little Johnny Jones は 40才になったばかりで・・・

1980
Professor!!

1980年の Alligator はこれまたシカゴ以外の「大物」で始まりました。
それはすでにローカル・レーベルや Mercury や King-Federal、Atlantic にシングルを残してはいたものの、いったんは歴史から消えかかり(?)Mike Leadbitter に再発見されて再浮上した、まさに New Orleans の名士と言ってよい Professor Longhair のアルバムです。

1979年の11月、Professor Longhair は Louisiana 州 New Orleans の Sea-Saint Studio(あら、懐かしい!あの New Orleans Jazz and Herritage Festival 1976 Earl KingMama & Papa なんて曲が、一見、いかにもライヴっぽく拍手やら歓声が「入って」いるのに、ちゃんと録音したスタジオ名がクレジットされててひっくり返ったもんでしたが、そのスタジオがこの Sea-Saint Studio なのでございます)でこのアルバム AL-4718、Crawfish Fiesta を録音しました。
これはまさに Bruce Iglauer 自身からのオファーによるものだったそうで、「これが One of the best Alligator ever released.となった」と述懐しています。
そしてこの Professor Longhair のアルバムは、まさに本人が死亡した 1980年 1月30日その日に発売されたのでした。

続いてリリースされたのは AL-4719、ふたたび Albert Collins で Frostbite です。
このアルバムには、これもまた彼を代表するような一曲となったナンバー、If You Love Me Like You Say が収録されておりました。
ただワタクシにとってはこのアルバム、別な意味で「重要」なのでございます。
それはなんでか、ってえと、そう!カンのいい方はお気づきかもしれませんが、こっから Albert Collins のベースには Johnny B. Gayden!っちゅうラインが生まれているワケなんですよねー。
かってワタクシ、大好きなベーシストとして Scott Rafalo、Larry Graham、Jack Casady の三人を挙げておりましたが、最近ではこれにプラス、この Johnny B. Gaydenを付け加えた四天王(?)てな扱いになっております。

AL-4720 となったのは Son Seals の Chicago Fire でした。
Bruce Iglauer 自身が惚れ込んでいたのでしょうか?ここまでですでに 4枚のアルバムがリリースされているワケで、22枚中 4枚、というのは「かなりな」チカラの入れようだ、と言えます。
ただし、その割には、と言っちゃあシツレイですが、ここ日本ではさほど Son Seals の声望が上がっているとは思えないんですよねー。
ま、かく言うワタクシにしたところで、あの Buddy Guy's Legends でのライヴの Don't Lie To Me なんて「スポットで」いいなあ、って曲はあるんですが、かと言ってアルバムを買うほどでもないか?てなビミョーな位置にいるんですよねー、この Son Seals って。
ただ、別にフォローするワケじゃありませんが、きっとこのひと、シカゴのクラブあたりでライヴに触れたら、かなりガッツ〜ンと来てたんじゃないか?てな気はいたしております。

さて、すでにその前半(?)の二枚を 1978年にリリースしていた、あの 7700番台のシリーズ V/A、Living Chicago Blues ですが、その IIIIV が、間に一年置いたこの 1980年にリリースされました。
それが AL-7703、Living Chicago Blues III と AL-7704、Living Chicago Blues IV です。
前者には A.C. Reed* and the Spark Plugs、Scotty and the Rib Tips、Lovie Lee with Carey Bell、Lacy Gibson、Billy Branch( the Sons of Blues!)などが、後者には Detroit Junior、Luther "Guitar Junior" Johnson、Queen Sylvia Embry、Big Leon Brooks' Blues Harp Band、Andrew Brown が収録されています。

* ─ A.C. Reed; 1926年 Missouri 州 Wardell 生まれ。16才でシカゴに出て製鉄所で働き念願のサキソフォンを質流れで購入。ビッグバンド・ジャズを目指し Chicago Conservatory of Musicに二年行く間に Gene Ammons を知り、以後、夜毎ブルースのギグに参加するように。また J.T. Brown からジャズとブルースでのサックスの違いを教わる。
戦後は Willie Mabon、Earl Hooker を経て Dennis Binder's Rhythm & Blues All Stars でもっぱら白人の聴衆を相手にするバンドも経験。
1960年代にはシカゴに戻り Age Records(?さしもの Wikipedea でも名前さえ挙っていない・・・)で Earl Hooker 「が」バッキングでシングルを吹き込み。他に Nike、USA、Cool などにもレコーディングしている。
1967年からは Buddy Guy と Junior Wells のバックとなって知名度もアップし、さらにその間にストーンズのバックとしてアフリカ&日本ツアーにも同行。


・・・つまり、彼の場合には「実力があるのに、それまではあまり知られていないブルースマン」って部類ではなく、ある意味、相当に知られてはいるけれど、まだリーダーとしての仕事の部分が知られていない、というパターンでしょうね。
ただ、申し訳ないけれど、ワタクシ個人的には、このひとのサックス、「嫌い」です。あははは

Budget!

さて 1980年の Alligator には、さらに特筆すべきことがあります。
そのひとつは、この Alligator Records 初の Special Budget Album; つまり「特別寄せ集め」アルバム、AL-9301、Blues Deluxe でした。
と言っても、「余ってた録音」やら「隠れた録音」などを発掘したワケではなく、1980年の Chicago Festival の Blues Deluxe Stage を Recording Mobile と呼ばれる録音機材一式を装備した特装車両を派遣して、ライヴ・ステージを録音したものなのです。

そこに収録されたのは・・・
The Lonnie Brooks Blues Band による Sweet Home Chicago、The Son Seals Blues Band による Don't Throw Your Love On Me So Strong、Mighty Joe Young の Need A Friend、Muddy Waters(!)の Clouds In My Heart、Koko Taylor and her Blues Machine で Hey Bartender、Willie Dixon and the Chicago Blues All Stars による Wang Dang Doodle の 6曲でした。

フェスティヴァルの「記録」的な意味合いがあったので出来たのでしょうが、当然マディや Willie Dixon、Mighty Joe Young などは「他社」の所属ミュージシャンでしたから、その許諾を必要としたようですね。

しかし、実は 1980年の Alligator では、もうひとつ、こちらこそ「特筆すべき」ってヤツじゃないか?ってえ動きがありました。
それは AL-8300番台という新たなシリーズで、その第一弾となったのは AL-8301、Black Slate でした。
と言って「おお!Black Slate!」なんて判る方もいるんでしょうが、ワタクシにはさっぱ判りません。どうやらイギリスの Reggae 系に分類されるバンドのようでございますね。
ただし、現在ではこれもカタログから「落ち」ております。

1981

そして続く 1981年にもその Black Slate の Alligator 二枚目となる AL-8302、Rasta Festival がリリースされていますが、これもまた現在ではカタログ落ち!

同じく 1981年で、その Black Slate に続いては「通常プログラム(?)」のブルース・アルバムで AL-4721、Lonnie Brooks の Turn on the Night がリリースされました。この Lonnie Brooks も、なんだか日本ではいまひとつ伸びない、っつうか、ま、いまだにシカゴっつうと Chess で、「マディを聞け!」なんて言う '50年代シカゴ・ファンダメンタリストだらけのニッポンじゃ「それ以降の新しいシカゴの音」ってのは、どうも「すべてダラクしてる!」なんてほざくのが「通」ってことになってるらしいんで、なかなか受け容れてもらえないのかもね。

さて、次はモンダイ(?)の AL-4722、Tony Mathews の Condition Blue です。
どうもウェストコースト系のブルース、てな区分になるらしいのですが、試聴してみた範囲では、まあ、こう言っちゃあなんですが、あまり「ブルース」って感じじゃないんですよねー。で、ソウルとか R&B なんてのともちょとちゃう、ん〜、強いて言えばちょい黒っぽいリズムのあるポップス、てな感じでしょか?
ま、Bruce Iglauer は「いい」と思ったからレコーディングしたんでしょね。
と言いつつも、これまたミゴトにカタログから落ちております。成仏せいよ・・・

続く AL-4723 には、かなりのビッグ・ネームが登場します。
Buddy Guy が 1979年10月31日にフランス Isabel Records のために、同国 Toulouse で録音したアルバム、Stone Crazy を獲得!
それは、あの Vanguard における A Man and the Blues 以来、久々( 14年ぶり!)の「フル・スロットルの」Buddy Guy として注目されました。
まったくツアー・バンドのままツールーズの Condorcet Studios に入った Buddy Guy は、サイド・ギターの Phillips Guy、ベースの J.W. Williams、ドラムの Ray Allison という「たった四人で」このアルバムを録音しています。
このアルバムによって Alligator のレコーディング・アーティスト(あ、厳密には Isabel 経由だから「違う」のかもしれませんが)のリストには「 Buddy Guy 」と言う名前も加わるようになったワケでございますね。

そして AL-4724 が Koko Taylor の From the Heart of the Woman で、このアルバムでは Billy Branch が Thanks, But No Thanks、Never Trust A Man の二曲に参加しています。
このアルバムの二曲目に収録された、あの Etta James の名曲、I'd Rather Go Blind は、オリジナルよりもさらにいっそう静かに重く、こってりと(?)演奏されてますが、そこらは好みが別れるところかもしれません。
あ、そうそう、ここでのキーボードは Bill Heid でございますよん。

さて 1981年の続く AL-4725 は Albert Collins and the Icebreakers の Minesota 州 Minneapolis の the Union Bar での同年 3月の 5日から 8日にかけてのライヴをレコーディング・モービルを派遣して録音した Frozen Alive でした。
この時点で the Icebreakers というバッキング・グループの名前が登場するワケですが、どうやら、さほど厳密なものでは無さそうです。
一応、この時点でのメンバーを挙げておくと、サイド・ギターには Marvin Jackson、オルガンに Allen Batts、ベースは Johnny B. Gayden、ドラムに Casey Jonesといったところで、サックスには A.C. Reed が入ってます。

合計 7 曲が収録されているのですが、ワタクシのお気に入りは、ってえと「とーぜんじゃん!」の Cold Cuts!
そう、Johnny B. Gayden のスラッピングがドたっぷりと聴ける、まるでインストナンバーかいな?っちゅう曲で、いやもう、このベース・ソロなんて何遍聴いても飽きませんねえ。
あ、でも、このアルバム自体は、例の Molten Live なんてえ「くそアルバム」よりはうんといいんですが、Ice Pickin' なんかに比べると(ワタシとしちゃね)ちょと「落ちる」かな?
ま、Caldonia もやってる!っちゅうんで期待して聴いたら以外とゆったりのんびりしててアテが外れた、なんてとこが影響してるだけ、っちゅうウワサもありますが。

次にリリースされた AL-4726 は、あの 1970年、Monterey でのライヴが有名な Johnny Otis Show・・・いえいえ、正確に言えば、Live at Monterey とはシンガーが「全とっかえ」状態だった The New Johnny Otis Show With Shuggie Otis でした。
だってその顔ぶれが Linda Dorsey、Delmar "Mighty Mouth" Evans、Vera Hamilton、Wendell D. Perry、David Pridgen、Charles Williams となってて、でなくてもベンキョー不足なワタクシには、ただの独りとして「知ってる」のがおりません!
なんたって Johnny Otis が教会でのゴスペル活動を通じて集めたシンガーらしく、それじゃ判らないのもムリないなあ・・・ってワタシには、ね。

・・・というところで、この 1981年に Alligator からリリースされた後半の三枚、昨日の Koko Taylor から、この The Johnny Otis Show までは、いづれもグラミー賞のノミネート作品となったのでした。

1982

明けて 1982年にもグラミー賞のノミネート作品は続きます。
AL-4727、Hound Dog TaylorGenuine Houserocking Music がそれ。
もちろん Hound Dog Taylor はすでにこの世のひとではないので、新録音など出来る筈はなく、実はこれ、最初に Hound Dog Taylor の、それこそ「ノン・ストップ・レコーディングで録りためたもの」から 1971年の AL-4701、Hound Dog Taylor and the HouseRockers、同じく 1973年の AL-4704、Natural Boogie としてリリースした「残り」だったのです。
なんて言うと「カス」みたいに聞こえますが、ああた、それは Hound Dog Taylor のなんたるかを知らないヒトの言うことよ。
Hound Dog Taylor のテイクはすべてカスっちゃカス、宝石っちゃ宝石!どっちだと思うかはああた次第ですがな。
ワタシゃあもちろん宝石派でございますから、このアルバムだってだ〜い好きざます。ま、配分から言って Brewer Phillipsクンの活躍する曲が増えてはおりますが、それだって The HouseRockers のサウンドですからねえ。
しょっぱなの Ain't Got Nobody からガッガ・ガッガと骨盤がスウェイするよな「腰に来る」ブーギで迫ってくれます。
ま、Kansas City も面白いし What'd I Say なんてとこもなかなか。
・・・あ、どうも Hound Dog Taylor にはつい点が甘くなっちゃいますねえ。

で、別に、それにひきかえ・・・てな文脈では決して無いのですが、ここまでそれに触れてきてますから言わせていただくってえとグラミー賞の候補に「ならなかった」のが次の Magic Slim のアルバム、AL-4728、Raw Magic でした。
サンバーストの Fender Jazzmaster、それも最後期型のネックにセル巻き、ブロック・インレイっちゅう(ワタシの嫌いなタイプのネック!)ギターで隠しきれない、すでに Slim とは言えんのじゃないか?ってえ太っ腹ぶりのジャケットが微笑ましい(か?)このアルバム、実は Buddy Guy 同様、フランス録音でございます。
ヨーロッパ・ツアーの途中でツールーズの Condorcet Studios において Isabel Records のために録音した二枚のアルバムから、Alligator が選りすぐって一枚にしたのがこのアルバムでした。

さすが Jazzmaster!と言うか、ミョーに中途半端なサステインや、飽和と歪みの中間みたいなどっちつかずな潰れ具合、なんてのが持ち味なんでしょか?
それってヴォーカルにも、ギター・プレイにも共通するようで、良くいえば「ほのぼの」、ま、見ようによっちゃあ「タルい」あるいは「詰めが甘い」てな印象も受けちゃうでしょうねえ。
「あの」Mustang Sally だって、このひとの手にかかると、やたら牧歌的な、この程度の荒馬ならたいしたことねえや、なんてスケールに感じられるところが人徳(?)でございましょう。
特に Mama, Talk To Your Daughter なんてのは、オリジナルの J.B. Lenoir はもとより、あの Magic Sam っちゅう偉大なる先達も採り上げておるだけに、モロ比較されちゃうワケで、でも、そんなのお構い無しにやっちゃうとこがまた Magic Slim ならでは、っちゅうものかもしれません。

Clifton Chenier

さて、この 1982年には Alligator にまた別な方向のビッグ・ネームが登場します。
エスニックなクレオール系の音楽と R&R、R&Bなどのエッセンスを融合させた "King of Zydeco"のアルバム、AL-4729、Clifton Chenier の I'm Here がそれです。
ただしこの録音そのものは Sonet からのリースであり、Bruce Iglauer の手は入っていません。

Clifton Chenier; 1925年 6月25日、Louisiana 州 Opelousas で小作農だった両親のもとで生まれました。
そして父もアコーディオンを演奏していたため、その教えを受けて上達したもののようです。
1944年ころには、同州 New Iberia 周辺のさとうきび農園での刈り取り作業に従事していたようですが、1947年には先に出て行っていた兄の(注:例によって「英語」では Brother とあるだけで、実際には兄か弟か判りません。ま、先に出て行ってたってことで「兄」としてるだけで、文献上で Elder という単語が発見できたワケではありません)Cleveland(後に彼のバンドのラブボード奏者となる)を頼って油田( ALLigator の資料ではその場所を Louisiana 州 Lake Charles、としていますが、同地は油田ではなく石油精製産業の都市であり、別な資料では Texas 州 Port Arthur 周辺の石油の精製施設としています)に職を求めています。
そこで彼は日中、トラックの運転手として働き、夜はラブボードでリズムをとる Cleveland と共に演奏する毎日を送ったようで、次第にそのコンビは周辺一帯に活動の場を広げていったようです。
本人が語ったところによると、Louisiana 州南西部の「ローカルな」クレオール文化などをベースとしたザディコに、近代的なリズムやアンプリファイドの手法を持ち込むにあたって Lowell Fulson から多くを学んだのだそうで、それがエスニックな枠を超えて一般にも支持されるようになったある意味、ターニング・ポイントだったのかもしれません。
1954年には Elko Records と契約、Cliston (sic) Blues / Louisiana Stomp を録音し、これがまずまずのローカル・ヒットとなり、翌1955年には Specialty に録音した 12曲の中から Ay-Tete-Fee(英語だと Hey Little Girl。オリジナルは Professor Longhair )が彼にとって初の「全国的」ヒットとなりました。
おそらくそのヒットによってだと思うのですが 1956年には Day Job を離れ、自らのバンド the Zodico( Alligator の Biography にある原文のまま)Ramblers(ギタリストとして Lonnie Brooks、Phillip Walker、Lonesome Sundown も在籍することとなる・・・)を率いてツアーに出る、というフルタイムのミュージシャンとなっています。
1957年には Specialty を離れ、Chess と契約。
ただし実際にリリースされたのは 1960年の Checker 939、Bayou Drive / My Soul の一枚のみです。
そのころ Clifton Chenier はすでに Zynn に移っており、そこでは 1960年までにシングル 13枚を残しているようですが、ヒットには結びつきませんでした。
1964年には Chris Strachwitz によって Arhoolie Records と契約することとなり、シングルの後、ここで初めて彼はアルバム・レコーディングを経験することとなります。

ただし、ここで Chris Strachwitz の望む「エスニックな」サウンドと、Clifton Chenier 自身が志向する、よりモダーンなサウンドの兼ね合いが「難航した」ようですが(結局アルバムの裏表で「分割」した!)、それはこのアルバムにとどまらず、Clifton Chenier にとって、常につきまとうディレンマとなって行ったのではないでしょうか。
こんなこと言うと叱られるかもしれませんが、ギターいっぽん弾き語り、みたいなカントリー・ブルースなんてのを好むマニア(ま、偏見かもしんないけど白人に多いよな気がすんですよねー)に「合わせ」、今この時代にアコースティック・ギターでそれっぽく渋いブルースを吹き込むなんてのも、そこらの需要と供給のカンケーかなあ?なんて思ってしまいますね。
・・・なんてことはともかく、一応このアルバムによって知名度をさらにアップさせた彼は南部諸州、それもフランス系の文化を残すカソリック圏のサーキットを巡るツアーを行い、やがてはヨーロッパにもその範囲を拡大したのでした。
その活動が Sonet への吹き込みにつながり、Alligator からリリースされたこのアルバムは翌1983年、グラミー賞を獲得しています。
1987年12月12日、かねてから腎臓を患っていた彼は永眠しました。

このアルバムではそのバッキングに、兄弟でラブボードの Cleveland Chenier、アルト・サックスで息子の C.J. Chenierも加わっています。録音は Louisiana 州 Bogalusa の Studio in the Country。

ところでこの 1982年には、またしても三枚の Reggae らしきアルバムがリリースされておるのですが、現在ではリッパにカタログ落ちもしてるこったし、ワタクシが考える「本流」からは隔たっているように思いますので、今後 Reggae 系についてはロクに調べもせず、単にそんなのがあったみたい、っちゅう記述で済ませることといたします。
その三枚とは
AL-8303 Mighty Diamonds の Indestructible
AL-8304 Edi Fitzroy の Youthman Penitentiary
AL-8305 The Abyssinians の Forward
でした。

そりゃちゃんと調べて、それぞれどうゆうバンドか、なんてのも書いたほうがいいんでしょが、なんかそうゆう副線で時間をとられるのって、あんまり好きじゃないもんで・・・
ま、ここを「熱心な」Reggae ファンが検索で見つけて訪れたら、なんだよう、名前だけかい!なんて怒るかもしんないけど。

1983

1983年は AL-4730、Albert Collins の Don't Lose Your Cool で始まりました。
このアルバムでもベースはモチロン Johnny B. Gayden で、中でも Ego Trip でのパターンっぽいベースがワタクシのお気に入り。
あ、それと今回キーボードを担当してる Chris Foreman ですが、とうぜんハモンドでの参加がメインで、Collins 好みのバックを作り上げております。でも、ワタクシにはそんな彼が華麗な(やや「華麗すぎる」?)転がりっぷり(?)を繊細に散らした ... But I Was Cool でのピアノが「来ます」ねえ。
ところで、このアルバムのライナーではやはり、このバック・バンドにも the Icebreakers の名が与えられておるのですよ。
ま、そこら、あの Elmore James と Broom Dusters みたいなもんなんでしょね。聴衆にとっちゃ、フロントのメインさえ一緒だったら、そのバックなんてどーだっていい(・・・はあんまりだけど)ワケで。
ただ、ワタクシとしましては、これまでの A.C. Reed に加え、その後、もっといい(なんて言うと語弊があるか?)バッキングをしてくれる Abb Locke のサックスが加わっているとこに注目なんですけど。
このアルバムでは( Percy Mayfield の)My Mind Is Trying To Leave Me、Melt Down、そして Ego Trip の三曲でソロを取っていますが、なんたっておヘソが曲がったとこについてそうなワタクシですから、A.C. Reed よりも「いい!」なんて言ってしまうんですねえ。
ま、結局は「好み」の問題ですから。
ワタシにゃあ A.C. Reed が合わないってだけでしょ、きっと。

続く AL-4731 は Lonnie Brooks の Hot Shot です。
ほんとこのひとのブルースってソツがなくって流れるように聴けちゃうんですが、そのぶん、あまり後に残るモノが無いってえか、テクスチュアが稀薄っちゅう気がすんですよねー。
こんなこと言うと、またひがみだろ、なんて思われそうですが(しかも当たってるし?)、声が良すぎるんじゃないのかなって気がすんですよ。
唄い方にしても洗練されてるし、そこらもな〜んにも文句はありません。
でも、そのぶん「刻みつけて」去っていく、じゃなく、こっちのココロは無傷なまま。さっ、休憩が終わったから仕事に戻るか!てな日常への復帰が「容易」なんですよねー。
・・・てなことはともかく、このアルバムでもサックスに Abb Locke が参加しています。で、ん?これって PCM のディジタル音源じゃねえか?っちゅう疑い濃厚なピアノは Ken Saydak。ま、別にいいんですけどね。
しかしっ!・・・なんてリキむのもなんですが、このアルバムでイチバン重要なのは(って、ワタシにとっては、ってことですけどねん)、アレンジャーとして、「あの」Dion Payton の名前がクレジットされてること!
って、それが言いたいがために「やや」クドクドと「のーがき」タレて来たよなもんでして。
ところで、このアルバムに収録されている Brand New Mojo Handって曲、おっ! Lightnin' のあれのリメークか?なんて思わせるよなタイトルですが、まったく、ぜ〜んぜん似ても似つかないタイプの曲ですのでそこらよろしく(?)。

で・・・と来て、ここで軽くひとつタメイキ。
つーのも、次の AL-4732 をどう「考え」たらいいもんだか悩んでいるからなんざます。
Big Twist and the Mellow Fellowsっちゅう名前からしてアヤしいじゃん?
で、聴いてみるってえと、これがまた、ん〜、特にこれと言って「イヤ」だ!なんて部分は別に無いんですが、でも、こいつらいったいドコを目指しておるのか?っちゅうコンポンテキな疑問がフツフツと・・・
この Playing for Keeps ってアルバムは、旧来の R&B のクリシェをふんだんに盛り込み、それでもってこれまでの R&B とは違う方向を模索でもしてるんでしょか?
上で名前が出て来た Dion Payton が、むしろ外部のエレメントを導入して(ま、それゆえに「こんなのブルースじゃない」とか「これじゃロックじゃん」なんて言われちゃうワケですが)All Your Affection Is Gone という唄い継がれる名曲をモノにしたのとは対照的に、この音はあくまでも「ありきたりな」、いえこう言っちゃ悪いけど、なにひとつ Inovative なものが無い、よくこなれた音楽を今日もまた、ってえヤツじゃないのかなあ。
いやまあ、この後だってアルバムは出してますから、それなりの売れ方はしてるんでしょね。
ま、そんな「冷たい」ことを言うのも、今から 44年も前に、あの STAX のスタジオで起きた奇跡をひとつのトップ・ケースとするならば、この録音は「ずいぶんと」それから隔たったシロモノだなあ、なんて無いものねだりがアタマをもたげるからかもしれません。
そしてこの 1983年ってのは、あの整形で白人になろうとするマイケルがまだ黒くて(?)Billie Jean Beat It 、そして Thriller を連発した時期だし、Princeなら Little Red Corvette 、ちょと畑はちゃうけど Herbie Hancock の Rock It が出た年ですからねえ・・・
そう考えると、この古き佳き音(?)ってのはどーなんでしょ。
ま、もっとも、この Mellow Fellows だってあっちこっちのクラブでのナマじゃあ、みんなを熱狂させてたのかもしれませんねえ。

さて、この 1983年にも Reggae(たぶん、ね・・・)のリリースが続きます。
ただし、それらはすでにカタログから落ちているものばかりではあるのですが・・・

AL-8306; Mutabaruka Check It!
AL-8307; Augustus Pablo King David's Melody
AL-8308; Pablo Moses In the Future

の三枚がリリースされております。
各アーティストの正確な紹介などは、各自、検索などしてお調べくださいませ。
なお、ここで(ワタクシの知る限りでは)Alligator 初の EP( Extended Play の略で、回転数は毎分 45、収録曲は裏表二曲あるいは四曲。この場合どちらか、ってのは記述が無いため不明。なお 33rpm のものは、たとえサイズがシングルのサイズであっても EP とは言わないので注意!)AL-501; Mutabaruka Johnny Drughead ってのもリリースされているようでございます。
そのへんの知識にはまったく欠けておるため(あ、教えてくださらなくてケッコーですよ〜っ!頼むから放っといてちょーだい!)、なにも言うことはございません。

1984

1984年も幕開けは Albert Collins でした。
AL-4730、Live in Japan です。
このアルバム自体は日本のユピテルから発売されていたもので、当然 1982年12月21日の日本ライブ( The Blues Show '82 at 九段会館)を収録したもの。

このときのメンバーは、サイド・ギターに Larry Burton、ベースはそりゃもう(?)決まってるじゃん!の Johnny B. Gayden!
ドラムはこれまたとーぜんの Casey Jones。そしてサックスは A.C. Reed でした。
某所ではこのアルバムをコリンズ・ファン必聴!としてましたが、コリンズのファンだったらどのアルバムも必聴盤(あ、Molten Live だけは、ちとどうか、と思うけど・・・)なワケで、こんな言い方は水をさすようですが、並みいるアルバム群の中で、これが真っ先に「必聴」と言えるだけのプライオリティを持つかどうかは、そのひとによるでしょう。
ま、誰もキョーミないでしょうが、ワタクシ個人としちゃあ「オルガンが無くて A.C. Reed が入ってる」っちゅう意味で、かなり順位は下がります。
やはりライヴってことなら、Alligator じゃないんでちと気がひけるんですが、pointblanc 7243 8 40658 2 9、ALBERT COLLINS and the ICEBREAKERS LIVE '92 - '93 でしょ!
・・・なんてことを言っててもしょーがありませんね。ま、この日本ライヴでも、やはり Skatin' で Johnny B. Gayden のベキバキ・ベースは楽しめます。

続いては、どっちかってえと「地味」な部類に入るかもしれないブルースマンなんですが、それを派手にもり立てようってワケでしょか?バックがまあ・・・
なんたって Sonny Terry と来たら、無条件で Brownie McGhee が「ついてくる」なんてケースが多いのでございますが、その Brownie McGhee と袂を分った Sonny Terry にギターをつけるのが、ここではなんと、ジョニー・ウィンターなんですねえ。
しかもベースもまた大物で Willie Dixon ですよ!ま、ドラムの Styve Homnick ってえのはどんなんだかちと判りませんが。
で、出来上がりはどうか、ってえと、まあ、さすが Willie Dixon の存在によるものでしょか、ジョニー・ウィンターのギターもピアノも、かなり抑制の効いた、控えめな印象で、Sonny Terry の邪魔しないようにしてる、っちゅー印象ですね。
ただ、それがアルバム自体の魅力を高めることにつながっているか?と言われると、ん〜、ちとビミョーかも・・・
ま、そこら「フォーク・ブルース」なんて形容されそうなスタイルのブルースには「冷たい」ワタクシの言うことなんで、そこらが「お好き」な方にはまた違った評価がございましょう。
で、その Sonny Terry でギター&ピアノを担当してたジョニー・ウィンターがなんとその次の AL-4735 でアルバム、Guitar Slinger を出したのでございますよ。
そのバックには、なんだか見慣れた名前がイッパイで、たとえばキーボードは Ken Syadak だし、ベースも Johnny B. Gayden、と来ればとーぜんドラムは Casey Jones!しかもホーン・セクションにしたところで、Gene Barge 以外は「あの」"Big Twist" のとこで出てきた the Mellow Fellows そのもの(あ、ひとりだけ違うけどね)。
そして Billy Branch がハープで参加!
もうどっから見ても「ブルース」っちゅう「こてこての」線を狙ったみたいですが、ちょっと息苦しい感じを受けるかも(・・・って、まったく受けないひともおられるでしょうが)。
なんつーか、あまりの真っ向勝負で、その意欲やら、ブルースへの「強い」愛情みたいなもんは確かに感じるんですが、なんだかそれがアダになって、「がんじがらめになってる」つうか、そ、「余裕」!それが無いんですよね。

彼の、ロックンロール大会になったエドガー・ウィンターやリック・デリンジャーとのライヴのあの「のびのびと」ハジケまわる遊び心、それがここではヘンにマジメ一方になっちゃったみたいなつまらなさ、かなあ?
うん、そこらがワタクシの唯一認める白人ブルース、Elvin Bishop との違いかもしれませんねえ。
ま、もっとも、このジョニー・ウィンターのファンってけっこーいるみたいですから、それなりのマーケットはある、と判断して Alligator でもリリースしたんでしょうが。
なんだかちゃうとこでも言ってますが、このひともブルースじゃなく、もっとロックに寄ったサウンドのほうが好き。
なまじ「マジ」にブルースやられちゃうと、かえってつまんないんだよねー・・・ってのはワタシだけなんでしょね、きっと。がはは!

続く AL-4736 は、またしても Fenton Robinson です。
その Nightflight は、オランダのレーベル Black Magic からのライセンシーのもとでリリースされたもの( Black Magic 9005、Blues In Progress )。
ただし録音は地元の Chicago で行われています。
事実上、Fenton Robinson のサウンドは、このあたりからすでにシカゴのクラブ・シーンにあってやや凋落し初めていたようで、それは特に黒人の若い世代の聴衆が注目し初めていた Kindsey Report などの音からすると、あまりにも「丸く」、良く言えば「オトナの」、悪く言えば「かったるい」音として支持を失って行くことになります。
時の流れは残酷やねえ。

James Cotton

みなさまもとっくにお気付きのよに、ワタクシ、そりゃもうとっても好き嫌いがハゲしく、嫌いなほーはってえと、ついぞこの日記でも採り上げたことがない!てな徹底ぶりなワケですが、それでもときどきはそのどっちゃでもないか?てな存在やら、あの Junior Wells みたく、どーも好きになれんのに、なんでかまた聴いてしまう、てなミョーなのもいたりして、さほど単純ではございません。
実は本日、登場いたします James Cotton、このひともそのライヴ・アルバム( BUDDAH 1976: Live & On the Move )はよく聴きました。
特に、当時のブルース・バンドのハープ、今(こん)ちゃんがその中のナンバーをやりたい、てなこともあって一時ヘヴィ・ローテーションだったことすらあります。
ただ、じゃあ James Cotton が好きだったのか?ってえとそこら「ちょっと」違うんですねえ。それは Matt Murphy を始めとするバッキングの一体となったファンキーなリズム、良くアレンジされた全体としてのサウンド、そのヘンに、ブルース・ブラザースに通じる面白さを感じていたからであって、むしろヴォーカルは誰でも、と言うより、もっとクリーンな声だったらなあ、てのがホントのとこだったのです。
もちろん、そのハープにしたところで、充分に「評価すべきもの」ではあるのでしょうが、ワタクシ、自分がハープを演奏できないもんでそーなんでしょうが、どうもこのひとのハープって、もちろん「嫌い」ってことはありませんが、さりとて「いいなあ・・・」とウットリしたこともありません。

ハープ業界(?)での評価とは「かなり違う」のでしょうが、ワタシが「いいなあ」と思ったハープって、「最初」が Carey Bell、「それから」Little Walter、最近では Billy Branch で、このグループが「好き!」っちゅう x軸を成し、一方 Sonny Boy Williamson や Junior Wells などの「凄えっ!」っちゅう y軸もある、と。(あと、ちょっと独特なプレゼンスで excello 系のハープやら Frank Frost なんていう、もっとユルいのもケッコー好きなんですが、なんだかハープ業界ではあまり重視されてないのかな?なんて気がしておりますが・・・)

ま、ハープに関しては掛け値なしの「門外漢」のワタクシの言うことですから、実際にハープをやっておられる方々からしたら「片腹痛い」でしょが、これが偽らざるワタクシのポジションなものでいたしかたございません。
さて、上でも出てまいりました BUDDAH での二枚組ライヴ、Live & on the Move ですが、最近の James Cotton を紹介するサイトでは、このアルバムは「さほど」重要な作品とは見なされておらぬようで、代表作の紹介からも見事に「落選」してたりしますが、ワタクシの「あやふやな」記憶では、このアルバム、当時はかなり一世を風靡したように感じておりました。
今となってはファンクに「寄り過ぎ」た、ってことで、マイナス方向へ振られちゃったんでしょか?
・・・てなことはともかく、その James Cotton の Alligator 初登場のアルバム、AL-4737、High Compression では、そのようなファンクの残り香を残しつつも、もっとトラディショナルな(?)シカゴ・スタイルへと「縮めた」感じがありますね。
やはりかってのマディとの活動などから、そういったとこを期待するファンも多い、ってことなのかも。
それに、このひとの場合、ロック・ミュージシャンとの共演やらバッキングへの参加もかなり経験していますから、逆にもう色んなこと、さんざんやり尽くしてるから、あまりこだわらない、なんてとこがあったりして・・・

ありゃりゃ〜、心ならずも、思わぬスペースを James Cotton に費やしてしまいましたねえ。
さて、続いての AL-4738 はまたまた Son Seals でございます。
この Bad Axe、ワタクシとしちゃ、ちょっとスミに置けないっちゅう作品なんですよ。と言うのも、実はこのアルバムの収録曲のうち、Cold Blood、Out of My Way、Can't Stand To See Her Cry、そして Person To Person の 4曲ではベースに Johnny B. Gayden が、そしてギターにはまもなく CD と DVD のリリースが予定されている Carlos Johnson が参加している!からなのよねー。
しかも、もひとつ、I Can Count On My Blues じゃ、Billy Branch もハープで参加しとります!
もちろん Carlos Johnson はこれが Alligator への初登場ですね。
いやあ、Cold Blood なんかもなかなかいいですよー!
え?Person To Person?え〜と、それはその、なんだ、まあ好きずきっちゅうか・・・
ワタシだったら Screamin' Jay Hawkins のほーがいいと思うけどなあ・・・って、それと比べるのだけはヤメてくれ!なんて言われそうですね。ぎゃははは

ついでに(?)残り二枚の 1984年の Alligator のアルバムは、その 8300番台のシリアルで判るように、Reggae でしょ、きっと(と、聴いてもいないんでムセキニンですけど)
AL-8309; the Skatelites Scattered Lights
AL-8310; V/A Rockers All-Star Explosion
でございました。

1985

1985年の Alligator Records はひとつの節目を迎えます。
1971年に Bruce Iglauer のアパートを「本社」として発足した Alligator は 1975年には彼自身の住まいを兼ねた一戸建てに移転しておりましたが、それがこの年、ついに「本社」を近くの別なビルに「独立」させたのでした。
この時点ではフルタイムの正規従業員はたった 7名で、宣伝広告、プロデュース、配送から場合によっては所属アーティストのプロモーションまでもこなしていたようです。
そんなふうに会社を新たな場所に移転させたってのは、それだけ、次第にその製品が「売れる」ようになって来たということなのでしょうが、案外、それを支えていたのは、ワタクシにはあまり興味の持てない一連の「ブルース以外の」ものだったのかもしれません。
この 1985年には、Alligator はこれまでにない動きをします。
それは AL-4739 として登場した、このロニー・マックのアルバム、Lonnie Mack with Stevie Ray Vaughan: Strike Like Lightning から始まりました。
・・・なんて書くと、「おいおい、その前にジョニー・ウィンターがあったじゃねえか!」なんて言われそうですが、ま、ワタクシの「つまらない」こだわりとしちゃあ、このロニー・マックは「ブルースっぽいけど」れっきとした「ロック」のアルバムであり、そこら、ロックじゃなく、「ブルース」にしちゃったジョニー・ウィンターのアルバムには「あまり感心しない」からなのでございます。

その V字形の谷間に金属製の橋を渡し、それをテイルピース代わりにビグスビーのフリップ・タイプのトレモロ・ユニットをムリヤリ装着した「イミ判んな?い!」っちゅう Gibson Flying V がトレードマークらしい 1941年生まれの「白人の」ロニー・マックはワタクシ、「まったく」知りませんでしたが、Freddie King や James Brown とも共演したことがあるんだそうで。
また S.R.V.とも交流があったらしく、Alligator からこの録音の話があったときにさっそく参加してくれるように頼んだみたいです。
その効果もあってか、このアルバムはインデペンデント系としては画期的な売り上げをマークし、数々の評で「 1985年のベスト・アルバム」の称賛を受けることとなりました。
これと、この後に出てくるロイ・ブキャナンによって、それまではブルース・フィールドで「だけ」名を知られていた Alligator というレーベルが、これまではあまり縁が無かったロックのファンや、ロック専門の FM ステーション、また雑誌媒体などの広範囲なマスコミにも認知されるようになり、それが販路を拡大する際の「助け」になったことは「当然」のことで、そのような戦略的な意味合いから、この「変節」をポジティヴに捉える必要がある、と考えています。

もちろん、そのようなロックあるいはポップスへの「すり寄り」をキョヒし、孤高の境地を死守するレーベルもあるでしょうし、その「強固な姿勢」故に評価されているケースもあるようですが、でもねえ、逆にそのようなレーベルじゃ「トラディショナル!」っちゅうスタイルに固執するあまり、マニア受けする作品を、というバイアスがかかり、ある意味、すでに「伝統芸」でしかないものを再演させているだけ、のようなプロデュースやら、実際には現実とは遊離してしまっているにもかかわらず、「これがブルースだ!」みたいな一種の詐術で売っていたりするとこもあるよな気がすんだけどなあ。
・・・なんてことを書くと支障があるかな?ぐふっ。

で、上でも名前が出てきたロイ・ブキャナンの前に Koko Taylor のアルバム AL-4740、Queen of the Blues がリリースされています。
このアルバムの特徴は、Alligator の所属ミュージシャンが大挙してレコーディング・セッションに参加していることで、録音を行っていた Chicago の Streetville Studios には Albert Collins、Abb Locke、Lonnie Brooks、James Cotton、Son Seals といった錚々たる顔ぶれが出入りしております。
で、ベースは全曲 Johnny B. Gayden!

そして次の AL-4741 がロイ・ブキャナンの When A Guitar Plays the Blues でした。
それまでにそこそこのキャリアもあったロイ・ブキャナンですが、彼自身の「思うがまま」、やりたいことを好きなだけやらしてくれた、初めてのアルバム、というふうに Alligator の Biography では書いています。
と同時に、初めての「ブルースのアルバム」とも記されておりますが、まあ、それは「ロイ・ブキャナンが考えるブルース」という意味でしょ。
てなことはともかく、このアルバムはファンにはウケがよろしかったようで、発売されるやチャート入りし、実に 13 週間も居残り続けたのだそうですから。
確かに、世の「ギター好き」にはかなり好評だったようで、一部には「神様」のように崇め奉る層まで出現していたよな記憶があります。
ただし、このアルバム全体を通していえることは、やはり「ギターが主役である」ということ。
そりゃ Otis Clay( A Nickel and A Nail )や Gloria Hardiman( Why Don't You Want Me )がヴォーカルで参加した曲などでは、上質のソウルにも近い味わいがあるのですが、やはり「歌」よりも「ギター」のアルバムです。

もちろん、それが戦略的に間違っていなかったからこそ「ちゃ〜んと」ヒットして、そのおかげで Alligator だってぐんと知名度を上げたワケですから、「経営基盤が安定する=もっとブルースのアルバムもリリース出来る」ってえ「良い」結果となった、と。

ロイ・ブキャナンの AL-4741、When A Guitar Plays the Blues に続いたのは、ふたたびジョニー・ウィンターで、AL-4742、Serious Business でした。
Steinburger らしきヘッドレス・ギターを構えたジャケットは、Firebird で慣れた目にはちょと違和感がありますねえ。もちろん、ダメってことはありませんが。
このアルバムではリズム・セクションに Johnny B. Gayden と Casey Jones が投入され、ボトムを固めています。
ま、ご本人のヴォーカルが、なんだかちょっとリキみ過ぎ、って感じで、聴いてるとだんだん「息苦しい(あ、ここはゼヒとも、いまは亡き桂 枝雀師匠の「夏の医者」のあの口調で・・・)」てな気分になって来て・・・

続く AL-4743 は Real Blues に戻り、Albert Collins、Johnny Copeland、そして Robert Cray っちゅう三人の共演、SHOWDOWN! でした。
ジャケットでは三人が三様のギターを構えている写真が使われておるのですが、もちろん Albert Collins は「例の」テレキャスターだし、 Robert Cray はストラト。
でも、なんと言ってもここでの注目は Johnny Copeland で、それは、おお!ビンたれの味方(?)、あのミシシッピー・クロニクルズでも確か登場していた偉大なる安物ギター、Peavey ではあ〜りませんかっ!
そうそう、まだ「売れてない」ブルースマンは 355 どころか、335 だってなかなか買えない、っちゅーのが現実らしいですからねえ。Gibson なんて・・・

てなことはともかく、なんたってこのアルバムでは「あの」Black Cat Bone がいいですねえ。
最初の 2 コーラスを唄った Johnny Copeland のヴォーカルもいいし、Albert Collins に続いてとる 2 コーラス目のギター・ソロも、おお、これが Peavey の音か!てな感慨もひとしお(って、そんなのはワタシだけなんでしょが)でございます。
ま、他に、ワタクシがこの曲を特に「気に入ってる」ワケは、あんまり好きになれない Robert Cray が「存在してない」せいでもあるのでございますが。
ま、別に Robert Cray にこれと言ってウラミがあるワケじゃないんですが、あれ、なんの映像だったのかなあ・・・ Robert Cray がストラトを抱えて弾いてるとこを見たときに、そのギターの「持ち方」が気に喰わなかったのでございます。
え〜?そんなことで?バッカみたい!と言われることでしょうが、ワタクシ、そゆ変なとこにこだわるんですねえ。
同じよに、その持ち方で、あ。ダメだこいつ!と思ったのは他にリヴィング・カラーとかゆうとこのヴァーノン・リードたらいうギタリスト。
ただし、ワタシのいう「ダメ」ってのは、ギタリストとして、あるいはミュージシャンとして、はたまたブルースマンとして「ダメだ!」ってワケじゃなく、偏屈なワタクシとは「逸りが合わない」ってだけのこってすから、みなさまはもっと寛いココロで音楽を楽しんでくださいませ。

あ、そう言った舌の根も乾かないうちにナンですが、Johnny Copeland はインタビューで、ホントは Clarence "Gatemouth" Brown に Albert Collins、そして Johnny Copeland の共演で、というのが話の始まりだったのだが、なんたってそこはクソじ・・・うっぷす、お、大物、諸条件が折り合わず、Gatemouth が「降りてしまった」ため、やむなく Robert Cray が呼ばれたのだ、と・・・(ついでながら、「憧れの」Clarence "Gatemouth" Brown とは Verve 移籍後のアルバム、Catch Up With the Blues でミゴト共演を果たすことができたそうで、めでたしめでたし・・・)
この SHOWDOWN!、バッキングは「もちろん」の Johnny B. Gayden、Casey Jones のコンビに、オルガンが Allen Batts っちゅう布陣でございます。

変わって AL-4744 はワタシは好きなんですが、世間的にはさほど通用してないのか、あまり名前を聞くことがない Jimmy JohnsonBar Room Preacher でございます。
でも、実は自社制作ではなく、これまた「おフランス」のレーベル Black & Blue のために、パリの Sysmo Studios で録音され、Blue Phoenix BP 33.720、Heap See としてリリースされたものでした。
Alligator が付したクレジットを信じれば、カヴァー・デザインは Alligator でやり直したらしいので、オリジナルのジャケットはデザインが違っていた可能性があります(本来のオリジナルと同じ「かもしれない」Black & Blue からの 2002年再発の CD では、なんでか鉄道の駅構内と思われる情景をバックに 335 を弾く Jimmy Johnson のモノクローム写真が採用されています。ま、たぶんこれがオリジナルじゃないか、とは思うんですが・・・)。
ただ、じゃそのオリジナルっつうか、最初の Blue Phoenix盤 Heap See は「いつ」リリースされたのか?ってことでは、あちこちのサイトで記述が入り乱れ、あるとこじゃあ 1983年、またあるとこじゃあ 1987年(それじゃあ Alligator よりも後、ってことになっちまう?)と、多少の混乱がみられます。
もっともその Black & Blue レコードの Blue Phoenix レーベルを Alligator ではタイトルも変えてリリースしたワケですが、それを 1983年、としている資料も多く、なにやらかなり「混同」されているようで、「たぶん」フランスでは 1983年、そして Alligator からは 1985年!ってのが「信頼できそう」。かな?

1985年にリリースされた残り三枚は、いづれも現在はカタログから落とされている、おそらく Reggae?っちゅうアルバムが並んでおります。
しかしまあ、Alligator も、もうお前らに用は無い、みたいに一切「抹消」しちゃわないで、せめて、いったいどんなバンドで、どんな音楽をやってたのか?ぐらいは記録に残しといてくれてもよさそなもんだよねえ。
AL-8311; Pablo Moses Tension
AL-8312; V/A High Times All-Star Explosion
AL-8313; Joe Higgs Triumph!

ま、もっとも、これらの 8300 番台シリーズってのが、どっかの(ってのもシツレーだけど)マイナー・レーベルとの「時限」契約だったのかもしれませんけどね。
ま、そんなこと、よく調べもせんで軽々に決めつけちゃいけませんね。
おっと、よけいなことは言わんとこ・・・って、ん?どっかでよく目にしたフレーズだなあ。どこだっけ?
ところで、Alligator って、ブルース系では、アンソロジー、いわゆる V/A じゃ、通常の 4700 番台シリーズとは別に 7700 番台や、フェスティヴァルを収録した 9301 のようにシリアルを別立てにするんですが、この 8300 番台では 8310 にしろ 8312 にしろ V/A でも同じシリアルに組み込んでいます。

1986

・・・と、一見システマチックに振られてきたようにみえるシリアルが混乱する(?)のが翌1986年の AL-101、Genuine Houserockin' Music I でしょう。
ま、そこらへんの理由を推察するに、これまでの V/A は、テーマを持って、明らかにそのアンソロジーのために録音されたもので構成されているのに対し、この AL-101 では、ぜ〜んぶ、既存のアルバムからの「寄せ集め」、それもブルースだけじゃなく( Reggae こそ入ってないけど)「ミソもクソも一緒」てな、あからさまに「販売促進」をその第一目標にしたよな構成ですから、そこら一緒に 7700 番台にするワケにはいかん!てな矜持があったのやもしれませんねえ。
これは Alligator なりのスジの通し方だったのかも・・・

その AL-101、収録されているのは Koko Taylor、Albert Collins、Son Seals、Lonnie Brooks、Fenton Robinson、Jimmy Johnson、James Cotton に Hound Dog Taylor っちゅう顔ぶれの他に、ロニー・マック、ジョニー・ウィンター、ロイ・ブキャナンっちゅう白人ミュージシャン。
結局そのどれも、既に発売されているそれぞれのアルバムに入っている曲ばかりですから、(ま、そんなひとは滅多にいないでしょが)Alligator の全アルバムを買ってたよなひとは、これ買うと「全ダブ」になるワケですね。

1986年の通常シリーズ(?)のリリースは、AL-4745、なんと Clarence "Gatemouth" Brown の Pressure Cooker で幕を開けました。
とは言っても、これ、あの Buddy Guy 同様、実は「おフランス」の Black & Blue からのソースで、しかも実にリリース時から 13年も遡る 1973年の 3月から 8月にかけてパリの Barclay Studios および Buddy Guy 同様、ツールーズの Condorcet Studios で録音されたものでした。
だもんだから、まあ、その声の若いこと!まだ 49才のときの録音ですからねえ。
Jay McShann、Arnett Cobb、Milt Buckner なんていうジャズのミュージシャンをメインとするバッキングですから、とーぜんジャズっぽくなるワケでして、Ain't Nobody Here But Us Chicken なんて、なかなか「聴かせる」出来にはなっております。
ギターだって弾きまくってるしね。

続く AL-4746 は James Cotton の Live From Chicago - Mr. Superharp Himself です。
このアルバムはそのタイトルからも判るようにライヴ・レコーディングによるもので、場所はシカゴの Biddy Mulligan's、同年 2月の 1日から 3日にかけて録音されています。
ここで「ちょっとだけ」触れておくとすれば、後に AL-7707、THE NEW BLUEBLOODS にも収録されることとなる、ギターの Michael Coleman がバックのバンドリーダーとなってる、ってことかな?

次の AL-4747 はまたロイ・ブキャナンで Dancing on the Edge。ヴォーカルで Delbert McClinton、リズム( Alligator ではそうクレジットしてる)ギターに the Kinsey Report の Donald Kinsey!
AL-4748 はジョニー・ウィンターで 3rd Degree。こちらは相変わらず Johnny B. Gayden と Casey Jones がバック。
そして AL-4749 は Lil' Ed and the Blues Imperials の Roughhousin' が登場です。
そりゃ Hound Dog Taylor ほどではないにせよ、この Lil' Ed も Bruce Iglauer を大いに感心させたらしく、その最初のレコーディングはちょっとしたエピソードとして記されています。
この年の(注; Alligator のサイトではそれを 1988年としていますが、それじゃ「 1986年にリリース出来るワケはない」ので明らかに誤植でしょう)1月24日の夜、後に THE NEW BLUEBLOODS となるアンソロジーの制作のために新進あるいは若手ミュージシャンが Streetville Studios の第二スタジオ(ここでいう「スタジオ」は個別の「録音室」で、一方 Streetville Studios の Studios はそのような録音室を何室も持つ集合スタジオの意味で、なかにはミュージシャン用のアイソレーション・ブースを持たないトラックダウン専用室や、ナレーション専用ブースを持った小スタジオなどもある)に集合し、Lil' Ed とそのバンドは緊張しつつ、自分たちの番を待っていました。
やがて前のバンドの「録り」が終わって、彼らの番になり、なんたって録音スタジオに入るのが初めて、という連中でしたから、ちょっともたつきはしたものの、いざ音を出し始めたら、もう凄いノリノリで、スグに 5 曲がものになった!
そこで、こりゃもっとイケる!と判断した Bruce Iglauer は「どうだ?このままアルバムを録っちゃわないか?」ともちかけます。
午後 8時から午後 11時半まで「ノンストップ」で録り続け、もちろん、そこから生まれたのがこのアルバムだった、っちゅうワケ!もちろんその録音中、コントロール・ルーム側では Bruce Iglauer が彼らの演奏に合せて踊っていた!

Year of
Rock'n'Roll?

ところで、1986年ってのは、今更ながらって気がしないでもないですが、栄光の殿堂シリーズ(?)にロックンロールってのが出来て、ま、当然(?)かもってえ感じの顔ぶれが「殿堂入り」を果たしています。
いかにも、な Elvis Presley をはじめ Chuck Berry、Little Richard、Buddy Holly、Jerry Lee Lewis、The Everly Brothers、James Brown(!)、Ray Charles、Sam Cooke、Fats Domino、そして SUN の Sam Phillips・・・

という前フリがあって、さて Alligator の次のアルバムはってえと、また(?)ロニー・マックで Second Sight; AL-4750。
このアルバムの二曲目のタイトルが Rock And Roll Bones っていうんですが、聴くと「どこがロックンロール?」てな肩すかしを喰らいます。
ま、そこら「遺骨」なんでしょか、Bonesって?
ある友人はこのアルバム全体を評して「かったるい」と言っておりましたが、まあねー、ワタクシも「いや、これはだねキミ」なんて反論する気にもなれん、てなとこでしょか。
ブルースでもないし(あ、ブルースっぽい、とは言えるでしょが)、かと言ってロックとしてもプレゼンスが無い、てなこの手のポジションにいるミュージシャンって、ハンパにブルースを齧ってるよなロック・ファンからは「ブルース」と思われて、そこそこ支持もされてるんでしょが、「ちゃう」からね!
だから?と訊かれるとなんなんですけど、このアルバムのプロデュースには Bruce Iglauer が「まったく」参加しておりません・・・

続く AL-4751、Lonnie Brooks の Wound Up Tight ではめでたく(?)プロデュース席に Bruce Iglauer が復活いたします。
もちろん、そのことと直接カンケーあるかどうかは「?」ですが、その一曲目 Got Lucky Last Night じゃ、少し軽めながら、まさに「ろけんろー」でご機嫌伺いですねえ(もう一曲、 Musta' Been Dreamin' なんてのも、ちょっとカール・パーキンスみたいな感じで、初期の音スカスカな「ろけんろー」っぽい?)。
まこと、そこらが対照的で・・・あ、かと言って、このアルバム、全編がそんなワケじゃもちろんなくて、スローあり、ブーギあり、のまとも(でもないか・・・ End of the Rope なんて、あの Rainy Night In Georgia あたりの線を狙ったっちゅう感じだしね)なアルバムになっております。
ただ、アルバム・タイトル曲の Wound Up Tight なんて、ステディなブーギでエレクトリック・スライドが絡んでくるんですが、確かにそのあたりの「音作り」にはかなりロック色が強いかも。
そこら、このひとの場合だと、ロックに色目つかってる、なんて言われそうなんだけど、次のひとは別な意味で対照的だよねー。
確かに音的にはバリバリのバキュ〜ン(?)だけど、そしてある種のロックよりよっぽど「攻撃的」で、かつプレゼンスもあるけど、でも骨の髄までブルース(あ、異論がおありの方もいるでしょけどね)っちゅう存在・・・

AL-4752 は Albert Collins の Cold Snap!!
「血をみるど!」でお馴染み(?)の Cash Talkin' で「ついに」Johnny B. Gayden のスラッピングが炸裂!
そしてなにより重要なのは、このアルバムでは Albert Collins 本人が「だ〜い好き」なハモンドの Jimmy McGriff が参加してる、ってこと。
もっともそれは全曲ってワケじゃなく、Bending Like A Willow Tree、I Ain't Drunk、Too Many Dirty Dishes では Allen Batts ですけど。
また、サイド・ギターは Mel Brown、そしてドラムは Casey Jones から Morris Jennings に。
ま、なんと言ってもこのアルバムじゃ Lights Are On But Nobody's Home やら、みんなでツイキューが笑わせてくれる I Ain't Drunk、さらに Too Many Dirty Dishes なんてえ名曲が大放出されて(しかも Johnny B. Gayden ファンのワタシみたいなのには前述の Cash Talkin' なんて「たまらん」曲もありぃの!)、あの Honey Hush だけでも買う価値がある!っちゅう、ホームラン一発で一挙 4 点!みたいな AL-4713、Ice Pickin' とは対照的に、大小のヒットで得点を重ねた、みたいなアルバムで、これまた Collins マニア(?)にはたまりまへん。

さて次は?となると、ありゃりゃ〜? AL-3901?またアヤしいシリアルが登場ですねえ・・・と思ったら、ドクター・ジョンですよ。しかもこの Gumbo っての、1972年に Atco→Atlantic でリリースした P-8256A じゃん!・・・と思ったら、これも現在はカタログ落ちなのねん?
続くデルバート・マクリントンも今ではカタログ落ちしてて(ダマされて買ったドクター・ジョンはアナログ・ディスクの棚の隅でまだ生きながらえておったので現物でチェックできたけど)よー判りません。
たぶんロイ・ブキャナンのアルバムでヴォーカルをとったあたりで Alligator が認めたんじゃないか、と思うんですが、他社からのリースとかじゃなさそうなんだけど廃盤って・・・?
おっと、シリアルを記すの忘れてましたね。AL-3902Honky Tonkin' でございます。で、カンケーないけど、それをもろパクったんじゃあ?ってタイトル、Honky Tonk 'n' Blues ってえアルバムも(他社から)出してたハズ。

1987

1987年という年は、ワタクシが考えるに Alligator にとっても「ブルースそのもの」にとっても重要な音群が「浮上した」年だったのではないでしょうか。

それは、およそ 1980年代に入ってから地元のクラブ・シーンなどでは頭角を表して来ていたものの、全国的にはほとんど無名の、しかし才能に溢れた新しい世代のブルースマンたちを Bruce Iglauer のプロデュースで「集めた」ある種、先駆的・冒険的とも言えるアンソロジー、AL-7707 THE NEW BLUEBLOODS でした。
そして当然ながら、そこに収録されているのは、すべて黒人がフロントをとるテイクのみ!
ホント、当たり前のことだけど、そこらにだらしない「自称ブルースファン」におもねって白人ミュージシャンなんぞを混ぜたりしなかったのはエラいっ!

あ、でも、なによりもこのアルバムで特筆に値いするのは Dion Payton のヒット、All Your Affection Is Gone の存在でしょう。
およそ 1950年代、あるいは 1960年代のシカゴ・ブルースを「神聖視」し、マディの悪口こくバカものには徹底的に聖戦をしかける C.B.F.=シカゴ・ブルース・ファンダメンタリストのみなさまには「ゼッタイ!」に認められることはないでしょうが、「現実のシカゴ」では、特に若い世代のブルースファンに熱狂的に支持され、Michael Burks などによっても採り上げられるなど、ある意味、1980年代後半以降のシカゴのライヴ・シーンを席巻する「音」となって行きます。
まあ、特にここ日本では「シカゴ」と言うと「チェス!」ってえ声が返ってくる、っちゅう「常識」が出来ておりますから、この All Your Affection Is Gone が「まともに」認められるワケなぞなく、「これじゃロックだ!」なんて反応がほとんどだったようで・・・
ただ、この Dion Payton、これだけの才能がありながら、ナゼかいまだにソロ・アルバムは一枚も無いんですねえ。
もしかすっと、意外と気難しくて、どこも条件が折り合わなかったりなんかして・・・?
もちろん、別に引退しちゃったワケじゃなく、現に 2005年の Iowa 州 Sioux City で行われたフェスティヴァル、Saturday in the Park では Dion Payton and the 43rd Street Blues Band が出演しております。おそらく、ここでも All Your Affection Is Gone の「あの」音が鳴り出した瞬間、場内は「沸騰」したことでございましょう。

・・・と、アルバムの収録順を無視してトバしちゃいましたねえ。いかんいかん、え〜と、それではひとつっつ。
まず最初は、Albert King のバッキングからレゲエのピーター・トッシュ、そしてボブ・マーリィのバックも経験した「武者修行(?)」を活かし、独自の表現力を獲得した Donald Kinsey が率いる the Kinsey Report。
Kenneth Kinsey のシンコペート気味のベースからしてファンク系の「喰い方」とは違った、むしろロック寄りなテイストがありますが、ギターの「飛び」具合じゃやはり Dion Payton には負けてますねえ。

続いての Valerie Wellington は直前の 1984年にすでに Million Dollar $ecret をリリースして、もはやある程度は知られておりましたから、「ただの」新人とは言えないのではございますが、なんたって、ここでのピアノがあのアリヨ、有吉須美人で、しかもベースも Nick Charles ですからねえ。ま、地域限定ネタとは言え(?)青森では二年続けてフェスティヴァルに来た二人が入っとるワケで。
あ、Valerie の歌だって(ウマ過ぎるけど)なかなかいいですよ。
日本にも来ていますし、1992年にはアルバム Life In The Big City をリリース。またこの年には TVショウ Blues Goin' On にも出演、その時の録画は Oprah Winfrey's Harpoという媒体が保有しているらしいのですが、そのサプライ面は不明です。
そして 1993年(一部のサイトで 1991年に死亡、としてるのを見かけましたが、じゃあ Blues Goin' Onに出てたのは「亡霊」?) 1月 2日、Illinois州 Maywoodで、脳動脈瘤破裂に伴う「くも膜下出血」で、わずか 33才の若さで急死してしまった悲劇のヒロイン・・・

そして「待ってました!」の Dion Payton!あのアタマの音を聴いただけで、もう自分のカラダの生体活性がアップしちゃうよな、このワクワク感!いやもう、この住宅事情の悪い日本ではなかなか難しいかとは思いますが、出来ることなら、お宅のオーディオが許す限りの大音量で(!)こいつの洗礼を浴びてくだされ。

次ぎの The Sons of Blues / Chi-Town Hustlers ですが、ここでの The Sons of Blues は名前は一緒でも、二年連続で青森に来た「現在の」S.O.B.とはメンバーが異なり、ギターが Carl Weathersby 時代のものです。
Sons of Blues 自体の起源を辿ると、1977年の Berlin Jazz Festivalに 、Jim O'Nealが委任されてブルースの若手を送り出すことになり、13人のメンバー( James Kinds、Dead Eye Norris、Bombay Carter、Harmonica Hinds、Vernon Harrington なども含む)が選出されたのですが、その中から、自然に Freddie Dixonをベースに、そしてギターについては Jim O'Nealの薦めで Lurrie Bell、そしてドラマーには Clifton Jamesの息子、Garland Whitesideを据えてでスタートした、このユニットこそが The Sons of Bluesの出発点だったようです(ただし、その後ドラムが Jeff Ruffinに替わっております)。
つまり Billy Branch以外はみな、ブルースマンの息子だったため、Sons of Blues と称することになった、と。
アメリカに帰ってきてからは小規模なギグをこなし始めたようですが、そのさなかに Lurrie Bellがバンドを去り、急遽 John Watkins をギターに据え、また Johnny B. Moore も一時いっしょにやってたこともあったようです。
John Watkinsもまたやがてバンドを去り( because he was a leader himself.─ by Billy )メンバーはいくつかの変遷を経て行くことになるのですが、ギターの Carlos Johnson が抜けた後に Carl Wearhersby が入った時点でこの録音が行われています。
この録音では J. W. Wilkinsの Chi-Town Hustlers と Sons of Blues の合体(?)で収録されておりますが、ここでのヴォーカルは J. W. Wilkins で Billy Branch ではありません。

かわっては Professor's Blues Review Featuring Gloria Hardiman ですが、実は、このアルバム THE NEW BLUEBLOODS 中、最も良くリクエストされた曲らしいんですねえ。
実際、この Meet Me With Your Black Drawers On は 1987年のトップ 40に入っているのですから、これはなかなかの健闘、と言えるでしょう。
Gloria Hardiman はゴスペル出身シンガーらしいのですが、彼女のヴォーカルがまた、クール&ドライでキレのいいこと!
この一瞬、Fever の Peggy Lee を思い出させるよな、粘着性の少ない突き放すよな距離感、ただもんじゃありません。
いったんバンドを作ったのが内紛から解散し、しばらくセンプクしてたのが、また活動を開始した、とかいうウワサもあるので今後が楽しみです。
ところで、この Professor's Blues Review ってのは、教会の牧師の息子として生まれ、クラブで演奏をするようになるまでは教会で伴奏をしてたという Professor Eddie Lusk が率いるバンド名で、ここでは Gloria Hardiman ですが、後に Delmark に入れたアルバムでは Karen Carroll をヴォーカリストとして採用しています。ただ、1992年に亡くなってるんですよね、この Professor・・・


NEW BLLOD

続いては The Sons of Blues のところでも触れた John Watkins です。
彼のヴォーカルとギターをメインに、もうひとりのギターは彼の叔父さんでもある Jimmy Johnson
ピアノは St. James Bryant、ベースが Larry Exum、ドラム Fred Grady。
John Watkinsの資料ですが、いまのとこ、めぼしいものには出会っておりません。
これも Alligatorの The New Bluebloodsのライナーによれば、サウスサイドの(いまはなき) Theresa's Loungeの「影」の中からミュージック・シーンに登場して来たのが 33才の時で、それまで Theresa's Loungeのハウス・バンドに所属していたようですが、1973年には Willie Dixonのギタリストとして、以後 7年間を勤めたそうですから、John Watkins と Billy Branch は「同時に」 Willie Dixonのバンドに在籍してた期間があるんじゃないでしょか?それが彼の S.O.B.入りにつながったんでしょね。
1984年にはフランス・ツアー中に例の Black & Blue にレコーディングし Blue Phoenix レーベルから Here I Am というアルバムもリリースしています。

で、John Watkins さんですが、実は1991年に来日しているんですよ。
ルイス・マイヤース&ニュー・エイシズという怪しいバンドで。

「オレはブルースを演奏するけど、一つのスタイルに押し込めて欲しくないね」
「いつもヴァーサタイルでありたい」
と申しておりました。

1953年シカゴ生まれ。
ドラマーとしてスタートしたけど、そのドラムは「なんとか・ユース・ファウンデーション・センター」とか言うところで学んだそうです。
とにかく、ブラック・コミュニティで子供達にポジティブな活動を奨励している団体です。
その時、James Brownのバックを務めたって自慢してたっけ。

というのは、江戸川スリムさまから寄せられた情報でございます。
Alligator の資料では、1980年代末に Detroit に移り、ギターを置いて Day job に就いた・・・となっておりますが、ちゃんと 1991年には「ミュージシャンとして」来日してるとこみると、まだヤル気はあるのかも・・・

Michael Coleman は、ま、強いて言えば、他の New Age(?) Bluesに比べると、なんだか本質的なとこで「オールド・スクール」っぽい、っちゅうか、それこそ James Cotton のあのライヴが当時持ってた「新しさ」みたいなものがそのまま残ってるよな、つまり、あまり年代で語るのは好きではないのですが、'70年代サウンドと '80年代サウンドの違いっつうか・・・
そりゃ、さすが James Cottonのバックにいただけあって、とても完成度は高いし、アレンジのツボも心得てるって感じはするのですが、それが逆に、そっからハミ出しちゃってる(?) Dion Payton やら Kinsey Report なんかとは根本的に違う、いまひとつ「破壊的な(?)」魅力に欠ける、なんて言ったら「酷」でしょか?
ギターもヴォーカルも、相当なスキルに裏打ちされた、文句のつけようがない仕上がりを見せているのですが、なんだか、それがこのアルバム全体として見た場合、彼をいまひとつ埋没させてしまっている原因なのではないか?てなふうに感じてしまいます。
つまり、キツいことを言うようですが、「言いたいこと」が、持っているスキルを上回っている、というある種のアンバランスな状態のみが持ち得るパワーってものが、彼のこの曲には「欠けている」と言うのでしょうか、なにかいまひとつ「溢れ出してくるもの」が無い、と。
もちろん、それは、前述の Dion Paytonなどの音の後で聴くから、ってのが大きいワケで、おそらく Alligatorじゃなく、2000年に吹き込んだ Delmarkの Do Your Thing! あたりを聴くとまた違ってくるのかもしれませんね。
彼の凄い来歴─1956年、Chicagoのウエストサイドで生まれ、父が Junior Parker のバックでドラムを叩いていたそうで、8才ですでにギターを弾き、11才のときには Johnny Christian をヴォーカルに据えてバンド活動を開始。1979年からは James Cottonのバンドに参加して Alligator でのアルバム二枚に付き合い、さらに Junior Wells や Carey Bell、さらに Billy Branch や(って、ここまで全部ハーピストなんですねえ)Syl Johnson とも共演し、特に Syl Johnson についてはその 1982年のヒット、Ms. Fine Brown Frame でもバッキングを務めているよう ─ なんてとこからしても、やはりメイン・ストリーム(というか、やはり「オールド・スクール」か?)どっぷりのブルースマンってことは言えるようです。
その後何度かのヨーロッパ・ツアーの際に、録音されたアルバムもあるようですが、2000年には Delmark でアルバムを残しています。

さて次の Maurice John Vaughn ですが、ちょっと面白い存在と言えるかもしれません。
つまり、ヴォーカル、ギター(まあ、ここまでは当たり前・・・)の他に「サックス・プレイヤー」でもある!んですねえ。ですからそのへんの多彩さは Lucky Peterson あたりとも共通してるのかもしれません。
このひともまたシカゴ生まれ( 1952年)で、サウスサイドの Juliet Low grade school に在学している時に、ドラム、ギター、そしてクラリネットを演奏し始め、スクール・バンドに所属していたようです。
1968年からはジャズのトリオに入り、サックスに集中しました。その延長として、1976年には Chosen Fewという R&Bグループのサックスのパートで、Chi-Sound Records に初のレコーディングを経験していますが、やがてサックスでの仕事が無くなって来たところで 1979年に、Buddy Guy の弟、Phil' Guy に誘われてそのツアー・バンドに加わります。
1984年(異説:1986年)には自らのレーベル、Reecy を立ち上げ、アルバムGeneric Blues Album をリリースしています(これを Bruce Iglauer が聴いたことで、この THE NEW BLUEBLOOD の録音につながった、とされています。同アルバムは 1988年、Alligatorから発売)。
この Nothing Left To Believe は、1987年の録音で、その後 Les Paul Signature を抱えたジャケットの In the Shadow of the City を 1993年にリリース。2001年にはDangerous Road を Blue Suit からリリースしています。

かわっては、Melvin Taylor and the Slack Band
この Melvin Taylor だけじゃなく、Dion Payton、Kinsey Report あたりにも共通した、ロックからのフィード・バックじゃあ?って感じのややアグレッシヴなギターと、スムースなヴォーカルのマッチングが、やはり、「時代の音」でしょう。
Depression Blues も、Gm からのマイナー・ブルース( 9小節目からは B♭→ C という進行)ってえ味を活かして、ギターが歌いまくります。
2003年 9月の Blues Year で六本木ヒルズに来たときには、一見 Gibson 335 みたいなセミアコだけど、ちゃうメーカーのギターを弾いてましたが、この曲の音はもっと「ソリッドっぽい」よな気が?
1994年のBlues On The Run じゃローズ・ネックのストラト使ってるし、1995年のジャケットじゃ、Guild Starfire と、Gretscheのセミアコを持ってる画像がありました。
ただ、ワタクシの受けた印象だけで言っちゃうと、この曲で使ってるの、Les Paulじゃないのかなあ?って感じの音でございますよ。でも、その画像は見たことないんで、やはり、あのメーカー不詳の 335 タイプの音なのかもしれませんが。
2002.10.23の画像じゃあまたストラト(今度はゴールドのボディにメイプル・ネック)持ってますね。
Melvin Taylor は 1959年 3月13日、Mississippi 州の Jackson で生まれ 3才になった 1962年に一家で Chicago に出てきています。
母の兄弟で Floyd Vaughnってひとが彼にギターを教えてくれたようで、12才にしてすでに、クラブで他のミュージシャンに伍して演奏していたそうです。
おおよその基本はその叔父さんから学んではいたようですが、スライド・プレイやフィンガー・ピッキングなど、様々な技巧は B.B.や Albert King、Jimi Hendrix など、偉大な先達(?)たちの作品を聴くことで身につけていったみたいです。
ただ、彼の 10代は、1970年代のポップスがレパートリィだったといいますから、そのヘンも彼の個性の一部を作り上げているんでしょう.
そのバンド the Transistors は 1980年代に入って分解してしまい、Melvin Taylor は Chicago のブルース・クラブに帰ってきました。
そして、それに合わせたかのように、Pinetop Perkins が、ヨーロッパ・ツアーに同行してくれそうなギタリストを探していたので彼はそこに加わり、おかげで彼の名前は当初、ヨーロッパで知られるようになったのでした。
やがて、その名に目をつけて、彼にもいちどバンドを組ませて、完成したパッケージに仕立てよう、という動きが出てきます。つまり、the Transistors を再結成させてブッキングを開始しよう、ってワケですね。
初期の二枚のアルバムBlues on the Run ( 1982 )と Plays the Blues for You ( 1984 )では、バックがその the Transistors のようです。
つづいて、そのような興行サイドのニーズではなく、自らのヴィジョンを優先した Real Own Band、the Slack Band を結成し、ウエスト・サイドのクラブ、Rosa's Lounge をベースに活動を開始しています。
そして 1995年の Melvin Taylor & the Slack Band は商業的にも大きな成功になりました。
さらに、2003年には Blues Year で六本木ヒルズにも登場しておりますから、すでにご存知の方も多いことでしょう。
ただ、このひとのアルバムは、フランスの Isabel 以外(って結局それも獲得するのですが)すべて Evidence からリリースされており、Alligator ではこの一曲のみです。

そして最後に控えしは、すでにそのエピソードを紹介しちゃった Lil' Ed and the Blues Imperials でございます。また同じハナシを繰り返すのもなんですから、この THE NEW BLUEBLOODS についちゃあ、このへんで!

・・・しっかし、それにしても、このアルバムについちゃあ「語りたく」なりますねえ。

Nightcats

いろんな意味での「大作」THE NEW BLUEBLOODS でちょと息切れしかけたけど、気をとりなおして通常レンジのアルバムの紹介です。
1987年の AL-4753、Little Charlie and the Nightcats による All the Way Crazy ってのは、実はちょっと毛色が変わっております。
まずこの連中は Sacrament を中心に活動する「白人だけ」からなる四人編成のバンドで、基本はダンス・バンドってとこなんでしょうが Alligator では Blues, swing and jump master と紹介していますねえ。
ダミった低重心なブーギの上に、いかにも白人っちゅう「ロカビリー」のヴォーカルをのっけたような TV Crazy で始まるそのサウンドは、しかし基本はやはり「ろけんろー」、それも舌先系のカラ元気っぽいダンサブルなナンバーがメインで、それだけにパーティなんかじゃ、彼らが出る、となれば踊りたいやつらが詰めかける、ってのも判るよな気はいたします。
でも、こー言っちゃなんですが、Living Hand to Mouth、Suicide Blues あたりのナンバーじゃ、ジョニー・ウィンターよりもよっぽど「ブルースを感じる」なあ。
・・・そんなこと言ってるアホは私だけなんでしょね、きっと。
ま、だからと言って、これを Alligator でリリースする必然があったのか?なんてことになると、そりゃね、埋もれていた才能を発掘してくる、っちゅう「期待される Alligator 像」ってとっからはハズレているかもしんないけど、Alligator だってショーバイですから、「売れる」タマは多いにこしたことはないワケで、このよーな存在がまた、海のもんとも山のもんともつかない(?)無名ブルースマンに「賭け」に出る際の余裕につながる、と・・・
ワタクシはこのひとたちの存在すら、こーやって Alligator Tales を書き始めるまでま〜ったく知りませんでしたが、いやいや、その後も「どっちゃり」アルバムをリリースしてますからねえ。かなりその売り上げで会社の経営健全化に貢献してるのかもしれませんよ。

変わっての AL-4754 は Koko Taylor の 1987年 1月の 8日から10日にかけて Illinois 州 Berwyn にある FitzGerald's に出演した際のライヴ録音ですが、え?それなのに Live From Chicago たあ不当表示じゃねえか、って?
いえいえ、そこら三鷹市のライヴハウスで録音しても LIVE in TOKYO って言うのと同じよなもんで、シカゴの郊外みたいなもんですから。
「ライヴ in 三鷹」で判るのは東京周辺のひとだけでしょ?それと一緒。
ここでの I'd Rather Go Blind、またまたずっしりと「重く」仕上がっておりますねえ。
もちろん、そこら好みの別れるところでもありますが。
この Koko Taylor の Live from Chicago には - An Audience with the Queen、というサブ・タイトルがついておりましたが、次の AL-4755 もまた Live from Chicago をタイトルとし、サブとして - Bigger Than Life! が振られています。
そ、以前、ワタクシに冷たくあしらわれた Big Twist and the Mellow Fellows のライヴ盤でございます。

まあねー、聴いてみると演奏のレヴェルは高いし、ツボは心得てるし、まっことソツのない仕上がりではあるのですが、なんでかワタクシには「なにひとつ」訴えかけてくるものが感じられません。
どうも、この手の音楽ってのに Sly and the Family Stone のような期待をしてしまってるのか、どの曲も一緒の一本調子(あ、そーワタシは感じる、ってだけで、そんなことはないんでしょうが)、つまらなくってしょーがないんですよ。
そこ行くと Sly and the Family Stone のライヴなんて、まあ「どシロート」の集まりっちゅうか、バランスは悪いし、キメもボロボロだったりするんですが、でもそのコンセプトが「ただもんじゃない」ってとこで圧倒してくれるんですが、そのヘン、この Mellow Fellows じゃあ、確かにウマいことはウマいけど唄ってるのは「ありきたりな」世界、ってとこなんでしょね。
う〜ん、ワタシにはこいつらの良さ、なんて永久に判りそもない・・・

MORE BLOOD

ところで 1987年って、あの Aretha Franklin が女性としては初の The Rock and Roll Hall of Fame 殿堂入りを果たした年だったんですよね。
ん〜、ロックンロールかあ・・・で、ついでと言っちゃあなんですが、B.B.にマディも、なんですよね。

さて、AL-4756 は、またまたロイ・ブキャナンで Hot Wire
ま、これに収録されているなかでは、あの Otis Redding の These Arms of Mine を Kanika Kress(シカゴの女性ブルース・ギタリスト。自らのバンド the Blues Express を率いていた。1993年、シカゴで 39才の若さで死亡。現在、西海岸で放送メディアに勤めている某イラン系アメリカ人女性によると、彼女がアメリカの「創価学会(!)」入りを「薦めてくれた」らしい・・・)が唄っているトラックが、その真摯なヴォーカルでちょっと心惹かれますが、あとはいつもの(?)ギター・テクニック見本市。
ロイ・ブキャナンについては「世界最高の無名ギタリスト」なんて形容を目にして吹き出したことがありましたが、所詮、ギタリストとしちゃスゴいかもしんないけど、ミュージシャンとしちゃ「論外」ってことかな?
でも「ギターの音」オタクには根強い人気があるみたいで・・・
もひとつつけ加えるとすれば、サイドとして Donald Kinsey が参加しています。

次の AL-4757 もワタクシ個人の好みからは「どこがいいんだか判らない」A.C. Reed の I'm in the Wrong Business!
うん、まさにタイトルどおりだ!
・・・なんちて、それだけで斬り捨てちゃうのもなんですから、もーちょっと言っとくと、サイドは「充実(?)」してます。ボニー・レイットにスティーヴィー・レイ。
ま、だからどう、ってことはないでしょが、これ、Bruce Iglauer は録音現場でのプロデュースには加わっておらず、マスターからのリミックス時点で介入しただけ。

さあ、続いては、やっと語るに足るアルバム、Kinsey Report の AL-4758、Edge of the City の登場です。
一曲目 Poor Man's Releif から、やや軽いながらもファンクがかったリズムで斬り込んできますが、ウルチャい方なら「んっ?」と気付かれるでしょね。
そのベースは、「もろブラザー系のファンク・ベース」ではなく、それを面白い、と感じて「採用」しちゃったロック・ベーシストの弾く「ファンク系ベース」てな香りがプンプンいたしますねえ。
ま、どこが?っちゅうと、こんな言い方じゃかえってワケ判らんかもしれませんが「凶悪さ」に欠けてる、っちゅうか、いいひと過ぎる、ってな感じかな?ま、そこらラリー・グラハムなんぞを比較のタイショーにしとるワタクシのほーが「間違っとる」のかもしれませんが。
でも、もろブルースっぽい Give Me What I Want なんてナンバーでは、このベースが実にいい距離感を演出してくれますね。
もっともこのアルバムでは以前 BLUES Diary で採り上げた Corner of the BlanketFull Moon on Main StreetThe Game of Love なんてえナンバーで、さすが、あっちこっちで武者修行(?)をしてきただけのことはあるわい、ってな Donald Kinsey のギターが、実によく歌っております。
ただ、この Donald Kinsey のヴォーカルそのものはアップ・テンポのナンバーではいささか表層的に流れる傾向があって、むしろじっくりと行くスローでその良さが活きているような気がしますけどね。
この Kinsey Report は THE NEW BLUEBLOODS でも Corner of the Blanket が収録されておりましたが、こうしてソロ・アルバムで聴くといっそうその個性が鮮明になります。
おりしもこの 1987年に死んだピーター・トッシュやボブ・マーリィなどとの仕事は、やはりブルース純粋培養(なんてミュージシャンはいまどきいないでしょうが)じゃない独特の「ふくらみ」を Donald Kinsey に与えたようで、とかく「先細りの伝統芸」化しやすいブルースに「新たな血」を導入することとなった、と言えるのでしょうが、モチロンここでもシカゴ・ブルース・ファンダメンタリストたちからは冷たい視線を浴びせられることに・・・

OEM?

さて、1985年の前作までは確かに AL-47XX というブルース「扱い」だったハズのロニー・マックでしたが、この 1987年にはナゼか AL-3903 っちゅうドクター・ジョンやデルバート・マクリントンと同じグループに配属変えさせられちゃってます。
それはなんでか?ってえと、実はこれ、新録じゃなく、1986年のドクター・ジョンの Gumbo 同様に他社に以前吹き込まれたもののリイシューだからなんですねえ。
したがってこのロニー・マックの場合も事情は同じで、実は 1963年11月リリースの Fraternity 原盤(当時はまだ Lonnie McIntosh だったものを Memphis のリリースに合せて Mack とした、とされています。この Memphis は全米チャートの 5位にまで達しました)FS-1014、The Wham of That Memphis Man!をリイシューしたものとなっております。
Alligator の HP では、その Complete Discography から、すでに「落とされて」いるため、一切の記事が抹消されており、どんなジャケット・デザインだったのか知ることは出来ませんでしたが、後に CD 化したイギリス ACE(オリジナルの Fraternity FS-1014 の 11曲に未発表の 13曲を付け足したもの)CDCHD-713、Memphis Wham! のジャケットが Alligator 盤と同じ(という保証はまったくありませんが)だとすると、メンバーは 5人で、サックス奏者だけが黒人のようです。
で、こんなこと言うとただの意地悪じじいみたいですが、ハッキリ言って 1980年代のロニー・マックより、この 1963年の、「ゆるゆるのヴェンチャーズ」みたいな音のほが「面白い!」
ま、これは Alligator 盤には入っていなかったのですが、なんでかビートルズの From Me To You まで(インストで)やってて、そのユルさに思わず笑ってしまいましたよ。
あ、蛇足ながらロニー・マックはん、このあたりからすでにフライング V(おそらくコリーナ?)使ってたようですねえ。

ところで、このロニー・マックの Memphis をリリースした Fraternity Records って、実は Ohio 州 Cincinnati の会社なんですねえ・・・
そ!Bruce Iglauer の「生まれた街」なんですよ。
そこでちょうど 15才の多感な少年時代を送っていた(・・・なんて勝手に言ってますが、ホントかどうかは「?」)Bruce Iglauer にとって、この曲と、それを演奏していたロニー・マックっちゅう名前が深く刻み込まれたのでは・・・なんてえ可能性も無いとは言えないかも?
ま、それが Alligator がロニー・マックを出し続ける理由だ!なんてことまでは言いませんが(って充分、言ってるよなもんか?)。

続いての AL-3903(これもまた既にカタログ落ちでございます)、ドクター・ジョンの Gris Gris もまた 1968年の古い(というか彼自身の初リーダー・アルバムらしい・・・ホントはレコーディング・セッションでフロントを務めるハズだったヴォーカルの Ronnie Barron が来ることが出来なくなり、仕方なく「自分が」ドクター・ジョン、というキャラになったのだそうで・・・ Atco 原盤)アルバムのリイシューとなります。
Gumbo に比べると、もうちょっとエスニック風味がキツく、そこに Voodoo のアヤしさを突っ込んだみたいなこのアルバム、やはり同じ Voodoo 系(?)でも、真底「おちゃらけ」てる Screamin' Jay Hawkins の世界(??)とはおー違いでして、なんだかマジメにやってますねえ。ま、そこらがワタクシにとっちゃあイマイチな理由なんでしょが。
やっぱニュー・オーリンズと来たら Huey Smith みたくパッパラパーなのが「いい」なあ。あ、でも当時、こんなアルバムに興味を持って買いそなのって変にマジメくさった白人のほうが多かったでしょから、ヒョっとして Ronnie Barron が楽しく歌っちゃってたら、こんなに売れはしなかったかも?

1987年にはこの他に、例のセールス目的(?)の寄せ集めオムニバスの二匹目の泥鰌、Genuine Houserockin' Music II もリリースされております。
収録されているのはもちろん既にリリースされている各アーティストのアルバムからの摘み喰いですから、これでなきゃ聴けない、っちゅー楽曲はひとつもありません。
ま、そこら、たった一曲のためにアルバム買うしかないのかよ〜!なんていう「よくある手口」よりはマシっちゅう考え方は出来ますね。
収録されたのは Albert Collins の I Ain't Drunk、Lil' Ed で Pride and Joy、Koko Taylor は I'd Rather Go Blind、Kinsey Report の Corner of the Blanket、"Gatemouth" Brown の Pressure Cooker など。
他にも Professor Longhair、James Cotton、Buddy Guy などなど・・・
前にも言いましたが、すべてそれぞれのアルバムには収録された曲ばかりで、しかも別にこれ、と言ったテーマもなく集められたセレクトは、逆にその時々の Alligator の「興味のありかた」をある意味ストレートに表現している、と解釈することが出来るかもしれません。

1988

年が変わって 1988年、しょっぱなは Alligator が 1987年から「シリーズ化」をもくろんでおるかのような共通タイトル、Live From Chicago を前半に持つ Lonnie Brooks の Live from Chicago - Bayou Lightning Strikes、AL-4759で始まりました。
Live from Chicago とあるとおり、これは 1987年11月 5日から 7日にかけて、2519 N Halsted の B.L.U.E.S.でのライヴなどを編集して収録したものです。
全体にはライヴっちゅうことで勢いを活かした曲が多いのですが、なかで In the Dark、このマイナー系スロー・ブルースが独特な「空気感」で光ってますねえ。もちろん、お客さんも一緒になって「 Eyeballin'!」と唱和してくれる楽しいナンバーもいいのですが、それだけにいっそう、こんなシットリしたのが惹き立つってえもんでしょ。
それとここでは多分ストラト系ギターを使用しているらしく、そのフェイズアウト・トーンがなかなかいい!
ジャケットの写真では一見ストラトにボディ・カヴァー、のように見えますが、画像をディジタル処理してそのヘッドを見ると(→)
どうも、この平面形は Fender じゃなく、ヒョっとして Suhr Guitars じゃないか?ってえ気がするのですが・・・
またシールドが Jaguar や Jazzmaster みたくピック・ガードから出ているようにも見えますが、これはその手前にある違うものとカブってるだけ、っちゅう可能性もあり、なんとも言えませんね。
なお、サイド・ギターに息子の Ronnie Baker Brooks( Lonnie Brooks ってのが実は「芸名」で、本名は Lee Baker Jr.)も参加しています。

さて、次なんですけどね、別にイバるワケじゃありませんが、このひとたち、まぁ〜ったく知りません。なんですか 1960年代に白人の大学生二人がブルースに目覚めてグループを結成し、ついには 1966年に Vanguard と契約するほどになったらしいんですが、そのバンドがいったん消滅し、それが 1987年に「再結成」してシカゴの Vic Theatre でライヴをやったらしいんですが、その模様を記録したアルバムのようでございます。
さすが白人、ってなヴォーカルで、最初の曲なんて 1950年代の Memphis あたりの「軽い」ロカビリー的なテイストまで感じちゃいますが、まあ、白人のブルース・ファンにはウケるのかもしれんな、てな音ではございますよ。
このシーゲル=シュウォールのコンビにバックとしてベースに Rollo Radford、ドラムには Sam Lay がついてリズムは「いい」ですね。
フロント二人は、って?・・・う〜ん。
聴いてみて「いい」と思う方がおられるから、こうやってリリースされてるワケでしょうしね。
AL-4760、Reunion Concert。ま、これもライヴだけど、上の Lonnie Brooks などと同じ Live from Chicago - っちゅうフォーマットにしなかったとこに Alligator の良識を感じます(か?)・・・

ところで、次の AL-4761、Disturbing the Place もまた白人なんですねえ。
ただ、このリトル・チャーリー&ザ・ナイトキャッツはハナからライトなロックンロールのバンドですから、別にこれはこれでいい、てなもんで「それなりに」楽しめちゃうんですけど。
あ、タイトルだけ見ると、かってのウェストコースト系の「ホットロッド」かいな?てなナンバー、V-8 Ford ってのが、なかなかにニュアンスのあるハープをじっくりと聴かせてくれる、スロー・ブルースっぽい仕上がりでけっこうイケてます。
ところで直接はカンケー無いハナシではありますが、このライナーに載っているジョン・リーがチャーリーのギターについて評した談話(?)「そのギターはヤバ過ぎるぜ。監獄行きだな」ってのはいったいなんなんでしょね?なに素っ頓狂なことぬかしけつかんねんモーロ・・・うっぷす、な、なにをおっしゃいますやら、この長老は、でございますよ。

さらにダメ押しするがごとく、次の AL-4762、Years Since Yesterday ってのもまた白人でございます。
そしてこれまたワタクシ、その存在すら知らんかった、てなグループでして、ジャケットを見るとストレイキャッツみたいなん?てな感じですが、それだけじゃなく、もうちょい「重め」のサウンドも持ってるようで、クリシェとしてはむしろブルースに近いものがあるかも。
ただ、この San Diego のグループ、the Paladins のプロデュースにはいっさい Bruce Iglauer は関与しておりません。録音からミックスダウンまで、すべてウェストコーストで行われた音源のようでございます。

Generic Blues?

続いての AL-4763、やっと Back to Blues!でございますねえ。
Maurice John Vaughn、そ!あの THE NEW BLUEBLOODS で登場したヴォーカル、ギター、そしてサックス、っちゅうブルースマンですね。
このアルバム Generic Blues Album ではやはり 1960年代あたりまでの密着感、あるいは肉迫感のあるブルースとは少し違う、独特の距離感を特にそのヴォーカルに感じるような気がいたします。
まあ、そりゃ考え過ぎだよ、と言われるかもしれませんが、どことなく、いま、このシカゴでブルースをやることの意義は?みたいな「内省的な」視点、てなものをそこに嗅ぎ取ってしまうのはワタシのハナがヘンなんでしょね、きっと。

さて、最近の日本では「ジェネリック」言うたら「医薬品」と相場は決まっとりますが、ここでの Generic は、「商標登録されてない」、つまり「無印」っちゅう意味で使うとるんじゃないでしょか。
『無印 ブルース・アルバム』?
ずいぶんケンキョですねえ。
そこらヴォーカルの「一歩引き」気味のとこにも共通してるのかも・・・
ただ、ギターは充分に活躍してますね。
たぶんストラトではないか?と思うんですが(以前、日記で採り上げたときにも書いていますが、1993年のアルバム、In the Shadow of the City では、どうやら Gibson Les Paul Signature (→)っていう弦の延長線で切ったとすると上半分は 335、下半分が Les Paul っちゅう、まことにムリヤリながら、ミョーに魅力的なギターを使ってるようです。ここではたぶんストラトでは?っちゅう音に聞こえますが、この Signature だとフェイズ Sw.やインピーダンス切り替えなどを搭載してるので、こんな音が出るのかもしれません。特に Computor Took My Job での音なんて、なんだか Fender 離れしてるよな気が・・・)ワタクシ好みのフェイズアウト系のトーンはけっこうウェットなのに粘りつかない適度なテンションで聴きやすいなあ。
かなりウルフを意識してる?ってえヴォーカルの Generic Blues では Zora Young も参加しています。
なお、この録音はすべて彼自身が所有する Reecy Records で 1986年に行われ( 1984年とした資料もある・・・)、もちろんセルフ・プロデュースでの「完成品」が Alligator から出されたワケですから Bruce Iglauer の手は入っておりません。

かわっての AL-4764 は Kenny Neal の Big News from Baton Rouge!!
ワタクシなんぞは、Billy Branch と一緒に吹き込んだあの名曲、かってシカゴにバンド・ブルースの芽が出てきたあたり、まさにその黎明期に、Little Walter と Othum Brown によって録音された I Just Keep Lovin' Her を現代に蘇らせたテイクが非常に強い印象を残しているために、ついついギターとしての認識が先行しがちなのですが、このアルバムでは歌の凄さにも驚きます。
なんだか歌を扱う自由度、なんてあたりじゃあ、かっての Little Milton をホーフツとさせるとこもあって(なんて思ってるのはワタシだけかもしれませんが)、こりゃただもんじゃないっ!てな感じがひしひし、でございますよ。
そこら「ブルースマン」を父( Raful Neal!)に持った僥倖っちゅうんでしょか、このアルバムを聴いてみても、「新人」っぽい逡巡やら迷走みたいなものは微塵も無く(そりゃ前年の 1987年にすでにデビュー・アルバムは出していたとは言え)、いきなり大ヴェテランみたいな音で「どっかぁ〜ん!」ですからねえ。さすが Neal Brothers Band( Kenny、Raful Jr.、Noel、Larry、そして Ronnie )で鍛えてきただけのことはあります。
ま、それには、この録音もまた、前年の Big on Bayou と同じ King Snake Studio( Sanford, Florida )で、これも前作同様に Bob Greenlee との共同プロデュースによって行われた、という部分が効いているのかもしれません。
あまり馴染みのないシカゴのスタジオで、いくら前作を聴いて気に入ってくれた、とはいえ、初めてのプロデューサーと、ってんじゃ、こんなイキのいい音は出せなかったかもしれませんからね。
てなワケで、このプロデュースにも Bruce Iglauer の息はかかっておりません。

Fat Girls?

さて、AL-4765 ですが、わたくし、このティンズレイ・エリスたらゆうの、まったく知りませんでした。
急遽 Alligator の JUKEBOX と iTunes のサンプルで聴いてみるってえと、ん〜なるほどねえ。これって Dion Payton の All Your Affection Is Gone あたりがもたらした「イノヴェーション」を快く思わない、1970年代までで思考がストップしちゃってるドタマの硬いブルースマニアにゃウケそうな音かな?
いえ、別にいいんですよ、現実にゃ、そこらへんで聴いてる、そして現実にカネ出してアルバム買ってくれそな「お客さん」ってイッパイいそうですから。

この Goergia Blue では、このジャケットにある赤いストラト使ってるんでしょうかねえ?ワタシと同じだあ(ってこっちはスーパー・チープな made in Mexico、19,800 at ESP お茶の水ってヤツなんですけどねん)。
後の作品じゃあ(ジャケットで見る限り)Marshall に 335 みたいなギターで飽和感たっぷりな音になってますが、まだこのアルバムではクリーンなトーンに空間系ちょっとかかってるかな?てな音で、そこらちょっとオモシロいかも。
で、別な意味で面白いのが、このアルバムでは Jody Williams の Lucky Lou を採り上げているんですよ。
は〜い、ご存知の方も多いでしょうねえ、あの Otis Rush が All Your Love としてパクったとかパクってないとか話題になったナンバーでございます(もちろん、双方の言い分はまったく食い違っておりますが、ワタシとしちゃあ、実際はどうあれ、少なくとも Jody Williams の方では「ゼッタイにパクられた」と信じているってとこが問題だ、と思っております。そこが氷解するまでは真の「解決」は無いんじゃないのかなあ)。
ま、なにを思って彼がこの曲を採り上げたのかは「?」ですが、残念ながらライナーでも他の曲については触れられているものの、この Lucky Lou についてはナシ、でございました。

続いては、ワタクシがここんとこ自分の iBook の iTunes に入れてて、しょっちゅう聴いてる Sea of Love(それは Live Ver.なんですが)の曲名が登場する Katie WebsterThe Swamp Boogie Queen、AL-4766 でございます。
このひとの場合、むしろキーボーダーとしてのバッキングで有名なのかもしれませんが、ここでは果敢にも(?)Try A Little Tenderness なんてえ名曲をしっかりと歌っております。
ただ、個人的な感想としては、アルバム・タイトルの Queen ってあたりに見られる(おそらくは制作サイドの)思い入れが仇になって、「粗く」なり過ぎているような気がしてなりません。
Sea of Love だって、後のライヴで聴かれる、あのしっとりとした情感みたいなものが、ここでは上滑りして、ゲンキはいいけどちょっと沁みてこないんですよねー。

と、ここでヘンな方向にちと逸れちゃうかもしれませんが、

なんで女性ブルース・シンガーってみんな太ってるの?
太らないとブルースは歌えないの?

これ、ワタクシの長年のギモンでございます。
まあ、そんだけハクリョクある歌が歌える、てなコンキョなんでしょか。
とかくチカラいっぱいパワフルに歌うことを愛でるシュミの方は多いようですが、でもねえ、音量、あるいは気魄、そんなもので歌の価値って決まるんでしょか?
ボソボソと語るように歌うブルースだっていいと思うし、どだい生活ってそんなものでしょ?
いちんちじゅう、なにするのにも全力、気合いだっ!なんてのは一見スゴそうだけど、バカの裏返しかもしんないし。
確か Bruce Iglauer でしたよね、太ったおばちゃんが出てきて Sweet Home Chicago を歌う、そうゆうのがブルース、ってえイメージはうんざりだ、みたいなこと言ってたのは。

さいわい、ここでの Katie Webster は「もちろん」Sweet Home Chicago なんて歌ってませんけど。
その Katie Webster が残した、「ブルースでさえコピーしてるヤツら」に聞かせてやりたい、いい言葉があります。

Nobody taught me how to play jazz and blues and boogie woogie.
I learned that by listening and having the feel for myself.
I didn't pattern after anybody, 'cause I didn't want to sound like anybody else.
I wanted to develop my own sound.

Katie Webster、1999年 9月 5日、心臓の疾患により Texas 州 League City の自宅で死亡。

White boy

さてこの Blues After Dark としちゃ滅多にない(ゼロじゃないよん)ことだけど、ここの主役は California 州 Los Angeles 近郊の Glendale 生まれの白人だ(!)
そして少年期を過ごした Iowa ではあまり環境は整備されてなかったらしく、電気すら来ていなかった「ド田舎」で、農園での作業に従事していた彼の家族は、彼が 10才のときにそっから Oklahoma 州 Tulsa に引っ越し。
いくつかの Biography ではそのせいか彼の出生地を Tulsa, Oklahoma としている・・・
と、これだけで誰のこったか判るひともなかにゃあいるでしょね。
え?次は Alligator AL-4767 だから判るって?
ちっ・・・
そ!Big Fun の Elvin Bishop だよん!

いつも読んでいただいてる方ならとっくに見限っておるこってしょうが、ワタクシ、ふつーとはちゃう(逆の?)意味で人種差別ばっかしてますから、白人でブルースやってる、なんてのはすべてカタカナ表記にして「軽んじておる」のですが、この Elvin Bishop くんは例外でございます。
なんでか、ってえと、ま、説明すると長くなるし、ケッキョクは「好き嫌い」の問題でございますから理屈じゃないワケで、そんなゴタクはみなさまも聞きたくもないでしょうからトバしちゃいますが、ともかくワタシにとっちゃあ、彼のは「ブルース」なんですっ!
ヒトコトで言えば「お人柄」、これですねえ。
Pig boy、Hog・・・こんな形容詞が周辺にまとわりつく Elvin Bishop ですからねえ。「シンケーシツに眉を寄せてブルースをやってるつもり」なんかにゃならないのよねー。そこら「キモ」でっせ。判りまっか?
ま、同じよに白人でありながら、ワタクシがちゃんと英字で表記する Amos Garrett ちゃんも似たとこがありますけど、なんせそっちは「もーちょっと」インテリなもんで、おとぼけやらおふざけにも、ひとつシニカルな目線が入っております。

てなことはともかく、この Elvin Bishop くん、1942年の 10月21日生まれですから、ワタクシよりも年上なんですねえ。それを「くん」づけとはちとシツレーいたしました。でも、なんかイメージが「くん」なんですよねー。ヘンな神話なんかがつきまとってないから、とっても親近感があるんでしょ、きっと。
さて、Tulsa では Ray Charles のライヴ・ステージを見に行ったときの光景を彼は語っています。

1952年当時の Tulsa じゃ「人種差別」は当たり前だった。
Oklahoma でも南部諸州と違っちゃいなかったんだよ。
Ray Charles の会場は長いロープで二つに仕切られてて、白人席と黒人席になってたなあ。
でも電波じゃ仕切るワケにはいかなかった。放送ではロックンロールが台頭してきて、そこじゃ Chuck Berry、Fats Domino、Little Richard だって「白人の」放送局から流されてたんだ。

そんな彼に一大転機をもたらしたのが Nashville の WLAC から聞こえて来た Jimmy Reed の Honest I Do だったらしいのです。
そう!本日の AL-4767、Big Fun にも収録され、いっきなりのあのギターでワタクシ、ハラを抱えて笑い転げておりましたが、これこそ、そのよーな彼の人生を変えた一曲だったワケなんですよ。
そして彼がボーリング場のキッチンでアルバイトを始めた時、同じ職場にいてラジオを持ち込んでしょっちゅうブルースを流していた二人の黒人、Henry と Marvin ってのが彼に「どの局を聴き」「どこでレコードを買ったらいいか」を教えてくれたのだそう。
そんな環境にいた必然でしょうか、彼は質屋からギターを買い、そのやたら弦高のあるギターに苦労しながらも練習にハゲむ・・・

1959年に、彼は奨学金交付の審査に合格し、さて、どこの大学を選ぶか?という時点で「やはり」Chicago を選択したのでした。

そりゃ University of Chicago しかないでしょ。
あそこなら周囲は黒人たちの街だし、ならブルースだらけじゃん!って。

その彼の選択が正しかったのか、University of Chicago のカフェテリアで働いていた黒人たちと知り合います。そして彼らの案内でサウスサイドのクラブを渡り歩き、そこではマディ、Little Walter、Howlin' Wolf、Hound Dog Taylor、Otis Rush、Junior Wells、Buddy Guy、Magic Sam、Bobby King、Eddie King、Little Smokey、Big Smokey さらに無名のブルースマンもどっちゃり聴いて、まさにブルースの「特待生」ですよねえ。

もちろん、黒人とばかり遊んでいたワケではなく、ポール・バターフィールドとの交遊も始まっています。しかし、もっとも重要な交流は Little Smokey Smothers とのものだったでしょう。

Little Smokey Smothers は真っ先にリズム・パートを教えてくれた。

う〜ん!そうなんですよねー。いっちばん重要なのはリズムをちゃんととれること。これが判ってない「自称ブルース・ギタリスト」のなんと多いことか!
でも、彼が Little Smokey Smothers から教わったのは、ギターの弾き方だけじゃなかったんですよ。
ちょっとおーげさに言うと、いかにブルースマンは生きるべきか、てな人生哲学(?)までが叩き込まれた、と。
さらに彼は Otis Rush とも知り合い、そこからも多くのことを学んだようです。

そのような彼の「ブルース学(?)」が深化するとともに、本来の学業であったハズの University of Chicago で専攻した「物理学」は、もちろん先細りとなるワケで、入学して二年後、ついに大学側との見解の相違(?)は決定的なものとなり、ミゴトにドロップ・アウトしちゃったのでした。

University of Chicago での勉学の日々は終わりを告げてしまったものの、Elvin Bishop がそもそもシカゴで学びたい、と願っていた本来の目的、「 Blues 」の分野ではますますハゲみがつく状態となります。
毎晩、クラブに入りびたり、スキあらば混ぜてもらい、最前線を経験するワケですから、その意味ではものスゴく充実していたことでしょう。
でも一方では、製鉄所など(ここ、判りますか?「など」。つまりその製鉄所の仕事も正規従業員ではなく、「臨時工」あるいはもっと下の単純労働のパートタイマーなんですよね)で「ときどき」収入はあったものの、ド貧民だったことも確かなようで、日に缶詰の豆のスープ一缶、寝るのは放棄された廃ビルで、なんて生活までしていたそうでございますよ。
実際、夜毎クラブで演奏にいそしみ、日中は仕事、なんて言っても、ほぼ寝不足で「シビアな仕事」は出来なかったでしょから、どしたってあまりペイの高くない雑役しかなかったのかもしれません・・・

それでも日曜ごとに出かけて行く Maxwell Street は「楽しみ」だったようです。
なんたって、そこでは他のミュージシャンの演奏も見られ、ときには一緒に演奏して交流し、さらに自分でもギター・ケースを投げ銭受けにして聴衆からのチップで「多少の」稼ぎにはなったのですから。
そのような「音楽だけが大事だった。他のことはどうでも良かった」という日々を通じてかれは J.T. Brown、Junior Wells、そして Hound Dog Taylor などとも共演してチカラをつけていったのでしょう。ま、ここらが同じ白人でも「良家の子女」なんぞじゃない(?)、かと言って「プア・ホワイト」ってのともちょっとちゃう、ま、強いて言えば「おバカ・ホワイト(?)」てな Elvin Bishop の面目躍如ってとこでしょうねえ。
あ、ここで言う「おバカ」ってのは、判っていただけると思いますが、彼に対する「賛辞」として使ってますのでヘンな揚げ足とりはヤメてね。
そうして体内ブルース濃度がドたっぷり上昇したところでポール・バターフィールドのバンドに参加します。
メンバーはベースに Jerome Arnold、ドラム Sam Lay。
そこに Elektra Records のプロデューサー Paul Rothchild の意向でマイケル・ブルームフィールドも加わる訳ですが、なんとそいつは Elvin Bishop が以前、ギターを探して入った質屋のカウンターで接客してくれた相手でした(叔父さんの質屋を手伝ってたらしい)。

このバンドがオルガンのマーク・ナフタリンも加えてアルバムを作ったのが 1965年で、そのアルバムによって多くのロック・ファンがブルースを意識するようになった、と言われておりますねえ。
実際、ワタクシのまわりでも、ブルースってえとこのアルバムを持ち出す、なんてえのも何人かはおりますよ。
ま、ワタクシは幸運にもこのアルバムと出会うことはなく、「ホンモノの」ブルースを充分に聴いた後でこれを知ったもんで「汚染」されずに済みました。
いくら Elvin Bishop がいるからと言って、それで全部が良くなるワケじゃありませんからねえ・・・なんちて、こんなことばっか言ってるから嫌われるんですけどね、あははは。
その後もこのバンドでのアルバムは続き、なかには彼の愛称(?)からタイトルが出来たとされる The Resurrection of Pigboy Crabshaw ( 1967 )なんてのもあって、まあ、順調だった、と。

そのバンドのツアーで、1967年に San Francisco を訪れた Elvin Bishop は、そこがすっかり気に入ってしまい、結局、ベイ・エリアに移り住むことになります。

まず、そこの人たちがいいね。で、気候もいい。そしてなんたって、しょっちゅう背後を気にしてなくてもいい、ってのが嬉しいよ。

この「後ろを気にしなくていい」ってのは、やはりシカゴの方が「荒んでいる」ことの現れなんでしょね。

そのころの San Francisco では Keystone Korner の Monday Night Jam が近隣の、あるいは同地を訪れたブルースマンたちを惹き寄せてて、そこでは Albert Collins、Clarence "Gatemouth" Brown、Clifton Chenier、Luther Tucker などから Santana までが足跡を残しておりますから、もちろん Elvin Bishop がここに出没しないワケはありません。
そこら詳しくは語られておりませんので定かではないけれど、おそらくこの店での演奏を介してだと思うのですが Bill Graham に認められ、その Filmore Records の専属として初のリーダー・アルバム Elvin Bishop Group を 1969年に、続いて Feel It! を 1970年にリリースしています。
そっからは 1972年の Rock My Soul を Epicから、ディッキー・ベッツと共に Capricorn から Let It Flow ( 1974 )、同じく Juke Joint Jump を 1975年に、とトバして行きますが、そんな中、1976年にリリースしたアルバム Struttin' My Stuff に収録された Fooled Around and Fell in Love が大ヒット!
ま、ワタシとしちゃあ、このアルバムでは、あのハチャメチャな My Girl がだ〜い好きなんですが、ブラザー系(?)にはウケが悪いようで・・・
Capricorn ではこの後さらに三枚、Hometown Boy Makes Good! Raisin' Hell Hog Heaven をリリースしています。
そして 1980年代、彼自身の言葉を借りれば

みんなに楽しんでもらえるように、あ、でもホントは自分がイチバン楽しんでたかな?

というツアーの生活だったようで(その間 1981年にドイツのレーベルからリリースした Is You Is or Is You Ain't My Baby を除けば)スタジオよりロードでの生活を選択したのでした。
やがて The Elvin Bishop Group も解散した彼は 1988年の Alligator まで、ちょっとした小休止に入る、と・・・

Big Fun

1988年、Elvin Bishop は Alligator と契約し、そこで実に 7 年ぶりにリリースされた彼のアルバムが AL-4767、Big Fun でした。
プリミティブ(?)なブラスが刻むブーギのリズムに載せて実に楽しそうなコール&レスポンスが、ウソつきオンナをさほど深刻じゃなく、まあ、そのくらいしそうだとは思ってたぜ、てな軽さで流して行きます。そうそう、Elvin Bishop はこうでなくちゃあ。
次の Beer Drinking Woman は語り(?)が特徴なんですが、やはり Amos とはタイショーテキですねえ。Amos ちゃんは「自慢の」ディープなヴォイスを活かして(多少「溺れて」?)「どや?」てな感じですが、こっちはもうそのまんま。ただ喋ってる、って感じでそのヘンも彼らしくていいよね。
一方 Midnight Hour Blues では「かなり」Nashville テイストっつうか、C&W系の音作りで、これまたけっこールーラルなムードなんですが、同様に No Broken Hearts、Country Boy、Fishin' Again などでもカントリー・テイスト溢れるサウンドで、しかもそれらが全体のなかであまり違和感が無いんですよねー。
そこら「お人柄」ってもんでしょか。
ただ、前にも触れておりますが、ワタクシがこのアルバムでいっちゃんウケた(?)のはやはり、の Honest I Do でございます。

さて、先ほど「プリミティヴな」などと言いましたホーンでございますが、この録音が( Bruce Iglauer もプロデュースに参加してるのに?)シカゴではなく、西海岸の Richmond、Starlite Sound なんですよね。つーことは、このホーン・セクションも「おそらく」現地調達、つまりウェストコースト勢でしょ。
そこらが、この明らかにシカゴとはちゃう、「良く言えば」底抜けに明るい、まあ、どっちか、ってえとパッパラパーな音の理由なのかもね・・・?

この後も Alligator でのアルバムは 1991年の Don't Let the Bossman Get Your Down!、そして 1998年の The Skin I'm In、さらには旧友 Little Smokey Smothers と一緒に行ったライヴを収録した 2000年の That's My Partner があるのですが(そしていつもはその原稿で採り上げている作品に到達したとこでその Biography もストップさせちゃうことが多いのですが)ここでは Alligator 以降の彼についても少し・・・

次の彼の作品は 2005年の夏にリリースされた Blind Pig からの Gettin' My Groove Back になるのですが、これを聴いて、その間にあった悲劇に思い至った方も多かったのではないでしょうか?
最初の曲、What the Hell Is Going On というタイトルもさることながら、そこから出てくる音は、これまでの彼からはあまり感じることのなかった「逼迫したもの」、なにかしら「執着したもの」、そんな「熱病のような」閉塞感を感じてしまったのはワタシだけでしょうか?

それは 2000年の夏、Children of Thunder を自称し、かってモルモン教徒だったところから自分で宗教をでっち上げた Glenn Taylor、そしてその「信徒」の Justin Helzer と Dawn Godman により、金銭強奪の目的で Elvin Bishop の娘 Selina Bishop とその母 Jennifer Villarin、その友人 James Gamble が「殺害」されてしまったのです。
この犯人たちはその直前にも二人の被害者を殺害しており、狂信者による連続殺人としてアメリカ社会に衝撃を与えた事件となりました。
この事件から 5年、ふたたび浮上してきた Elvin Bishop の、ある意味、カムバック作品と言うことが出来るかもしれません。
そして、これは聴くワタクシに先入観があるからなのかもしれませんが、どうしても、その音群には「底抜けな」オプティミズムの匂いが薄れているように感じてしまいます。

Lazy Lester

続いての AL-4768 は Lazy LesterHarp and Soul でございます。実はこのアルバムも先日の AL-4764、Kenny NealBig News from Baton Rouge 同様、Florida 州 Sanford の Kingsnake Studio(資料によっては、「分割」して King Snake と表記しているものもあります)で、ベーシストでもある Bob Greenlee のプロデュースで録音されたもので、したがってプロデュースで Bruce Iglauer の手は入っていません。
オリジナル・マルチ・トラック・マスターはシカゴの Streetville Studios に持ち込まれ、そこでのミックス・ダウンで初めて Bruce Iglauer が立ち会う、という形になっています。

Louisiana 州 Torras 生まれの Leslie Johnson は、1956年の Excello 録音の際に Jay Miller によって Lazy Lester と名付けられ、別にその名付け料ってワケでもないでしょがロイヤリティを Jay Miller がほとんど独占したのにイヤ気がさして(?)1960年代末には「のんびり釣りばっかしてる」生活に入ってしまったとされます。
Michigan 州 Pontiac で音楽とは縁の無い暮らしをしてた彼を、もういちどシーンに引きずり出したのは Fred Reif という「ブルース愛好家」だったそうで、その熱心な薦めでツアーを開始し、ついに 1987年には Alligator と契約、翌年にかけて吹き込んだアルバムが、この Harp and Soul でした。
ただし、実際の復帰第一作はこれではなく、その直前( 1987年 5月)にイギリスの Blue Horizon にスコットランドのブルース・バンド(!)をバックに吹き込んだアルバム Rides Again ってのがあって、それが復帰第一作です。

この、ニュー・イングランドでは「人間国宝」と呼ばれ(!)、ニューヨークじゃ「ルイジアナの保安官」、アトランタでは「ドあほ」、オースティンの新聞にゃ「レィジー(タルい)ってよりはクレイジー」と書かれるなど、ずいぶん様々な評価(?)を得ている Lazy Lester ですが、まあ、良くも悪くもヒジョーにクセのある音を持ってますから、あえてシカゴ録音なんぞせずに、フロリダ録音ってのが正解だったんでしょね。
で、これを実際に録音した Kingsnake ってのと同じ名前なんで、たぶんその会社だと思うんですが Kingsnake レーベルから前述のイギリス録音もリリースされております。

しかしそれにしても、さすが Lazy Lester、なんともいいユルユルさ加減ですねえ。そこら、BLUES Diary でも Take Me In Your ArmsFive Long Years なんてのを採り上げておりますのでよろしかったらそちらもどうぞ。

Rufus!!

1988年の通常シリーズ(?)のラストは AL-4769、メンフィスの永遠の悪童(「世界で最年長のティーンエイジャー」なんて呼び名も)Rufus ThomasThat Woman Is Poison でございます。
このときすでに 71才の Rufus Thomas ですが、最後まで STAX に残った彼らしく、この 1988年に企画された STAX Reunion にも顔を出し、その勢いのまま(?)Bob Greenlee の Kingsnake で吹き込んだものが Alligator によってリリース、というパターンです。
したがって、ここでも Bruce Iglauer は録音に立ち会ってはおらず、プロデュースは Florida 州 Sanford の King Snake Production(って名前は Alligator の Discography ではこのアルバムのクレジットでは初登場ですが、それ以前からも Kingsnake Records、Kingsnake Studio なんて名前は出ておりました。すでに Production という名前も存在してたのかも?)の Bob Greenlee。
その人脈からバックにも Kenny Neal が「ハープとして」参加しています。
そのオリジナル・マスターたるマルチ・トラック・テープはシカゴの Streetville Studios に持ち込まれ、ここで Bruce Iglauer も立ち会ってミックス・ダウン、というスタイルは今回も変わりません。
このアルバムで印象的なのは、King Snake Horns と言われる「管」の存在の華々しさ・・・と思ったら、その一画に Bob Greenlee 自身が Baritone Sax で「在籍」してるじゃないの!まあ、まさかそのせいじゃあないでしょが、全編をとおしてホーンが活きています。
逆にギターは、いわゆる「ブルース・ギターが好き」なんて方がこのアルバム聴いたらちょっとガッカリするかも、っちゅう位置しか与えられてないよな感じですねえ( Bryan Bassett と Ernie Lancaster )。
キーボードは Lucky Peterson ですが、あまり活躍の場は多くはありません。

1988年にはもう一枚アルバムがあるのですが、それは毎度お馴染み、Alligator Recording Artists をゴッタ混ぜで集めた「ご紹介」アルバム(?)、例のシリーズ第三弾、Genuine Houserockin' Music III、AL-103 でございました。
そんなアルバムですから、別に Alligator ファン(?)からの声をもとに、なんて作っておりませんので、まあ、このシリーズは、「なにがなんでも Alligator から出たすべてのアルバムを揃えちゃる!」なんて奇特なマニア以外にはお薦めいたしません。
むしろ末端の販売店、あるいは放送局のディレクターあたり、ようするに、あんましブルースをはじめとするそこらの音楽にキョーミ無さそうな方々に「献上」するのにふさわしいアルバムでございましょう。

てなワケで、ようやく 1988年を脱出!

1989

次いで 1989年のトップは AL-4770、Lucky PetersonLucky Strikes! で始まっています。
で、Lucky Peterson っていうと直前の Rufus Thomas の Florida 録音に登場しているとこからも判るでしょが、これまた Bob Greelee つながりでして、このアルバムも「とーぜん」King Snake Studios での録音を、シカゴの Streetville Studios でミックス・ダウンという公式どおりで完成しています。
ま、唯一、気になると言えば、クレジットから「監修 Bruce Iglauer 」って記載が抜けてるんですよね。
もう安心しきって、現場(ミックス・ダウン・エンジニアは「ずっと」Jay Shilliday )に任せっぱなしだったんでしょか。まさか「もう知らん、好きにやれ!」なんてことじゃないよね・・・
ともあれ、この録音、主だったとこはほぼ前述の Rufus とっつぁんのセッションのメンバーとダブってます。
ま、いちばんの違いは Lucky Peterson がキーボードだけじゃなく、ギターも自分で弾いてるってことでしょか(あ、サイドとしての二人は交代で参加してますが)。
アルバム全体としてはかなり完成度の高い仕上がりで、とても初リーダー・アルバムを出した「新人」とは思えませんが、まあ、それも当たり前、彼の場合はアルバムこそ「初」でしょが、もうずっと前からこの世界では活躍していたのですから、このくらい、どうってことない、と。
ただ、そんな音群のなかで(だからこそ?)彼の声の裏表が無さそうな「軽さ」がちょっと浮いてしまっているかもしれませんね。
あと、才能があり過ぎるひとにちょいちょい見られる、「そこまでやらないほーが、かえって活きるのに」てな部分も無いとは申せません。
特にキーボードでね。

しかしまあ、これもこのひとの個性として、ワタシゃけっこー好きなんですよ。
ミゴトに過不足なく完成してるってのもいいけど、こんなふうに、まだまだ出っ張りやらへっこみがあるミュージシャンもまたそのアンバランスさが一種の魅力となって、案外いいものです。

King Snake

さて、毎度まいど、寄り道ばっかしてて・・・とゆうのが本稿の特徴なのでございますが(?)、ここでまたまた支線に迷い込むワタクシ・・・

いえね、こーしょっちゅう出て来られたんじゃ、こちとらとしてもちと気になるっつーもんじゃないの。え?なにが、って?
ここんとこ続いてるフロリダ録音のベーシストでかつプロデューサーである Bob Greenlee ですがな!
で、ちょっと調べてみたんですよ。
そしたら、もう 2 年前に 59才で亡くなってたんですねえ。

ハッキリと生年月日および出生地を記した資料には到達出来なかったんですが、どうやら 1944年に生まれたようです。ただ、ある資料では「シカゴからフロリダに来た彼は・・・」って表現があって、それを信じるとすると出生地はシカゴで南に移住して来た、てなふうにとれますね。
ただ大半の資料では「 Daytonaっ子の」なんて表現がされております。ま、まだ幼いうちに来てるんだったら心情的には Daytona ネイティヴみたいなもんかもしれませんが。
そこで成長する彼に大きな影響を与えたのは Nashville からの WLAC(お〜っとぉ!記憶力のいい方なら覚えておられるでしょか?ちょっと前の Elvin Bishop くんとこでも出て来てましたよねえ!そ、あの Jimmy Reed の Honest I Do が流れて来て、彼の人生を変えてしまった局でございますよ)の放送だったそうでございます。

「 Surf meets Soul( by http://williamvandyke.com )」っちゅう当時の Daytona の音楽シーンの中で育った彼は Sea Breeze High School(ぐひゃあ!ガッコの名前とは思えんカッコ良さ!)在学中にベースとヴォーカルを始めているようですが、一緒にやってるひとの名前でどんな音楽か判る、ってえ博識な方もおられるんでしょうが、ワタクシにとっちゃあ、いずれも始めて聞くよなお名前ばかりで、さっぱ判りません。
いわく、Peter Carr やら Jim Shepley、Floyd Miles に Duane と Gregg っちゅう Allman 兄弟っての・・・

と、ジョーダンはともかく、そんな連中が入り乱れて出来てたらしいバンド、The Pearl Notes、The Houserockers なんてので Daytona 周辺の店に出演していたもののようでございます。
ただ、当時の彼は意外と堅実な考えを持っていたものか、それ以上、音楽に深入りすることはなく、ノース・キャロライナ州 Ashville のプレップ・スクール(名門の総称である「アイヴィー・リーグ」に含まれる有名大学に入学するための準備学校。予備校ではない)を経て名門、Yale 大学に進学し、そこで法律も専攻してますから、まあエリートまっしぐら、っちゅう、そのままで行くと白人社会の中でもさらに上位に位置するハイアラーキィに属する、てな勢いだったワケで。
そして Yale 在学中にはカレッジ・フットボール(ここはモチロン言うまでもないことですが「アメリカン・フットボール」ね。間違ってもサッカーなんぞやるワケはない!)でキャプテンを務め、ドラフトではマイアミ・ドルフィンズに 4位で指名( 1967年 )されるほどだったのですが、そこでナゼかプロ・スポーツ選手、という「未来」を投げ捨て、音楽に「戻る」道を選んだのでした。

ワタクシが探し当てた資料では、そこらのいきさつ、っつうか、彼の心の動きについて触れた資料は皆無であるため、音楽を志向したがための「転回」だったのか、あるいは別な理由からスポーツ、あるいは法曹界進出を断念した「後」に音楽へ漂着したのか、は「まったく不明」でございます。
1970年代に入ってから、彼はロー・スクールで一緒だった Washington D.C.の Foster McKenzie III と再会するのですが、なんと相手は Root Boy Slim と名乗って自らのパンク・ブルース(ってどんなんじゃ?)バンド、The Sex Change Band を率いて演奏活動をしていました。
Bob Greenlee はこれに加わり、遠くイギリス・ツアーにまで同行しております。
その活動とは別に、1980年代に彼はフロリダの祖父の家のガレージを改装してスタジオを作り上げ、そこで King Snake Records を設立したのでした。
そしてそこからは数々の録音が送り出されることになるワケですが、そこでレコーディング・セッションをサポートするバック・バンドとして(あるいはバック・バンドでもあった、か?)結成されたのが、もちろん彼自身がベーシストとして在籍する the Midnight Creepers です。
Alligator に提供した録音で名前が出てくるギターの Ernie Lancaster やサックスの Noble Watts などがメンバーとして主にブルース系の録音でそのクォリティを高める役割を果たしていた、と言ってよいでしょう。

Bob Greenlee はまた新たなタレント(ここでは本来の意味「資質」で)を見つけ出す努力も怠らなかったようで、あまり乗り気ではなかったらしい Kenny Neal を説得するために Baton Rouge に現れ、Kenny によれば「彼は、オレが自分で思ってる以上にイイものを持っているんだから、自信を持て、と言ってくれたのさ、それはもう熱心に」・・・こうして生まれたのが Kenny Neal の Big News from Baton Rouge でした。
そのような新人の発掘のみならず、復活させたいブルースマンや、違った光を当ててみたい才能など、まさにレーベル・オーナーの感覚をメインにして Rufus Thomas、Lucky Peterson、Raful Neal、Sonny Rhodes などをはじめとする、およそ 100枚ほどのアルバムの録音を世に送り出すこととなったのです。
ただし、1990年代末あたりから彼の健康には影が差し始め、ついに 2004年 2月12日、膵臓癌により、彼は帰らぬひととなりました。このときの彼はまだ 59才。最後の日々は自宅で最愛の妻 Sonja と送っていた、と言われています。

というワケで、こんな調子じゃいったいいつまでかかるもんだか、またまた本筋から離れたおハナシに深入りしちゃいましたねえ。
ま、なんたって King Snake でございますから、これがホントの「蛇足」ってヤツで・・・
ケイジさんに笑われるかな?

Charles Brown

こんな言い方は両方を侮辱してるよな気もするけど、ま、「フザケてない Screamin' Jay Hawkins 」てな印象だよねー。
でも、歌は Screamin' Jay のほうがアットーテキに「上」だけどさ。
なんて言うとミもフタも無いけど、ピアノに関しちゃあ、こっちが上かもね。
歌でフザケてないぶん、ピアノはこっちが余裕で遊んでる。

・・・あ、いきなりシツレーいたしました。
1989年の Alligator 通常シリーズで Lucky Peterson に続くのが冒頭の「なんじゃそりゃ?」って紹介で登場させられちゃった Charles Brown でございます。
ま、そー言って、「おお! Charles Brown!」なんて顔を綻ばせる方ってのはどれだけいるんでしょか? ま、しょーじき、あまし多くはないんじゃないか、とニラんでおるのですが。
この Texas 州 Texas City で 1922年に生まれた Charles Brown、10才からクラシックのピアノを習い始め、しかし Art Tatum を聴いたあたりからジャズやブルースに傾倒してったようですね。
化学を専攻してカレッジを卒業した彼は地元の高校で化学の教師になったのでしたが、どうやら、そのあまりの薄給ぶりにイヤ気がさした彼は「公式どおり」西に向かい、Los Angeles に姿を見せたのが 1944年のこと。
そこで Johnny Moore に雇われ、彼のバンドでピアノを担当することになります。
そして結成されたトリオ The Three Blazers はヒット曲 Driftin' Blues で、チャートのトップを独占していた Louis Jordan を「引きずり降ろした」のだそうで。
その後もヒットを連発し、ほぼ彼自身の人気が固まった 1948年には The Three Blazers から独立し、1950年代半ばにかけて、ソロでも Find Yourself Another Fool や Black Night なんてヒットを連発して行きます。
ただ彼の栄光の日々もそこまで。
彼の「明らかに」クラブそのもの、っちゅうサウンドはやがて来るエレクトリック・ブルースのパワーの前で色を失い、ロスのクラブで自分の世界を理解してくれる少数のファンに心を込めて歌う、てな生活を送ってたようですね。
それでも 1970年代に入るまでレコーディングは続けてはいたようですが、「ご想像どおり」そのセールスは芳しいものではなく、このまま消えていくか?てな雰囲気だったようですが、そこで形勢を逆転(?)させたのが 1980年代に入ってから、Sweden のレーベル Route 66 からリリースされた彼の古い録音のリイシューでした。
それによって New York のクラブ Tramps に出演した際に共演した Billy Butler の知名度のおかげか New York Times にもその出演が採り上げられ、そのことが契機となって録音のチャンスが与えられた、ってのがこの AL-4771、One More for the Road だったのです。
それが 1986年のこと、そしてリリース元は Blue Side レーベルで、このリリースによって彼は数々のフェスティヴァルにも出演するようになりました。
しかし、その Blue Side は 1988年に倒産してしまいます。それも TV ショーで Ruth Brown と組んで注目もされる、って直前に・・・

で、それを拾い上げ、リマスタリングして再発したのが Alligator っちゅうワケですね。
ですからプロデュースにも監修にも Bruce Iglauer の名前は登場いたしません。
そんなワケで、このアルバム、これまでの Alligator とは「まったく」肌合いの異なるサウンドで、良くも悪くも「クラブ」でございます。
なんだかハリウッド映画にでも出て来そうな、男女が語らうクラブでのシーン、背後に流れていそーな「音」、まさにそれですねえ。
テイストはあくまでもジャズィに、そしてマチガイなく「洗練された都会のナイト・シーン」でございます。けっして犯罪の多発する荒廃した「都市」なんぞではなく、ね。
お手元にはムーン・シャインなんて安酒ではなく、おっされ〜なカクテル(ドライ・マティーニ、そうだなヴェルモットは一滴だけ・・・)。そんなシチュエーションにこそマッチする Charles Brown、ワタクシもかって彼の Trouble Blues を採り上げておりますが、それはこの Alligator 盤の音源から 27年も遡る昔の録音でございます。

4774-4775

AL-4772 のアルバムはまたまた登場!の Lil' Ed and the Blues Imperials の Chicken, Gravy and Biscuits でございました。
こちらはもう説明不要、てなもんですよね。
タイトル・チューンがやたら白人のロックンロールっぽい軽さで始まりますが、コリンズちゃんでお馴染みの Master Charge なんて、おいおい、こんなんもやるんかい?てな節制の無さでまことによろしい(?)
ただ、Blues for Jeanette や Got My Mind Made Up なんて聴くと、Hound Dog Taylor みたく連続 5時間でも、みんなを踊り続けさしてやるぜ!っつうスタンスとはちょと違う、じっくり聴かせたい、なんてえ野心(?)も感じちゃうんですが・・・
ま、音の幅は広がってますが、問答無用でじじぃばばぁまで席を立たせて踊らせちゃうぞ!てなパワーとしては「ダウンしてる」んじゃないかなあ。

さてと・・・次ですねえ・・・

なんて、まったくヴォルテージが上がらないのも仕方ありません。
次の AL-4773 ときたら、ワタクシ、ま〜ったくもって、毛ほどの興味も持てない「シンガー」、デルバート・マクリントンのアルバムだからなのよねー。
ま、ワタクシはキョーミ無いけど、ヒョっとしてこのひとの歌がだ〜い好き、なんて方もきっといるんでしょうね。探せば。
もちろんワタクシなんぞ足元にも寄れないくらい「はるかに」歌はウマいし、ゲージュツ性も高いのでございましょう。でも、だからと言って I've Got Dreams To Remember を歌える、なんて思うとは片腹痛い・・・なんてことは「思ってもいません」が、まあ、ホメようが無いっつ〜か、どー見ても書きようが無いので、単にタイトルを記しておくだけにします。
AL-4773、Live from Austin

かわっての AL-4774 は、ふたたび Bob Greenlee の King Snake Studios からの Kenny Neal、Devil Child でございます。
でございますから、これもとーぜん録音時のプロデュースは Bob Greenlee と Kenny Neal 自身が行っており、Bruce Iglauer はシカゴ、Streetville Studios でのトラック・ダウンにのみ立ち会っております(あ、そういう記録があるワケではなく、Executive Producer と記載されているから、たぶんそうだろう、ってえ「推測」でございますが)。
このアルバムではキーボードに Lucky Peterson、ベースが Bob Greenlee と Noel Neal、ドラムは Jim Payne という顔ぶれで、他のギターを入れてないんですねえ。
しかし聴いていただけば判るよに、ちゃ〜んとサイドを切ってるギターが入っておりますが、そこらは「もちろん」多重録音ってヤツでございましょう。
で、ベースでございますが、Alligator 録音ですと、割とキチンと「この曲じゃ誰」とクレジットされたりしてるんですが、そこらまあ大雑把っちゅうか気にしてない、っつうか、どっちがどの曲で、ってのがさっぱ判りません。
しかも前作と比較しようにも、「いつもそう」なんで、結局なにも判らないのよねん。
ま、一曲目の Any Fool Will Do なんて、まあ Johnnie B. Gayden ほどじゃあないにしろ「ガイン・ゴイン」とスラップっぽい音させてるんで、ヒョっとして Kenny の兄弟の Noel Neal かいな?なんて気もしないじゃありませんが、もちろんなんの説得力もございませんね。

どっちにしても、「現代のブルース」としちゃあ、こんなベースだったら嬉しいなあ、てな感じはいたしますねえ。
どっちかってえとブルースのベースっちゅうと「締まりの無い」ボワンボワンな音で「いいのだ」みたいな認識があるみたいなんですが、やはりねえ、ずっしりとダンピングの効いた「座りのいい」音のほうが(ちゃんと弾きさえすりゃ、だけど)ドライヴ感も出るんですよねー。
ま、日本のブルース・シーンって、いまだ 1950 & 1960年代の音で「ストップ」してるようですから、そうゆう「伝統芸」の世界じゃ言うだけムダ、ってもんでしょうが。
てなことはともかく、このアルバムのうち 8 曲が彼自身、作曲に参加したものであることからも判るとおり、ここでは Kenny Neal のソング・ライターとしての面が良く出ている、と言えるのではないでしょうか。

続く AL-4775 は Kinsey Report の Midnight Drive です。
相変わらず Nowhere To Go, Nothing To Lose みたいなねっちょり(?)系のスローじゃヴォーカルとギターの絡ませ方が絶妙ですねえ。
もちろんピコピコ系(ってなんじゃそりゃ?)もいいんですが、どうしてもそうゆうとこだとベースがちともの足りない!
ああ、ここに Johnnie B. Gayden のベースが入ってたらなあ・・・なんてつい「無いものねだり」をしてしまうのよねー。

4776-4779
Ultimate Mojo!

続いては AL-4776、Little Charlie and the Nightcats の The Big Break からですね。
ま、このひとたちは例によって例のごとしで、格別セツメーの必要も無さそなもんですが、それでも前よりは「ちと」おとなしくなってるよな気がするんですが・・・
I Beg Your Pardon なんて、ちょっと Otis Rush を思わせるこてこてのスローブルースっぽい線にもチャレンジしてますし、そこら Alligator っつうレーベルの位置を意識したんでしょか?
ま、たぶん、「そんなことはない!」ってのが正解でございましょう。
ま、この方たちは、そのファンにとっては存在価値があるんでしょうね・・・なんて実に冷たいコメントではございますが、ん〜、別に嫌いっちゅうこともないんですがねえ。ま、そりゃ確かに、こいつらいなくてもいっこも困らん、ってのもそのとおりなんですが。

次の AL-4777、Katie Webster の Two-Fisted Woman は、ワタクシ個人といたしましては、前作「〜 Queen 」よりも遥かに「落ち着いてて」好きなんですよね。
ムダにイキんでないし、ある種の静謐さまでも湛えつつも、その奥に休火山のような情熱を隠しているような不思議な迫力・・・
なまじクイーンらしく、なんてヘンなバイアスがかかってないのが良かったのかもしれません。
そんな能書きなんぞたれなくても、C.Q. Boogie なんて快調にブっとばせば、誰だって、うぁ!コイツ、ただもんじゃない!ってのが判りますからねえ。
また Never Let Me Go なんて、あの Sea of Love のライヴ・ヴァージョンなみのクォリティで聴かせてくれます。
そりゃ確かに、キョーレツな個性ってとこまでは行ってないかもしれないけど、その曲の持つ世界を過不足なく描きだしていると思うんですよね。

ただ、むしろ Money Honey or Honey Hush のような、ややリズムが立った曲では逆に浅くなってしまう傾向があるように思えるのですが、それはワタクシだけの偏見なんでしょか・・・

かわって AL-4778 はまたしてもティンズレー・エリスで Fanning the Flames
う〜ん、どーしてもあたしゃあ、このヴォーカルが気に入りませんねえ。ムダにリキんでばっかりで、なんだかよけーウソ臭くなってる、なんて言うとヒド過ぎますかねえ。
もっとも、ホンモノじゃあエグすぎて、白人が演奏するこの手のなら聴ける、なんて方には存在意義があるのかもしれませんが。

・・・さて、みなさま、お待たせいたしました!
え?誰も待ってねえ?
なはは、そんなもんかもしれませんなあ。でもいいのじゃっ!
誰がなんと言おうと、Got My Mojo Working の白眉!最高峰!リーサル・ウェポン!(・・・ほらほら、ここまで言うと青筋が立ち始めた方がそこにも!)
やはり東京・目黒の Blues Alley Japan でナマの直撃弾を浴びてしまったせいもあるとは言え、もうこの Got My Mojo Working を知った後では Chess には戻れまへんなあ。
さよう、我が最愛のクソじじ・・・うっぷす、キョ匠、Clarence "Gatemouth" Brown の Standing My Ground、これが次の AL-4779 なんですねえ。
なんたって、ワシのやっとるのはブルースじゃない!ブルースマンと呼ぶな!なんて無茶を言って熱烈なファンをハゲさしちゃうくらいですから、まっこと「ご無体な」傍若無人ぶりではございますが、あたしゃあ大好きですね。だって別に世話しなきゃなんない、なんて立場になったこともないし、なんの被害も蒙っておりませんから。がはははは
ま、そんなじーさんのこってすから、収録された曲のタイトルだって I Hate These Doggone Blues なんて、ホントひとを喰ってますよねー。
このアルバムには「まったく」Bruce Iglauer の手が入っておりませんで、よくある King Snake Studios 由来のマルチ・トラック・テープを Bruce Iglauer が立ち会ってミックス・ダウンする、なんてパターンじゃなく、録音からミックスダウンまで暮らしを・・・あれ?そりゃ違う業界じゃった。
え〜、録音は Louisiana 州の Metairie の Southlake Recording Studios と New Orleans の Ultrasonic Studios。そしてトラックダウンも Ultrasonic Studios で行われ、いわば「完パケ」で Alligator に持ち込まれています。

Born in Louisiana や She Walks Right In(新録)なんてナンバーもいいですが、なんたって Got My Mojo Working!この一曲のためだけでも買う価値があるっ!・・・ってのはワタシみたいな "Gatemouth"マニアの場合で、1960年代までのシカゴで「ココロの成長」が止まっているファンダメンタリストのみなさまには「おススメいたしません」

1990

どーにか AL-4779、Clarence "Gatemouth" Brown の Standing My Ground で 1989年を終えて、よーやく 1980年代を締める 1990年の Alligator でございます。

その最初っから、なんじゃこりゃ?てなアルバムなんですが、AL-4780、Saffire...the Uppity Blues Women、これまた録音は Florida 州 Sanford、と言えばもはやお馴染みの King Snake Studios で・・・
でもいつもとちゃうのは Bob Greenlee がプロデュースに参加しておりません。
さらに「もっと」いつもとちゃうのは Virginia 州 Springfield の Bias Recording Company でなにやらその上に録音を付け足し、トドメはシカゴではあるけれど Chicago Recording Company ってとこでトラックダウンを行った「完パケ」として Alligator に持ち込まれておるのでございますよ。
もちろんライナーに、なんでそうなのか?なんてことが書いてあるワケもなく、したがって、こっから先はまったくもってワタクシの想像・・・いや、妄想、と言ったほうが当たっているかもしれませんが、なんだか彼女たちの来歴を見てみると、みな、「かなりのインテリ」なんですよね。
ですからヒョっとすると、これまでどおりのミュージシャン&プロデューサーのカンケーで「安直に」アルバムを作っちゃう、ってえメソッドに抵抗があったのではないか?なんて思ってるんですが、さて、真相はいかに?

なんてことを考えたのは、このアルバムでの「音」にも影響されているのは確かで、またイヤミたっぷりに聞こえるでしょが「白人が好きそうな、アコースティカルでお上品な」ブルース(ま、あたしに言わせりゃ「ブルースみたいなもん」)が、その手のマニアに受けそうなクォリティでカッチリ出来上がっておるからなのよねー。
タマにいますからねえ、ブルースっちゅうと「ロックと違って」お上品でなくっちゃあ、なんて方。
ワタクシには、どっからそんな発想が出てくるのかさっぱ判らんのですが、少なくともそんな方々は barrelhouse 04、Chicago Boogie に収録された Little Walter と Othum Brown の I Just Keep Lovin' Her のダイナミズムなどハナから理解出来ないんじゃないかな。
だったらブルースなんかやるなよ・・・とココロのなかで呟くだけにしております、いまのとこは、ね。

この Saffire、三人の女性で構成されていて(あ、ハープだけは男性がゲスト参加しとるようですが)、当然ギターもベースもアコースティック。
離婚して子供を連れて自立した、しかも、純然たるアメリカン・メジャーたる WASP(白人、アングロ・サクソン、プロテスタント)には属さない、などという別なファクターもあるのでしょうが、マチガイなく彼女たちは「ウケた」らしく、この the Uppity Blues Women の後もアルバム 7 枚を Alligator からリリースしているんですねえ。
ま、「当たり前の」ブルースじゃわたくしにはエグ過ぎて、などという「おじょーひん」なお方には「これだったら聴いていられる」てなものかもしれませんです、はい。
こんなん(「こんなん」?)でも聴いてるうちに、ちったあマヒして来て、ホンモノのブルースに対する抵抗も薄れたりすることもあったりしちゃったりするかもしれない、って考えれば、それなりの存在意義はあるのかも。

え〜と、次も白人かあ・・・しかも、このアルバム、これから書くけど、一曲の一部(?)以外、まったく聴いたこともないんでロンピョーしようが無いなあ。
AL-4781、Ace of Harps・・・チャーリー・マスルホワイトって読むの?済みませんねえ、まったくキョーミ持てなかったもんで。
あの Alligator の創立 20周年記念コレクションってのあるでしょ?そのなかで一曲、上でもちょっと名前が出た Little Walter の I Just Keep Lovin' Her に似た構成のナンバーで Leaving Your Town ってのが収録されてまして、それで聴いたことがあるだけなんですが、歌前のハープなんかは別にいいんですよ。でも、歌い出したらもうダメ!変に気取った歌い方で、ワタシゃこゆのゼッタイに付き合えません。だからアタマから流して聴いてるときは、必ずここでスキップしちゃう、ってえナンバーがこのチャーリー君のでございました。
このアルバムも Bruce Iglauer の手が入っておらず、録音は California 州 Menio Park の Music Annex、ミックスダウンが San Francisco の One Pass Studios となっておりますので、これも「完パケ」での「納品」でしょね。

別にヤケクソってワケじゃないけど、次の AL-4782 も白人だぜ、イェ〜!
ただ、the Paladins の Let's Buzz! っての、ヘンにハズれた「思い入れ」でブルースを、なんてスタンスじゃなく、ネは「ろけんろー」なせいでしょか、聴いててもけっこう、これはこれでアリだな、なんて思えちゃうんですよねー。
特に Keep On Lovin' Me Baby なんて、オレたちもブルースやるぜ!なんてんじゃなく、この曲いいよねー、オレたちもやってみよか?あんまりブルースになってねえかもだけど! あははは
・・・てなフンイキを感じます。そして「あの」Kddio までやっちゃってますよー。もち、Brook Benton じゃなく John Littlejohn モデルですけどね。
それがまあ、なんとも楽しそうで、なかなかいいっす。
これも録音はシカゴじゃなく Los Angeles の Sunnyside Recording Studios でマスタリングもロスの the Mastering Lab ですから、「完パケ」納品でしょね。

Papa Neal

1990年の Alligator 4枚目、AL-4783 は、ってえと、やっと Real Blues の登場ですねえ。

ご存知 Raful Neal の King Snake 録音、Louisiana Legend でございます。
先に息子の Kenny Neal が本稿では出て来ておりますが、もちろんブルースマンのキャリアとしてもこの「父ちゃん」が先行しているのは「当たり前」で、その初録音にしても、息子の Kenny Neal が生まれた直後に、すでに Peacock にシングル、Sunny Side of Love を吹き込んでおります。
その後 La Louisiana、Whit なんていう地元レーベルにも吹き込んでいますが、全国的な知名度を得るのは 1987年、Fantastic レーベルからリリースされた 2枚目のシングル、Man, Watch Your Woman(そう!あの J.B. Lenoir の名曲 Mama, Talk to Your Daughter と Parrot 809 でカップリングとして 1954年にリリースされた曲でございます)が BLUES FOUNDATION of MEMPHIS によって Blues Single of the Year にノミネートされるほどのヒットとなってからでした。
それを受けて、さっそく Bob Greenlee が動き、Fantastic と「協力して」 1987年に作り上げたのが、このアルバム、という成り立ちのようでございます。
そのような経緯ですから当然プロデュースは Bob Greenlee と Kenny Neal(もちろんバックでギター)の共同で、バックには Kenny Neal 以外にも、例の the Midnight Creepers から Bryan Bassett(ギタリストであるばかりではなく、レコーディング・エンジニアでもある)、Ernie Lancaster、Noble "Thin Man" Watts などが参加しております。
その King Snake Studio で録音されたマスターはそこでミックス・ダウンも経て King Snake/Fantastic からすでにリリースされていたものですから、その最終マスターはシカゴではなくニューヨークの DMS でリマスタリング処理を施され、Alligator から発売されました。

続く AL-4784 は Koko Taylor の Jump for Joy
Tired of That や I Don't Want No Leftovers じゃ Billy Branch のニュアンスを含んだハープが聴けます。で、あとはいつもどおりの Koko Taylor。
・・・なんて言うとミもフタもないけど、どうもこのひとって、プレゼンスはあるんだけど、なんか「常にイキんでる」感があって、しょーじき言うとちょい苦手なんですよねー。
スゴい!とは思うんですが。

かわっての AL-4785 は前述の Bob Greenlee のバンド the Midnight Creepers のホーン・セクションの要たる Noble "Thin Man" Watts の Return of the Thin Man
この Noble Watts ってひとは 1926年に Florida 州 DeLand に生まれています。
サックスという楽器は黒人家庭にとっては「趣味で買う」には極めて高価な楽器ですから、だいたい息子がサックスを吹きたい!なんてダダこねても、それじゃまずこれからだな、なんて誤摩化してハープを与えとく、てな「高嶺の花」でございました。
ところがこの Noble Watts は幸運にも、ハイ・スクール・バンドでサックスと出会うことになります。
当初はピアノだったらしく、そこからヴァイオリン、トランペットと遍歴を重ね、最終的に落ち着いたのがテナー・サックスでした。
やがて Florida A&M(おそらく Agricultural and Mechanical、つまり農業工科大学)に進み、そこのマーチング・バンドでは Cannonball と Nat の Adderly 兄弟とも一緒に演奏していたそうです。
卒業後には R&B のバンド the Griffin Brothers に入り、次いで Paul "Hucklebuck" Williams(かって Jimmy Spruill も在籍してた)とともに初期のロックンロール・レビューのツアーの日々で Fats Domino や Chuck Berry などのバッキングを経験することとなりました。
またこの時期、数々のヒットとなった曲の録音に参加もしています。
1970年代には Apollo Theatre のハウス・バンドの一員としても活動していたようですが、なにか限界でも感じたのか 1983年には故郷の DeLand に戻り、地元でたまに演奏する、という生活だったらしいのですが、そんなプライヴェートなパーティでの演奏に目をとめたのが Bob Greenlee でした。
Noble "Thin Man" Watts の才能を認めた Bob Greenlee は 1987年に King Snake Studio で彼のカムバック・アルバムを制作し、それがこのアルバムなのです。
例によってプロデュースは Bob Greenlee、一曲だけですが Taj Mahal が録音に参加してますねえ。
ま、ぜんぜんカンケーない話ですが、なんでブルースのミュージシャンが、ムガール帝国のシャー・ジャハーンの妃、アルジュマン・バーヌー・ベーガム(でしたっけ?)の墓所たるムムターズ・マハル、つまり「タージ・マハル」の名前を芸名にしとるのかワシゃ理解できん・・・
てなことはほっといて、このアルバム、全体にちょっと面白いスタンスなんですよねー。

ご本尊たる Noble "Thin Man" Watts のかなり「じゃずぅい」なサックスは、イーストコースト・ジャズっちゅうよりは、むしろもっとポピュラーなテイストもあるのですが、それでもかなりジャズっぽいテイストは香っております。
なのに(?)そのバックでは「ジャズではゼッタイあり得ない」空間系のエフェクター(特にワタシの嫌いなコーラスとかね)をドたっぷりとかけたギターが堂々と存在を主張しているし、ベースだってランニング系のスケールは選んでますが、そのトーンは「明らかに」よくダンピングの利いたファンキーさに溢れてるし、ドラムもびしびし!とインテンシティを前面に出してる・・・この総合がまた意外と魅力的なのよねー。
そして Look Under the Wing での「がっついてない」ヴォーカル、いい味だしてますよ。

ブルース、そしてサックス、となると A.C. Reed!ってえのがブルース界の常識なのかもしれませんが、ワタクシ、彼のアルバムの紹介のとこでコクハクしたとーり、A.C. Reed にはどうも馴染めないんですわ。
もしかしてワタクシと同じよに感じる、なんて変わった方には、この Noble "Thin Man" Watts、本気でおススメいたします。ゼッタイこっちのほうが「いい」!

Be Bad!

1990年の Alligator、続いてはロニー・マックの Live!--Atack of the Killer V。どうやらこのむりやり装着したトレモロ・ユニットがみっともない Flying "V" を「キラー V」と呼んでるみたいやな。1989年末のライヴ音源。

次の AL-4787 は、すでにこの時点で死後 1/4 世紀を経ている Sonny Boy Williamson がデンマークのコペンハーゲンで 1963年に録音した Storyville のアルバム、Keep It To Ourselves のリイシューでした。
このときのバックは Matt Murphy に Memphis Slim、そしてドラムに Bill Stephney、とクレジットされていますが、ほとんどの曲は Matt Murphy のギターをバックに、あるいは一部では Memphis Slim のピアノだけをバックに、という「つまらない」録音が多く、唯一勢揃いした「活きた」ブルース Movin' Out では、ヘッドフォンで検聴してもあまりハッキリしないのですが、聴こえているよな「気もする」低音がピアノじゃなくウッドだったら、Willie Dixon かも?なんて一瞬だけ思ったりもしましたが、音高が安定してることから言ってもフレットレスなウッドベースじゃない=ピアノ低音弦、っちゅうことなんでしょう、きっと。
にしても、この手の音作りって、いかにもヨーロッパの「フォーク」ブルース好きが好みそうだよねー。
なんだか、シ〜ンとした会場にゃタキシードにイーヴニングっちゅう紳士淑女がお行儀よく着席し、実に礼儀正しく謹聴して、一曲終わるごとに熱心に拍手する!・・・そんな「うっそだろ?」っちゅう光景をヨーロッパ・ツアーの映像で見てショック(?)を受けたものでしたが、まさにこのアルバムは、そういった捉え方の延長線上にあるようでございます。
まあ、別に Sonny Boy Williamson II にゃあ恨みはございませんが、このアルバムはなんだかなあ・・・と思ってたら、「ちゃんと」Alligator では「廃盤」になっておりました。うん、実にケッコウ(?)。
あ、もちろん、うんにゃ、ワシゃこうゆうブルースが好きなんじゃ!ドラムなどつけるなんてもってのほか!・・・なんてマニアのみなさまには、Storyville 盤がまだ残されておりますのでそちらをどうぞ。
まあ、なんだっていいけど、「もってのほか」なんて言うコトバを使ってるひとって、だいたい「凝り凝り」の石頭が多そうだから、そんなヤツらにゃ近づかないほーがいいよ。うん。

ところで、その生年が取沙汰される Sonny Boy Williamson II ですけど、最近また気になる資料を発見しました。
http://bluesnet.hub.org/readings/sbwII.html ってとこで、数々の証言から、実はもっと若くて、1912年の生まれではないか、って説が出ています。
だんだん、本人よりも年長で信頼できそうな証言をしてくれる年代が「すでに他界してる」ことが多くなって来てますから、なかなか新説ってのは出てこなくなるんですが、果たしてこれが最後の切り札になるんでしょうか?

かわっての AL-4788 はまたまた白人でウィリアム・クラーク。キャリフォルニア生まれのハーピストで、まあマジメにブルースやってます。
自費でアルバムも出していたようですが、テープを Alligator に送ってみたところ、Bruce Iglauer はその演奏のみならず作曲の才能も気に入ったらしく契約が成立し、そこでリリースされたのがこの Blowin' Like Hell で、もし Alligator が契約しなければ 6 枚目(!)の自費アルバムになってたそうで・・・
したがって当然セルフ・プロデュースで録音は California 州 Culver City の Pacifica Studios。
ウッド・ベースを使ったりして、そこらのツボは押さえてまして、その後も Alligator からリリースすることになったようでございます。よかったね。

続いての AL-4789 は以前この日記でも採り上げた I'm Free などを収録した Lucky Peterson の Triple Play
なんたって 3 才で初ステージ(!)、5 才で初吹き込み( !! )6 才で Ed Sullivan Show に初出演( !!! )という、絵に描いたような「神童」として注目された Lucky Peterson ですが、ヴォーカルはもちろん、楽器ではギター、そしてキーボード(ピアノとハモンド)を自在に弾きこなし・・・
と来ると、「もしかして」と案じる方も出てくるでしょが、ま、多少は「器用貧乏」っつうか、他人のバックじゃものスゴいプレゼンスを発揮してその参加したセッションのクォリティをアップさせてくれるんだけど、カンジンの自分のリーダー作品じゃ「いまひとつ」ってな傾向が「無きにしも非ず」でございましょうか。
このアルバムも「いつもの」King Snake Studio で「いつもの」the Midnight Creepers の面々をバックに手慣れた音で彼の世界を繰り広げて行くのですが、どうも「やりたいこと」を「出来ること」が上回っている、っちゅう、ある種の「もったいなさ」を感じてしまいますね。
ま、ひとことで言っちゃうと、ヴォーカルが、お人柄なんでしょか、「悪さ」が足りない、っつうか「いい人すぎる」っつうか、なんでそれじゃいかんのじゃ!と怒られるかもしれませんが、そこらいわく言い難い世界があるんですわ。

例えとしちゃヘンですが、「あのひと、ホントいいひとよね〜」なんて言われるひとは名シェフやら名コック、一流の板前には「滅多」いないんですよ。
ホントに旨い料理を作れるのは「ひとが悪い」ヤツ。
これはワタクシの実感でございます。
で、いささか「強引」の誹りは免れないでしょうが、音楽もそーぢゃないか、と。
ここでいう「悪い」ってのは犯罪に手を染める、ってのとは違う意味でね。

なんていうと誤解して「悪い生活」→酒浸り、オンナ漁り、不義理を重ねる・・・なんてのがブルースマンの生き方だ!なんてカン違いする青少年もいそうですが、ちゃうのよねー。
「悪い」ってのはそんなヒョーメンテキなとこじゃないのよ。判る?

Quad Harp

さて、AL-4790 はスゴいぞう!
HARP ATTACK! っちゅうタイトルもスゴいけど(そしてジャケットの写真もね)なんたって「これでもか!」っちゅうくらいハーピストを集めた、まさにハーピストにとっちゃあ「夢の共演」ってヤツでございます。
まずは Junior Wells。そして James Cotton、さらに Carey Bell に Billy Branch!ぐぉ〜。濃ゆいですねえ。エグそうですねえ。
いわば、この四人が Quad Front ということになるワケですから壮絶ですよ。ですからバックだってガンバらないと、ってんで(?)キーボードに Lucky Peterson、ギターが Michael Coleman、ベースは Johnny B. Gayden(!)ドラムに Ray "Killer" Allison っちゅう布陣で録音に臨みます。
他に二曲だけ参加したギターの George Baze ってのもいたようですね(このひとについてはワタクシ、さっぱ判りません。どこのどなたやら・・・)。
このアルバムは、これまでライヴの現場などで交流を重ねてきた四人が、一堂に会して録音する初めての機会だったワケで、おそらくこんな企画はそうザラにあるもんじゃないし、また思いついても出来るものじゃありません。
たとえば一曲目の Down Home Blues ひとつを採り上げてみても、まず最初に James Cotton が歌ってハープ・ソロ、それに続いて Billy Branch が歌いハープでソロ、そして Junior Wells の歌とソロ、で Carey Bell も歌ってソロをとる・・・こんなふうに次々とプレイヤーによる違いも、逆に共通するものも「まのあたり」に出来る音源なんて、そうそうあるもんじゃありません。

もちろん、全曲がそんなふうな構成ではなく、曲によっては Who のように Billy Branch をメイン(!)にそこに James Cotton が加わったり、ヴォーカルもソロもゼンブ Junio Wells っちゅう Keep Your Hands Out of My Pocket みたいなの、Hit Man では Carey Bell が中心・・・などとさまざまなスタイルが収録されています。
ま、ワタクシはハープ、ぜ〜んぜんダメなもんで、ほんとーの意味でこのアルバムの「有り難み」が判ってるのか?と言われれば、ちとアヤしいのではございますが、おそらく、ブルースのハープを志す方々には「佳き」アルバムなのではないでしょか?
おそらく、そこらへんはいずれ江戸川スリムさまからヒトコトあるやも?

・・・とゆうような「こってこて」の後はちょうど一息入れるにゃ最適な(?) Elvin Bishop クンの Don't Let the Bossman Get You Down! でございます。
この AL-4791 三曲目の Murder in the First Degree なんてホント、タイトルとはうらはらに、実にまあ「のどか」っちゅうかおっとりした音が相変わらずでキンチョーも解けますねえ。
気取らないヴォーカル、楽しんで弾いてるよなギター、すっとぼけた構成・・・などなど、やはりこれは「お人柄?」てな独特なテイストがここでも輝いてますよ。
これもまた彼のアルバムらしく(?)録音は California 州 Richmond の Straight Sound と同じく Lagunitas( San Francisco から 11時の方向に 36km ほどのところに位置する町)の Hog Heaven で行われ、マスタリングはニューヨークの DMS ですから、これには Bruce Iglauer の手は一切、入っていません。
あ、Just Your Fool ではギターに Luther Tucker が参加しています。

つづく AL-4792 は Nappy Brown の Tore Up!。あ、どーでもいいけど、この段で採り上げたのってせんぶタイトルが「!」で終わっているのねん。
Nappy Brown と言うと Night Time Is the Right Time で有名(か?)ですねえ。
それを 1950年代にヒットさせ、その後も多少のヒットはあったけど 1960年代から次第に知名度も落ちていき、やや低迷してたワケですが、1984年に Landslide Records に録音した Tore Up、つまり本作品でふたたび注目を浴びるようになり、そして 1990年にはこうして Alligator からリリースされていっそうそのプレゼンスを増した、てなワケでございます。
そんな経緯ですから、とうぜん Landslide サイドで制作したマスターを、例によってニューヨーク DMS でリマスタリングしてリリースされています。
このアルバムでいっちゃんオモシロいのは Hidden Charms かもしれません。もちろん、ここはゼヒともウルフと対比さして聴いていただきたいのでございますが、まあ、好きずきではあるのでしょうが、この Nappy Brown の Hidden Charms、なんだか安っぽいハリウッド映画で気楽に BGMとして使いそうなポピュラーみたいな仕上がりで、いささか、いや「かなり」拍子抜けいたします。
なかにはこっちのほうがいい!なんて方もいるかもしれませんが、あたしゃあ「ガックリ」でしたねえ。
この名曲をまあ、こんなにしちまって・・・てな感じ。それでもギターは「ちょっと」 Hubert Sumlin を意識してるよなとこもあってまだいいんだけど、この Nappy Brown の歌はねえ・・・なんだかオモシロそうな曲だから歌ってみました、的な「軽さ」があんまり馴染めませんねえ。
で、ついでと言っちゃなんですが、アルバムに収録された最後の曲、You Can Make It If You Try は「とーぜん」Sly and the Family Stone のそれではなく、あの Championやら Poncello、さらには Ref-O-Ree に Calvert、Cherokee、Valdot、Spar なんて零細・・・うっぷす、マ、マイナー・レーベルの数々に関わった Ted Jarrett が Gene Allison に 1957年に歌わせてヒット(もっともヒットしたのはマイナー・レーベルからじゃなく、それが Vee-Jay からリリースされたせい、ってのもあるんですが)したほうの You Can Make It If You Try でございます。

Too mellow?

1990年も残り二作となりました。

そのひとつ、AL-4793 は、あのシカゴを代表する(らしい)ホーン・セクション、ときには Alligator のレコーディング・セッションにも参加していた(でもあたしに言わせりゃ、Bob Greenlee さんちの King Snake Horns に「負けてる」)the Mellow Fellows・・・って、ん? Big Twist は?

そうなんですよ、その名のもととなった巨体はやはり健康に問題があって、実はこの 1990年の 3月14日、糖尿病およびその合併症から、1937年 9月23日生まれの Larry "Big Twist" Nolan は死亡してしまっていたのです。
前作、1986年のライヴ Live From Chicago - Bigger Than Life 以降、健康状態がかなり悪化していったらしく、シカゴ周辺で活動していた Larry and the Ladykillers の Martin Allbitton をヴォーカルとしてギグを行ったいたようなのですが、Big Twist の死によって、この作品では彼がヴォーカルをとることとなりました。
また、この作品まではグループ名も the Mellow Fellows のままですが、この後、the Chicago Rhythm and Blues Kings と改名しています。
で、その新しいヴォーカルを入れてのこの Street Party ですが、ま、基本的にゃあまり変化は無いかな?
さすがにヴォーカルの感じは変わっていますが、「前の」にもさほど執着も(興味も?)無いワタクシとしちゃあ、ま、いいんじゃないの、てなムセキニンな感想しかございません。

ただ、ここでも Feels Like Rain をやってるんですが、さすが Buddy Guy、Carl Weathersby のに比べちゃうと、まあ、なんてんでしょかねえ、メロー過ぎるっちゅうか、なんだか「さあみなさま、この曲でさまざまな思い出が走馬灯のように蘇るかたも多いのではないでしょうか。では歌っていただきましょう・・・ Feels Like Rain!」てな「歌謡ショー的」ノリを感じてしまうワタクシが「ヘン」なんでしょね。
ええ、ええ、きっとそーざます。

なんてバカ言ってないで次、行きましょ。

・・・と言っても、次は恒例、ごた混ぜドンブリの V/A、Genuine Houserockin' Music IV、つまり AL-104 なのよねー。
ま、それでもその一曲目が、わが最愛の(?)Clarence "Gatemouth" Brown の Got My Mojo Working ってのがちょと嬉しい。
で、Elvin Bishop クンは Rollin' With My Blues か・・・ワシならちゃうのを・・・ってまあ、どうせみなさん、わざわざ買いやしないでしょうからいいんですけどね。

と言った舌の根も乾かないうちになんですけど、実はワタクシ、この一枚だけは某中古 CD セールで 500円!っちゅう値段に目がくらみ、買ってしまったんですねえ。
でも、その後、これ聴いてみて、って誰かに貸したよーな気がするんですよ。
いま探しても見当たらないし・・・ま、いっか(?)。

1991

Year of
20th Anniversary

さあ、いよいよ 1991年! Alligator の 20周年でございますよ〜っ!
とゆう意味では真っ先に紹介せなならんのが、その 20周年記念ダブル・アルバム、AL-105 でございましょ。
これは Bruce Iglauer 自らが、過去 Alligator がリリースしたすべての音源からセレクトして構成した 35曲からなっており、ま、有り体に言えばミソもクソも一緒!(んまあ、お下品なヒョーゲン!)てなアルバムですから、ハッキリ言っちゃうと拡販用のメディア用アルバムとあまり変わらん、てな気もしないではないのですが、そこらはあまりつっつかんとこ。

え〜、いちおうめぼしいとこだけでも紹介しとくってえと、まずは Hound Dog Taylor の Give Me Back My Wig
そして Albert Collins と Johnny Copeland の Black Cat Bone
Professor Longhair は Big Chief
Lucky Peterson の I'm Free
Kenny Neal は Look But Don't Touch
Elvin Bishop クンは Fanie Mae
Jimmy Johnson の Serves Me Right To Suffer
Gatemouth は Born in Louisiana
Katie Webster が Pussy Cat Moan
Lil' Ed で You Don't Exist Any More
Son Seals は Going Back Home
Lonnie Brooks は当然 Eyeballin'
the Kinsey Report の Full Moon on Main Street
Clifton Chenier は I'm the Zydeco Man
Pinetop Perkin で Blues After Hours・・・

ま、各人、一曲だけ(あ、Albert Collins ちゃんだけは Johnny Copeland と、もひとつ単独で Brick もやってるけど)っちゅうのがちょと恨めしくもありますが、なるべくいろんなヒトを入れたい、っちゅー拡販用途の面からは、これが正解なんでしょね。
ま、ワタクシは「お祝い」の意味で付き合って買いましたが、おかげで名前だけは聞いてたけど、これで初めて音を聴いて、「ダメだこりゃ」となったのがありましたから、それなりに役に立った(のか?)っつうことやね。

20周年アルバム AL-105、The Alligator Records 20th Anniversary Collection に続いたのは、ティンズレー・エリスの AL-3905 ・・・そう! AL-47XX で来たブルースのラインから、他レーベルから提供された音源に使ってた AL-39XX のシリアルに変わっているんですねえ。
いえね、別に 39XX だからどう、ってことも無いんですが、前のは 47XX シリーズで、今回は 39XX ってのが「?」なだけざます。

そりゃ声とか聴くとモロ白人!ってなとこはありますが、でもタイトル曲の Cool On It なんて、あの Lowell Fulson の Tramp を現代に蘇らせた(?)てな歯切れのいいナンバーですし、しょっぱなの Drivin' Woman や Time To Quit なんてとこでもけっこーブルースっぽいんですが、まあ、途中にねえ、Second Thoughts なんて、the Beach Boys を彷彿とさせるサウンドやら、スライドではあるけど、ブルースのクリシェばかりじゃない広がりを持った Sailor's Grave On the Prairie なんて肌合いの異なった曲が入ってくるせいなんでしょか?ちょっと変わったテクスチュアに溢れてますよ。
で、なかには、やっぱり!とそーぞーしておられた方もいるでしょが、ワタクシ、このアルバムは「そこそこ」面白い、と思っております。ま、「そこそこ」ですから、あんまりチカラを入れてひとさまにおススメするほどではないのですが、これはこれで楽しめる、っちゅうアルバムじゃないでしょか。「ぜひ!」とまでは申しませんが・・・
録音は Georgia 州 Atlanta の Soundscape Studios。Landslide レーベルからの音源です。

次は、ってえと、またまた白人で「ロックンロール」がベースだけど、Tomorrow Night なんてのもやっちゃう Little Charlie and the Nightcats の San Francisco、SLIMS でのライヴを収録した Captured Live。で、こちらは「ちゃんと」通常の AL-4794 というシリアルがふられています。
ま、このひとたちの音楽は、ワタクシとはちとキョーミの方向がズレてはおりますが、けっこう支持されておるのではないでしょか。

さてやっと Kenny Neal だぜ! AL-4795、Walking On Fire はあの Look But Don't Touch の収録されたアルバムで、そしてモチロンこれまた Florida 州 Sanford、つまり Bob Greenlee の King Snake で録音からミックスダウンまでを行って完成したパッケージとして Alligator に持ち込まれております。

かわっての AL-4796 は、あの白人二人・黒人一人っちゅう女性トリオでアコースティカルな(?)「ブルース」みたいのを演奏するサファイアの Hot Flash
ま、この方々については申し上げることもございません。
こゆのが好きな方にお任せします。

Otis Rush

で・・・と、ちょっと重くなるのは、次のアルバムですが、これはこれでちと「モンダイ」があるからなんですよねー。
AL-4797 は、ついに Alligator にも登場した超大物! Otis Rush!!と「やったぁ〜!パチパチ」とめでたく迎えられるハズだったのですが・・・

あまりレコーディングには恵まれていなかった Otis Rush がかって Vanguard の Chicago/The Blues/Today で関わった Sam Charters によって、スウェーデンのストックホルムで 1977年の 10月に、同地の Sonet Records のために Decibal Studio で録音したもので、当初 Troubles, Troubles, というタイトルでリリースされました。
このオリジナル・マスターが Alligator の手に渡ったのですが、そっからが問題です。
Alligator では(ということイコール「 Bruce Iglauer は」)その音を Otis Rush には「ふさわしくない」プアなレヴェルである、と判断し、「 Otis Rush も気に入っている」という Lucky Peterson のキーボードを「かぶせて」しまったのです。
もちろん、そんな後処理があろうとなかろうと Otis Rush の素晴らしさは変わらないのですが、しかし、だからと言って、本来の演奏者に無断で後のせしても「いいものだろうか?」というまったく別な、大袈裟に言えば「道義的な」問題は残る訳です。

音があまりにもプアだったのでキーボードを加えた、というのは「悪意にとれば」このままじゃ売れないから、もうちょっと華やかにしようぜ、てな計算づく、と捉えられるかもしれませんし、それにやはりっつうか Little Red Rooster なんかじゃ、キビシく聴くと、Lucky Peterson はまだしも、この曲では替わって参加しているもひとりのキーボーダー、Allen Battsのピアノのリズムなんて、1977年10月16日、Stockholm の Decibal Studios の中で流れていたリズムと「シンクロしていない」んですよね。
確かに Otis Rush の素晴らしさは変わらないけれど、まったく「害われてはいない」とまで言い切れるかどうか・・・
その AL-4797、Lost in the Blues(なんだか象徴的なタイトル・・・)に続くのは、AL-4798、Son Seals の Living in the Danger Zone でございます。
ますます円熟味を増した Son Seals の音ですが、そうなればなるほど、ワタクシなぞ、彼のヴォーカルが気になってしかたありません。
そりゃもう、ワタクシなんぞ、 彼の足元はおろか、足あとにさえ及ばないよなド素人ではございますが、ただブルースを「聴いて楽しむ」ファンでもあるワケでして、その部分で言わせていただきますってえと、どうにも、このひとのヴォーカルってのが「歯がゆい!」
いえいえ、ヘタとか声が悪い、なんてことは全然ないんですよ。
そーじゃなく、ミョーに「張ってる」とこあるでしょ?あれがヒジョーに居心地ワルいんですねえ。
おそらくこんだけの声と歌うスキルもあるんだったら、逆に、うんとクールに歌う、ってのをベースにして、時には「張る」ってえコントロールが出来たら、もっと表現力はアップすると思うんだけど、まあ、そんな「戦略」とは無縁に、ココロのままにやってるとこうなっちゃうんだったらしかた無いですよねー。それもまたブルース・・・ってなんでもそれで片付けちゃいけませんけど。なはは

次の AL-4799 は、Lonnie Brooks で Satisfaction Guaranteed。「ご満足は保証いたします」てなタイトルですから、こりゃまたずいぶん大きく出ましたねえ。
そこら、このジャケット写真でいっそう笑えますよね。「ぐふふ、た〜っぷり満足させちゃうよん」てなスケベったらしい視線の Lonnie Brooks の向こうには「あら、ホントかしら・・・期待しちゃおっかな?」なんて含みのある視線を返すネーチャン。ん〜、おバカですねえ。
しかし、そこが大事なんですよねー。この Lonnie Brooks も前述の Son Seals 同様、なんでか「ブルース・ジャイアント」には到達できなさそなとこがあるんですが、彼のいいのは、んなこと別にどーだっていいじゃん、っつう(あ、ホントかどうかは知りませんよ)どっかおちゃらけたとこがあって、それが逆にミリョクになってるよな気がしますねえ。
しつこいけど、このジャケットと、前の Son Seals のジャケットを見比べりゃ、ワタクシの言ってることがちょっとは判っていただけるかも?


別にどっちがいい、とかゆうことじゃなく、「こんだけ違う」っての判っていただければ充分でございます。
この二枚、どちらも Bruce Iglauer が立ち会ってのシカゴ録音なんですが、Son Seals は「いつもの」Streetville Studios が使われて、マスタリングがニューヨークの DMS と公式どおりなのに対し、Lonnie Brooks のほうは、マスタリングこそ一緒ですが、録音は Streetville Studios ではなく、おそらく初出と思われますが Chicago Recording Company というところが使用されています。
あ、そうそう、Lonnie Brooks の録音では、アルバムの最後の曲、If the Price is Right では Koko Taylor もヴォーカルとして参加しております。

A Hundred?

AL-4799 まで進んだシリアル、次の AL-4800 で記念すべき 100枚目!てな捉えかたも出来ないワケじゃありませんが、でもねーゲンミツには、例のティンズレー・エリスの最初は 47 シリーズ、次は 39 シリーズ、なんて「?」な扱いもあるし、それに他のシリーズも通算するとホントの 100枚目はとっくに通過してるハズなんでタンジュンに「わ〜い 100枚だぁ!」なんてヨロコんでる場合じゃないようで・・・

てなことはともかく、いちおー 4701 から始まったシリアルの 100番目は、Johnny Heartsman の The Touch でございました。
で、ワタクシ、無知をコクハクするよーでございますが(え?んなこと、とっくに判ってる、って?)、この Johnny Heartsman、ま〜ったく、いまのいままで「知りませんでした」。
だって 1950年代半ばから 1960年代にかけて Al King や Jimmy Wilson などのレコーディング・セッションで活躍し・・・っちゅう、そもそも、その Al King に Jimmy Wilson だって、たぶんどっかで聞いたことはある名前だけど、そのひとのブルースを「ちゃんと」聴いたことがあるかどうか「あやふや」、てなジョータイですからねえ。
ですから Dick Shurman が当時の録音を聴いて、そのバックで弾いているギターの素晴らしさに衝撃を受けて探し始めた、なんて聞いても、まったくピンと来ません。
もっとも 1967年に、その Johnny Heartsman は結婚生活に破綻を来したことから(か?)、第一線からは姿を消してしまってたようなんですが。
1977年にようやく連絡がとれて、Living Blues のためのインタビューを行い、それを契機として Dick Shurman は Johnny Heartsman のアルバムを作りたい、と思い始め、まず 1980年には Bruce Iglauer にも打診しています。
しかし、その時点での Alligator はまだそのような「ニッチな」アルバムを制作するほどの余力はなく、レコーディングには至りませんでした。
そのかわり(?)1983年には San Francisco のレーベルからアルバムをリリースし、さらに 1988年にはドイツのレーベルからも一枚がリリースされています。
そしてようやく Bruce Iglauer から「お許し(?)」が出て、ついにこのアルバムが出来た!ってことらしいですね。

さて、その音ですが・・・
ブルース「的」な部分もあります、そりゃ。
ただ、ギター、キーボード、ベース、フルートっちゅう彼の「こなす」楽器の多くを「活かそう」としたためか、ややワザの「見本市」化してるよな気もするんですよねー。
もちろん、それぞれの楽曲( Please Don't Be Scared of My Love 以外のすべては Johnny Heartsman 自身による・・・したがって 3 曲目の You're So Fine だって「あの」シカゴの名曲とは別なものでございます)の仕上がりのレヴェルは高いし、なかなかにスキルに溢れた演奏(ま、それが逆にヴァーノン・リードみたく音数が多すぎて空疎な印象を与える部分もあるのですが)はブルースを、ってより、ブルース・ギターを、てな志向で聴くひとにはそれなりの収穫をもたらしてくれるのかもしれませんが、ま、こー言っちゃうとミもフタもないけど、「ココロに残るものが無い」んですよねー、ワタシには・・・
ただ、そのヴォーカルは、まったく嫌みがなく、聞きやすいのは確かですね。
ただ、印象的では「まったくない」けど。
しかしまあ、なんですねえ、ついつい Lucky Peterson を連想してしまいますけど、このてのひとたちって、他人のバッキングっちゅうポジションにおさまると、そりゃもう素晴らしいプレゼンスを発揮するんですが、だからってフロントとしてどうか?ってことになると、そりゃまるっきり「別なハナシ」なのねー・・・ってのがヒシヒシと感じられるワケで。

続いての AL-4801 はチャーリー・マスルホワイトの Signature。ほとんど彼の自作曲ですが、最後の Cheatin'on Me だけはジョン・リー・フッカーのナンバーで、ご本人も参加しておる、と。
録音は主にキャリフォルニアで、Sausalito の The Plant に Studio D、San Francisco の Editel、それにニューヨークの Sear Sound で行われ、ミックスダウンがこれもキャリフォルニア、San Rafael の Skywalker Sound で「ここには」Bruce Iglauer も来ていたようです。

さて、次の AL-4802 ですねえ。ま、こうゆう「わざとら」なアコースティック・ブルース、っちゅうの、ワタクシとしてはあんまりキョーミが無いのですが、こうゆうのがお好きなかたも多いんでしょね。
そう、Buddy Guy と Junior Wells が 1981年におフランスはパリの Sysmo Studios で二人だけでしこしこ演奏した「アコースティック仕立て」の音源、最初はフランスの Isabel Records から Going Back としてリリースされたものを、オリジナル・マスターから選曲も変えてリリースしたもののようでございます。

ま、独断でもってヒトコト言わせていただくならば、同じよなギターいっぽん&ハープでヴォーカルってんなら、あの Billy Branch と Kenny Neal の I Just Keep Lovin' Her みたく、シカゴ初期の混沌としたエネルギーに満ちたあたりを「もいちどやってみよう」っつうあたりにはそれなりの意義も、また聴いてて面白さも感じるのですが、このアルバムについて言えば、こんなスタイルでやることになんの意義があるのか?なんてゆうコンポンテキな疑問が付きまとってくるのを拭いきれません。
いかにもヨーロッパの(タキシードとイーヴニングで正装して謹聴するよな?)「フォーク・ブルース」好きにターゲットを据えた音、っちゅう感じがしてしまうんですけど。
もっとも、こうゆのこそブルースだ!なんてかたもいらっしゃるようですが・・・つまり Dion Payton の All Your Affection Is Gone なんて「死んでも」ブルースとは認めん!てな手合いね。ま、そこまで強硬じゃあないにしろ、ドラムもベースもいらん!静か〜で「おじょーひんな」ブルースが聴きたい、なんてえ層はけっこう多いんでしょう、きっと。
そんなマーケットにもブツは供給せないかんワケですから、ショーバイとしちゃ、これもまた「あり」なんでしょね。

で、ぜんぜんカンケー無いハナシで恐縮ですが、このジャケットで写ってるギターとハープ、これが「まったくもって」Buddy Guy にも Junior Wells にも縁がないのを撮影してるんですねえ。
このジャケット写真の Guild ギターは Andy Aledort(誰?)ってひとのだし、ハープはこれまた「なんと」Lee Oskar の、なんだって・・・

Alligator Records 20th Anniversary たる 1991年の最後のリリースは、AL-4803、Katie WebsterNo Foolin'! です。
巨躯を純白のウェディング・ドレスで包み、ピアノの上に横たわって「お迎え」を待つ(?)彼女のジャケット写真と『別にフザケてなんかないわよ!』っちゅうタイトルが良くマッチして、先日の Lonnie Brooks の、「ええ仕事しまっせ!ぐひひ」同様のコミック路線(シツレイ?)まっしぐら、てな感じで、ワタクシ、こうゆうの嫌いではありません。
とは言え、当然ながらカンジンなのは「音」でございますよね。

ま、この Katie Webster の場合、いかにも肥満系っちゅうその声質と、ときおり見せる、シンギング・スキルの顕示みたいなとこはハナにつくけど、全体にそつなく(いえいえ、逆に、もすこしソツあったほうが印象的になるんでしょうが)こなしております。
それでも、このアルバムに収録された Zydeco Shoes and California Blues では(おそらく、彼女とそのバンドがバックを務めていたが、彼女の妊娠によってツアーに同行しなかった、あの Otis Redding の悲劇的な死から受けた衝撃と、家庭内の問題・・・)住み慣れた Louisiana を去って、年老いた両親の面倒を見るために California に向かったときのことを歌っているようで、そこでのむしろ淡々とした語り口に「来る」ものがありますね。
その彼女を送り出すかのようなアコーディオンは、あの Clifton Chenier の息子、C.J. Chenier によるものです。

録音は「もちろん」の Streetville Studios。

1992

と言うことで 1991年を終わり、続く 1992年は AL-4804、Clarence "Gatemouth" BrownNo Looking Back で始まります。
ま、ワタクシのようなクソじじ・・・うっぷす、ゲイトマウス好きには、彼のアルバムならどれだっていい!てなとこはありますが、やはりそこはほれ、その中にも序列、っつうか順位みたいなもんはありまして、それで行くとこのアルバムは、まあ下位グループに属するかな?ってえ存在でしょか。
ま、それには、「うぉお!こりゃいいっ!」てなヒット(あ、ここで言うヒットってのは全米チャートのトップ・テン!とかゆうヤツじゃなく、あくまでも「マイ・ブーム」ならぬ「マイ・ヒット」っちゅう意味でございます)がここには無い、ってのが大きいんですよねー。
ま、ヤツにワタクシとはちゃうものを求めておられる方にとっちゃあ、もしかしたら、うん、このアルバムはいい!なんてことになってるやもしれませんが・・・

このアルバム自体は Alligator Records の「製作」ではなく、A Real Records Production ってとこの手になるものらしく、したがって録音も New Orleans の Ultrasonic Studios で、マスタリングも Northeastern Digital で行われた「完成品」が Alligator からリリースされているもようです。もちろん、途中のいかなる行程にも Bruce Iglauer は関与しておりません。
ま、なんだかんだ言って、けっきょく Alligator の、というより Bruce Iglauer の手で行われた Clarence "Gatemouth" Brown の録音ってのは一枚も「無い」んですねえ。
幸か不幸か・・・ぐふふ

かわっての AL-4805 は、前回 39XX シリーズになってたティンズレー・エリスの Trouble Time です。
今回のは録音の時点(ただし「いつもの」Streetville Studios ではなく Georgia 州 Atlanta の Triclops Sounds Studios と Southern Living Studio で行われていますが)から Bruce Iglauer がプロデュースの一角を担い、その意味では Alligator の製作ですから 47XX シリーズに戻ったんでしょね。
ただし Atlanta でのマスターは Nashville に持ち込まれ、Classic Recordings で別トラックにホーン・セクションを録音、また Atlanta に戻して、こんどは Southern Tracks Studios でミックス・ダウン。そしてマスタリングは上の Gatemouth と同じ Massachusette 州 Southborough の Northeastern Digital で行われています。

お次もまた白人でウィリアム・クラーク。
AL-4806、Serious Intentions。このひとのヴォーカルについちゃあ、気取ったヴィブラートが「きもい」とだけ言っときます。
まったくねえ・・・ワタシがレコード会社のオーナーだったら(って、そんな会社一ヶ月で潰れるでしょが。がはは!)ゼッタイ白人のブルースなんてリリースしないけどね。
そこら自分も白人だから「甘い」んだろな。
それに実際、そゆのもあったほーが「売れる」のは確かでしょうし。
そこら理想論だけじゃどうしょうもない「経済的側面」ってヤツかなあ。

このアルバムも Bruce Iglauer の手は入っておりません。
セルフ・プロデュースで録音は California 州 Culver City の Pacifica Studios。マスタリングは例の Northeastern Digital。

さらに AL-4807 も白人だぜ。ディヴ・ホールっていうらしーんだけど、いかにも「ギター・フリーク」が好きそうな仕上がりですねえ。
え?ギター小僧?いえいえ、ワタクシ、最近ニンゲンが出来てきましたから、そのよーなブジョクするよなことは言わなくなったんざます。ぶわっはっは!
なんて冗談はともかく、ま、数値で表すよなもんちゃうけど、このアルバムをあえて言えばギター 65% ってとこでしょか。残りをバンド・サウンドやらヴォーカルが分け合う・・・
ギターの割にゃあヴォーカルが、っての、ありがちですよねー。
でも、あっけらかんと Purple Haze なんてやっちゃうとは、いー度胸してるやん、思ったら、なるほど(?)オーストラリアのひとだったのね?
てなワケで録音は Perth の Planet Studios、マスタリングも同じく Perth の E.M.I. Studios なのでございました。

W.Y.S.I.W.Y.G.?

...What You See Is What You Get。ま、カッコつけて「ウィジウィグ」なんてのを会話に入れて、いかにも「出来る」ふうを装ったりする(実際にゃ「ホントの」プログラムなんて触ったこともない、アセンブラ?コンパイラ?なにそれ?てなレヴェルってのが多いのにさあ)小道具(?)として使われたりしてる WYSIWYG、いちおーコンピュータ用語ってことになるんでしょね。
ま、ワタクシの周囲を見渡す限り、GUI が、とか WYSIWYG で、などなど、らしい「単語」を連発するヤツほど、「なんにも出来ない」ってのは定説となっております。ま、だからこそ、そんな用語で煙に巻こうってえコンタンなんでしょが。
てなことはともかく、こんな言葉がブルースのアルバムのタイトルになってくる、っちゅうあたりに「時代」を感じますねえ。
そー言えば Katie Webster のアルバムに収録された曲のタイトルにだって「ディポジット」と「リターン」なんてえ単語が登場し、エコロジカルな視点の影響か?なんて考えちゃったものでしたが。

え〜、AL-4808 はなんだかお久しぶりのよな気がする Lil' Ed and the Blues Imperials の ...What You See Is What You Get
ま、タイトルがそんな(?)でも、音は相変わらずで、そこらは「やっぱりね」てなもんですが、でもただひとつ、これはワタクシの個人的な印象にすぎないかもしれませんが、サックスが「ウルサい!」。
特に Long, Long Way From Home や Living For Today など、せっかくのギターを邪魔してることも多く、せめて効果的なリフを「キメどころ」にスパ!っと入れる、てな King Snake Horns みたいな「センス」は無いんかいな?と、つい思ってしまいます。
どうも、ワタクシ、ことホーンに関してはミョーにキビシくなる傾向があるんですが、ここでもついついカチンと来てしまいましたよ。
特に、いわゆるエルモア・スタイル、ってな感じのナンバー、Find My Baby なんかで強く感じたのですが、一方、Out of the House のヴォーカル・パートでのバッキングなどでは軽くコール&レスポンス的に入ってきてて、そこらは別にいいので、やっぱこれはプロデューサーが(つまり Bruce Iglauer が)このサックスに一発ガツンと言ってやれば解決すんのになあ、てな気がいたします。

続いての AL-4809 は Kenny Neal で Bayou Blood
どうやらクレジットで見る限り、この作品ではプロデュースのとこに、いつもの Kenny Neal 本人と Bob Greenlee のふたりばかりじゃなく Bruce Iglauer の名前が記されていますから、それは、初めて Bruce Iglauer が Florida 州 Sanford の King Snake Studios にまで足を運んだ、ってこと・・・と解釈していいんでしょうか?
以後のミックスダウンはシカゴの Streetville Studios で、というこれまたお決まりのパターンです。
このアルバムでは参加人数を抑え、ややタイト方向に振った音作り、と言えるかもしれません。
キーボードは例によって Lucky Peterson。ベースは Neal Brothers たる Noel と Darnell が交代で。ドラムは Ken Johnson で、これに一曲だけ Pat Rush が、アコースティック・チューン、Going to the Country でサイド・ギターとして加わっています。
で、カンジンの(?)Bayou 色がどれだけ出てるか?ってえと、ま、それほどでもないかな・・・っちゅう気もしますけれど、そこらはまあ聴く側の個人差もあるこってしょうし、イージィに決めつけるのはヤメときましょ。
でもタイトル・チューンの Bayou Blood での倍刻みみたいなこのリズム、ややタイトすぎるけど、なかなかいい味を出してるよな気がするなあ。
ただ、この線でアルバムの大半を行ってくれてたらもっと面白かったよな気はするんですけどね。

AL-4811 は Saffire--ナントカの Broad Casting
で、みなさまのご想像どおり、ワタクシ、この方たちのアルバムについては特に語ることはございません。
同じ女性ヴォーカルではございますが、次の Sippie Wallace はかなりちゃいますよ。
・・・と言いたいところですが、なんたること、この AL-4810・・・そう!本来なら Saffire某の前のシリアルなんですが、現在は「カタログ落ち」しちゃってるんですよねー。
この Woman Be Wise、そのことでも判るよに、とーぜん自社制作ではなく、なんと 1966年っちゅう、1/4 世紀も遡る、発作前のゲンキな(?)Sippie Wallace が、デンマークの Copenhagen で Roosevelt Sykes、Little Brother Montgomery をバックに吹き込んだ Storyville の Sippie Wallace Sings the Blues のリイシューだったのでございました。
もっとも現在ではこのアルバム、古巣(?)の Storyville から、タイトルも Woman Be Wise のまま再発されておりますので、充分に入手は可能です。

え〜、そして時期が時期だけにタイムリー(か?)なアルバムを。
この 1992年には Alligator からも「ついに(?)」出ちゃいました!
なにが、って、あれですがな、最近、街なかで耳タコっちゅたら判りまっしゃろ?そ!クリスマス・ソング!
ついに Alligator でも手を出した、っちゅうワケで・・・
ま、これは、なにがなんでも Alligator ぜんぶ揃えたんねん!てなコアなファン、いやマニア?以外にゃ「どーでもいい」アルバムっちゅうもんかもしれません。
唯一、ジャケットの、リースの輪のなか、例の帽子をアタマに戴っけてサンタのフリしてる(?)ワニが面白いけど。

1993

年がかわって 1993年、最初のリリースは AL-4812、Little Charlie and the Nightcats の Night Vision でした。
その歌にしてもギターにしても(別に、そう意識してのものではないかもしれませんが)徹底的に「白人文化(?)」のクリシェを当然のようにちりばめて、悪びれることなく演奏してるあたりが、ヘンに意識して「ブルース」やってる白人、ってのとはまるっきりちゃうプレゼンスをもたらしてるんじゃないでしょか。
あまりブルースは感じないけど、これはこれで「ロックンロール」と「ブルース」をつなぐもの、みたいな面白いポジションにあるのかもしれません。
いちおう Crying Won't Help You じゃスライドまでそれらしく組み込んで、かな〜りブルースっぽくなってますが、それでもヴォーカルはヘンに気取ることなく、いつもの調子で「明るく軽く(?)」そこが、こいつら(「こいつら」?)の清々しいとこ、と言えるかも。
なんだかホワイト・ブルースなんて言われる連中の演奏って、特にヴォーカルに感じるウソ臭さがキモいのですが、この Rick Estrin はそこら軽々と飛び越えて彼なりに楽しんでるみたいで、そのカラっとした能天気ぶりが快い。
ま、そこらウェストコーストの「いい」部分が働いてるのかもしれません。

別に Georgia On My Mind に「張り合った」ワケじゃないでしょが、自作のナンバー California On My Mind なんてえ存在に、彼らの「自覚」のありようが感じられて面白いですねえ。
ただせっかくのそれも、ザンネンながらキャリフォルニア州民がこぞって歌いたくなるよな「名曲」の域には達していないようですが・・・

このアルバム、録音はとーぜん California 州で、Richmond の Bay View Studios で行われ、プロデューサーでもある(!)Joe Louis Walker も二曲に参加しております。
マスタリングは North Hollywood の Tin Roof Studios。

続いての AL-4813 は、以前 BLUES Diary でも採り上げた Eager Beaver も収録された Maurice John Vaughn の In the Shadow of the City です。
さすがに本人もサックスをやるだけあって(か?)、ホーン・セクションの扱いがウマく、よくある「いい気になった」ソロのサックス・プレイヤーを録音に参加さすと、他のギターやらハープを台無しにしちゃう、ってえ(ワタクシの考える)ブルースにおける楽器のプライオリティを理解しないドあほ・・・うっぷす、じ、自信過剰な方、ね、え〜、それとはちゃうぞ、と。
ま、ケッキョクはサックスのスキルがどうこう、ってな問題じゃなく、ブルースでは、どのくらい「吹く」のが「適度」なのか?っちゅうあたりのセンスですからねえ。
その点、この Maurice John Vaughn の場合、サックスだけってんじゃなく、なんたってドラム、ギター、クラリネット、そしてサックスと遍歴し、途中サックスでセッション・マンとしてレコーディングも経験してるワケで、もっと全体としての視野も持っている、ってとこがサックスだけの誰かさんとはちゃうんでしょね。

・・・と、その器楽演奏面(とはまたズイブン堅い言い方だなあ)はともかくとして、その歌となると、なんだかちょっと、これまでのブルースマンたちとは「違う」テクスチュアを感じませんか?
ま、それってワタクシだけなのかもしれませんが、この歌いっぷりに、なんだかこのまま延長してくと、あの Aaron Neville にまでたどり着く、なんちゅうか、「ソウル的」と言うとまたバクゼンとし過ぎてますが、なんかそんなメタリック(?)に「作為的なもの」の「萌芽」があるよな印象が紛れ込んでくるんですがねえ。
ハートよりスキルがやや先行するような・・・

録音はシカゴの Chicago Trax で、マスタリングはずっと「ここ」になってる Massachusetts 州 Southborough の Northeastern Digital。

さてと、お次はまたオーストラリアの Dave Hole。ますますパワフルにロックしてますが、時代とシンクロしてるかどうかは別問題・・・ってか?
パワフルなスライド(と言っても Hound Dog Taylor における「パワフルさ」とはちょと位相が違うんだけど)や、アコースティックなスライドも入ってるんですが、なんだか「この人のギター」化してて、これはこれでいいのかも。
Mean Old Airplane(このアルバムには他にも Stormy Sea とか Twenty Years なんて「どっかで聞いたよな、でもビミョーにちゃうなあ」ってタイトルがあって・・・)じゃあ、かなりアコースティックのスライドを弾いてるんですが、あの Clementine(クレモンティーヌ。おフランス)のバックで「なんじゃこりゃあ〜っ!」ちゅうスライドで光ってた松田 文ほどではないにしろ、ブルースの文法からハミ出しかけてるとこが、むしろいい味を出してます。
AL-4814、Working Overtime
録音はオーストラリア、Perth の Planet Studios で、マスタリングは Northeastern Digital。
ともあれ、コイツ、かなりブルースが好きなんだろな、ってのは伝わってきます。

4815-4817

AL-4815は、まさに Chicago で生まれ、そこで John Lee Williamson から手ほどきを受け、ある意味、シカゴのブルースとともに成長してきた、と言っても過言ではない(?)Billy Boy Arnold の Back Where I Belong です。
このアルバムは、プロデューサーの Randy Chortkoff が配下(?)のバンド、Los Angeles のブルース・バンド(?以前このアルバムからの曲を採り上げた BLUES Diary の時もちょっと調べてみたのですが、同名の「ちゃう」バンドが多くて、カンジンのこいつらにはたどり着けませんでした。音的に、たぶん白人じゃないかと思う・・・)the Taildraggers にバックをつけさして、California 州 Culver City の Pacifica Studios で録音し、それに Chicago の Acme Studios でなにやら追加(ここに Bruce Iglauer も立ち会っておるようですが、その内容については詳しくは語られてはおりませぬ)した上で完成させたもの。
ひところ、シーンから姿を消してたように見えたとこから、そのタイトルはつけられたんでしょね。
Billy Boy Arnold 本人は「相変わらず」の彼のブルースなんですが、バックのバンドはところどころ違和感も無いではございません。
でも、あの Eddie Taylor の Ready for Eddie もそうでしたが、その要となる存在がしっかりした個性を持っていれば、バックが多少グズグズでもヘロヘロでもフニャフニャでもヨイヨイでもスットコドッコイでもあるいはパッパラパーでも「ちゃんと」ブルースしちゃうもんなんですよねー。
ワタクシ、白人のブルースってのは排除するくせに、バッキングではいっこーに構わん、てなとこがあって、全員ブラックでなきゃあ!なんてカゲキな線には与しないんですよ。
つまりダイジなのはブルースにあっては第一に(かつほぼ 80%くらいを)歌および、その「本人が」弾く楽器、で占めてると思うんですよねー。
もちろん例外もあって、Hubert Sumlin という存在があるからウルフの価値がある(一般にゃあ逆なんでしょね)、てなカップリングもありますが、ともかく、そのコアさえブラックだったら、あとのメンバーは白人だろーがモンゴロイドだろーが、はたまた宇宙人であろうが、「主役の音」を邪魔せずに活かしているんだったら「まったく」モンダイな〜い!っちゅう考えです。

と言ってるそばから AL-4816 は白人だぜっ!
このボブ・マーゴリンっての、恥ずかしながら、こうやって Alligator を追いかける特集をおっ始めて「初めて」知ったようなものでございます。
なにやら「 1950年代のブルースを現代に甦らせたい」などとのたまっておられるよーですが、ほっほ〜、こゆひとは日本じゃウケるかもしれませんぜ。
同じよなことぬかし・・・うっぷす、お、おっしゃっておられる方々がうじゃうじゃいますからねえ。
どこにでもいるんですね。「伝統芸保護活動」としてブルースやるひとって・・・
Down in the Alley、一曲目だけはちょっとオモシロいかも?と思ったけど、それ以降はただの「ノスタルジー」てな感じだなあ。ま、好きなだけ「昔は良かった」とやっててください。

続いての AL-4817 は Koko Taylor の Force of Nature
ま、これまたいつもの Koko Taylor でございます。このいっつもフル・パワー、まるで全体重をかけてくるよなへヴィーさがワタクシ苦手なのかもね。なんたってその体重ってのが・・・
ホント、なんでブルースを歌う女性ってデブってなきゃいけないの?
タマには Sade みたいなのもいて欲しいよね。ああゆうスレンダーなスタイルでクールに歌うっての・・・
どうも、女性でブルースを、っての、Katie Webster 以外、みんなヴォーカルに専念しちゃってるから、そこでリキ入り過ぎて「圧迫感」があるのかなあ?
ワタクシの場合、実は男女を問わず、いわゆる「スタンダップ・シンガー」っての、あまりピンと来ないんですよ。
なんだか歌に入れ込み過ぎてる感じがして。
たしかにスゴい!とは思うんだけど、なんだかブルースとはちょっと違う「別な芸能」になっちゃってるよな印象が・・・
てなことはともかく、このアルバムでは一曲だけ( Born Under A Bad Sign )ですけど、Buddy Guy が参加してるんですねえ。
なるほど、そー言われてみれば、このギターの音、「いかにも」ってえ気がしてくるぞ!なんてえとこにワタクシの「いーかげん」さがよく出ておりますねえ。

Trumpet Masters

さてこの1993年というのは Alligator が「あの」Lillian Shedd McMurry の Trumpet レーベルの音源を獲得した年でもありました。
もちろん、それらは原盤著作権ごとすべて買い取ったワケではないので、現在では( Alligator では)「廃盤」になっていますが、1950年代の貴重な音源をリイシューすることができて、さらにその購買層の幅を広げることが出来たのではないかと思います。

そのリイシュー第一弾は(当然、それまでとはまた別なシリアルを与えられ)AL-2700 から始まっています。
・・・と「さら〜」っと流しちゃうと別にどうってことはないんですが、そう!普通は 2700 から始まる「ハズは無い」のです。
これまで、すべての Alligator のシリアルは

AL-4701;通常のブルースのアルバム
AL-7701; V/A; Living Chicago Blues
AL-9301; V/A; Festival の Live Recording
AL-8301; たぶん Reggae
AL-501; EP盤
AL-101; V/A; Genuine Houserockin' Music
AL-3901; ATLANTIC から

・・・というように、かならず XXX1 から始まっているのです。
それがナゼ、この Trumpet のリイシューだけは AL-2700 になったのか?
ワタクシの知人で、ま、専攻(?)はブルースじゃありませんが、レコード・レーベルを云々するのが好きなヘンなヤツがいるので、この件を振ってみましたところ、言下に、「そりゃ、その次のヤツからのリリースが決まってたのに、後から、もっとスゴいのも出せる!って判って XXX1 の前に割り込ませたからに決まってるじゃん!」っちゅうご託宣でしたが、さあ、どうなんでしょ?

と、まあそんなことはどっちだっていいんですが(?)その AL-2700、実は Sonny Boy Williamson II の 1951年から 1954年にかけての吹き込みを集めたアルバム Clownin' with the World でした。
となると、我田引水の誹りは免れませんが、拙サイトの REMARKS、Elmore James ...a little lovin' is all in the world I need とも密接に関わってくるワケでございまして、この AL-2700 にもバンバン登場するピアニストの Willie Love も含め

Elmore James の初レコーディングは 1951年の Sonny Boy Williamson II の Eyesight to the Blind のバッキングと言われ、その直前の 1949年には一時ピアニストの Willie Love のバンドにもいたとも言われていますが、その Willie Love が Sonny Boy の紹介で吹込んだとされる Trumpetでの録音を〜

という形で登場しているんですよね。ま、ザンネンながらこの AL-2700 のパースネルには Elmore James は登場いたしませんが、多少、強引なこじつけと言えないこともないけど Elmore に縁がある、ってことでこの Trumpet レーベル、なかなかに忘れ難い存在ではあります。あ、ものはついで、なんて言っちゃいけませんが、この Alligator の西海岸録音ものでちょいちょい名前が出てくる California 州 Culver City ってのがそもそも Bihari Bros.ゆかりの地でございまして、とうぜん Elmore James もその Culver City で 1954年の夏、Sunny Land Standing at the Crossroad Late Hours at Midnight The Way You Treat Me Happy Home 、そして No Love in My Heart の 6曲、シングル 3枚を吹き込んでいる・・・

ただし、この AL-2700 にはそのカンジンの(?)Eyesight to the Blind は含まれていないんですけどね。

The Tour

1991年に、創立 20周年を迎えていた Alligator Records では、それを記念して、例の AL-105、The Alligator Records 20th Anniversary Collection っちゅう総花的ダブル・アルバムをリリースしていたのですが、同様に、Alligator Recording Artists による記念のツアー・パッケージ(?)も行っております。
そこに参加したのは

Lil' Ed and the Blues Imperials(サックスも・・・)
Katie Webster(ソロ)
Elvin Bishop(バンド)
Lonnie Brooks Blues Band
Koko Taylor and her Blues Machines

っちゅうメンバーでした。う〜ん、いいですねえ。ワタシの嫌いな「白人ブルース」ってのが入ってないとこがいい!
え? Elvin Bishop?
あのねえ、このひとは Elvin Bishop ってえジャンルの音楽をやるひとだからいいのっ!
なんちてあからさまに「ひいき」にしてますが、いいのじゃ。ここはワタシの個人的シュミでやっとるサイトなんじゃから。

ま、別に Bruce Iglauer もワタクシと同じよな考えだった、なんて思ってはおりませんが(たぶん実際にはスケジュールのことやら、ギャラ、またヘッド・ライナーの件など、あるいは「あいつと一緒にツアーなんて真っ平ゴメンだね」なんて「なんだかんだ」があったのかもしれませんが)結果的に、なかなかいいセレクト・メンバーになっとるよな気がいたします。

ただ、実際にこのツアーが実現したのはその 20周年の翌年、1992年の春のことになります。
なんだか絵に描いたようなシチュエーションですが、一台の大型バスに上記の全メンバーが詰め込まれ(?)18日間で 16ヶ所のコンサート・ホールでワン・ナイト・ショーを繰り広げました。
どうやらそのバスには一行の使用する楽器類も一緒に積まれていたらしく、会場に着くとすぐさまスタッフはセッティングを開始してサウンド・チェック。そして簡単なリハをして開演を待つ、というパターンだったらしいのですが、特別、それらしい打ち合わせなんてしてるそぶりも見せなかった Lil' Ed and the Blues Imperials は「全部の会場で」必ず一曲、新しい演目に差し替えていたそうでございます。
う〜ん、さすがはクラブで鍛えたライヴ・バンド!
そしてライヴがハネると急いで撤収して楽器群をバスに積み込んであとは明朝までホテルで短い睡眠をとる・・・
どうやら、その日の行程によっては食事だって走ってるバスの中で、てなケースがしょっちゅうだったそうですから、下手すりゃニンゲン関係がボロボロになっちゃいそなもんですが、そこら人格者が揃ってたのか、はたまた「いーかげん」な連中だっただけなのか(?)さしたるトラブルもなく続いていったようでございますねえ。
ツアーはナゼかシカゴではなく湖の対岸、Grand Rapids からスタートしたようで、そしてシカゴ、そこからカナダに入り、Ontario 州の Kitchener、少し東に行った Toront、そっから今度は 600km も離れた Montreal などのカナダの都市からまた Maine 州でアメリカに戻って Portland、Boston、Burlington( Vermont 州)、New York などを回っていったらしいのですが、その最終行程の Philadelphia での公演をドキュメンタリー作家の Robert Mugge が記録し(その映像作品は後に Pride and Joy : The Story of Alligator Records として発表され、たしか VHS フォーマットのみで出回ったハズです。試しに Amazon の DVD でサーチしてみましたがヒットしませんでした)、その際にサウンド・トラック用に持ち込んだマルチ・トラック・テープ・レコーダーに収録された当日の音から、この Alligator Records 20th Anniversary Tour - Live in Concert が生まれました。
つまり、このツアーをほとんど記録してて、その中からセレクトした、ってワケじゃなく、たまたまこの日のが録音されてたんで借用しちゃいました、みたいな他力本願ぶりがなかなかいいですねえ(?)。

さて、その録音ですが、当時の勢いみたいなもんがよく伝わってきます。
それでも、相変わらず Lil' Ed クンとこじゃ無神経な音につい、このサックス、いっぺんシバいたろか!なんて思っちゃいますが、まあ、ライヴだから仕方ないか?とアキラメも混じる・・・あ、そんなこだわるのはワタシだけで、みなさまは別にこの「くそサックス」邪魔だ!なんて思わない場合もけっこうあるんじゃないでしょか。
また Elvin Bishop クンとこのバックには、Lonnie Brooks の息子、Ronnie Baker Brooks がギターで参加してるんですねえ。
んなワケですから、ステージでその親子がジャムったりすると、大ウケだったそうですよ。
その Lonnie と Katie Webster は古い付き合いですからバスの中でもよく昔話にふけってたらしいんですが、そこに Koko がちょっかい出したり、とイロイロあったのが最後の全員集合の Sweet Home Chicago での「張り合い」みたいなもんを生み出してるのかもしれませんなあ。
え?まあ、そりゃねえ、ワタシとしちゃあ「楽器も弾く(いえ、むしろそっちがメインかも?)」っちゅう Katie Webster のほうが親近感ありますから・・・

ただ、フと「太った女性シンガーが Sweet Home Chicago を歌うのがブルースだ、なんて、もううんざり」みたいなことを言ってたハズの Bruce Iglauer は、これをどー見てたのかな?なんてちょと考えちゃいますねえ。ま、別にいいんですけど・・・

2 pcs.

さて、Alligator AL-107、The Alligator Records 20th Anniversary Tour に続くのは、これまた V/A の AL-109、Genuine Houserockin' Music V でございます。
え?なんで 107 の次が 109 なのか、って?
ふっふっふ、ちみねえ、着眼点はい〜けど、それを言うんだったら、前のとこで言わなきゃあ。
気づかなかった?その前の The Alligator Records 20th Anniversary Collection が AL-105 なのに、なんで The Alligator Records 20th Anniversary Tour が AL-107 なんだろ?って。
そう!理由は実にタンジュン!「二枚組だから」。
だからこれだって 107 からいきなり 109 になっちゃうのだ!

というワケで、この拡販用アルバム(?)、例によって、既にリリースされたアルバムからの抜粋だけで成立しておりますので、一曲も「レア・トラック」は含まれておりません。
ですから、これについちゃあ、あまし語ることも無いのですが、ま、唯一、Elvin Bishop だけはソロ・アルバムからじゃなく、前述の The Alligator Records 20th Anniversary Tour からの Stealin' Watermelons が選ばれております。

さて、お次はってえと、これまたそのシリアル AL-2701 で判るように、例の Trumpet レーベルからのリイシューで、本来ならばこのシリーズの「最初の一枚」となるハズだったもの、かもしれませんね。
収録されているのは、このアルバムのタイトル・チューンでもある Strange Kind of Feeling を演奏する Jesse "Tiny" Kennedy* の 5曲を始めとして Clayton Love** の 2曲、そして残り 7曲は Jerry "Boogie" McCain となっております。

* Jesse Kennedy ─ 1925年12月20日、Tennessee 州 Chattanooga に生まれる。Proper の V/A、Stompin' Singers & Western Swingers: More from the Golden Age of Wetern Swing では Steel Guitar Player としてクレジットされている Jesse "Tiny" Kennedy が存在するが「完全に」同一人物かどうか不明。
1949年に Jay McShann とともに Capitol に吹き込んでおり、Trumpet では 1951年と翌1952年に吹き込んでいる。

**Clayton Love ─ 1927年11月15日、Mississippi 州 Mattson 生まれ。1951年に Trumpet に吹き込むが、むしろそれ以降の Ike Turner のバンド、Kings of Rhythm でのピアニストとして知られる。

この AL-2701、Strange Kind of Feelin' は、他の 2700番台と同様、現在はすでにカタログから落とされております。

かわっての AL-2702、Delta Blues: 1951 も同じようななりたちで、収録アーティストは Big Joe Williams に Luther Huff***、そして Elmore ゆかりの(?)Willie Love。
ただし、ここに収録された Willie Love の曲( 6曲 )のなかで Elmore James が参加している録音があるのかどうかは不明です。入ってるらしいんですが。
・・・とは言え、Willie Love だけを集めた Collectables の Trumpet Masters, Vol.1 - Lonesome World Blues で聴いても私にゃあ、どれに Elmore が入ってるんだか識別できなかったんで、そんな一聴して Elmore!と判るよな弾き方じゃない、ってことなんでしょ。
ま、その Willie Love と、相変わらずの Big Joe Williams の対比がオモシロいですね。

***Luther Huff ─ 1910年12月 5日、Mississippi 州 Fannin で生まれる。兄の Willie らからギターを習い、1936年にはマンドリンを手に入れ、以来マンドリンを演奏するようになる。欧州戦線に軍務中、ベルギーでアセテート盤を吹き込んだとも言われるが現存せず。戦後は Detroit で生活していたが、Jacksonにいた弟の Percy を訪ねた際に Sonny Boy の紹介で Trumpet に録音することとなり、弟のギターとともに 4曲、シングル 2枚だけを録音している。
録音後はまた Detroit に戻り自動車工場で働き、たまに音楽という生活を送る。
実際には 1968年に兄の Willie、弟の Percy と一緒に、同年に発足したばかりの Adelphi に録音しているらしいのだが、それはついにリリースされることはなかった。
1973年11月18日、Detroit で死亡。

そしてこれまたご想像どおり、いま現在は Alligator Records のカタログからは姿を消しております。

Serials

さてこの1993年というのは Alligator が「あの」Lillian Shedd McMurry の Trumpet レーベルの音源を獲得した年でもありました。
(え?この文章、前にも読んだ?気のせいじゃないの?気のせいっ!)
もちろん、それらは原盤著作権ごとすべて買い取ったワケではないので、現在では( Alligator では)「廃盤」になっていますが、これまで、すべての Alligator のシリアルは

AL-4701;通常のブルースのアルバム
AL-7701; V/A; Living Chicago Blues
AL-9301; V/A; Festival の Live Recording
AL-8301; たぶん Reggae
AL-501; EP盤
AL-101; V/A; Genuine Houserockin' Music
AL-3901; ATLANTIC から

・・・というように、実にシステマチック!かならず XXX1 から始まっているのです。
それがあの Sonny Boy Williamson の Clownin' with the World では AL-2700 から始まっており、それをリイシュー時のドタバタのせいでは?なんて邪推しときましたが、次にご紹介するアルバムは、また逆の意味で「ありえない」シリアルから始まっています。

それは、これまた Trumpet を原盤とする「ゴスペル」の録音なのですが、いちおうブルースとはシリアルを変えてあり、AL-2800番台が振られています。
しかるに、それはとーぜん AL-2801 から始まらなければいけない(あ、それは、これまでの Alligator のシステマチックなやり方からするとね、ってイミでして、別に自由なんですけどねん)ハズなのに、なんとその一枚目、1950年録音とされる The Southern Sons(ジャケットの写真からすると 6人編成のコーラス・グループのようで)の Deep South Gospel では「なんでか」AL-2802 になっちょるやないの!

ぐふふふふ・・・とゆうことは。
てな「さらなる」邪推を楽しめますねえ。
もしかして Trumpet から提供されたソースは Alligator と違って、さほどシステマチックではないシリアルが振られてて、大雑把にブルースとゴスペルを分けてリイシューのための作業に入ったのではないか?
そしてブルースの作業が先行してて、プレス・リリースも済ませたとこで、なんとゴスペルとばかり思ってたソースに Sonny Boy が紛れ込んでいたのを発見!でも AL-2701 はすでに Jesse "Tiny" Kennedy、Luther Huff、そして Jerry "Boogie" McCain の Strange Kind of Feeling として発表、あるいは作業がほとんど終了していた・・・とすれば、仕方おまへん、前に割り込ませるしかないワケやね。
で、本来ならば AL-2801 として出るハズだった一枚、Clownin' with the Worldが 2700番台に「移籍」してしまったため、やむなく AL-2801 は永久欠番となる・・・
てな「おハナシ」は、ワタクシによる「まったくの」創作でございますので、「事実」と誤解して参照したりはなさらないようにお願いいたします。

さて、そんなことでお茶を濁しておりますが、ワタクシ、すでにご存知の方も多いでしょが、ゴスペルにはあまり、いえ、かなり、いや相当、ん〜実はまったく「興味がありません」。
はいはい、黒人音楽を真に理解するためには、ゴスペルを知らなきゃあ!なんてのはまことに「正しい」ご意見でございます。
でも、ワタクシ、減らず口をたたくようで申し訳ございませんが、黒人音楽を真に理解したい、だなんて一度も思ったことはございません。
ワタクシ、「アメリカ黒人のブルースが好き」なんであって「理解するために」ブルースを聴いておるのではございませんので。
そのよーな「理解」やら「ご研究」はエラ〜い諸センセーがたにお任せして、ワタクシは「好きか嫌いか」だけを唯一のスタンダードとしてブルースの海を漂う、っちゅう暴挙に出ております。
・・・てなワケで、それでも申し訳程度に「試聴」はしてみましたが、ん〜、いかにもなアカペラでのコーラス(あ、全曲そうなのかは判りません)はどれも同じに聞こえるけど、マニアには「たまらん」のでしょうね。
これまた現在ではカタログから消えております。

1994

明けて 1994年、その最初は、ってえとこれまたゴスペル・シリーズの AL-2803・・・と思うと、な〜んとビックリぎょーてん!
なんでか Sonny Boy Williamson がどか〜んと居座っとるやないの!
もう、邪推好き(?)のワタクシにさらにネタを提供してくれてるよなもんですよね〜。
ぐへへ、最初のは AL-2700番台に無理矢理コンバートしちゃったけど、こっちはあきらめちゃったんでしょか?なんで AL-2703 にしなかったのか?
それまで「あんなに」システマチックにシリアルを振ってきた Alligator がここに来て Trumpet に関してだけ急に「破綻を来した」ってのがなんだかオモシロいじゃあ〜りませんか!
まことに不謹慎ではございますが、こゆのがあると「嬉しくって」しょーがない。
ま、そこでイロイロ邪推なんぞしとるヒマあったら、前に進まんかい!っちゅうのもごもっともではございますが、う〜気になる!
てなことはともかく AL-2803、Goin' in Your Direction でございますが、これ、正確には Sonny Boy Williamson だけではなく、お馴染みの Willie Love、そして Arthur "Big Boy" Crudup、さらに「伝説の」Bobo "Slim" Thomas までも収録されたオモシロいアルバムなのよね〜。
なにが伝説か、っちゅうと、またかい?と言われそうですが、あの Elmore James の Dust My Broom のシングル盤の「なんでか」カップリングとして有名に「なっちゃった」Catfish Blues、どうやら、これ以外、Bobo "Slim" Thomas のブルースマンとしての(いえ、それどころか、ただのアメリカ市民としての、もか?)痕跡が一切、残っていないからなのです・・・いつ、どこで生まれて、どんなヤツだったのか、なにひとつ判りません。
え?そりゃあ、ああた、アルバムのジャケットに名前が載っているんですから、とーぜん収録されております。その Catfish Blues。

さて、ここでシリアルの混乱が楽しい(?)Trumpet リイシューものからはいったん離れ、AL-4700 から始まって、もう 4800番台に入っている、通常のシリーズに戻ります。

AL-4818 は、チャーリー・マスルホワイトの In My Time でした。
ま、それだけかいっ?と言われそうですが、あまりキョーミも無いのでスルーしま〜す(!)

続く AL-4819 は同じハープながら、かなり異色の存在と言ってよいでしょう、ニューヨークはハーレムで、あの Apollo Theatre でダンサーをしていた、という母から生まれた Sugar Blue の Blue Blazes です。
かねてから白状しておりますとおり、ワタクシ、ことハープに関しましては、その具体的なテクニックなど、まったく詳しくはございません。したがって、あくまでも印象だけで語らせていただきますが、なんだかこのひとのハープって「ヘン」。
タマにいますよね、ギター弾きながらハモニカはスタンドに固定して、歌の合間に「ただハモニカ通して呼吸してるだけ」みたいな、まるで演奏になってねえじゃん!てな「どフォーク」やってるヤツ。
その「ハモニカ」で出てくるよな「なんも考えとらん、そこにその穴があったから出ちゃった」てな音、つまりまともにブルース・ハープやってたらふつーは紛れこまないよな音が「混じってる」よな気がすんですが。
あの Billy Branch も初期にはブルースじゃない音楽にも馴染み、それが彼の現在のハープ・プレイに「ふくらみ」を与え、そこで彼のたどる音階が、実によく吟味されて送りだされているんじゃないか?てな印象を持っているんですが、この Sugar Blue の選ぶ音には、そういう「ふくらみ」ってよりは無頓着な荒さを感じてしまいます。
ま、こんな言い方は大袈裟すぎるし、そこまで言わんでも、てな気もしないではないのですが、この音を聴いた第一印象は、「魂が荒廃してる」でした(!)

歌については、充分に魅力を持っているんじゃないでしょか。
その歌い方が、いかにも Apollo Theatre のステージに「映え」そうな、やや演出過剰で、かつ意地悪なワタクシに言わせれば「空疎な」ものだとしても。
ところで、このアルバムはクレジットによれば、Alligator とライセンシーのある日本の「キング・レコード」の製作だったようですね。
いちおう録音は Chicago の「お馴染み」Streetville Studios ですが、録音時にも、またマスタリング時にも Bruce Iglauer はまったくタッチしておりません。
一種の「逆輸入」ってヤツでしょか。
あ、それと、この録音には Motoaki Makino というギタリストの名前がクレジットされてますが、これって日本人ですよね?江戸川スリムさまならご存知かも?・・・と思ったら、やっぱりね!
氏のホームページ BlueSlim に、まさにこの二人、Sugar Blue & 牧野元昭がドォ〜ン!と載ってるじゃあないの!うひ〜、さすがざます!
なんだかこの二人、ただもんじゃなさそうですねえ。特にこのギターのひと、相当スゴいみたい。
その記載によれば Blue Blazes は 1993年の製作(やはり日本のキング・レコード!)で、それが Alligator からは 1994年に、ってことだったようです。
Suger Blue にしても牧野元昭にしても、この江戸川スリムさまのページに詳しく載っておりますので、ゼヒご参照くださいませ。

そしてこの 1994年、最大のニュースは、ってえとこのひと!Luther Allison の登場でしょう。
あの Albert Collins は 1986年の Cold Snap を最後に他社に移籍し(ただ、Albert Collins 自身は Alligator に戻りたい、と Bruce Iglauer に漏らしていた、といいますが)1993年の 11月24日にこの世を去っていましたから、久々となる「大物(?)」と言えるかもしれません。
その Luther Allison の Alligator デビュー作、AL-4820、Soul Fixin' Man はかってそのタイトル・チューンをこの日記でも採り上げています。( 9 Sep. 2003
ただし、このアルバム自体はドイツの RUF が製作したアルバムだったハズで、そちらからは Bad Love のタイトルでリリースされておりました(って実はワタクシが持ってるのも「そっち」のほうなのよね)。
録音はドイツではなく、Memphis の Ardent Studios で行われ、ミックスダウンまですべてドイツ側の手で行われ、したがってこれには Bruce Iglauer は関与しておりません。

なんだか相変わらずな「切羽詰まったような」余裕の無いヴォーカル、これがヘンに「いい」んですよねー。
こんな言い方はまことに失礼とは思うんですが、「最後まで小物」っちゅうか、誰もが認める「ブルース・ジャイアント」じゃないとこがこのひとの「味」でございましょう。
ま、そこを好きになれるかどうかで、このひとの評価は決まるのかも。
そしてとーぜん、ワタクシ、Luther Allison「お気に入り」でございます。
このチープさ、たまりませ〜ん。

New York

AL-4821、Michael Hill's Blues Mob の Bloodlines。え〜と・・・これも from New York です。
でも、これはまた別な意味で変わってるんですよね。
オフ・センターで「辺縁系」なポジションからブルースを照らす不思議な色光、てな感じでしょか。
あの Sly and the Family Stone がブラック本流(?)よりもむしろ白人のロック層に支持されたのとも微妙に違うのですが、なんだか、それまでロックばっかし聴いてきたひとたちにもアピールする「ブルースみたいな音楽」とでも言うか、ネはロックやフュージョンあたりをバリバリやってたミュージシャンがブルースやると・・・みたいなスタンスを感じますねえ。

まずこの Michael Hill ですが、生まれが 1952年、ニューヨークの「サウス・ブロンクス」!
そっからして今までにないタイプ、と言えるかもしれませんねえ。
でも、別にブルースマンはミシシッピー川に沿った南部の諸都市あるいはその周辺、デルタ地帯の農園、でなきゃシカゴのサウスサイドで生まれてなきゃいかん!なんて法律は無いワケで、別にメンフィスで人を殺してなくても、はたまたフィジーで生まれてようが、セイシェル諸島で生まれてようが、アメリカの現実のなかで、黒人として「生きて」きていたら「ブルースマンにはなれる」のでございます。
ただ、このひとの場合、ブルースばかりではなく、フュージョンやレゲエ、ファンクに R&B、そして、むしろロック・ミュージシャンとしての側面が強く、そこらに「異端の匂い」を嗅ぎつけて火あぶりにしちゃおうとするファンダメンタリストもいるでしょね。
そもそも彼がギターを「弾き始めた」のが 1970年だそうですから、言わば、この Alligator Records が産声を挙げる「前夜」てなもんでございましょう。そしてその彼が最初に遭遇した(あ、これは修辞的表現でして、もちろん、もっとちゃうギターは聴いてたハズですが、彼のココロに「最初に突き刺さった」てな意味でございます)のが、やはり!の Jimi Hendrix!
ほらほら、そう聞いただけで異端審問官が色めき立っていますねえ。
なにはともあれ、この Jimi Hendrix との邂逅が彼にギターを弾く「強い」衝動を与えたもののようです。そしてそこから Albert King、B.B.に Albert Collins へと発展し、さらに Bob Marley を知り、Curtis Mayfield にたどりつくことにより、もっと社会性を持った曲を作りたい、という姿勢を形成してゆく・・・
1970年代の彼は、レコーディング・セッションのサイドマンを続けながら、日中はタクシーの運転手として生計を立てていたようです。
その時期、リヴィング・カラーを結成する前のヴァーノン・リードが在籍した Dadahdoodahda というニューヨークのバンドに加わり、その交流がこのアルバムへのリードの客演となっているのでしょう。
彼は、その所属していた Black Rock Coalition(この Black Rock Coalition は、音楽産業全体の黒人ミュージシャンに対する不当な位置づけに対抗する目的でギタリストの Vernon Reid、ジャーナリストの Greg Tate、およびプロデューサーの Konda Mason によって 1985年に設立された。アーティスト、プロデューサー、A&R、さらに音楽ファンの一部も取り込んだ B.R.C.は、黒人アーティストたちの完全に自由な創造活動を支えるアメリカ国内随一の非営利団体となっている) を通じてジャズやファンク、そしてブルースにも親しみ、Shanachie Records の Tribute to Curtis Mayfield にも参加しています。

そして 1994年、それらの豊富な「言語」を駆使して彼なりの世界を構築するかのようなこのアルバム Bloodlines が完成しました。
もしかして、基本となるフォーマットはシンプルなものが良い(と思ったのかどうかは「?」ですが)からでしょうか、社会の抱える様々な矛盾を歌う際に、彼がそのフォームとして選んだのがブルースを基本としたこのスタイルだった、ということなのかもしれません。
このアルバムは Living Blues の選定する the Best Debut Album of the Year を獲得しています。
それを構成する楽曲は、厳密な意味でのブルース・フォームからは外れる場合でも、その底流にはやはりブルースの「時間」が(ってのもヘンな表現ですが)流れているような気が・・・

ただし、そこで歌われているのは、やはり前述の Curtis Mayfield あたりにも通じる、もっとソーシャルなテーマであり、たとえば一曲目の Can't Recall A Time。その最後のほうに出てくる

Most get less and less
while just a few get more and more
(多くのひとびとがますますその取り分を「失っている」ときに、ごく少数のひとはさらに多くのものを「得ている」)

という一節。
その社会的不公平の全体を俯瞰する視点はむしろ Sly を思い出させます。
で、モノは音楽である以上、そこでどんなことが歌われていようと、「音」としてシンパシィが得られなければ、存在する意味は(歴史的には「ある」かもしれないけど)無いですよね。
その音ですが・・・
まあ、ワタクシがしょっちゅうなにかと言うと持ち出して「バカの代名詞」みたいな扱いで使ってる「 1950年代および 1960年代のシカゴ・ブルースだけを金科玉条のごとくあがめたてまつり、それ以降のブルースを堕落したものと捉えておる、いわゆるシカゴ・ブルース・ファンダメンタリスト(ま、いっそシカゴ・ブルース・シンドローム、でもいいかも)」のみなさまには、まずクソミソに言われそな音でございます。
例えばこのギター。まさにロックそのもののテクスチュアと自由奔放なフレージング(でもちゃんとカウンターとってるけどね)。
そのトーンもさることながら、インプロヴィゼーション一歩手前みたいな動きまわるベース。
ボトムに色を添えるデジタル・ライクにコンティニアスなキックが快いドラム。
さらに単なる「ファンキー」というのとは一味ちがうキーボード・・・

う〜ん、どれをとっても、むしろそれまでロックを聴いていたひとたちとの親和性が目立ちますよね。例えばリヴィング・カラーのヴァーノン・リードみたいな・・・と思ったら、前述のごとく、本人が Soldier's Blue に登場してギター弾いてるじゃないの!
とまあ、ことほどさように、「ロックやフュージョンの言語を多用したブルース」的なスタンスが強いアルバムです。
これによってブルースに興味を持ち始める若い層がいるかもしれません。いや、いるといいなあ。

とあるところで、EC あたりのブルースを「黒人のブルースへの真摯な敬意に溢れている」なんて書いてあるのを見て「ぐぇっ!」となりました。
ワタシに言わせりゃ「ムシのいい誤解に溢れている」ってことになるんですけどね。
おそらくあのへんを聴いて、自分もブルースやろう!なんて思うのは非黒人ばっか、って気がいたします。
そこいくと、この Michael Hill の音は、(ラップやら Hip Hop 全盛の現代では)少ないかもしれないけど、「黒人の」次の世代になにかを手渡していけるよな気がするぞ。
それがファンダメンタリストどもからはどんなふうに呼ばれることになろうとも、ね・・・

Truth is...

かって BLUES日記でも Son Seals の演奏する、「あの Hound Dog Taylor の名作」Sadie を採り上げておりますが、それが収録されておるのがこの AL-4822、Nothing But the Truth。うひゃあ、たいそな名前やないかい!「真実以外のなにものでもない」と来くさった!

なんでか知らんけど、このジャケットでは写真じゃなく、イラストになってますねえ。
以前、Fenton の Blues Downstairs でもコキ下ろしましたが、まあ Alligator がジャケットを描かせるイラストレーターっての、どうもワタクシとは趣味が合いません。
特にこれなんて、なんでイラストにするのか「まったく」意味が判らん・・・少なくとも、写真では表現できないコンセプトとかが「ちゃんとあって」必然的にイラスト以外では表現できない、てなもんならいざしらず(そー言えないこともないフェントンのアレだってあんな出来だもんなあ)、なんだか中南米の軍政をしいてる国家指導者の肖像画みたいで、なんだかギターのネックのかわりに AK47 が似合いそうだぜ。
ま、それが、なんかのパロディとしての「狙い」だったんなら別にいいけど。

まあ、でもそこらは彼と関わりのない製作サイドの方針だったのかもしれなませんからこのくらいにして、と。
さて、これでもう彼のアルバムは 7枚目になるんだそうですが、え〜、みなさんの周りに、あるいはあなた自身でもケッコーですが、この Son Seals がだ〜い好き!シカゴと言ったら Son Seals!なんてゆう熱烈なファン、っていますか?
少なくとも、ワタクシはいまだかって、そうゆう方に遭遇したことはございません。
いえ、それどころか、「ついでに」でもいいから Son Seals「も」好き、なんておっしゃる奇特な方ですら記憶に無いんですよねー。
もちろん、もうすでに 7枚も連続でリリースしてる、ってことはそこそこ売れてる、ってことですよね?
うう〜む謎だ・・・(シツレイ?)
またかい、なんて言われそうですが、今回「も」彼のヴォーカルは、なにかってえとスグにリキみが入るんですが、それがなんだかココロからのもんじゃなくて、ヴォーカル・テクニックとしての「はい、ここ、リキんでますよ〜」てな記号化しちゃってる、と思うのはワタシだけでしょか?

Bruce Iglauer によるアルバムのライナーでは同年代のブルースマンの中ではトップに位置するような「ブルース・ジャイアント」である、みたいなこと書かれていますが、どうもピンと来ませんねえ。
いや、ワタシだって、「嫌い」ってワケじゃないんですよ。
それなりにウマいし、ちゃんとやって(なんてエラそーに言えた義理じゃないですが)ますからねえ。
ん〜、もしかすると、そこにつきまとう「真面目さ」みたいなもん、それがあまり魅力的じゃない理由なのかもしれませんね。
ほら、ワタシってばネがおちゃらけてますでしょ?だもんだから、どっか優等生っぽいっちゅうか、そんな「匂い」にはビンカンなんですよ。
「真実以外のなにものでもない」かあ・・・ワタシがこのひとに期待したかったのは「真実以外ならなんだっていい」のほうだったんだけどなあ。

さて、次の AL-4823 は、もしかすっとその Son Seals より曲によっちゃガスが抜けてていいとこもあるかも、てなティンズレー・エリスの Storm Warning。ま、「暴風雨警報」てな意味でしょか?あ、注意報くらいかな?
全体に Chuck Leavell のオルガンがなかなかいい味を出してて、そこで上空を飛翔する本人のギターもそこそこイケてるんですが、まだヴォーカルが「意識し過ぎ」だなあ。
4曲目の Panhead なんて、これ Elvin Bishop がやったらむっちゃ魅力的なナンバーになるだろな・・・なんて思わせちゃうとこが「惜しい」(か?)
これまた録音は Georgia 州 Atlanta の Triclops Sound Studios、ミックスダウンも Atlanta の Bosstown Recording Studios、マスタリングは Chicago ですが初登場の Monster Disc。
最初っから最後までいかなる工程にも Bruce Iglauer は関与していないようです。

かわっての AL-4824、だいぶ前に登場してた Siegel-Schwall Band ってのがあったでしょ?どーやらそれの片割れが主体になって作ったらしいコーキィ・シーゲルズ・チャンバー・ブルースってえ集団(?)の Chamber Bluesっちゅうアルバム。
まるでモーツアルトかいな?てな室内楽にブルースハープを乗せたよな、いったいなにがやりたかったんだかよく判らないアルバム。
これだったらクロノス・カルテットによる、弦楽四重奏団による Purple Haze のほうが「う〜んと」いいっ!
え〜、ワタクシからのひとこと・・・「死ぬまでやってろ!」

あ〜シツレイいたしました。さ、気分も新たに次のアルバムを。
AL-4825 は Kenny Neal で Hoodoo Moon
ま、よく似たタイトルで Hoodoo Man ってのが Junior Wells にありますが、もちろんそれとはちゃう曲でございます。
録音はもっちろん、の Florida 州 Sanford、King Snake Studios でミックスダウンは Chicago の Chicago Trax。マスタリングが Monster Disc。
アルバムのジャケットはでっかい月を背景にテレキャスターを弾く Kenny Neal ですが、これは「合成」で、背後の月の写真は NASA から提供を受けておるそうで。
キーボードにはいつもの Lucky Peterson、そしてバックもいつもの King Snake Horns と「手慣れた」作りになっているせいか、音も基本的には「いつもの」Kenny Neal です。
セカンド・ラインっぽいリズム(でも意外と細やかな気配りがされてて「謝肉祭」的な荒さは無い)が活きている Don't Fix Our Love なんて、軽く仕上げてあって、そこらはウマいですねえ。
やはりもう Bob Greenlee あたりともヴィジョンの統一がちゃんとはかられているっつうか「迷いの無さ」は感じます。ま、それがすべていい方向に向かっているかどうか?ってことではまた別なモンダイかもしれませんが。
また逆にそれぞれは「いい」んだけど、それが一緒になっちゃうと、ってのが Lucky Peterson のハモンドと the King Snake Horns の絡み。
Just One Step や Bad Memory なんかでは、ところどころ干渉してしまってるとこもあるよな気がします。そこらもすこし音を「引き算」したほが・・・なんてことは今だから言えるのかもね。
ま、もしかすると、ギターもハープも出来る Kenny Neal、キーボードもギターも出来る Lucky Peterson、ベースもバリトン・サックスもこなす Bob Greenlee、てな多才な三人が集まっちゃった「必然」なのかもしれませんが。

Deep Down!

Kenny Neal の AL-4825、Hoodoo Moon に続くのは、例のサファイアでございます。
まあねー、世の中、イロイロでございますから、「こうゆうブルースだったら聴ける」なんて方もおられるんでしょうか・・・てなワケで AL-4826 は Old, New, Borrowed & Blue でございました。

で、次の AL-4827 はウィリアム・クラークの Groove Time。これもセルフ・プロデュースで California 州 Culver City の Pacifica Studios での録音ならびにミックスダウンで、マスタリングが Chicago の Monster Disc。
例によって Bruce Iglauer は、どの工程にも参加しておりません。

そしてようやく Real Blues!
AL-4828 は Carey Bell の Deep Down
2003年の 7月に行われた第一回青森安方フェスティヴァルでのシカゴ・ブルース・オールスターズでは、Bob Stroger がベースを左右に揺らすようにしてそのリフを弾き始めて、ワタクシなんぞ思わず歓声を上げてしまった I Got To Go で始まる「ちょい」ファンキーなアルバムでございます。
ま、なんたってキーボードが Lucky Peterson ですからデジタル音源らしきピアノでくるくるまわすリフだってひと味ちがうし、ボトムをささえるベースが Johnny B. Gayden ですからねー。そりゃ旧来の「シカゴ・ブルース」なんてえワクに収まるワケございません。
もちろん Little Walter でお馴染みの I Got To Go、そのオリジナルの香りをよく残しておりますが(って、そー思わないひともいるんでしょね)、さすがバックのギターだって「あの」Carl Weathersby と Lurrie Bell ですからねえ、リズムの取り方ひとつだって、実に柔軟で、でも出てくるリフとしちゃあタイト!っちゅう、いっつもそれを逆にしたのに苦しめられることが多いワタシとしちゃあ、もうヒジョーに「羨ましい」!
ベースだって、一見、ありがちなパターンを弾いてるように思うでしょが、そこはさすが Johnny B. Gayden、独特な送りピック・・・ってピック使ってないか?え〜、なんちゅうかオルタネイトっぽい、っちゅうのかな?その引っかけ具合がたまりまへん。
そして意外だったのは、Carey Bell 自身のヴォーカルもハープも、そんな「ファンキー」テイストに良くマッチしてる、ってこと。もう明らかに Chess の時代とは違う、まさに 1990年代のブルースなんですよねー。
前述の 2003年のライヴでもやってくれた(っつうか、この時の Carey Bell は、このアルバムに収録したナンバーをメインにしてたんじゃないかなあ)Low Down Dirty Shame なんて(青森ではベースが Bob Stroger じいさんだったんでそれほどのキレは無かったんですが)Johnny B. Gayden のベースが「シカゴ・ブルース・ファンダメンタリスト」のみなさまがゼッタイにユルさないだろなあ、っちゅうメッチャ Slappy で、もろ骨盤に来ます。

そして唯一、ワタシ「は」あんまりご存知じゃなかった、ドラムの Ray "Killer" Allison にしたって、Lonesome Stranger じゃ、まさに「とんでも」な超倍速刻みかいな?っちゅうハイハット・ワークで驚かせてくれるじゃないの。うん、それでこそ「現代の」リズム・セクションっつーものでございましょう。
かと言ってシャッフルがダメか?っちゅうとそんなこともございません。エラそなこと言ってもブーギひとつまともに叩けないなんて連中が多いなか、さすがプロはちゃうわい、てなドラミングを見せてくれてますよん。
またワタクシも(ナマイキにも)レパートリィに加えさせていただいとる I Got A Rich Man's Woman での重心の低い、でも決してモタっていない(スローっちゅうと「モタっていい」、いえそれどころか「モタらなきゃ」なんて手合いもいるようですが、それはちゃうぞ!)スムースさ!

いやもう、このアルバムについちゃあ、いくらでも語ってしまいそうになりますね。そのくらい気に入っているアルバムなのでございます。
もちろん、ご自分でもハープをおやりになる方ですと、またワタクシとは聴き方、あるいは聴きどころも違うでしょうから、異なった評価を下されるやもしれませんが、もともと偏向しとるワタクシめにとっては、マチガイなく、このアルバムこそが Carey Bell の「ベスト」!
ま、ハーピストの中じゃあ、ワタクシ、この Carey Bell がいっちゃん好き、ってなもんですから、その意味では「マイ・ベスト・ブルース・ハープ・アルバム」っつーことになりますね。
なんたってこの人にとってのハーピストってのが Little Walter、Sonny Boy Williamson II、そして Big Walter Horton ってあたりに(勝手に)ココロ通うものがありますなあ。
たとえばこの Carey Bell がシカゴに出てきたのって 1956年の 9月、19才のときだ、ってんですから、1946年( 1948年という説もある。最近はややそっちが優勢か?)に出てきてる、っちゅう Junior Wells とは 10年の開きがあるワケです。
で、聴いていただけば判るとおり(え?判らん?そゆひとはここトバしてねん)、その Junior Wells と Carey Bell では、単に年代がどうこうじゃない、なんか本質的な違いがあると思うんですよね。ま、変な概念かもしれないけど、自分に対する「買い被り度」みたいなとこで。
そりゃ Wells はホントにウマい!
トークから入って自然に歌になっていくところ、曲の見せ方、聴かせ方、万事ソツがありません。ま、天与の才、っちゅう感じのエンターテインメントを身につけてるのかもしれません。
それからすると Carey Bell は、なんだかもっとナチュラルに、「生きているそのままのテンションで」当たり前なブルースを紡ぎだしているんじゃないか、てな印象があります。
そんな彼のアルバムのなかでは、この Deep Down、実に充実したバッキング陣を与えられて、珍しくアグレッシヴな Carey Bell が描き出されたのではないでしょうか。

ま、ワタクシ、なんたってこのアルバムにはかなり入れ込んでますので、ハナシ半分くらいに受け止めていただいても結構ですが。

Obscurites

さて、かわってのアルバムは、これもまた現在ではカタログから落とされてしまった Trumpet 音源の AL-2800(!)そう、ここにきてようやく(一見)辻褄を合わせちゃったってえワケですねえ。
え?だってそーでしょうよ。前にもクドいくらい説明したとおり、これまで、すべての Alligator のシリアルは、4700番台なら 4701 から、3900番台でも 3901 から、と「必ず」 XXX1 から始まってるんですよ。それが、あの Sonny Boy を 2700番台に割り込ませるのに、やむなく AL-2700、っちゅう「あり得ない」シリアルを当てちゃったもんだから AL-2801が消滅しちゃってたんですよね。
で、今回はそれを強引に是正しようってのか、よりによって 2800番台も AL-2800から!っちゅうことにしちゃえ、てなもんでしょ。なんたって、そうしとけば AL-2700 なんてシリアルの存在も正当化できる、っちゅーハラなんでしょうね。
つまり、ふつー Alligator のシリアルはすべて末尾「 1 」からスタートするのであるが、Trumpet の音源を使用したものに限っては「 0 」から開始することにしたのである!・・・
いえいえ、別に文句なんておまへんがな。好きにやったらよろし。

いちおー、順を追って行くと以下のよーになります。

1993
AL-2700 Clownin' With the World
AL-2701 Strange Kind of Feeling
AL-2702 Delta Blues - 1951
AL-2802 Deep South Gospel

1994
AL-2803 Goin' Your Direction
AL-2800 Shout, Brother, Shout
AL-2801 In the Spirit

どうすか?オモシロいですねえ。

・・・てなことはともかく、この AL-2800 の V/A: Shout, Brother, Shout、音の方はかなりオモシロいですよね。
ジャンプ・ブルースと R&B と DooWap がミックスされたよな「未分明」なごった煮どんぶりてなもんで、収録されているアーティストも、ロックンロールが「ちょっとだけ」香るよな Rocky Jones and the Texas Jacks や Sugar Mama では、なかなかシブさもある(?)ブルースを聴かせてくれる Sherman "Blues" Johnson and his Clouds of Joy(ぐふふ、どっかで聞いたことある名前でしょー?これに Mighty がつけば・・・)、そしてお馴染み(?)の Willie Love and his Three Aces(もちろん Myers 兄弟とはカンケー無いんでしょね?未確認)、かと思うとミョーにジャズぃな紅一点、Beverly White and her Trio。
どれも決定的な魅力とまでは行かないものの(確かに行ってたらソロ・アルバムも出来るくらいになって、「みんなが知ってる」存在になってたハズ・・・)、それなりにいい味を出してますよ。
あの London の Blues Obscurites シリーズもそうでしたが、せいぜいシングル二・三枚で消えて行ったひとたちの音でオモシロいのっていっぱいあるんですよねー。
ブルースの歴史は Chess のスタジオだけで作られたんじゃありませんから!

さて、もひとつのほう、続く AL-2801、In the Spirit: Gospel and Jubilee Recordings of Trumpet Records は、そのタイトルでも「じゅ〜ぶんに」判るようにゴスペルのアルバムでした。
収録されているのは the St. Andrews Gospelaires*、the Blue Jay Gospel Singers*、the Argo Gospel Singers、the Southern Sons、Brother High Dent、the Carolina Kings of Harmony といった方々で(・・・とつい「敬語」になっちゃいますねえ、そのよーな「信心深い」みなさまに対しましては)、とーぜん、ゴスペルにヨワいワタクシにはなにがなにやらさっぱ判りません。
たぶん、「そっち」がお好きな方にとっちゃあ、実に貴重な音源ばかりなんでしょうが。
こころなしかジャケットのデザインまで、いつもの Alligator とは違って、なんだかココロが洗われるよな清々しい水辺の光景なんぞが使われておって、まことにチョーシがくるう・・・うっぷす、し、新鮮でございますねえ。

* ─ この二つは密接な関係があり、1930年代に Paramount に吹き込んだ Alabama 州 Birmingham のゴスペル・グループ(あるいはジュビリー・シンガーズというんでしょか、そこらゴスペルに「うとい」ワタクシにはよく判らないのですが、ゴスペルとジュビリーは違うんでしょね?日常の祈りの場ではゴスペル、祝祭のときのがジュビリーかな?・・・ま、それは「詳しいかた」にお任せして)、the Famous Bluejay Singers はメンバーとして Silas Steele、Charles Beale、James Hollingsworth に Clarence Parnell を擁するクァルテットでしたが、1940年には解散し、それが後にシカゴで再会し、Parnell 以外のメンバーに Charles Bridge を加えて the Blue Jay Gospel Singers を結成します。
それも 1950年に Silas Steele が the Spirit of Memphis に移籍したため新たに David Davney と Leandrew Wafford を加えクィンテットとなりました。
この頃に Mississippi 州 Jackson で the St. Andrews Gospelaires のマネージメントをしていた W.D. Andrews と出会い、以後、この二つのグループは一緒にツアーを行ったり、 W.D. Andrews の自宅に滞在したりもしていたようです。
いわば the Blue Jay Gospel Singers の Jackson 事務所みたいなもので、シカゴから出てきたときは必ずそこを拠点として南部諸州を動いた、と。

1995

AL-2800、Shout, Brother, Shout と AL-2801、In the Spirit で「ようやく」1994年を終え、こっからは 1995年になります。
その最初は Little Charlie and the Nightcats。
ところで、これはある方からも訊かれたのですが、なんで同じ白人なのに「カタカナ表記」になったり「英文表記」になったりするのか?っちゅう疑問をお持ちの方もいるかもしれません。
いえ、別に意味はありません。気分次第です!なんてゴマかしてもい〜んですが、ま、かなり「それに近い」とは言え、いちおーのスタンダードみたいなもんがありまして、白人がマジメにブルースをやってるつもり、っちゅーワタクシにとっちゃあ「ケっ!」てのは全部カタカナ。ブルースみたいのもやるけど、でもこれ「ワシらの音楽じゃ」って言えるよなサウンドを作り上げているのには「敬意を表して」英字で、と「区別(差別とも言う)」しております。
ですからジョニー・ウィンターだって、「ブルースやってます」なんてのじゃなく、ま、ここで採り上げることは無いでしょが、エドガーやリック・デリンジャーとやったライヴなんてのを語るときには Johnny Winter と表記するでしょう。
もちろん、そこらの識別にはワタクシの個人的な好みが 100%反映されており、ひとさまに対してはなんら説得力を持つとは思えませんので、まだ「気分次第」っちゅうことにしといたほーがカドも立たないんでしょが、私としちゃあ、そんなニセモノを扱うんじゃねえ!っていう、特に白人が主宰するサイトに多い、ブルースのサイトなのに白人ミュージシャンをケジメ無く入れちゃってるケースに「怒り」すら感じますので、嫌われるのを覚悟で今後も「白人差別」を続けてまいります。
ホント、日本でやるブルースのイヴェントに白人ミュージシャンをなぜ呼ばないのか?なんて言うのがタマにいますよね?
白人を呼んでまでやらなきゃならないならヤメちまったほうがよっぽどいい!
ブルースとはそうゆうものだ。
・・・と、いくら言ったところで糠に釘、でしょか。

AL-4839、Little Charlie and the Nightcats の Straight Up!、相変わらずのキレのあるポップさで、むしろブルースっぽいナンバーをやっても、かえって白人であることの「味」をうまく活かしてますよねえ。
最初の曲、I Could Deal With It なんて、冗談みたいなブーギを切り、カウンターで入るギターだって「ブルースっぽく」なってますが、なんたってこのヴォーカル!やはり「キャリフォルニアの青い空」が似合う!
1960年代のポップスみたいな(「ビキニ・スタイルのお嬢さん」とかゆうナンバーを思い出すねえ)ポコポコ・リズムの I Can't Speak No Spanish なんて、まさに「ホワイト・カルチャー」ど真ん中だし、全体に、ヴォーカルにしてもギターにしても距離感やら軽さ、インテンシティなどどこをとっても「黒人みたい」になんかなってないんだよね。判る?

もしかすると本人たちはマジで再現したつもりかもしんないけど Too Close Together にしても、なんだかパロディっぽくて(あ、ファンは怒るかも、だけど)キュートに仕上がってます。「キュート」!
でも、この AL-4829 では 10曲目、ギターの Little Charlie Baty が作った曲(実はハープ & ヴォーカルの Rick Estrin の作った曲のほが圧倒的に多いのだ!)Gerontology(老人学、あるいは「老化について」てなニュアンスか?)みたいな、チョーシいいナンバーなんかでこの the Nightcats の持ち味が純粋に発揮されてるよな気もしますが。
録音は California 州 Richmond の Bay View Studios。どうやら名前からすっと、眺めが良さそなとこにあるのかなあ。
で、Additional recordings とあるので、後から John Firman のサックスか Rusty Zynn のギターをかぶせてるんでしょか?そっちは同じ California 州ながら Cotati の Prairie Sun Recordings で行われ、マスタリングはいつもの Monster Disc。

続いての AL-4830 は C.J. Chenier の Too Much Fun でございます。まあ、ワタクシといたしましては、これよりも Step It Up! のほーが好きなのですが、これだって出来が悪い訳ではございません。いえ、それどころか、むしろ「まともな」 Zydeco としては評価できるのやもしれません。
「あっち」ではロックンロールのテイストが「かなり」強く前面に出ておりましたが、こちらでは「しっとりと」アコーディオンが歌い、バックでもラブボードやらスプーンらしき雑音・・・うっぷす、細かいリズムが聴きとれますからねえ。
それでも Give Me Some of That なんてナンバーじゃ、そっちに傾斜しそうだ、てなニュアンスを嗅ぎとることは出来そうかも。
一方では、偉大なる父、Clifton Chenier のナンバーである Zydeco Cha Cha、You Used To Call Me、Louisiana Two Steps などを「まっとうに」演奏してみせ、「受け継がれたもの」を意識している、という一面も見せてくれております。
ただ、Louisiana 界隈でのハウス・パーティで楽しくみんなを踊らせていれば良いのなら、それだけで充分なのでしょうが、全米に向けて、いえ、世界に向けてセールスすることを意識してアルバムを作る、となると、やはりそこには地域限定的な(?)視点を超えた Something が必要であることはこれまたいたしかたないところでしょう。

プロデュースは C.j. Chenier と Bruce Iglauer の共同。
録音はシカゴでもルイジアナでもなく(まさかその中間地点ってことで選ばれた訳じゃないよね・・・)Memphis の Ardent Studios で、ミックスダウンが Chicago Recording Company となっていますが、クレジットではその「次に」Additional recordings としてふたたび Memphis の Kiva Studios の名が挙げられております。
ん〜、一度ミックスダウンしてみたけど、なんか「足りなくて」もいちど Memphis で音を足した、ってことなんでしょか?
まあ、確かに演奏者のクレジットを見る限り、その配役(?)はかなり錯綜しており、ただし、どれが最初の録音で後乗せじゃないのか?はさっぱ判りませんので、どれが Additional recording だったのか?はまったく不明です。
マスタリングはこれも Monster Disc。

4831-4833

前の段でちょっと触れた「ブルースやってるつもりの白人」とはまたちょっと違う位相ながら、こいつにもちと違和感があるぞ、っちゅうのが AL-4831 の Sugar Blue、In Your Eyes でしょか。
まあ、お聞きになったことがあったら(無かったら、それはそれでケッコウ。わざわざ聞いてみるほどのもんじゃござんせん)言ってることが判っていただけるとは思うのですが、まあ、なんでしょねえ、オフ・ブロードウェイでかかってる、黒人を主役に都会での恋愛模様を現代の悲劇に織り込んで描く、てな「ミュージカル」のサウンド・トラックかいな?っちゅう音楽でございます。
え?ブルース?あ〜、そう言えばラストに Little Red Rooster をやってましたが、なんだかパロディみたいな歌い方で、あそこはたぶん、守旧的な石頭の長老なんてのの出演シーンで使うんじゃないの?
ブルースとの関わり(?)としちゃあ、Bluepine の一曲だけだけど Pinetop Perkins がピアノで参加してる、ってことだけかな。

これもオリジナルは日本のキング・レコードで録音は Streetville Studios と Thompson 900 Audio(ともにシカゴ)。

続いての AL-4832 は、なんだかブルースへの「あこがれ」みたいなもんを感じてしまう、例のオーストラリアン、ディヴ・ホールの Steel On Steel。ジャケット写真が暗示(っつうか、見りゃ判る、か)するよにスライドをばりばりやってます。
彼のブルースへの想いがストレートに表れてるよなナンバー、Take Me To Chicago「私をシカゴへ連れてって」なんか実にシンプルかつストレートですねえ。
おそらく、黒人対白人の対立の図式を日常の生活のなかで見ていないせいか、ちょっと日本のブルース・バンドとも似通った、「萎縮してない」伸びやかさみたいなものがあるような・・・いえ、別に、それが悪い、とは思っておりません。これはこれでよろしいんじゃないでしょうか。
録音は例によってオーストラリア西部に位置する Perth の Planet Studios、マスタリングはシカゴの Monster Disc でした。

さて、ついつい Otis SpannMule Kicking In My Stall を思い浮かべてしまいましたが、もちろんそこはジョークで、なんたってタイトルがそれを思い出させるけど「駄洒落」と「反語」になってる(?)っちゅう Another Mule Kickin' In Your Stall なんてナンバーで始まるのが Elvin Bishop のアルバム、AL-4833、Ace in the Hole
これを Dave Hole の次にリリースするんだから(え?偶然?)オモシロいですねえ、Alligator も(まあ、アス・ホールに「かけてる」なんては思いませんが)。
まあ、ジャケットの写真からして「いつもの」Elvin Bishop ですよね。
まったく深みの無い、誰が見ても判るタンジュンなテーマ(なんたってあの Hometown Boy Makes Good じゃあ、両手にドル紙幣の詰まった袋を持って現れて、銀行の警備員のおじさんに抱きつかれんばかりに「歓迎されてる」シーンをジャケット写真にしてましたからねえ。そうそう、 Hog Heaven だって・・・)!
ですから

I got a
mule, kickin' in my stall を
Another
mule 〜
にしちゃうなんて、これはもうリッパな駄洒落、おやじギャグの域に達しておる、と言ってよろしいかと。

と、そんな Elvin Bishop ですから、その音だってほどよく(?)「脱力」しております(ま、友人でひとり、これは「脱力」なんてカッコつけてはいかん、よーするに「ぬけてる」んだ!と言ったのがおりましたが)。
でも Party 'Till the Cows Come Home だけリキが入ってるなあ?と思ったら、これヴォーカルが彼じゃなくてキーボードの Randy Forrester でした。だよねえ。
まるでシカゴ・ブルース・スポット・ガイドみたいな Home of the Blues、こんなんじゃ釣れねえぞ、と言いたくなるよな Fishing、またしても豚ネタかい?っちゅう Pigmeat on the Line(意味不明・・・インストなんでよけー判らん)、なんてナンバーが相変わらずの Elvin Bishop ワールドを繰り広げて行きますが、おや?と思うのは最後のナンバーでしょね。
そう!彼にとっての最大のヒット(たぶん、ね)となった「あの」Fooled Around And Fell In Love を再演してるんですよ。
と言っても早まってはいけません(ま、なにを早まるんだか知らんけど)、なんたって、これ、インストなんですよねー。
ただ、けっこーオリジナルを彷彿とさせる出来にはなっておりますから、自信のあるオヤジのみなさまは、これを伴奏にカラオケ状態で「絶唱」されてみるのもよろしいかと。

録音は California 州 Novato の Wild Horse Studios、そして同じく San Rafael の Wizards And Cecil B. Studios では Additional Recording、マスタリングはシカゴ Monster Disc で、途中、どこにも Bruce Iglauer は登場してないもよう(ただ、最後の「感謝する」リストには名前が挙ってますけど)。

Blade Guitars

AL-4834 は、Luther Allison の Blue Streak
ここでは Magic Sam の What Have I Done Wrong がなかなかいい味を出しておりますが、でもいっちゃん(良くも悪くも)Luther Allison らしい、ってのはスローでギターを弾きまくる Watching You や Cherry Red Wine かもしれませんね。

前述の Magic Sam の一曲を除けば、すべて彼自身、あるいは彼とサイド・ギターの James Solberg の共作、となっているこのアルバム、まさに Luther Allison らしさ「全開!」てな感じで、「期待される Luther Allison像」をきっちりと描き出すことには成功しているんじゃないでしょか。
で、そっから先は、このヴォーカルとこのギターが好きかどうか、っちゅういたって個人的な領域の問題でしょう。
録音は Cherry Red Wine、Walking Papers 以外の全曲が Tennessee 州 Memphis の 315 Beale Studios でミックスダウンが同じく Memphis の Ardent Studios と 315 Beale Studios。
Cherry Red Wine と Walking Paper だけは同じ Memphis ながら 10 Maple Studios での録音でミックスダウンは 315 beale Studios。
マスタリングは「すべて」Chicago、Monster Disc。

これもドイツの Ruf Records からのライセンス供与ですから、もちろんプロデュースには Bruce Iglauer はまったく参加しておりません。
ただ、クレジットのとこで、Special thanks to: に Blade Guitars の Gary Levinson に、と記してあるのですが、この Blade Guitars というのは、その Gary Levinson ってえ人が作った「スイスの」ギター・メーカーで、おそらく、この Blue Streakのジャケットで Luther Allison が弾いているのもそうだと思うのですが、ストラトキャスターやテレキャスターのシェイプを「流用し」、そのかわり「材」や「パーツ」で「差をつけよう」っていう一連のギター( Tyler であるとか Suhr、Sadowski あたりね)のグループに属する存在といえるでしょう。
それでも、ヨーロッパに生活の軸足を置いていただけあって、上記のアメリカン・カスタム・メーカーではなく、スイスの Blade Guitars を選ぶってのが Luther Allison らしいとこです。
で、ついで、と言っちゃナンですがギターの弦は Gibson から供給を受けてるようなんですねえ。
Special thanks to: で弦について触れるのは珍しいし、しかもそれが Gibson とは!ってのがイチバンの驚きでございました。
いえいえ、ダメとは申しません。それにその Blade Guitars には「なんでか」Gibson 弦が「合う」のかもしれませんからねえ。
ま、ワタクシ個人の「少ない」経験からは、こと弦に関しましては Gibson って「XXXXXX」で「XXXXX」な「XX」の弦(いずれも自主規制)って印象しかないもので・・・

そんなふうに Luther Allison がスイスの新興ギター・メーカーの意欲作を使用しているのとは対照的に、「見るからに」年季の入ったオールドらしき「きったねえ」ストラトキャスターをあしらった(実際にこれが彼のストラトかどうかは「不明」ですからねえ。ヘタに決めつけて「抗議」なんぞされちゃたまらん・・・実際にはテレキャスターやレス・ポール持った画像が多いしね)ジャケットなのが、次の AL-4835、ステディ・ローリン・ボブ・マーゴリン(いつから Steady Rollin' なんて「冠」がつくよになったんだ?)の My Blues & My Guitar
ん〜、こうゆうのだったらブルースでも聞ける、なんてひともいるんでしょな。本物の「どエスニックな」カリーじゃとても喰えんけど、ハウス・ジャワ・カレーなら食べられる、てなもんでしょか(?)
録音は North Carolina 州 Charlotte の Reflection Sound Studios。ミックスダウンからは Bruce Iglauer も関わってるようで、マスタリングは Monster Disc。

Cadillac?

前作の AL-4815、Back Where I Belong で「戻ってまいりました」宣言(?)をした Billy Boy Arnold の、言わばアメリカにおける彼自身のアルバム第二弾、とゆうことになりますね。
そのときも Los Angeles のブルース・バンドらしい the Taildraggersっちゅうたぶん白人じゃないか?っちゅうのをバックにしておったんですが、今回の AL-4836、Eldorado Cadillac でもバックは例の「ステディ・ローリン」ボブ・マーゴリン一味(?)なんですねえ。
ワタクシはよく、フロント・マンがちゃんとした個性を持っていたら、バックは白人でも一向にかまわん、てなことを言っておりますが、ただそれにはもちろん条件がありまして、バックがそのフロントマンに対し「充分な敬意を払っていること」が必要なのは言うまでもありません・・・
なんてことを改めて言う、ってのは、どーもこの場合ちょっと「?」な印象があるからで、いえ、もしかするとちゃんと敬意は払ってるのかもしんないけど、こうゆうギターしか「弾けない」から仕方なかったんですかねえ?
この Sunday Morning Blues などでのえげつな〜い「お下品な」トーン。
それが「チープなトーン」だってんなら、それはそれでいいんですよ。
でも、ここでの「ステディ・ローリン」君のギターは「逆にリッチ」、それもリッチ過ぎて、そのままじゃフロントのヴォーカルが埋没してしまう、てな懸念からでしょか?やたら Billy Boy Arnold の声にリヴァーブを掛けてるんですよねー。
しかもそれがいったい誰の趣味なのか、現代のクリーンなディジタル系のリヴァーブではなく、(たぶんわざと)狭帯域感のあるローファイな、1950&1960年代チックな R&R っぽい残響を付加して浮き上がらせようとしたんじゃないか、っちゅう感じで、おかげでそのヴォーカルが、まるで Little Charlie & the Nightcats みたいになっちゃってます。(しかも「皮肉なことに」Little Charlie のギターのほうがブルージィだぜ!)
ですからむしろ Man of Considerable Taste みたいな「ブラス比率の高い」曲のほうがブルース度(?)は高いよな感じでございます。

ただ、こんなこと言うとなんですけど、このアルバム全体を通して、なんだか Billy Boy Arnold っぽさ(ってのはどうゆうとこにあるんだい?なんて訊かれると、まあ、それもまた説明に困るんですが)が「薄い」よな気がしてしょうがありません。
前作の Back Where I Belong では音全体に「厚み」が無く、それが逆に Billy Boy Arnold のエグみ(?)を浮き上がらせてくれてたものが、今回のアルバムでは、なんだか音を作り込み過ぎてるっちゅうか、厚く豪華に、かつヴァラエティに富むカラフルな出来になったぶん、彼の持ち味が埋没してしまってるんじゃないのかなあ。
もっとも、本人がこういうサウンドを指向してた部分もあったから「こうなっちゃった」可能性もありますからねえ。プロデュース陣の一角に本人も名を連ねていますから。
前作では「戻ってまいりました」的側面を強調したぶん、今回は「今の Billy Boy Arnold を!」みたいな力点もあったのかもしれません。
そして前作よりはバックが「ウルサい!」っちゅう意味で、個人的には「マイナス評価」ってとこですが、それはもちろん聴くひとによるでしょう。
録音は Chicago の Chicago Trax で Additional Recordings が Rax Trax( Chicago )、ミックスダウンは同州 Palatine の Studio 53。そしてマスタリングはいつもの Monster Disc です。

さて、続く AL-4837 は、ってえとコーリー・ハリスかあ・・・
Between Midnight and Day でデビューした「現代のインテリ」でありながら戦前の弾き語りのカントリー・ブルースを「再現」してるよなひとでございます。
そしてもちろん、世の中にはこゆのが好きな方がどっちゃりいるみたいですねえ。
ま、ワタクシの偏屈はいまに始まったことじゃないし、そこらはみなさまも既にアキラメておられることでしょうが、そう!予想どおり、ワタクシ、この手のブルースを「いい」なんて思うワケはありません。
申し訳ないけれど、ワタクシ、このアルバムって「カタチばかり」で、ブルースのココロを感じません。きっとそんなワタシのほうがココロが汚れておるのでございましょう。
Virginia 州 Springfield の Bias Recording Co. Inc.で Monster Disc のマスタリング。

でもって、次の AL-4838 ってのもなんだか同じ匂いがすんなあ。
まあね〜、こゆのを歓迎する市場が現に存在する以上、そこを狙った製品を投入して会社の経営基盤をさらに強化する、ってのは「実業家」としてはとーぜんでございましょ。
いえいえ、いいんじゃないですか?きっとこの期に及んでアコースティックでプリミティヴなスタイルでブルースをやることにもなにかしら重要な意味があるのでございましょう。
判らないものを、判らないからって貶してはいけませんね、はい。
貶さないかわり、語るのもヤメときましょ。

1996
Long John Hunter

ようやくこっからは 20世紀の最後の 5年間に入ります。
その 1996年の最初を飾るのは、これまたワタクシにとっては、その名前こそ知ってるものの、なんどか聴いた彼の音にはあまり強い印象が無く、別に「イヤだ」とかゆうところも無いかわり、ああ、いい曲だなあ!これ自分でもやってみよか?なんてゆーこともゼロ!っちゅう存在でした。
その AL-4839、Long John Hunter の Border Town Legend ですが、Alligator の Biography では

Long John Hunter seemingly came out of nowhere...

ま、日本語でゆうとこの「どこからともなく現れた」ってヤツでしょか、そのよーに始まっております。
もちろん、それは「音楽業界」として見れば、いきなり 65歳(!)の新人(!!)が突然デビューしたワケですから、そのような表現になるのも無理はないところでしょう。

この John Thurman Hunter は 1931年 7月13日に Louisiana 州 Ringold で生まれ、ただしおそらく 8才のころと思われますが Arkansan 州の農園に移り、以来、24才になるまで、そこで週に七日、朝から晩まで農作業に勤しみ、またまわりにもなんの楽しみも無い生活を送っていた、とインタビューでは語っています。
それによると彼の父は少しばかり( Lightnin' Hopkins みたいな)ギターを弾いたようで、ただ、その時はそれが彼自身にあまり影響を与えていないようです。当時は音楽といえば放送で流れてくる C&W が圧倒的で、Blue Moon over( of じゃなかったっけ?)Kentucky なんて曲を歌っていた、と。
ただしインタビューでは、ギターは自習した(ほとんど耳から覚えたものを)としているのですが、それが Arkansas の農園時代にすでに始めていたのか、あるいはそこを出てからのことだったのか、については言及しておりません。
ま、Arkansas では、父の弾くギターとラジオ以外、まったく音楽には触れていなかった、という発言はありますから、それ以降のことではないか、と思うのですが。
しかし、本人は 24才のときに農園を出た、としていますが、一部の資料では、彼が Texas 州 Beaumont(およそ Houston から 2時の方向に 100km弱はなれた Louisiana との「州境」に近い町)に来たのを 1947年としています。それが正しいとすると 16才で家を出たことになり、だいぶハナシが違いますねえ。そしてそこから彼のギターのキャリアが始まったのだ、と。
真相ははたしてどうだったのか(何度も言っておりますが、ワタクシ、Screamin' Jay Hawkins 後遺症のせいで、「本人がそう言ってる」なんてのを「はいはい」と素直には信じられない、っちゅー呪われたカラダになってしまったのでございますよ)多少は気になるところですが、まあ、はっきり言って、そこらはどっちでも彼の音楽性にとっちゃ、さほど重要ではないかも、っちゅう気もしますね。
ま、Alligator の Biography ではまたちょっと違ってて、ギターを始めたのが 22才のときから、としています。

で、なにはともあれ、1954年のこと、なにやら Texas box factory っちゅうから製函工場に勤めていたんでしょか、Beaumont には 1949年に出てきて、その工場での同僚であった Erving Charles* に連れられて、これも Beaumont の Raven Club に行き、そこで観た B.B.の演奏に衝撃を受け(?)二人はバンドを結成しています。
ドラムには Charles の義兄弟の Roy Stelly を迎え、住んでいたのが Beaumont の Hollywood 地区だったことから the Hollywood Bearcats と名乗り、そのヘンでは有名なバンドとなり、Phillip Walker や Guitar Junior こと Lonnie「ええ仕事しまっせ、ぐふふ」Brooks、そして Lonesome Sundown などとも交流しておりました。ただし Long John Hunter は Beaumont から Houston に出てしまい、バンドでは後釜にサックスの James Young を入れて、さらにそのグループ名も Charles Sheffield をヴォーカルに迎えて the Nite Riders(ただし James Young をフロントにしたときは Big Sambo and Prince Charles )と変えて活動を続けて行く・・・
どうやら Long John Hunter の音楽的なセンスはすぐさまそのへんでは注目されるようになったらしく、早くも同年には Duke でシングル盤を吹き込んでいます。
Crazy Baby と She Used To Be My Woman のカップリングで、それがそのまま全国的なヒットにまでは至りませんでしたが、その売れ行きは、「音楽で喰っていく」ことを決意させるには充分な程度ではあったようで、1957年には彼はさらにいきなり 1000km以上も西(う〜ん、さすがアメリカは広い!そんなに離れてても同じ州内とは・・・実際には Houstonからは 10時の方向になる)に向かって Texas 州 El Paso に移り住み、国境を超えて Mexico の町 Juarez の Lobby Bar に出演するようになり、本人が言うには「最初の 5年間は毎週 7日、次の 5年は週 5日演奏してた」
まあ、そこの客ときたら、「かなり」ものスゴいのばっかりだったようですが、そんな場で「鍛え」られたんでしょかね。
そんな場で演奏をし続けていることでも有名になってきた彼は、活動の幅を広げ(?)かなり多くのブルースマンのオープニング・アクトを努めたり、共演したりもしているようで、インタビューでは特に Albert Collins と Clarence "Gatemouth" Brown の名前を出しておりました。

1961年から 1963年までの間に Long John Hunter は Yucca レーベルにシングルを録音しています。それらはいずれもローカル・ヒットの域を出なかったようですが、本人は Juarez にいるかぎり最恵待遇を受けて「王様(?)」でいられたワケですから、あまりがっついていなかったんでしょう。
しかしその Juarez での彼の王国は Lobby Bar の閉店によって終わりを告げ、彼はふたたび El Paso に帰ってきました。
そのあたりから Texas 州の西半分をメインとしたブルース・サーキットを回るようになり、1985年には Boss レーベルに彼にとって初のアルバムを吹き込んでいるようですが、それのタイトルなどは不明です。
続いては Spindletop レーベルから 1993年にリリースした Ride With Me、これが Rolling Stone誌をはじめとする絶賛を浴び、一躍、彼は有名に・・・なりかけたとこで、なんとその Spindletop が倒産・・・

で、ケッキョク、彼が「まさに」世界に羽ばたくこととなったのが、実にこの AL-4839、Border Town Legend だった、というワケでございます。
その前の Ride With Me もケッキョク後から Alligator によって再発されてはおるのですが。
あ、そうそう、Long John Hunter においてかれた(?)Erving Charles ですが、その後 Barbara Lynn のサポートをしたり、ジョニー&エドガーのウィンターズをサポートしたりと結構カツヤクしておりますが、その活動はあくまで Beaumont に軸足を置いており、1997年の Blues Estafette ではかっての仲間だった Long John Hunter、Lonnie「ええ仕事しまっせ」Brooks、PHillip Walker らと再結集しております。

* ─ Erving Charles; 1932年、Louisiana 州 Port Barre で生まれる。父はザディコのアコーディオン・プレイヤーで、そのためか、最初はラブボード奏者だった。
10才のときにギターを買ってもらい、以後ギターに専念する。
自身のリーダーアルバムも Red Drum Production から出ている(らしい)。

Bulb Fiction

さて続いてはまたサファイアの Cleaning House( AL-4840 )、ま、たいして語ることもないのでスグ次、行きます。
AL-4841 は Floyd Dixon の Wake Up and Live! でした。
もともとは Texas 州 Marshall で生まれ、どうやら彼が 13才のときに一家で移り住んだ Los Angeles で Charles Brown などとの交流を経て自身の音楽を作り上げていったと思われる J. Riggins Jr. はどうやらいつのまにか Floyd Dixon と名乗るようになっていたようですが、それがいつからで、また、なんだってそんな名前になったのか?ってこともさっぱ判りません。
それはともかく、Floyd Dixon と言えばそりゃもう、あの曲!
そう、Hey Bartender ですよね?
やだなあ、お客さん、それを演らないワケないっしょ?
・・・てなワケで、とーぜん一曲目でございますよん!
そのオリジナルは、たしか 1954年から吹き込みを始めた Cat というレーベルからリリースされておりますが、もっちろん、みなさまはあっとーてきに Blues Brothers の演奏で「ご存知」かもしれませんねえ。
あるいはまた Koko Taylor のヴァージョンでしょか?
さて、なかにはお気づきの方もおられるやもしれませんが、このアルバム・タイトルには「 Live!」ってのが入っておりますよね?
でも、これはライヴ録音ではありません。
ここでの Live! は Wake Up and Live・・・つまり、朝、目が覚めて「まだ生きてる!」てなニュアンスでつかってるんじゃないでしょか?
あるいはまた、もしかすると、このアルバムで採用された、まったく異例な録音テクノロジーに関連して使われているのかもしれません。

今回、このアルバムの録音を担当したプロデューサーの Port Barlow は、かっての 1950年代の暖かみのあるトーンを再現すべく、苦労して「当時の」録音マイク(懐かしい RCA のヴェロシティ・マイクなどでしょうか?)を揃え、しかもそのマイクロフォン・ヘッド・アンプは「すべて」管球式で統一!そしてこれまた当時と同じ、完全にアナログな「テープレコーダー」で一発録りしたのでした。その意味ではスタジオ・ライヴであることは確かですからね。

で、面白いのはそっからです。
東洋の島国のガチガチ石頭の頑固オヤジ・・・うっぷす、きょ、強固な信念に支えられた筋金入りのオーディオ・マニアだったら、そのテープから、これも管球式のドライヴィング・アンプに入れ、カッティング工程!っちゅう図式にこだわるんでしょが、そこらさすが Alligator(?)、世はもはや CD 時代ですからねえ、そんなアナログ・ディスクじゃ販路が限られてしまう・・・
じゃ、どうしたか?っていうと、そのアナログ・テープから各トラックごとに「ディジタル・マスター」を起こし(!)、以後はそれをミキシングすることで最終マスターを製作しているのです。
まあ、この日記でも「度々」世のディジタル嫌いのじじ・・・うっぷす、ヴェテランのみなさんのこと、アナログの音がいい、ってのは、そのアナログ特有の「ひずみ」が好きだってことだ、と看破して嫌われておるのでございますが、ここで Port Barlow が目指した、1950年代の「ウォームでリッチ、そしてファットな音」っちゅう表現に、その本質が現れておりますよね。
つまり、原音に忠実である「よりも」、暖かみのある、カドのとれた、耳に快い音、それを作るのだ、てな姿勢なワケ。

いえいえ、ワタクシな〜んにも文句なぞありゃせんがな。
それはそれでとても面白い行き方だと思いますよ。
あの時代のトロっとした音にもそれなりの魅力はありますから。
それにもはやワタクシなぞ、実際に「本気で」音楽を聴くときには(まあ、確かに日本の住宅事情ではやむを得ないのでしょうが)隣家に遠慮しつつ半端なヴォリュームで聴くよりも、その世界に充分に没頭できるヘッドフォーンによる鑑賞のほうが集中できて良いと、実際にスピーカーから音を出す機会は激減しております。
「宏壮な」邸宅の一角に、防音もしっかりした「リスニング・ルーム」を持ち、時間を問わず好きなだけの音量で鑑賞できる、という恵まれた方ならいざしらず、ワタクシのよな「庶民」はヘッドフォン・オーディオが一番身近なんですよね。

ま、ギター用のマルチ・エフェクタが軒並みに採用しているシミュレーション技術「なんちゃってマーシャル」やら「なんちゃってツィン・リヴァーブ」と同様に、そのうちヘッドフォン・オーディオでもそこらが「当たり前」になって、iPod variamp なんてのが発売され、それでは疑似ピックアップに始まって、アンプはなんにするか(やっぱマランツとかマッキントッシュ、あるいは英 Quad、はたまたもっと「コア」な A級シングルで、タマは独ジーメンス or Western Electric?とか選べる・・・)またスピーカーも Altec Voice of Theatre、いや JBL パラゴン、うんにゃ英 Tannoyだな、なんて選べちゃう、てなモデルが登場するかもしれませんが。
で、そーなると、ガリゴリのタマ派は、ぶぁっかも〜ん!ホントにタマを使わんか〜い!ってんでオーディオ・アンプ部をわざわざ管球で自作し、電力を喰いそうだから、ハンディ・ヴィデオなみのヴォリュームのリチウム・イオン電池で給電し、スイッチを入れてちょっとしてほんのり明るくなるミニチュア管をうっとり眺めながら、ん〜次は GT管でやってみっかな?なんてのたまう・・・
いやあ、いいですねえ、まさに老後の楽しみとしちゃあ最高でしょう。
いささかデカくて持ち歩きには苦労しそうですが、そのかわり、会うひとごとに、どうです、ワタシのは本物のタマを使ってるんですぜ、とイバれるワケですからねえ。

4842-4844

AL-4842 は、またウィリアム・クラークで The Hard Way。例によってあまり言うこともありませんが、まあ、あえて、となれば二曲目、Five Card Hand はあの One Room Country Shuck の作者、Mercy Dee Walton のナンバーですねえ。
ま、本人のヴォーカルさえ無けりゃブルースってえアルバムだな。
もちろんセルフ・プロデュースで録音は California 州 Culver City の Pacifica Recording Studios でマスタリングは Chicago、Monster Disc。

AL-4843 は Lonnie Brooks の Roadhouse Rules
このアルバムでは息子の Ronnie Baker Brooks がギターで参加しております。
なんたって Lonnie「いい仕事しまっせ、ぐふふ」Brooks ですからねえ。さほどシリアスな感じじゃないんですが、でも、ジャケット写真じゃカッコつけてます。
収録された曲はそこそこヴァラエティに富んでて、飽きさせませんが、でも、これはいい!っちゅうようなキョーレツな印象を残すまでにはいま一歩、てなとこでしょか。
案外 Roll of the Tumbling Dice なんてえアコースティック系でハーモニカ(ワタシが「ハープ」と言わず「ハーモニカ」と言ってるのは・・・そう、シュガー・ブルーだから)なんぞあしらったナンバーが「いい」っちゅう方も多いかもしれませんが、あたしゃあその前の Evil Twin みたいなのがいいなあ。なんだかハミ出してるものが感じられて。
あと、Before You Go みたいなバラード系も冗談っぽくて(本人の意向はどうあれ、ね)面白いですよ。
むしろこってこてのスローみたいな It's Your World(あ、ブルース進行ちゃうようですが)なんて曲になると、さらに冗談っぽく聞こえるのは、ワタクシの人格的欠陥に基づくものでございましょう。
でもまあ、どの曲も彼の場合は声を張ってるとこがインテンシティ的に効果を上げてる、ってより、どうも軽くおちゃらけてるよに聞こえてしまうんだよな。
録音は Memphis の 315 Beale Studios と Ardent Studios。ミックスダウンは Chicago の Tone Zone & Hinge Studios で、プロデュースは Jim Gaines、このアルバムには Bruce Iglauer は関わっていないようですね。

次の AL-4844 は C.J. Chenier の The Big Squeeze です。
一曲目の Au Contraire, Mon Frere ではいきなり真っ向からのザディコ(?)でガツ〜ンと来ますが、次はなんと Huey Smith の Don't You Just Know It のザディコ・ヴァージョン(?)で、これはこれでけっこーイケてるじゃない!
Mixed Up and Confused あたりはワタシが好きなリフを活かしたギターやらしゃかしゃかなリズムが快い「ちょい」ファンキーなテイストで、ここらも面白い!
かと思うとやっぱ、タマにはこゆのもなきゃあ、って 3/4 の Every Day I Have To Cry Some もなんだかホっとさせてくれますねえ。
Lie To Me にも似たチョーシのいい I Can't Judge Nobody もいいし、このアルバムはとりあえずザディコにとっついてみたい、っちゅうひとにはとっても合ってるかも?
けっこうポップスなとこから、父の Clifton Chenier のナンバーまで、ザディコの風味をあくまでも尊重したこの音作りは、案外「保守的な」ザディコ・ファンにも容認されるのではないでしょか。
C.J. 本人と Bruce Iglauer の共同プロデュースで、録音は Louisiana 州 Maurice の Dockside Studios でミックスダウンは Chicago の Streetville Studios、そしてマスタリングはもちろん Monster Disc でございました。

Mob Again

さて、かわっての AL-4845 は Michael Hill's Blues Mob の二作目 Have Mercy です。
ワタクシ、これまでも Fenton Robinson や Son Seals のアルバムのとこで、ジャケットにイラストを使うことへの異議ばかり申し立ててまいりましたが、この Have Mercy でもその基本は変わりません。
ま、いささかイラスト向きのコンセプトであるのは認めるし、マリ(?)の民族衣装みたいなんでキメたステージ姿とブルックリン橋(?)、背後には様々な人種(?)によるモブが描かれ、なんとな〜く、アフリカ系の民衆芸術(そんなジャンルがあるのかどうかも「?」だけど)っぽい仕上げを目指したんかいなあ?てな趣きではあるのですが、やはりどうも安っぽい・・・
なんだかアース(蚊取りじゃないよ)みたいな「夢想の王国」めいててどうにもしっくり来ないんだけど、ま、これはこれで「熟慮の上で」なんでしょねえ。
このカヴァー・デザインは Sid Blaize ってひとらしいんですが、クレジットでは cover design ではなく cover art by...となっており、これが「イラスト→デザイン」っちゅう「用に即した」ものじゃなく、「純粋美術における絵画なのであるぞよ」てな自負がこめられておるのでございましょう。ワタクシにはそこが逆に気に入らないってだけなんですが。
ただし、別な項では Package design by...として Matt Minde という名が挙げられており、美術は美術、それを使わせていただいてる、みたいなスタンスをより強調してるのかもしれませんねえ。その package design って概念は。
てなことをウダウダ言ってても、もはや時代は iTunes で一曲 150円でダウンロードする時代。もはやジャケット・デザインのコンセプトを云々する時代じゃないのかもしれませんけどね。

音のほうはやはり基本的には前回と同様、ブルース以外の言語でブルースを表現しようとしてる、と言うか、まあ、有り体に言えば、保守的な層からは「あれはブルースじゃない!」なんて断言されちゃいそうな部類。
たとえば、これまでのブルースの流れってのは、もうほとんど、先人たちの音に影響を受けて、別に世襲制ってワケじゃないけど、脈々と受け継がれてきたもので「成り立っている」部分が大きい、と思うんですよ。
それからすると、ここにあるのは、そのような流れからはまったく独立して湧き出した新たな水源、それが合流して来ているようなものかもしれません。
したがって、この音は、これまでのブルースの文脈には「魅力を感じなかった」まったく新たな層をブルースに向かわせる契機となる・・・かなあ?
そうだったらいいなあ、とは思いますが、やはり現代の黒人にとって、もっとも「メインである」カウンター・カルチャーのグラウンドは、どうしたって「ラップ」なワケでしょ?
そのような「感性」からは、これ、かなりの距離があるでしょうから、「こうゆうブルース」がしっかり生き延びて、ひとつまた新しいブルースの位相として定着し得るのかどうか、は微妙なところかもしれません。
なんて言うと、守旧派からは「んなもん消えちまうに決まってる」なんて意見が出そうですが、ただそれを言うなら「ブルース自体が」、という落とし穴もあることを意識した上で言っていただきたいものでございます。

録音は New Jersey 州 Hoboken の Water Music、それに New York の Studio 900 で Additional Recording を加え、Monster Disc でマスタリングしたものです。そして Bruce Iglauer はマスタリングの段階で顔を出しているようですが、このアルバムの最後のナンバー、あの Hound Dog Taylor の She's Gone は、Michael Hill なりの Alligator(あるいは Bruce Iglauer?)に対する「賛意」の表れなのでしょうか?
他の曲では自由な発想で弾きまくってるような各楽器も、ここでは「精一杯」the HouseRockers のムードを残そう、としてるよな気がいたします。

続いての AL-4846 は 1996年の 6月20日から 22日にかけて行われた Buddy Guy's Legends での Son Seals のステージを収録した Spontaneous Combustion(つまり「自然発火」ね)。
こちらはかって、その収録曲 Don't Lie To Me を単独で日記に採り上げておりますが、そこでもクドいくらい褒めておるのはご本尊の Son Seals じゃなくて、あくまでもベースの Johnny B. Gayden のほーでございます。
一見フツーの(?)シャッフルでも彼がベースを弾くと独特のシンコペーションが加わって、まるで異なった色合いを帯びるのですよん。
No, No Baby(ん?どっかで聞いたことあるよなタイトルだなあ・・・ No, No Boy ってのが記憶の片隅に?)でのベースなんて、それ聴いてるだけでマンゾク、てなもんで Son Seals なんてどーでもいい、とまでは言わないけど、別に他の誰でも構わないよ〜っちゅう存在かなあ?
いえいえ、もちろん Son Seals に非はありません。
ちゃんとマジメにブルースに取り組んでますし。
ま、それが「あまりミリョクテキじゃない」のはワタクシの嗜好がイカレておるからであって、決してかれのセキニンではない・・・

いやあ、それにしても Every Goodbye Ain't Gone なんかでの Johnny B. Gayden!ワシだったら、このためだけにでも聴きにいきたい、と思いますねえ。
録音は前述の通り Buddy Guy's Legends で、Metro Mobile Recording社の、録音機材一式を実装した専用車を横付けしてライヴを録音したもの。
ミックスダウンは Chicago Recording Company で、さらにここで Additional Recording も行われたらしく、最終的には Monster Disc でマスタリング。

1/4

ところで、日本ではさほどでもないようですが、アメリカでは 10、20、30・・・などと言う周年を祝う区切りとして、一世紀、つまり 100年の 1/4 に当たる 25周年というのも大切にされているようです。
日本でなら、最初の 5周年は「一区切り」として認知されているかもしれませんが、それ以降は 10 年区切りで、末尾に 5がつくのはあまり無いのではないでしょうか。
そして、ワタクシ、ここでフと思ったのは、これ、アメリカの通貨、それも硬貨の発行システムにもその一因があるのではなかろか?なんて邪推いたしております。
というのも、アメリカ合衆国造幣局によって製造され、同国内に流通している貨幣は次の通り

Penny; 1 cent
Nickel; 5 cent
Dime; 10 cent
Quarter; 25 cent
Half Dollar; 50 cent
dollar( includes "Silver Dollar" ); 100 cent= 1 $


となっており、フェントンでお馴染みの「ダイム」ってのは 10セントなワケでございます。
で、モンダイ(?)はクォーターと呼ばれる 25セント硬貨でして、どうやらアメリカ国内では街頭の新聞の自動販売機、路上のパーキング・メーター、駐車場の硬貨投入口、高速の料金所、そして硬貨と言えば思い出す(か?)あのスロットマシーン(本場の、ね)も硬貨は 25セントを投入するようになっております。あ、どれも価格が 25セント「ポッキリ」なワケじゃなく、クォーターを何枚か投入する、っちゅうシステムね。
ま、アメリカの通貨システムは日本の 1→5→10→50→100→500→1000・・・っつう構成とは異なり、1→2→5→10→20→50→100、っちゅうドル紙幣の系列と、1→2→5→20→25→50→100、というセント硬貨の系列があって、現在では 2セントと 20セントの硬貨は発行が停止されていますが(さらに、一時期 3セント硬貨ってのまであったらしい・・・)、その 2、あるいは 20なんて位置に貨幣を置く、って発想が日本でも 2000年ってこともあって(?)マネしちゃったようですが、どうも日本人の通貨概念とはいまだに馴染みが無いようで、下手すれば嫌われる、てな扱いをされてるのは面白いですよね。
そこいくとアメリカでは意外と 1/4、という観念が発達しているようで、かっては 10ドルの 1/4 にあたる 2.5ドル( Quarter Eagle )なんて「金貨」までありました。
これには実は「インチ・ポンド法」がその生活感覚に関わっているのではないか?とこれまた邪推しておるのですがいかがなもんでしょ?

つまり、日本のよなメートル法に則って計測したり、規格を決定していくと、たとえば JIS ではこの部分のサイズは 25mmとする!なんてことになるのですが、インチの系列で工具を見渡すと、そのサイズ指定が 7-1/2 であるとか 3-1/4、2-3/4、2-3/16、1-5/32・・・というように、インチ以下は 1/2→1/4→1/16→1/32・・・・というように「半分」→「そのまた半分」→「さらにその半分」という分母に、と細分化されていきます。
そんな分割思想(?)が定着しているアメリカでは「 1/4 」つまり Quarter は非常に生活に馴染んだ感覚ではないのか?っちゅう気がいたします。
てなことを言った直後にナンでございますが、実はアメリカにはかって 3ドル金貨、3セント銅貨、おまけに 4ドルの金貨も試作されたことがあるそうですから、その 3 やら 4 ってのは、どう説明すりゃいいもんだか・・・

てなことはともかく、んなワケで 25周年でございます。
1971年にスタートした Alligator も、この 1996年でミゴトに 1/4 世紀を生き延びて来たんですから、そりゃお祝いせにゃ、てなもんで今回も出します。 2枚組 38曲収録の「豪華(?)」記念アルバム!
AL-110、The Alligator Records 25th Anniversary Collection、もちろん内容は、前回の 20周年とダブることなく、かつその後に現れたアーティストも配分して、てなもんでしょか。
また、今回は V/A、Living Chicago Blues I に収録されていた Eddie Shaw and the Wolf Gangs が記念アルバムに初登場となります。
どっちかってえと「並び順」なんてもんに神経をつかって無さそうに見えますが、逆に熟慮の上で、だったらなかなかオモシロいですねえ。
コリー・ハリスの直後が Michael Hill's Blues Mob で、ワタシだったら前者はスキップして Can't Recall A Time を聴くけど、逆のひとも多そうだなあ。
あ、唯一、ワタクシが気に入らないのは、Delbert McClinton でもギター弾いてるんだから、直後にまたロイ・ブキャナン入れんなよ!ってとこかな?
いえ、別に嫌いとかゆうほどのもんじゃないですが、このひとについちゃあ「それほどのもんじゃない」ってのがワタクシの評価ですんで。
・・・もっとも、この 25周年のは「前回で懲りて」っちゅうワケじゃないですが「買ってません」ので別にいいんですけど。がはははは!

もちろんレコード会社にしてみれば、こうゆうオムニバスで、それまでの「お気に入り」の他にも、おっ!これもなかなかイケるじゃん!てなことになって、そっちも買ってくれるようになればいいなあ・・・てのが「本音」でしょうから、やはり「売りたい」のをプッシュするのは当然なこと。
さて、じゃあ前回はいたのに、今回は「落ちた」の誰じゃろ?っちゅう余計なお節介で見比べてみたら、ふむふむ、まずは A.C. Reed か。まあ無理も無い、っつうかワシなら前回にも入れんがのう。で、Jimmy Johnson かあ、あんまり知名度ないもんなあ。嫌いじゃないんだけど。
そして Detroit Junior に Big Walter Horton、Pinetop Perkins に Sonny Terry、Kinsey Report。あ、Paladins もだ。
・・・このリストから別に Alligator のなんらかの変化を読み取ろう、なんては思っておりませんが、まあ、おヒマな方はそこらじっくりと考えてみるのもまたよろしいかと。

1997
New Serial

これまでも Alligator は、その内容に応じて、シリアル・ナンバーを

4701〜; 通常の(?)ブルース・アルバム
7701〜; 1978年からの V/A、Living Chicago Bluesシリーズ
9301; 1980年のフェスティヴァルを収録した Blues Deluxe
8301〜 ; 1980年からのレゲエ(?)のシリーズ
501; 同じくその EP
101〜; 1986年からの拡販用(?)Genuine Houserockin' Music
3901〜; 同じく1986年、Atlantic などの他レーベルからのライセンスもの
9201; 1992年に登場したクリスマス・アルバム(!)
2700〜; Trumpet 原盤もの。シリアルはめちゃめちゃ。
2800〜; 同上。番号デタラメ・・・

てな流れで来ております。無理を通してシリアルと発売順がパッパラパーになっちまった 2700&2800シリーズを除けば、きちんと「システマチックに」分類されてまいりました。

その Alligator のシリアルに 1997年、またひとつ新たなシリーズ、5600番台が登場いたします!・・・と言ってもあの Trumpet じゃないんですから「ちゃんと」5601から始まっております。
それらは Deluxe Edition と名付けられ

AL-5601: Albert Collins
AL-5602: Lonnie Brooks
AL-5603: Little Charlie and the Nightcats
AL-5604: Kenny Neal

という 4枚がリリースされております。

え〜、試みに(?)Albert Collins のを見てみますってえと、AL-4713の Ice Pickin'、AL-4719の Frostbite、AL-4725の Frozen Alive、AL-4730の Don't Lose Your Cool、AL-4733の Live In Japan、AL=4743の Show Down!、AL-4752の Cold Snap と、ぜ〜んぶ「既に」各アルバムに収録されて発売されているトラック「のみ」で構成されており、ただの 1曲として、「このアルバムでしか聴くことが出来ない」ナンバーは含まれておりません・・・
え?それじゃ「つまらん」て?
いえいえ、なにをおっしゃいますやら。たった 1曲のためにアルバム 1枚買う身になってみなはれ、ハラ立ちまっせ〜!
ですから、ワタシとしちゃあ、この選曲は、これから Albert Collins 聴いてみよかな〜?とか、ちょっとキョーミあるけど、どのアルバム買えばいいの?なんて方々にはタイヘン「よろしい」のではないか、と思っております。
そもそも Collins のファンだったら個別のアルバムで持ってますからねえ。
ですからなにも、他社で言うところの The Best of 〜、ってな風情のアルバムで、下手にファンを悩ませるよな「未発表テイク含む」なんて手を使ってないとこに、逆に Alligator の「良心(ま、25周年アルバムじゃ「それ」は無かったようですが?)」を感じますねえ。

じゃがっ!ワシに言わせると唯一、気に喰わんのが、あの Honey Hush( AL-4713、Ice Pickin' 収録)が入っとらんじゃあないかあっ!ぶぁっかものぉー!
・・・と、シツレーいたしました。つい。

あ〜さて、残る三枚も同じよなもんでしょ( Collins と違って Lonnie Brooks なんて一曲ごとに出典を明記してないから、調べるのメンド臭っ)。おそらく未発表音源無しかな?
ま、なんにしてもいまやネットで 30秒程度とはいえ、曲ごとに検聴できて、しかも 1曲 150円でダウンロード出来るワケですから、なんだったら、自分好みの選曲で一枚焼いちゃう、てな時代です。この手のベスト・アルバム的存在は「よほど豪華なブックレットでもつかない限り」その意味を失って行くんじゃないでしょか。
しかも、その際、モンダイになるのがあの CD のサイズですよね。
あれと同梱できる、となると(内容はどうであれ)ブックレットとしちゃ、まことにショボいサイズ、ってことになっちゃいます。
以前 RHINO から出た Otis Redding のボックス・セットではタテ二倍以上っちゅうリッパなのがついて来て、そこまで行くと価値も出てきますが、やはり昔のアナログ・ディスクのあのサイズには、どしたって負けますからね。
もっとも、そういう体裁もそうだけど、その内容( Biography や Discography など)が充実して「資料的価値」としても意味が無けりゃダメですけど。
アイドルじゃないんだから、やたら画像ばっか入れられても、ってとこでしょ。ま、ギターの画像なら多くってもいいけど(?)

で、これまたカンケー無いハナシではありますが、こうゆうブルースマンのステージ姿、あるいは録音スタジオでのスナップでもいいんですが、その人となりが捉えられているショット、ってのはかなり多いし、その価値も認めております。でもねえ・・・
いささか不純(?)の誹りは免れないでしょが、どうせだったらギターのヘッドであるとか(この AL-5602、Lonnie Brooks のジャケットが良い・・・じゃなかった、悪い例かもしれません。顔はしっかり捉えてるんだけど、ギターのヘッドが写ってないので Fender のストラトキャスターかどうか「判らない」んですよ。しかもコイツ・・・うっぷす、か、彼の場合、ヘンなカヴァーみたいなのをボディに被せてるんでよけー判らん!)一目で「あ、ジャズマスターだ!」なんて判るよな特徴的なポイントを押さえてほしい、といつも思うのでございます。
手のなかにすっぽり入って、どのメーカーのなんちゅうモデルか?ってのほとんど画像では分析不可能なハープとは違い、堂々とブランドが見えているワケですからねえ。

Stranger

前に「私をシカゴに連れてって」と歌ってた変な(?)オーストラリアン、Dave Holeクン、ついにその願いが天に(つうか Bruce Iglauer に?)届いたようで、なんと、夢にまで見た「シカゴのスタジオ」で、現地ミュージシャンをバックに好きなだけ(?)ブルースを録音することが出来たのですから、そりゃもうジャケットの写真だって笑顔になっちゃうってえの!

AL-4847 の Dave Hole、Ticket to Chicago は、そんな彼のうっひょ〜っ!シカゴ行きだぁ〜!ってな悦び溢れる、それこそ「まんま」なタイトルでございましょ。
そして現地ミュージシャンをバックに、などとそこではさりげなく書きましたがそこには、その人がおるだけでワタクシの採点がメチャメチャ甘くなる、とウワサの Johnny B. Gayden !! on bass !!!
ダブル・シャッフルやブーギでもいいベースを弾きますが、なんと言っても You Got the Blues や Wheeler Dealer、Why Can't You Be True? なんてとこのベース!ううう、も〜たまりませんねえ。
なんだか You Got the Blues なんて心なしか Dave Hole クンのギターまでちょ〜っとだけ Albert Collins っぽいよな気も・・・せん?あそ。
もっとも、この Daveクン、ガリガリのシカゴ「おたく」だったら、もっとちゃう線でバッキングをセット・アップしてやったほーが喜ぶんじゃあ?てな気もいたしましたが、少なくとも、このアルバムの音を聴く限り、我らが(どうも青森での二年連続ってのが利いてて、「とても」親近感があるのでございます)Billy Branch 御大のハープと「サシ」でカントリー・ブルースっぽくアコースティックをキメてみたり、かと思うとちょと凶悪さの足りない Hound Dog みたいなスライドに、Collins みたいでもある突っ込みギターと、ま、言わばワタクシなんぞと同レヴェルの「ブルース、いいなあ!み〜んな好き!!」てな、分け隔てなく(つ〜かアレもやりたい、コレも!てな次元ね)愛しちゃう「おおらかさ」が出てて、それほど「シカゴ」に「取り憑かれて」はいないようですから、まことにケッコーでございます。

その彼をバック・アップしたのは、キーボードが Tony Z.、そしてもちろんベースは Johnny B. Gayden!ドラムに Ray "Killer" Allison。
さらに Bermuda Triangle(こんどはそこに行ってみたい、なんて歌ってるみたいだなあ。こらこら、なんでも Bruce Iglauer に他力本願じゃいかんぞう!)と Empty Train では Billy Branch がハープで参加しております。
Tony Z. と Ray "Killer" Allison は、ともに Buddy Guy のバッキング・メンバー(当時)だったようで、それだけに Johnny B. Gayden を邪魔しない(?)しっかりしたリズムを紡ぎだしておるような・・・
ただし、他にギタリストはクレジットされておりませんから、サイドは彼自身による多重録音でしょね。トーンも一緒だし!

さて、ライナーで Bruce Iglauer は、Dave Hole が前作でデビューした後、全米をツアーし(・・・は言い過ぎかな?「アメリカのあちこちでライヴを」が合ってるかも)、その際、行く先々でいろんなブルースマンに触れて、それが彼のブルースに膨らみを持たせた、てなことを書いてますが、いや実際、決して「シカゴ」だけがブルースじゃないし、しかもブルースの最高峰というワケでもありませんからねえ。
あ、じゃどこが?なんて思われるでしょが、そりゃあなたのいっちゃん好きなブルースマンは誰か?で決まるでしょ。
もっともワタクシは、ブルースって、あくまでもそのブルースマン個人に帰するものであって「地域」でブルースをくくるのは、いたって便宜的なものに過ぎないと思ってますけどね。
ワタシが Frankie Lee Sims が好きなのは、彼のブルースがテキサス・スタイルだから、なワケなんぞ無く、まさに Frankie Lee Sims「だから」好きなのであって、クソじ・・・うっぷす、Gatemouth だって Elmore だって Hound Dog だって、彼らが「どこブルース」か、なんてカンケー無い!彼らの存在そのもの、っちゅうブルースが好きなんですから。
ただし、かと言って、わたしゃあ「アトランタ」のブルースってのが好きなんですよ、なんていうのを「否定」してるワケじゃありません。
実際、そうゆう言葉でくくれる種類の特徴を持った「地域性」ってのは特に戦前のブルースに関しては無視出来ませんからね。
ただ、特にシカゴに関して感じるのですが、「シカゴに始まりシカゴに終わる」的な「神聖視」やら「過大視」がやや目につくように思います。
そしてナゼか日本のブルースマニアで多いのが、素晴らしいのは、「あの頃のシカゴ」であって、今のシカゴは「問題外」てな捉え方でしょ。
「あの頃」があったから「今」があるワケで、それを「気に喰わない」と言われてもねえ。遠く離れた日本で、現場の力学も判らずにそんなことほざいてちゃ、実際シカゴで生活してるひとに対して失礼だと思うぞ。

おっとっと、またまた得意(?)の脱線ですねえ。
さ、気をとりなおして次!っと思ったら・・・
あの「サファイア」のひとり、アン・ラブソンってののソロ・アルバムかい。
また顔ぶれがひど・・・うっぷす、す、スゴいねえ。セファスとウィギンス、それに「あの」ステディ・ローリン君ですぜ。
ほんと、ごーかな配陣でございますこと。お〜ほっほ
Virginia 州 Falls Church の Cue Studios での録音で、Additional Recordings とミックスダウンが Chicago の Streetville Studios。
マスタリングはもはや毎度お馴染み Monster Disc。

Reckless

腹立ちまぎれに(?)前段の二枚目、ちゃんとしたアルバム・タイトルもシリアル・ナンバーも記さずに終わっちゃってますねえ。
ま、いっか。
別にここは Alligator Records のサイトじゃなく、ちょっとイカれた Othum ってヤツの目から見た Alligator を綴ってるワケですから。

ただ、これは友人から指摘されたんですが、どっちかと言うとワタクシがケーベツ的に使ってるカタカナ名だと、むしろ、そゆのを好きなヤツが多い日本のファンが検索でたどり着き、ムカつくことが多いんじゃないの?と。
あはは、なるほどねえ。確かにそりは言えてる!
だから泥水教の信者とかが迷い込んでくるんだよね。
こと国内に限って言えば、たぶんたいていのかたはブルースマンの名前をカタカナで入れて検索してるんでしょね?
だから Lurie Bell を「ローリー・ベル」と書いたり、Shemekia を「なんて発音すんの?」てな混乱も起きるワケで、なにより、本場(?)アメリカのサイトでカタカナじゃ検索できないですからねえ。

そりゃ日本のサイトだってスゴいとこはいっぱいありますよ。
ただ、全般的に「エピソード」っちゅうか、むしろ「伝説」と言ったほうがいいのかもしれないけど、どうしても日本人ってそういうのが好きみたいですよねー。
そんな「人柄が垣間見えているような気がする」逸話の数々・・・ま、そこら「忠臣蔵」みたく、ハナシとして面白ければ、吉良上野介は悪人でなきゃ「いけない」っちゅう「真実よりドラマ性」ってえ国民なんですから仕方ないのかもしんないけど。

さて、本題に戻りましょ。
え〜、AL-4849 は Luther Allison のドイツ RUF 原盤、Reckless(向こう見ず)でございます。

RUF 原盤とはいえ、録音とミックスダウンは、パリの Woodstock Studio で録音された Playin' A Losin' Game を除き、Tennessee 州 Memphis の 315 Beale Studios、RUF 用のマスタリングは、同じく Memphis の Cry Rock、後の Alligator 盤はさらにそれを再マスタリングして(とーぜん、at Monster Disc!)発売しています。
参加ミュージシャンは(・・・と、このアルバムでだけ急に詳しくなるのはなんでか、っちゅうと、Alligator の Discography ではそのクレジットが完全に欠落しておるからなのでございます。つまり、他のは同社のサイトを見れば判るんでいちいち書いてないけど、これはその穴を埋められる、ってワケね)
ギターに James Solberg と、息子の Bernard Allison( RUF 盤では一曲目となる Low Down And Dirty の作者でもある)、キーボードは Kurt Clayton、Mike Vlahakis、Rick Steff の三人。ベースは二人で Dave Smith と Ken Faltinson。ドラムでは Lloyd Anderson、Darin James、Steve Potts、Willie Hayes の四人がクレジットされています。
そして録音スタジオのとこで出てきたパリ、Woodstock Studio でアコースティック・ギターと絡んでくるハープは Maria Glen ってひとらしいですが、ワタクシ、まったく判りません。江戸川スリムさまなら知ってるかなあ?
バックに入るホーンは、これまたお馴染み(?)の the Memphis Horns ・・・Andrew Love-ts./ Wayne Jackson-tp.って、?ふたりだけかい。

まあ、なんと申しますか、このアルバム、全編を通しまして「良くも悪くも」Luther Allison そのものですねえ。
彼のブルースを好きなひとだったら、うん、Luther Allison はこうでなくっちゃ!てなもんでしょし、逆に嫌ってる、あるいは高く買ってないひとからすれば、そりゃ、クソミソに貶すまでは行かなくても、まあ Luther Allison だもんなあ、こんなもんだろ・・・なんてツメタく片付けられちゃいそ。
確かに「ブルース・ジャイアント」とは呼ばれそうにない、どっかうわずったよなヴォーカル、なんだかチャラチャラして聞こえる前のめりなギター・・・
「神様」視するファンって、このひとにはいないんじゃないか?っちゅう庶民性(?)を感じちゃいます。
まことにヘンなたとえで、どっちにもシツレーかも?ですが、シカゴの大御所やら神器ルシールを抱えた王様あたりが「XX神宮」クラスだとすると、この Luther Allison って、ヒョイと入った横丁の「XX稲荷」って感じなのね。

なんだかいつまでたっても「ホントはあんまり歌、得意じゃないんだ」てな感じの(あ、ホントはどうなんだか判りませんよ。凄え自信があったのかもしんないし!)ヴォーカルを聴いていると、逆に「それでも」歌いたいんだ!っちゅう強い意欲みたいのを勝手に感じてしまうんですが、もちろんそれはワタクシだけの「誤解」である可能性、きわめて「大」なんですけどね。がはは

続いての AL-4850 は、ワタクシにはどこがいいのかさっぱり判らないコリー・ハリスで Fish Ain't Bitin'
でも、こゆの好きな方はたくさんおられるんでしょうね。
録音とミックスダウンは New Orleans の Ultrasonic Studios、マスタリングは Monster Disc。

さらにもひとつ AL-4851 は「ステディ・ローリン」男、ボブ・マーゴリン。
ついでに AL-4852 はティンズレー・エリス。

Huge Shadow

一曲目の音が出て来た瞬間に感じたのは「う〜ん、T Bone 臭いなあ」ってこと。
みなさまもすでにご存知のことと思いますが、ワタクシ、T Bone があんまり好きではございません(なんたって、Goree Carter の Biography の一助に、と、わざわざ資料を送っていただいた、ってえのに、読んでみたら、T Bone についても浚わなきゃ前に進めないとこがあって、一度はハナをつまみながらチャレンジしてみたのですが、スグに敗退してしまい、「そのうち、体調がいいときに・・・」なんて、そのまま放ったらかしでございます。ん〜、どうにも相性が悪いみたいでして)。それでも多くのブルースマンに影響を与えたその存在の「大きさ」は理解できますが、それと好き嫌いは別のこと。
ですから、このアルバムも全編こんなだったらめげるなあ・・・と、ちょい腰が引けかけましたが、それ以降もときどき匂いは漂うけど「そればっかり」ではないので良ござんした。
AL-4853、Long John Hunter の Swinging from the Rafters
さほど強烈な個性というほどではないにしろ、そこそこプレゼンスは発揮しておるように見受けられます。
それでも Bugs on my Window みたいなナンバーじゃ、そのヴォーカルがもろ T Boneって感じで、ここらあたりの歌い方なんて、もう「固定」しちゃってるのかなあ?と「ちょっぴり」失望もありますけど。
ま、実際、このひとの歌って、なんだか聞いたことあるよな・・・ってのが結構ありますねえ。いえいえ曲のことじゃなく、その歌い方っちゅうか「なりきり方(?)」っちゅうか。
Take It Home With You なんて、どっかあのスティーヴィー(ってワザと誤解させるよな書き方してますが「 S.R.V.」じゃないよん)に似てるよな気もするし。
そこいくと Trouble on the Line あたりのヴォーカルが、彼のナチュラルな線なのかもしれませんね。
全体としちゃあ、なかなかブルース度(?)は高いって感じなんですが、アルバム全体の魅力ってとこではどうなんでしょ?
あなた、このアルバム買いますか?あるいは iTunes で 1曲でもダウンロードしてみよう、と思う曲、ありましたか?

録音は、ともに Texas 州ながら、二カ所で行われており、まずは Austin の GM Lone Star Studios、そしてもう一カ所、Abilene( Austin の北西、およそ 300kmほどのところにある地方都市で人口はおよそ 12万人弱。キャトル・ドライヴのキーポイントだったせいか白人が圧倒的に多く、黒人は一割にも満たない)の Mark Hamm Studios、ミックスダウンもそれぞれのスタジオで行ったようでマスタリングは Monster Disc。

さて、ワタシ個人として、この Long John Hunter、どーなのよ?って訊かれると、う〜ん、「嫌い」ではありません。
さりとて、この人の音をしょっちゅう聴くか?となると「それは無い」。
ときどき思い出したよに聴くことはあっても、iTunes に入ってて、しょっちゅう聴いてる Albert Collins やら最近のお気に入り、C.J. Chenier のよな扱いには「ならないことが確実」でしょ。
ま、それはまだワタクシが、彼でなきゃ!ってゆうゼッタイ的な部分をハッケンし得てない、ってだけかもしれませんけどね。

一方、AL-4854 のほうは Carey Bell の Good Luck Man
こちらはもうワタクシのいっちゃん好きなハーピストですからねえ。迷いもなにもありません。渋谷のタワーでハッケン即「買い」でしたよ。
おまけに(?)ベースが Johnny B. Gayden!
お、それじゃ「かなり」ファンキーな仕上がりになってんじゃないの?なんて気になりますが、面白いことにこのアルバム、サイドを切ってるギターやら Johnny B. Gayden のベース、さらに Willie Hayes のドラムなんかも、けっこー「ファンキー」な言語を多用しているにもかかわらず、全体としちゃあ意外と「まとも(?)」なブルースの定義に収まっている感じがあります。
それには Johnny B. Gayden & Willie Hayes じゃない、もひとつのリズム・ユニット、T.A. James(ベース)& Tom Parker(実はこっちが当時 Carey Bell とツアーしてたセットだったらしい)のセットも組み合わされているからかもしれませんけどね。
タイトル・チューンじゃ、これ Steve Jacobs っての?ギターのカウンターがピッキング・ハーモニックスとかバンバン使って、Johnny B. Gayden のベースもケッコー「ひこひこ」言ってるのに、全体はちゃんと Carey Bell のブルースになってる・・・(と思わないひともたっぷりいそうですが)

そりゃ確かにバック陣はピアノにしたところで、「ただもんじゃない」感が「やや」あり過ぎで、まあ、バックがウルサい!っちゃあその通りかもしれません。でも、フロントの Carey Bell がそんなの「屁」でもない、てな頼もしさで「自分のブルース」を作ってくれてる、って感じかな?
1950年代、あるいは 1960年代みたいなバックを揃えればマンゾクする人たちも多いんでしょうが、それじゃ「伝統芸保存会」でしょ。
Blues は「遺産」じゃなく、今も「生きている」音楽なんですから。
録音とミックスダウンは Chicago、Streetville Studios で、以下同文(?)

1998

さあて、ようやく 1998年に突入でございます。
AL-4855 は、ワタクシの「だ〜い好き」な Hound Dog Taylor!・・・と言いたいとこですが、そう、ちょっとちゃうんですよね〜。
そ!タイトルをよっく見ると Hound Dog Taylor: A Tribute、となっております。ぐふふ、そーなのじゃ、これはイロんなひとがそれぞれに Hound Dog Taylor のナンバーを演奏したのを集めた V/A なのでございますよん。
なのに、なんでか今回は 7700番台やら、101番台、っちゅうアンソロジー・ナンバーは割り振られず、通常のブルース・アルバム扱いとなってるんですねえ。
そこら、Bruce Iglauer の Hound Dog Taylor に対する想いが反映してるのでは?なんて思うのワタシだけなんでしょね。
なお、このアルバムからの収益は、未亡人である Fredda Horne と Blues Community Foundation の運営資金に充てられました。

Luther Allison って意外と荒削りなのね?と思ってしまう一曲目の Give Me Back My Wig、ワタクシも大好きで、タマにやる Hound Dog Taylor 大会(?)では必ず登場するナンバーでございます。
ま、このトラックに関しては上の曲名をクリックしていただければ、それを「扱った」以前の日記に飛びますのでよかったらどうぞ。
ただ、この Luther Allison、このアルバムがリリースされる前年の 8月にすでに還らぬひととなっていたんですよね・・・
続いての Sadie は、とめごろおさんのレパートリィとして何度かセッションでも演奏しておりますが、あの特徴的なベース・パターン(って、ホンモノは「ギター」なんでしょが)でスグそれと判る、ま、Albert King の Don't Burn Down the Bridge みたいな存在かも。
ただこの Son Seals のじゃ、派手にブラスやらピアノまで煌めくがごとく「ちりばめ」られておるせいか、あの「唸るよな」不穏な這いずり感には欠けております。ん〜、やっぱピンと来ないなあ、こんなに「晴れがましく」演奏しちゃっちゃあ。
意外とオモシロいのが Sonny Landreth の Taylor's Rock かな。で、別な意味でおもろいのが、なんと「あの」Vernon Reid が Alvin Youngblood hart のアコースティック・ギターとでやってる It's Alright。
たまたま(?)その It's Alright は Lil' Ed のも最後に収録されてますので、この二つを聴き比べてみるのも面白いよ。
他にも例の「ステディ・ローリン」男が See Me in the Evening をやってるんですが、これはちとダサい!なんて言っても、あ、いつもの毛嫌いが出た、と思われるだけでしょね。
でも同じ白人でも George Thorogood( Hound Dog Taylor の New England ツアーの時にローディでもあり、前座も務めている)の I Just Can't Make It や Elvin Bishop の Let's Get Funky なんかは面白いんだけどなあ。やっぱ毛嫌い?

でもまあ、こうやってみんなが彼の曲をやるのを聴いてると、ますます Hound Dog Taylor ってのがいかに「かけがえのない」存在であったか、ってのがよっく判りますね。
ところで、まったくカンケー無いハナシですが、ライナーによると、ここに登場するアーティストのなかでただひとり、Hound Dog Taylor を聴いた事がなかった!っちゅうのがいるんですが誰だと思います?Vernon Reid?がはは、その辺アヤしそうですよねー。ところがまあ、正解は意外なことに Lil' Ed なんだそうでございます。

なんたって寄せ集めですから、録音スタジオやらミックスダウンの工程については一切クレジットで触れておりませんねえ。仕方ないけど。

で、お次の AL-4856 は「あの」サファイアのライヴらしいけどパス。
おそらく、ここの読者でサファイアをマジに聴いてるひとはたぶんいないと思うんで・・・

She's So Big...

AL-4857、Turn the Heat Up は、なんだか、高く評価するひとが多い Shemekia Copeland です。
Shemekia Copeland、いえいえ、正確(?)には Charon Shemekia Copeland らしいのですが、普通、Charon Shemekia として有名になってしまった女性が Copeland 姓の男性と結婚した後も「連続性」を持たせるために使う、ってえケースがあります。
でも、もちろん、ここでは当てはまりませんよね?
あるいはたんなる洗礼名などのミドル・ネームなのでしょうか?
Shemekia というミドル・ネームがあるのかどうかについては、あまり詳しくはないため、なんとも言えませんが、その命名の由来はどうであれ、デビューに際し、Charon Copeland としなかったのはインパクトを持たせるためだったのか、はたまた種々の事情の為せることだったのか・・・

ともあれ彼女は 1979年 4月10日、New York の Harlem で生まれています。
そしてみなさまもうとっくにご存知のこととは思いますが、父は Johnny Copeland。
そのような家庭環境は「音楽」への心理的バリアーを低くすると思うのですが、幼い頃、本人は自分が音楽に携わるようになるとは思ってもいなかったようです。
それでもクラブから洩れてくる音楽、街のあちこちで見られる路上パフォーマンスやメディアを通じて流れこんでくるもの・・・そうして蓄積されて行くものは「ブルースだけ」でなぞあるワケがなく、彼女の中にはソウル・バラードから「バリバリの」ロックまでが注ぎ込まれていったのではないでしょうか。
彼女の出現に対して各メディアが挙げた賞賛の声は、そのへんをよく捉えている、と言うか、逆に、そのような多様なファクターを内包していたが故に広い範囲のメディアに「受けいれられた」と考えることも出来るかもしれません。
これが伝統的なブルースに凝り固まった新人のデビューだったら、ブルースに限定したメディアからは評価されるでしょうが、それは世界への広がりというものは持ち得ない・・・
だって Alligator だってショーバイですからね。それを受け取るマーケットは広いほうがいいに決まってる!

てなことはともかく、そんな彼女の音楽的可能性を父は見抜いて(?)いたらしく、まだ 8才の彼女をハーレムの Cotton Club に連れて行き、ステージに上げて歌わせたりしていたそうです。もっとも、その頃の彼女は、それを別に得難い経験である、とは思ってもいなかったらしいのですが。
彼女が 15か 16才になったあたり(同時にそれは父である Johnny Copeland の健康に「影が差し」始めた時期でもあったらしいのですが)父のツアーに同行してオープニング・アクトを務めるようになり、それによって次第にその存在が知られるようになっていたようです。と同時に、その経験によって彼女の言う、「アタマのなかでスイッチが入った」ことで歌うことへの意欲が生まれたのかもしれません。
そしてやや体調の優れない父のショーの前座のハズが、時には「主役」となることもあったようで、そんなとき父はそのまま彼女のステージを思う存分に続けさせてくれたようです。
そしてついに彼女は Alligator からこのアルバム、AL-4857、Turn the Heat Up をリリースし、特に種々の音楽メディアから熱狂的な歓迎を受ける・・・
いまや彼女は自身の週一のラジオ番組( Shemekia Copeland's Blues Show。2006年 4月22日スタート)まで持つ「スター」となっています。

というのが彼女の荒削りなプロフィールと言ってよいと思うのですが、さて、ワタシにとってはどうか?ということで言うと、やはり男女にカンケーなく、自分では楽器を演奏しない「スタンダップ・シンガー」全般に対して感じる「違和感」はどうしても拭い難いものがあります。
もちろん、「シンガー」として、そのパワーにしろスキルにしろ「もの凄い」レヴェルであることは間違いありません。
ただ、なんたって基本がかなり「偏っている」ワタクシのイカレた水平感覚からすると、あまりブルースは感じない、というところでしょうか。

その歌は Valerie Wellington ほどには「技巧的に過ぎ」ず、もっとストレートでシンプルな位相を持って心に届いてくるような気がします。
特にそれはスローな Salt in My Wounds のようなナンバーでは、ベタつかないテクスチュアで適度な温度を保ち、曲の持つ世界をよく表現し得ていて、ほんと、年齢じゃないよなあ、とムダに齢を重ねておる自らをハゲしく反省する、てなもんでございますよ。
あと、早めな曲ではところどころ、ワタクシ言うところの「ここはリキ入れてまっせ〜」っちゅう意味の符号化してしまった「リキみ」が多用されるところなどは(それは、もちろん、この Shemekia Copeland ひとりに限ったことではなく、なんでか「ブルースを歌う」なんてガンバっちゃってるひとに多く見られることなのではございますが)、ん〜、ちょっと Valerie Wellington とはまた違う方向での(ある意味、無意識な?)技巧に走っているのではないか?っちゅう心配はあります。
もっとも、そんなことを心配してるのはおそらくワタクシ独りでございましょうから、んなもん気をつけなくたってリッパに「大歌手」にはなれると思いますが。

てなところで、ワタクシのソボクな疑問。
女性ブルース・シンガーって「デブでなきゃいけないの?」
ブルースに必要なのは「迫力」が最優先?
そりゃまあ、確かに見た目の存在感はありますわな。でも、それが歌われるブルースとどんなカンケーがあるんでしょ?
いつの日かガッリガリに痩せた、女性ブルース・シンガーって登場するんでしょうか?しかも自分でも楽器も弾いて歌うよな・・・って、実は思い当たるのはひとりいるんですが、まあ、そのひとの場合、もう見るからに「インテリ」過ぎる、っつうか、ブルースもその優れた頭脳で「理解」して歌ってる、てな感じを受けちゃうんですよねー。
え?誰か、って?まあ、待ちなはれ、そのうち出てきますがな。

しっかし Shemekia Copeland、この年でこの体躯!
先が思いやられ・・・うっぷす、た、楽しみですねえ。すっげえ大物になりそ・・・

Michael Hill

トツゼン Ambient 系に走ってみたり、かと思うと「閑かなる猛毒(?)」Cowboy Junkies に耽り、はたまた懐かしの Blue Cheer なんて訪ねる「音生活」をしているワタクシからすれば、ここで聴ける様々な言語はどれも耳に馴染んだ、それだけにそれが表現したいものが有効な「芯」を持って伝わって来るのですが、純粋なブルース・マニアにとってはやたら「異臭」を放つ「外来のもの」でしかないのかもしれませんね。
・・・と言うのは、また登場する New York の Michael Hill's Blues Mob の新作(と言っても、1998年の、ね)、New York State of Blues を聴いていて感じたことなのです。
いささかセンターがクルってるワタクシあたりからすると、この音楽は、「ああ、ほんとーにブルースが好きなんだろうなあ」ってな印象を受けるのですが、さて、どうなんでしょ? '50年代、'60年代のシカゴ・ブルースをハゲしく愛でている方々にとっては?
なんだか「論評にも価しない」てなことで門前払いとかされそうかな?
んなワケですから、伝統の守護神をもって任じておられる方にとっては、おそらく「耳の穢れ」でしかない可能性がございますので、どうか、お近づきにはなられませんよう、ご注意いただきたいと存じ上げます。

AL-4858、New York State of Blues ってのは、ちょっと変わったタイトルですよね。
普通なら Blues of New York State ─ ニューヨーク州のブルース、というタイトルが割と「ありそう」なんですが、それが逆、つまり「ブルースのニューヨーク州」なんですよねー。
そこら、Michael Hill 自身がライナーで語っておりますので、キョーミがおありの方はそちらをどうぞ。

さて、このアルバムでは、A Case Of The Blues と Living For The City では Michael Hill によるスライド・プレイが聴けます。
どちらもかなりブルース度は高い(カチガチのファンダメンタリストからはどう見えるか判りませんが)と思うのですが、もちろん、そこにはどことなく「異端の香り」が紛れ込んでおるような感じもするあたり、まさに期待どおり(?)でございます。
ただそれは Derk Trucks のような指板上のすべての位置を知り尽くした「全能感」に溢れたものではなく、もう少しスライドの「宿命」みたいなものの制約を楽しんでおる(?)ふうな別な次元を感じさせてくれます。
ま、そこらの制約のようなものを逆手にとって(?)ありえないフレーズを紡ぎ出す松田 文の、静かなのにある種、暴力的なまでの破天荒なスライド・ワークを Derek Trucks の対極に置くとすると、この Michael Hill は、やや Derek Trucks よりの「姿勢」かもしれません。
ただ、あくまでも「姿勢」であって、音はかなり違いますので、そこら誤解なされませんように。
もしかすると、このスライドを使った二曲が、案外「保守的な」ブルース・マニアにも受けいれられるギリギリの線なのかもしれませんね。
他の曲では、ロックやら、あるいはワタクシ自身、それについて詳しいワケではないので「気がする」てな程度ですが、ハウスであるとか、ブラック・コンテンポラリィやらアンビエントなど、実に多岐にわたるフラグメンツが随所にちりばめられ、そこらがあるいは「反発」を受ける原因になるかもしれないなあ、とは思います。ワタシも。
かってワタクシが iBook 内蔵の Garage Band で遊びながらイロイロこねくり回してるうちに出来(ちゃっ)た曲、High Above ってのがあるんですが、この Michael Hill の Anytime, Anywhere ってのが(こっちは歌が入ってるから大違いなんだけど)、そのバックの和音の扱い、音の密度など、なんだか似通っていて、ミョーに親近感が湧くじゃないの!
・・・なんて言ってる時点で、いかにもブルース離れしてそうだよね、あはは。

ま、れーせーに見れば、「こんなんブルースじゃない!」ってな突っ込みどころ満載で、いくらでも悪口こけそうな「サウンド」であることは確か。

お次もワタクシの個人的なプッシュが「あからさま」なアーティストでございます。
AL-4859 は Elvin Bishop で The Skin I'm In
相変わらずな「くつろげる」フンイキで、そこに身を委ねておりますってえと、ココロの肩こり(?)がふにゃあ〜とほどけて行くよな感じ、ね。
ま、ちとユダンすると居眠りに落ちちゃうこともあるんですけど。
彼にしては(ってちょとシツレー?)珍しくアルバム・タイトルと個別の曲とでは、軽い「ひねり」があって、いわゆるタイトル・チューンと見えて、ビミョーに違う The Skin They're In ってナンバーが収録されてます。
スローなブーギてなリズムで意外とヘヴィな感じに仕上がっており、そこらも面白いですね。
ただ、全般に、ってことで言えば、「やはり!」の軽快さ、陽気さ、は持っているように思えます。
ま、これはちとワタクシの考え過ぎかもしれませんが、どことな〜く、そんな中でも、これまでにはあまり感じられなかった「翳り」のようなもの、あるいはその前兆、てなものが視界の隅をよぎったよな気がするのは、やはりワタクシの気のせーなんでしょうね。
それはむしろ Radio Boogie のような、これまでだったら底抜けに明るく仕上がってただろうタイプのナンバーで余計に感じられてなりません。
ワタクシ常々、歌う人間の声がその時の気分でどー変わるか?っての、とても気になっておりまして、これまでの彼の声が「屈託の無さ」で輝いていたのが、ここでは、そこに「くすみ」が入っている、という、まあ、重さ、というよりは「鈍さ」とでも言ったほうが当たってるような気もする「ジっとして動かないもの」の存在を感じてしまうんですよね。
もちろん彼自身がやがて迫り来る悲劇を知っていたハズは無いので、ワタクシの考え過ぎなのかもしれませんが・・・

Ron is gone...

AL-4860 は、Kinsey Report で Smoke and Steel
Ronald Prince が抜けたせいでは無いと思うんだけど、なんだか、これまでの Kinsey Report とかなり違うテイストを感じてしまうのですが皆様はいかがっしょ?
え?Kinsey Report なんぞにキョーミは無い?
あ〜なるほどねえ。やはりここらを「好き」なんて言うのは少数派なんでしょか。シカゴ・ブルースの王道には「関わりの無い」連中だ、と?
いえいえ、ケッコーでございますよ。みなそれぞれに自分の器に合わせて聴いておられるのでしょうから、なにも気に喰わないものを聴くこたあありません。
ただ、狭量なマニアが認める・認めないはともかく、Alligator Records がビジネスである以上、売れるものは「次がある」ワケで、やはり Edge of the City の「手応え」があったからこそ次の Midnight Drive もあり、さらにこうして三枚目の Smoke and Steel につながった・・・と。
それでもたとえば一枚目では Game of Love、二枚目では Nowhere to Go, Nothing to Lose のような粘りっ気たっぷりな「どスロー」が今回は見当たらず、そのせいばかりではないでしょうが、全体にドライで、少し距離をとったようなパースペクティヴが気になります。

ま、もしかすると、前二作と、このアルバムの間に Pointblank での二枚のリリースがあり、これは Alligator へのカムバック作である、ってことが実はかなり影響しているのかもしれません。
そのへんのところを Bruce Iglauer はインタビューで

In the case of Albert Collins and the Kinsey Report, both thought that a big multinational company could do more for them.

つまり、演奏者から見れば、国際的な大企業の方がさらにプッシュしてくれるのではないか?という思惑が移籍の裏にはあり、逆にそれが実際には、ビッグ・セールスを生み出すグループやアーティストには「その通り」でも、さほどメジャーとは言えないミュージックに対しては充分なプロモーションもなされない、という現実を前にして「失望」することになる・・・と、語っています。
そういった挫折(?)を経験したことが彼らの音の変化につながっているのでしょか?
たとえば、Alligator では、この Kinsey Report を「ラジオ向き」と判断し、そちらの方面で主にプッシュしてかなりの成功をおさめていたワケですが、どうも Pointblank では、そのへんが考慮されることはなく、ありきたりなプロモーションで反応があまり良くなかった時点から会社側の「熱は冷め」てしまったようです。
そう言われてみると、この Kinsey Report、ドライヴ中にカー・オーディオから流れてくる、なんてシチュエーションには実に向いてる、っちゅう気はしますよね。
そこらが、サウスサイドあたりのクラブで場数を踏んで、苦節ン十年てなタイプのブルース・バンドとはイチバン違う、ま、それゆえにブルース・マニアからは距離を置かれちゃう原因となっているのかもしれませんが。

さて、このアルバムではもはや Ron Prince はいませんから、サイドとしてゲストを迎えております。
Dave Miller と Will Crosby をギターで、さらにキーボードの Roosevelt Purifoy と Anthony Space、さらにハープの "Mad Dog" Lester Davenport。
録音とミックスダウンは確かこれが初登場の Chicago、Velvet Shirt Studios。マスタリングは例によって Monster Disc です。

続いての AL-4861 は、またまた Long John Hunter の Ride with Me
ワタクシ、これまでは彼の歌の T-ボーン臭さにやや腰が引けておりましたが、このアルバムでは不覚にも、あ、誰かヴォーカルを入れてる?なんてカン違いをしてしまいました。
もちろんクレジットを確かめても歌はご本人なんですよねえ。
どうしてだか、この歌って、とても白人っぽく聞こえたんですよ。それも「ヤな感じじゃなく」ね。
このヴォーカルが本来の彼の個性だとすると、ま、好き嫌いは分かれるかもしれませんが、なかなか面白いプレゼンスを発揮してるんじゃないでしょか。
ワタクシはこの方の音と触れ合う機会がこれまであまりございませんでしたので、今はまあ、まだ手探り中っちゅう状態ですが、「それほど嫌いじゃないかも」あたりまでには「軟化」しております。
でも、逆に、メキシコの国境の町でロクでもないのが屯する場末のブルースクラブから出て来た!みたいなタフでラフ、っちゅうイメージとはちょとちゃうほうに傾斜してってるのかな〜?です。
別にそれが「売り」っちゅうほどでもなかったように思いますから別にいいんですけどね。
録音とミックスダウンは Texas 州 Austin の Lone Star Studios。
Alligator 用のリマスタリングが Monster Disc。

1998年の最後は、AL-4862 で、Little Charlie and the Nightcats の Shadow of Blue
なんだか、バックの音を聴いているかぎり、AL-4860 の Kinsey Report よりも「いわゆる」ブルース!てな仕上がりなんですよね。
以前はもっと「ロックンロール色」が強かったような気がするギターも、ここでは丸くなり、Got It Good なんてナンバーじゃ、まるで Little Walter?っちゅうハープに、これまた 1960年代っぽいバッキングするとこなんて「見かけ上の」ブルース度はメッチャ上昇しておる・・・部分もあるのにナゼ?と言うと、それはヴォーカルでしょね。
黒人のブルースを「ココロから理解して敬意を払っておりますぅ」なんてカン違いをせずに、だってワシ、白人じゃけぇ、と「これでもか」的に白人らしさを強調したこの歌いっぷり!尊敬に価します、ホントに。
まるでバックのサウンドが(自分のギターも含めて)よりブルース度を高めてくのに反比例するかのよに、いっそう白人ぽさが強化されてってる(あ、対比で目立つよになっただけ、っちゅう可能性もあるか・・・)ように思えます。
なんだかこのバッキングをそのままで、ヴェテランのブルースマンをフロントに「懐かしのシカゴ・サウンドを再現したい」なんて時代錯誤なマニアが夢想しそうなくらい、どっかで聴いたサウンドと、あっけらかんと「ろけんろー」的能天気で飛び回るヴォーカルの結合は、ちょっと不思議な世界を現出させますねえ。
少なくとも、クソ真面目な顔して、ブルースに真剣に取り組んでおります!てな「いわゆる白人ブルース」より何十倍も爽やか、と思うのもこれまた私だけなんでしょね。がはははは
録音は California 州 Sacramento の Paradise Studios で、そこでもしてますが同じく California 州 Richmond の View Studios がミックスダウン、マスタリングは Chicago ではなく、これまた Los Angeles の GKS Entertainment と、すべて西海岸で仕上げてあります。で、Bruce Iglauer の名はどこにも登場しておりません。

1999

ということで 1999年になりますが、そー言やあ世界の最後が・・・なんてハナシがこの頃にありましたねえ。あれを騒いでたヤツらってちゃんとセキニンとったんでしょか?・・・ま、もっとも、いま現在がそれを笑いとばせるほど「良い世界」になっているとは誰も言えないでしょうけどね。

さて前作 AL-4838、Cool Downでは

こゆのを歓迎する市場が現に存在する以上、そこを狙った製品を投入して会社の経営基盤をさらに強化する、ってのは「実業家」としてはとーぜんでございましょ。
いえいえ、いいんじゃないですか?きっとこの期に及んでアコースティックでプリミティヴなスタイルでブルースをやることにもなにかしら重要な意味があるのでございましょう。
判らないものを、判らないからって貶してはいけませんね、はい。

などと憎まれ口を叩いておりましたが、案の定、リッパに支持されて、二枚目の登場でございます。
おそらく、こゆのが好きなひとは、ここなんて読んでいるハズがない、っちゅう「決めつけ」から、今回もこの方たちについては「パス」。
ま、前回はアルバム・タイトルすら書いてませんでしたが、今回はそのくらいは書いておくとするか・・・
AL-4863、Cephas & Wiggins、Homemade。どんなに忠実に再現しようがニセモノはニセモノ。

続いては、またしても Deluxe Edition の三連発です。
AL-5605 が Hound Dog Taylor で、AL-5606 は Katie Webster、続く AL-5607 はウィリアム・クラーク(こいつ・・・うっぷす、こ、この人についちゃ江戸川スリムさまのサイト、BlueSlim 内の WABI's BLUES BOX で面白いエピソードが掲載されておりました。よかったらそのページもご覧になってくださいませ)。

まず Hound Dog Taylor ですが、既出のすべてのトラックはリマスタリングが施され、さらに今回、このアルバムのために 1974年 1月18日、Illinois 州 Evanston の Northwestern University でのライヴを WXRT-FM が収録した音源から Phillips' Theme、同年11月の22から24日にかけて行われた Ohio 州 Cleveland の Smiling Dog Saloon でのライヴを WMMS-FM が収録していた音源から Ain't It Lonesome? 、という二曲の未収録曲が突っ込まれております。
いくらリマスタリングで音が良く(?)なっているとは言え、すでに出てるアルバムには収録されているワケですから、その二曲と、そして同梱されるブックレットにカネ払ってるよなもんですね。
あ、もちろん、これまで Hound Dog Taylor は友人から借りたのをコピーしてたけど、一枚、自分でも買いたい、なんて方にはいいかもしれません。
ただ、今日び、iTunes で編集して「マイ・ベスト」を作っちゃう、なんてのが主流になってきてますから、こうやってレコード会社がセレクトしちゃうことの「功罪」ってものも、そろそろ意識され始めてるんじゃないかなあ。
この選曲を見ても、なんであれが入っとらんのじゃあ!って声は出て来ると思いますんで。

次の Katie Webster の場合でも同様に初出のナンバーが二曲( Hallelujah, I Just Love Him So と The Love You Say May Be Your Own )含まれておりますのでコレクターのみなさまはガンバってくだされ。

Shifted Corey?

まずもって Corey Harris の場合は、歴史的名曲の再演(再現、と言ってよいものまであると思うけど)に過ぎないじゃないか、ということで、特にデビュー・アルバムなどは「無視する」に等しい扱いだったのですが、ここに来て、前作でも少しはその萌芽が見られた、彼自身の音楽にする、という方向性がやや鮮明になって来ておる、とゆうことで(エラそうじゃのう)ここではカタカナ名からシフト。
ただし、おそらく、そのデビュー作でファンになった、なんてゆうノスタルジックな層からは、このアルバムってあまり評価されないかもしれませんねえ。

AL-4864、Green from the Garden では、彼が教師として勤務していた Louisiana の音楽環境やら、あるいは大学卒業後、Pidgin English の研究のために赴いていたアフリカのカメルーン(そう、彼はバリバリの「インテリ」なのじゃ)で触れた現地の音楽、そのようなトランス・アトランティックな(ってふつー、アメリカとヨーロッパっちゅう意味で使うことが多いようだけど、モチロンここじゃアメリカとアフリカ、ね)音群を、たとえば New Orleans 風なブラス・バンド的なアウトフィットで提示したり、さらにはおそらくケイジャンをルーツとするサウンドを借りてみたり、とけっこう面白い位相へと変化してて(もっとも相変わらずの復古調もヤメちゃいませんが)ま、そこら、さすがインテリじゃのう、てなもんですが、おそらく、これまでのアルバムを「いい」と思ったひとの大半は、こんな Corey Harris にはキョーミ無いかも・・・
New Orleans の The Funky Butt でのライヴを録音した Congo Square Rag と Honeysuckle 以外の曲(ただ、Teabag Blues は Dublin の Totally Wired Studio で録音され、同じく Dublin の Windmill Lane Studios でミックスダウンされた、っちゅうクレジットもあって「?」)は Virginia 州 Charlottesville の Paragon Studios で行われ、同じく Charlottesville の Virginia Arts でミックスダウン、マスタリングはこれも Virginia 州 Springfield の Airshow Mastering でなされています。
Bruce Iglauer の名前は出てきてませんねえ。

さて、前作ではその Bruce Iglauer の決断(たぶんね)によって、「シカゴのスタジオでシカゴのミュージシャンをバックにシカゴのレコード会社に録音する」っちゅう夢を果たすことが出来た Dave Hole でしたが、これはまたまたオーストラリアでの録音です。
AL-4865、Under the Spell(「呪われて」?)。う〜ん、このタイトルがある意味、この出来を表しているかもしれませんなあ。
なんだか、なまじ「あんな経験」をしちゃったもんで、ミョーに硬直してる、っつうか「いまだに呪縛が解けずにいる」よな気がするぞう。
音的にはとっても安定しております。
でも、それが魅力に結びついておるか?となると・・・ん〜、どうなんでしょ?
以前にはあったよな気がする、「ブルース出来てメッチャ嬉しい!」みたいな、ま、こっちが「おいおい、いいのか?それで・・・」と言いたくなるよな一直線の暴走みたいな勢い、っつうんでしょうかねえ、そんなものが魅力でもあったように思えるのですが、なんだか、このアルバムじゃ、そもそも走ってない、っちゅう感じなんですよね。
いえ、そりゃブルースとしては「走ってる」ことがプラスになるワケじゃありません(どころか、ヒョっとしたらマイナスかも?)。でもね、彼の持ち味ってそういった「バキュ〜ン」さ(?)にあったんじゃないの?
なんだか最初は気に喰わなかったけど、これなら少しはいいかな?ってのもあれば、おやおや、最初は良かったのになあ、ってのもあって、まことに様々でございますねえ。

Stars on
Lone Star

さて、AL-4866 は、Lone Star Shootout。Lone Star State ってのが Texas 州を意味いたしますから、これは当然、テキサスゆかりのブルースマンで、てな企画でございましょ。
え?テキサス? Lonnie Brooks ってルイジアナ州の生まれじゃなかった?っちゅう方もおられるかもしれませんが、まあ、確かに Louisiana 州 Dubuisson( born 1933 )っつう農場で生まれ、そっから州の南部に移った、とされてますよね。
ところが、彼がギターを始めたのって、意外と遅く、20才を過ぎてからで、しかも Texas 州 Port Arthur に来てからだったそうなんですねえ。
そしてやがては Long John Hunter、さらに Phillip Walker や Lonesome Sundown などとの交流も始まった、と。
あ、そー言えば Long John Hunter も出身は Louisiana 州で、 Arkansas 経由で Texas に流れついたんでした。
さらに言えば、残るもひとり、Phillip Walker も実は Louisiana 生まれで Texas へ、という軌跡ですから、そこら三人揃って一緒、ってことでしょか。
年齢は Long John Hunter( born 1931 )が最年長、若いのが Phillip Walker( born 1937 )ってことになります。
そして三人が揃ってギターにハゲんでおったのが Port Arthur となれば、そりゃタイトルにも Lone Star の名が登場してもおかしくはないワケで。

Alligator では以前にも Albert Collins と Johnny Copeland などを組ませたトリオ(?)でアルバムを作っております( AL-4743、Showdown! )が、今度のは異質なものの「ぶつかり合い」的スリルにはやや欠けるかな?ってとこもありますが、逆に「等質性」っちゅうか、なんか底に共通したもんが流れとる、てな感じは強いよに思います。
なんたって、かっては一緒に活動もしてたワケですからねえ。Showdown! みたく、最初は Gatemouth と三人で、のハズが、たぶんゴネくさったクソじ・・・うっぷす、だ、誰かさんのせいでそれがパーになっちまった、なんてギクシャクさ、良く言えば緊張感をもたらすシチュエーションが無いぶん、ここでは「悪く言えば」やや「なれ合い」っぽい空気も感じます。
でもまあ、そゆとこにピリピリするよなアルバムでもないな〜、ってのも確かで、三人揃って、あるいは別々に、なんてナンバーのどれを聴いても、そこそこ楽しそうにやってますよ。
ま、これはワタクシだけの印象なのかもしれませんが、ことヴォーカルに限って言えば、なんだか Phillip Walker のだけがどっか異質なものを持ってるように感じられますねえ。
Long John Hunter の声は全体に高いキー、って感じではありますが、それなりに「安定」してるけど、Gatemouth でお馴染みの Boogie Rambler なんかがそうなんですが、どうもこの Phillip Walker の歌では「頼りなさ」あるいは「線の細さ」みたいな不安感が残ります。ってそれは他の、たとえばあの Playboy 原盤のでもモロ感じちゃうんですけどね。

まあ、そこ行くとイチバン「おバカ」っちゅうか、「ぐふふふ」なのは、やっぱり Lonnie「いい仕事しまっせ」Brooks でしょ。
なんだかちょっとムカつきたくなるほど「いきいき」してますねえ。
Lightnin' Slim の Feel Good Doin' Bad なんて、まるで自分の持ち歌ででもあるかのよにもてあそ・・・うっぷす、自由に楽しんでおるじゃありませんか。
なんつーか「下世話な良さ(?)」とでも言いますか・・・
それが Long John Hunter となると、急に頭上じゃミラー・ボールが回り、彼のうしろじゃタキシードでキメたブラス陣が、てなフンイキになるんだから面白いもんです。
おそらく「完成度」としちゃ Long John Hunter かな?って感じですが、ま、面白さじゃ(好きかどうかは別にして)やはり「いい仕事しまっせ」のおっさんでしょ。
ん〜、Phillip Walker だけはどうも最後までそのヴォーカルが気になってあまり楽しめない、てなとこがありましたが、それもワタクシだけのゲンショーかもしれないし、案外、このヴォーカルがいい!なんてファンもおられるのかも・・・
でもこのアルバムで案外いっちゃんの収穫は、かってのバンドメイト、Ervin Charles* の歌う Born In Louisiana でした。
私にとってはまったく知らないブルースマンでしたが、そのレイジーなヴォーカルとちょっとクセのあるくすんだ(?)ギター、うん、なかなかいい!

録音はすべて Texas 州 Austin の Arlyn Studios(ただし Two Trains Running は GEM Lone Star Studios )と Music Lane Studios( Additional recordings )、ミックスダウンはこれも Texas 州 Pedernales の Pedernales Recording Studios、マスタリングはやはり(?)Monster Disc。

* ─ Ervin Charles: 1932年 1月 3日、Louisiana 州 Port Barre で生まれる。
おそらく 10代の前半からすでに継父だった George Andrus から手ほどきを受け、ギターを弾くようになっていた、と言われますので、このアルバムでの三人よりも早い時点からスタートしていたことになります。
1952年には家族とともに Beaumont に移って Long John Hunter と同じ工場に務め、すぐにバンド、the Hollywood Bearcats をスタートさせています。メンバーはその Long John Hunter と義兄弟の Roy Stelly(ドラム。残りふたりが HouseRockers みたくギター二本でベース・パートとギター・パートを分担)。
ただし 1955年には Long John Hunter が El Paso に移るために抜けてしまったため、Ervin は Big Sambo こと Sam Young のバンド、Big Sambo and the Housewreckers に参加しています。ところが今度は Sam が西海岸に行ってしまい、そこで the Nite Riders と一緒にやるようになりました。
1960年代末ころに Sam Young が帰ってきたので Housewreckers を再開しますが Big Sambo という名前をやめ( Sambo とは、特に南米で、現地の被制服民であるインディオと、これまた使役のためにアフリカから奴隷として連れて来られた黒人との間に出来た混血をさす言葉として使われており、スペイン、あるいはポルトガル人を頂点とする人種的ハイアラーキィのなかでも「最下層」の賤民扱いを受けた層に対する「蔑称」という性格が強い。ちびくろサンボはインドを舞台とした童話であっても、「サンボ」を「非ヨーロッパ人」という意識で命名されているのであれば、それは「蔑称」である、ということで排斥の対象となった。当時の Sam Young あたりは黒人に対する「愛称」くらいに勘違いして名乗っていたのかも・・・)、Sam Young and the Soul Lovers という名前で活動を開始しています。
そのバンドでは 1972年に初レコーディングした Funky Booty が地域限定ではあったけどかなりなヒットとなり、一気に知名度を上げた Soul Lovers はクラブ出演を増やしています。

1974年、Ervin は突然ダンプカーを購入して(!)Charles Trucking(日本で言うとこの「斉藤運送」みたいなもんか?)という事業に乗り出しました。
それでもバンドでの活動は並行していたようですが、1980年あたりから Sam の健康に翳りが見られるようになるとバンドでの活動は減速し、1983年の Sam の死亡でついに Soul Lovers は活動を停止してしまいました。
Ervin は 1985年にふたたび Nite Riders を招集し、活動を再開しています。
1997年のヨーロッパでのツアーの後、テキサスに戻った彼は、プロデューサーである Tary Owens に諮ってこのアルバム Lone Star Shootout を提案したもののようです。
ただし Ervin Charles 自身は、このアルバムの録音に参加はしたものの、翌2000年の 4月 1日に、完成したこのアルバムを聴かずに亡くなってしまいました。

Real Heritage

さて、AL-4867、John Jackson たらいうひとの Front Porch Blues でございます。
これまでの言動からもご推察いただけておることと思いますが、ワタクシ、今この時代に「わざわざ」戦前のカントリー・スタイルで「再現」するよな演奏活動をするアーティストに対しては「異常に」辛辣な評価をくだしております。したがって、この John Jackson に遭遇したときに「またか」と思ったのも事実なのですが、その音を聴いているうちに、「あくまでもワタクシの勝手な主観に過ぎないのですが」こいつだけは、そのほーが売れる、なんてことじゃなく、このスタイルにこそ自分のブルースがある、てな「説得力」を感じました。
実はそれ、以前から一部のコアな(?)ブルースマンには感じていたことでして、たとえば RADIOBLUE の ROIKI、さらに KANEDA "delta" MASAHITO、あるいは少し位相が違う部分もあるけれど AZUMI や 日倉士 歳朗といった日本のアコースティック系のブルースマンたちの場合、あるいは以前からのフォーク系のギターいっぽん弾き語りっちゅう「伝統」に則っているせいもあるのかもしれませんが、そこにそれぞれの「必然性」を感じるのです。
そのスタイルでなければ表現できない、という「研ぎすまされたテンション」のようなものを。
その点、この John Jackson では「研ぎすまされた」というよりは、もっと「日常に即した」テンションではあるけれど、同じようにこれがこの人の人生なんだな、っつー説得力のようなものを感じてしまいます。

ま、なんだかんだ言っても、ヒョっとすると、この東海岸寄りの、デルタ系とはひと味ちがった「のほほん」さがワタクシにフィットしただけ、ってえことかもしれませんが。
Google Earth で付近一帯を「飛行」してみましたが、ま、山岳地帯っちゅうよりは丘陵地帯てな感じの Virginia 州 Rappahanock 郡 Woodville の農民で、パーティなどでは演奏もするミュージシャンでもあった両親のもと、1924年の 2月25日、7人目の子供が生まれました。そして彼(そう、男の子ね)が末っ子だった時期はそう長くはなかったようで、その下にさらに 7人の子供が生まれ(!)、子供たちだけでも総勢 14人!という大家族となります。
余興で演奏する父親を真似たのか、わずか 4才でギターをいじり始め、8才では既に両親の伴奏を務めるほどになっていたんだとか。

その少し前、両親は「蓄音器」を購入し、それで再生する Blind Lemon Jefferson や Blind Boy Fullar、Blind Blake など、またカントリーの Jimmie Rodgers を聴いていたのが、ギタリストとしての成長に寄与していたのかもしれません。
10才のときには、自宅近くの現場で使役されていた Happy と称する囚人と知り合い、オープン・チューニングとスライド奏法を教わったようです。

Alligator の Biography によれば「彼は読み書きを習得する前に、農園での労働力として必要だったがために学校に行けなくなった」そうで、それ以降の記載にそれをフォローするものがないので、ずっと文盲のまま、だったのかもしれません。
主に農園での労働に明け暮れ、ときどきパーティなどで演奏する、という生活だったようですが、その彼も結婚して 1950年には同じ Virginia 州の Farifax へ移り、妻や子供たちのために農園での労働にハゲみ、あまりの忙しさ(農園では料理人であり執事であり運転手、かつ一切の雑用をこなしていた・・・)から音楽とは離れていたようです。
それが 1960年代に入ってから、友人のひとりがちょっとしたカネが急に入り用になって彼から借りたのですが、その担保に、とギターを置いて行きます。
これが彼と音楽の「再会」となり、少しずつ演奏もするようになって、近所でギターを教えたりするようになり、ある日ガソリン・スタンドで弾いてみせていたところを、たまたま給油に来た Folklore Society of Greater Washington の Chuck Perdue に見出され、すぐさま声をかけられて Washington D.C.のコーヒー・ハウスへの出演が実現します。
つまり、「掛け値なしの」昔っからそれでやってきてる「ほんもの」の伝統芸、ってことだったんでしょうね。
1965年には Arhoolie に録音し、以後も地道ながら演奏活動を続け、1986年には National Heritage Fellowship を授与されました。
この Alligator でのアルバム、Front Porch Blues によってさらにまた彼のファンは増えたのですが、2002年 1月20日に死亡しています。
なお、このアルバムのライナーにはここに紹介した以上に詳しい生い立ちが載っておりますので、もっと知りたいかたはそちらをご参照くださいませ。

録音は Maryland 州 Hyattsville の Private Ear(コーヒーハウスでしょか?)で行われ、マスタリングは Virginia 州 Fairfax の Wolfe Productions。
この録音にも Bruce Iglauer は関わっていないようです。

Come Back!

続いては AL-4868、Lil' Ed and the Blues Imperials のGet Wild!でございます。
実はこの Lil' Ed Williams クン、前作の ...What You See Is What You Get のあと、例の Alligator Records 20th Anniversary Tour にも加わって各地で公演し、大活躍をしたのではございますが、まあ、なんちゅうんですかねえ、その疲れが出たんでしょか?その直後、Blues Imperials を「解散」しちゃったんでございますよ。
ま、ツアー疲れやらレコーディングのストレスが溜まってたとか、愛妻 Pamela との生活を重視したんだとかいろんな見方があるようですが、ワタクシといたしましては「たぶん」当たってないとは思うけど、その What You See Is What You Get のときに書いた

え〜、AL-4808 はなんだかお久しぶりのよな気がする Lil' Ed and the Blues Imperials の ...What You See Is What You Get
ま、タイトルがそんな(?)でも、音は相変わらずで、そこらは「やっぱりね」てなもんですが、でもただひとつ、これはワタクシの個人的な印象にすぎないかもしれませんが、サックスが「ウルサい!」。
特に Long, Long Way From Home や Living For Today など、せっかくのギターを邪魔してることも多く、せめて効果的なリフを「キメどころ」にスパ!っと入れる、てな King Snake Horns みたいな「センス」は無いんかいな?と、つい思ってしまいます。
どうも、ワタクシ、ことホーンに関してはミョーにキビシくなる傾向があるんですが、ここでもついついカチンと来てしまいましたよ。
特に、いわゆるエルモア・スタイル、ってな感じのナンバー、Find My Baby なんかで強く感じたのですが、一方、Out of the House のヴォーカル・パートでのバッキングなどでは軽くコール&レスポンス的に入ってきてて、そこらは別にいいので、やっぱこれはプロデューサーが(つまり Bruce Iglauer が)このサックスに一発ガツンと言ってやれば解決すんのになあ、てな気がいたします。

という印象から、サックスもその一因だったんじゃないだろか?なんて思ってしまいますが、もっちろ〜ん、そんなことあるワケ無いですよね、がっはっは!いくら今回の再結成メンバーが、その「サックス以外の全員が揃ってるから」って、ねえ。
もっとも、バンドを解散して、今回の再結成まで「な〜んにも」してなかったワケではなく、かってのバンド仲間(オリジナルの Blues Imperials のギターだった)Dave Weld の録音に参加したり、また Willie Kent のアルバムにも参加したりはしていたようです。

まずは 6月 6日の Chicago Blues Festival でカムバックを果たし、Chicago の SoundDog Recording Studios で吹き込んだこのアルバムでの音は、なんだかまたシンプルさに戻ったような清々しさを感じますが、それはこちらの思い込みかもしれませんね。
なんだかサイドの繰り出すリズム・パターンが、かなり白人的なロックンロールに近づいた感じがありますが、それがまたミョーにマッチしてて、余計に Lil' Ed のヴォーカルとギターの「黒さ」を引き立たせているんじゃないかなあ。
クレジットによると、ジャケットで彼が構えてるギターは Washburn らしいですね。

続いての AL-4869 は、1997年に早過ぎる死を迎えてしまった Luther Allison が 1995年夏に Chicago Blues Festival に出演したときの音をメインに、同年 11月の Buddy Guy's Legends に出演したときのライヴも加えて二枚組としたもの。
特に Chicago Blues Festival のほうは、その前日、フランスはナントでのフェスティヴァルに出演したあと、パリからシカゴに飛び、ほぼまる二日間、一睡もしていないような状態で迎えたステージらしく、そのせいか、なんとなく「ナチュラル・ハイ」っつうか、ある意味 Luther Allison らしいブルースになっているような・・・
それにしてもここでのハイライトはファイナル・ジャムでの Otis Rush との共演で Gambler Blues→Sweet Little Angel というメドレーでしょう。
また例のトリビュート盤にも収録されてる Give Me Back My Wig もまあ、聴きもの、と言えないこともないけど、これに関しちゃあ、ちょっとここでは曲のテンポ自体が「うわずって」てイマイチかな?あたしはね。
一方の Buddy Guy's Legends での録音は落ち着いてて、ま、彼の場合はそれが魅力を増す方向に働くか?っちゅうとちょとビミョーってなもんでしょか。
・・・なんて思ってるのはワタシだけかもしれませんが。
なんたって、ワタクシの場合、この Luther Allison には「落ち着き」やら「しっとり」はたまた「メロウ」なんてもんはまったく期待しとりゃあせんワケでして、とっちらかるいっぽ寸前の綱渡り的なハラハラ感こそが身上、なんて勝手に決めつけておりますから、そのヘンのスリルが無いと、ちょと物足りません。

なおこのアルバムは契約の関係で、南北両アメリカ、アジア地区では Alligator が、ヨーロッパおよびオーストラリア&ニュージーランドではドイツ RUF が販売したようです。

Fat/Slim

以前に採り上げた Shemekia Copeland のとこで

てなところで、ワタクシのソボクな疑問。
女性ブルース・シンガーって「デブでなきゃいけないの?」
ブルースに必要なのは「迫力」が最優先?
そりゃまあ、確かに見た目の存在感はありますわな。でも、それが歌われるブルースとどんなカンケーがあるんでしょ?
いつの日かガッリガリに痩せた、女性ブルース・シンガーって登場するんでしょうか?しかも自分でも楽器も弾いて歌うよな・・・って、実は思い当たるのはひとりいるんですが、まあ、そのひとの場合、もう見るからに「インテリ」過ぎる、っつうか、ブルースもその優れた頭脳で「理解」して歌ってる、てな感じを受けちゃうんですよねー。
え?誰か、って?まあ、待ちなはれ、そのうち出てきますがな。


などと気を持たせるよなことを言っておりましたが、それこそ、この AL-4870、Gaye Adegbalola の Bitter Sweet Blues のことなのでございます。
え?誰それ?っちゅう疑問を持たれた方もいるでしょね。
特にここでは「可能な限り」スっ飛ばしてきた、あの女性三人によるアコースティックなブルース(?)ユニット「サファイア」ってあったでしょ?そのひとりで、しかも唯一の黒人なんざます。
その(デブじゃない)黒人女性をメインにしてアルバムを作っているワケですが、ん〜〜〜〜〜〜〜、どうなんでしょ?
ワタクシは、あ、あくまでも常日頃から実に偏った「ブルース観」でもって好き放題「ほざいておる」ワタクシとしては、もーしわけないけど、このアルバムにまったくもって、これっぽっちも「魅力」を感じません。
途中、ただ一度だけ「ホ」っとしたのは、あの You Really Got A Hold On Me の聴き慣れた世界が展開したときだけでした。

もちろん、これ、例えばワタシと違って「ゴスペルが好き」なんて方でしたら Need a Little Sugar in My Bowl やら You Don't Have To Take It Like I Did あたりが「お気に入り」になる可能性だってあるでしょし、もっとフォークっぽいスタイルが好きな方なら「いい」と言いそうなナンバーもあります。
ただ、クドいようですが、ワタクシはやっぱりダメ。
なんだかスゴいリキ入った作られ方したアルバム(プロデュースは Rory Block )だなあ、とは思いますが、どうもワタクシが期待するブルースってえもんがここにはあまし無い・・・
どことなくマンハッタン・トランスファーみたいな「商業的完成度」を感じてちょっとしらけちゃうってとこもあるんですが、やはり基本はこのひと、むしろジャズ・シンガーに向いてるんじゃないか?ての、特に Nina Simon の Images での歌いこなしっぷりなんか聴いてるとそう思えてきちゃうんですねえ。

なんだか女性のブルースって難しいんでしょか?あんまりバカじゃ困るけど、インテリってのもしっくり来ないし、デブばっかりにうんざり、と言ったところで、なんでかそゆひとしかブルースに興味が無いみたいだし・・・

2000

長々と続けてまいりましたこの Alligator Tales もついに 20世紀最期の年、 2000年に入ってまいりました。
そこで最初に遭遇したのが AL-4871、ココ・モントーヤの Suspicion でございます。
え?誰それ?ってのがワタクシの正直な第一印象でしたねえ。
名前からすっとラテン系かな?なんてね。

どうやら最初はドラマーだったのがヴォーカル&ギターに転向した、っちゅう経歴の持ち主らしく、ドラマー時代には Albert Collins ともやってた、と。
ただワタクシの「網」にはこれまで一度だって引っかかったことが無いようで、今回、初めて音も聴きました。
率直な印象・・・「ピンと来ん!」
それなりの完成度もあるし、ライヴなんかでもそこそこウケるかもしんない。でもあたしゃあこのアルバムなんぞ地上から消滅してもいっこも「惜しい」なんて思わんもんね。
ま、こゆのが好きな層もいるんでしょう。それもけっこう大量に。でなきゃあリリースするワケないし、この後もアルバムを連発なんてできるワケ無いよねえ。
あ、もしかすると某ギター雑誌がこいつ(あ、「こいつ」呼ばわり!)を「ブルース界における最高のサウスポー」てな誉め方してたんで、「なんだと〜!」ってハナっからめっちゃ印象を悪くしちゃったからかもな〜。がはは

続いては Corey Harris & Henry Butler の vü-dü menz
あ、シリアルは AL-4872。
代わっての AL-4873 は Koko Taylor で Royal Blue。このアルバムじゃゲスト・ギタリストを登場さしてテコ入れを謀ったのかな?
Bring Me Some Water での Kenny Wayne Shepherd の瑞々しいギターがちょっと新鮮。他にも B.B.やケブ・モが参加。ただ、やたら Additional Recordings がいっぱい補記されてるんで、後乗せのヴァーチャル共演が多いのかもしれんけど。

さあ、ついに登場、あの Elvin Bishop と Little Smokey Smothers の That's My Partner!: AL-4874でございますよん!
いやあ二曲目の Roll Your Moneymaker なんてモロ Magic Sam(ってのはホントはちゃうんですよねー。実際には Shakey Jake の、と言うべきなんですが・・・)のを思い出しますねえ。このユルい掛け合い!なんとも楽しそうじゃあ〜りませんか!
なんだか、この Albert "Little Smokey" Smothers ってのがぜんぜん大物らしくなくて(あ、これホメてんですけどね)Elvin Bishop と釣り合いがとれてます。
Little Red Rooster なんか歌っても「圧倒的な存在感」なんてのとは無縁な「軽さ」がちょうどいい「身の丈」で、リラックスして聴けるんですねえ。ま、これなんか、どうやら Biscuit & Blues ってえライヴハウス(?)での録音みたいですから余計そうなのかもしれないんですが。
そして Annie Mae なんかの「おおらかさ」。やはり Elvin Bishop とウマが合うだけあるわい、てなヘンな感心しちゃいますよ。
この二人、白人と黒人って間柄でありながら、そんなとこを超越した「響き合う」コンビネーションで気持ちいいですね。
えこひいきがハゲしいワタクシですから、まあ、ハナシ半分くらいに聞いてる方が多いでしょが、このアルバムはリラックスしたいときには「おススメ」ざます。シビアに「ブルースとはっ?」なんて目を吊り上げてる方には向かないでしょが・・・
録音は California 州 Penngrove の Skyelabs Inc.と San Francisco の Biscuit & Blues。
マスタリングは Monster Disc でこのアルバムではプロデューサーに Elvin Bishop とともに Bruce Iglauer の名もクレジットされています。

Blues Women

え〜、みなさまお察しのとおり、わたくし、Koko Taylor をはじめ、青森にも来た Bonnie Lee、はたまた Big Mama Thornton などと言った、いわゆる女性ブルース・シンガーがあまり好きではありません。
ただし、それが他のジャンルではそんなことも無く、たとえば Be My Baby を歌う The Ronetts の Veronica Bennett( Veronica の愛称 Ronnie とその苗字 Bennett を合成して Ronetts になった、と聞いた記憶が・・・)の声なんてだ〜い好きだし、また I'm Livin' in Shame などでの the Supremes の Diana Ross、あるいは Smooth Operator の Sade Adu・・・と黒人女性の声自体が嫌いなワケではまったくないんですよねー。
え?好きだってのぜんぶ痩せてる?だはは、そういう突っ込みを期待してわざとそういう並びにしてみましたが、デブ系で「いい」のもいます。
例えばあのベルリン・ライヴでの超高速 How High the Moon を歌う Ella!
・・・ま、実はブルースの世界でだって例外ってのはありまして、あの 1972年の Ann Arbor での Lucille Span の絶唱、Dedicate to Otis や、かなり枯れてきていい味だしてた Woman Be Wise の Sippie Wallace とか、ってのは好きなんですが、どうも「きっちり」作り込まれたバリバリにパワフルな見た目もどすこいな方々のブルースにはどうもいまひとつのめり込めないんですよ。

いえいえ、もちろんアーティストとして素晴らしいタレントをお持ちであることは否定いたしません。
その歌唱力、スキル、強い意志、どれをとっても、さすが Recording Artist!てな「輝き」に満ちております。ま、もしかすると、女性ブルース・シンガーにつきまとうそのような「スター性(?)」が気に喰わないのかもしれませんけどね。
ま、誰とは言いませんが「おいおい、このしょぼくれたおっさん、どっから見つけてきたんだよ?」てな、パワーもスキルも、おまけにヒョっとしたら生きてく意欲さえあんまり無さそな爺さんが、凄え味のあるブルースを演奏してくれる、なんてのとちょうど対極にある、って感じかな?
そんなのだけがブルースではないし、別にパワフルでスキルフルだって構わないんですが、どうも「図式化」されてるっつうか、ひとつのパターンに収束してってるみたいなとこがあるように思える・・・なんてのもまあ、例によってワタクシの「妄想」でございましょうから、あんまり気にしないでくださって結構ですけどね。

と長々と前置きがあるので判るとおり、またまた大好評(らしい)Shemekia Copeland の登場だからなんですねえ。
AL-4875、Wicked はこれまたキッチリと作り込まれ、彼女の魅力をフルに発揮すべく(って割にはちとロック色が薄れてるのが気になりますけどねえ。ま、そこら「売る側」の要求だったのかそれとも本人の・・・?)バックはさらにクォリティ高く、しかしそこそこ控えめに、かついっそう都会的な洗練も加え・・・てるよな気がするけど、これって彼女の以前からのファンにとってはどうなんでしょね?と要らぬシンパイなんてちょっとしてみました。
ワタクシ自身はこの Shemekia Copeland、決して嫌いではありません。
ただ自分でもアルバムを買ったり、あるいはたとえ一曲だけでも、あ、この曲いい!とダウンロードしてみたりする気にはまったくなりませんが。
それでも前のアルバムと比べ、え〜?この方向性でいいの?てな「ささやかな」疑問が萌したってのも事実で、ま、そこら音楽業界のプロがそう判断したからには(ってケッコーそれでコケてる例もあるんですけどね)こちとらしのごの言う立場ではございません。
ホントはこんな Alligator Records 特集やるんなら、社外秘のハズの各アルバムごとの売れ行きデータなんて欲しいとこなんですが、それは無理っちゅうもんでしょねえ。
ま、それが判ったからって、それで会社の戦略の当否を判断することなんて出来ないのはとーぜんでして、それを受け入れる側の消費者サイドだって流行やら世界的な事件とかで「いきなり」嗜好が大きく変化したりするワケですから。
ま、そんなことは会社の経営陣がシンパイすりゃいーことで、ワタクシが「趣味で」どーこー言うモンダイじゃありませんからいいんですが。

録音にはゲストも多数参加してますが、ま、そこらはクレジットを見てください。かなりおるので。
New York の Sorcerer Sound でレコーディングが行われ、同じく New York の Studio 900 と Las Vegas の Digital Insight で Additional Recording。
ミックスダウンは New York の BMG Studios で行われ、マスタリングはいつもの Monster Disc でした。
このアルバムでは最初の録音から Bruce Iglauer が関与しているようです。

さあて・・・ふぅ。次の AL-4876 なんですけどねえ。
ま、ジャケットの写真も良くないのかもね。なんだかアメリカン・ヒーロー・コミックに出て来そうなマッチョなんだかデブなんだかよー判らんキショいこのスタイル。なのにボーイッシュな声・・・なんだかしっくり来ん!
ま、唯一 Moonlight Blues で Elvin Bishop がスライドで参加、ってのがあるから、こうしてちょっとは触れてるけど、でなきゃタイトルだけでおしまい、ってクチだな。
つーワケでラスティ・ジンで The Chill。録音は California 州 Richmond の Bay View Studios でございました。

2001
21th Century

The New Century ・・・ 21世紀の始まりとなった 2001年はまた同時に Alligator Records の 30th Anniversary でもありました。

この年の Alligator は
AL-4877: the Holmes Brothers: Speaking In Tongues
AL-5608: ロイ・ブキャナン: Deluxe Edition
AL-5609: ジョニー・ウィンター: Deluxe Edition
AL-4878: Michael Burks: Make It Rain
AL-4879: マルシア・ボール: Presumed Innocent
AL-4880: サファイア: Ain't Gonna Hush!
AL-4881: デイヴ・ホール: Outside Looking In
AL-4882: C.J. Chenier: Set It Up!
AL-112: V/A: Alligator Records 30th Anniversary Collection

といったアルバムをリリースしておるのですが、まあケッコー白人が多いなあ、っちゅう気がいたしますね。

The Holmes Brothers ってのは、まあブラック・ミュージックをなんでもやっちゃうよ、てな感じなんでしょか?
とある友人は Sly が好きだったらこうゆうのもいいんじゃない?と言ってくれましたが、ん〜、残念ながら Sly の名を出されちゃうと逆に、アタシに言わせりゃ、あれから 30年も経ってるってのにまだこんなことやってるの?てな「志の低さ・・・いえ、無さ?」に目が行ってしまうワケで、なまじそんなことさえ言われなきゃ、まあ面白いバンドだねえ、で済んでたんですが・・・
でもまあ、確かに「明日」は見えないよね。

Michael Burks は、その粘着性があってよく歌うギターと、一方ではいささか「あっさりとした」ヴォーカルのコンビネーションを受け入れられるかどうかで違ってくるんでしょうね。
例えばジョン・リーみたいな自意識過剰な「これでもか」ヴォーカルをブルースだ!と思ってるひとには、この Michael Burks の歌は物足りないかもしれません。
どうも日本じゃ、「酒とタバコとオンナ」まみれ(注;こうやって三つ並べるとそれがどれも「等価」であるように見えるでしょが、実際には三番目の「オンナ」だけは「まみれ」と言ってもモテまくっているケースはほとんどなく、むしろあまりの「モテなさ」に「妄想まみれ」っちゅう場合が多いようですが)、ドスのきいたしゃがれ声で重々しく・・・ってのがブルースだ、と思ってる方が多いようで、なかなか素直に歌うブルースの良さを判ってもらえない、なんて部分があります。
ま、そこら安直にリキめばいい、と思ってるデブリン・・・うっぷす、ジョプリンかぶれにも通じるのかも。

C.J. Chenier の Step It Up は、もしかすると純正ザディコ(?)マニアからすると「不純物が多い」なんて言われちゃいそうですが、ワタクシとしちゃあ、その「不純物ゆえ」に、彼のアルバムのなかではイチバン好きなんですけどねえ。
全編に漂う「ロックンロール」テイストが、まさにダンサブルなパーティ・ミュージックの別な側面として実に「いきいきしてる」よに感じられて。
なんたってザリガニ料理普及促進協会(あ、そんなのあるのかどうか不明ですが)のテーマ・ソング「さあ、みなさん!もっとザリガニを食べよう!!」の理不尽なまでのコール&レスポンス・・・っちゅうか「連呼」!
いいですねえ。くだらなくて。
同じよに中高年のみなさんもこのくらいならついてこれるでしょ?てな環境にやさしい(?)ロックンロール Everybody Needs a Little Monkey Business。そしてガリゴリとトバす Zydeghost。
もちろん、そんなんばっかじゃ中高年は息がキレちゃいますから、ちゃんとチーク・タイム、The Right To Walk Away や Let's Agree To Disagree なんてえ休憩ナンバーも挟みつつ、ガーデン・パーティの夜は更けゆく・・・

AL-112 の Alligator Records 30th Anniversary Collection は、例によって 2枚組 32曲っちゅうオムニバスで、収録されてるのは Shemekia Copeland に始まり、Michael Burks、Junior Wells、Robert Cray & Albert Collins、Koko Taylor、Carey Bell、The Kinsey Report、Phillip Walker & Lonnie Brooks、そして単独で Lonnie Brooks、Luther Allison、C.J. Chenier and the Red Hot Louisiana Band、Albert Collins and the Icebreakers、James Cotton、Elvin Bishop、Little Charlie and the Nightcats、Lil' Ed and the Blues Imperials、Son Seals with Elvin Bishop、Hound Dog Taylor and the HouseRockers などなど・・・

基本は過去のアルバムからの抜粋で、かつ 20周年& 25周年に収録されていないもの、そしてそれプラス未収録のライヴ音源、そしてオマケとして Hound Dog Taylor の 1973年の Ann Arbor での映像も、ってえ成り立ちです。
ワタクシは結局これ、買わなかったので定かではないのですが、どうやら未発表ライヴが収録された、ってのは Albert Collins and the Icebreakers の Dyin' Flu、Son Seals with Elvin Bishop で Sadie、C.J. Chenier and the Red Hot Louisiana Band の Jambalaya、Luther Allison の Soul Fixin' Man などのようですね。う〜ん、でも確か Luther Allison の Live In Chicago には Soul Fixin' Man って収録されてたよねー。それには「別テイク」って考えられないし・・・
それとも Chicago Blues Festival でじゃなく、秋の Buddy Guy's Legends でも演奏したとすると、そのときのテイクなのかなあ?

2002

トツゼンですが、2002 ってえ字面が好きでしたねえ。
なんでか前後対称とか回転対称なんてえ数字の並びには心惹かれるものがあります。そしてリピートね。1919 やら 2020 なんていう・・・
そこいくと 2007年、なんて締まりが無くていけませ〜ん。
てなことはまったくどーでもいいことでしたね、なはは。
ま、実はその 2002年こそ、この Blues After Dark が誕生した年なもんで多少(?)そのヘンの思い入れっちゅうか「えこひいき」も含まれておる、っちゅーのは確かでございましょう。
その 2002年の Alligator は

AL-5610: Koko Taylor: Deluxe Edition
AL-5611: Son Seals: Deluxe Edition
AL-4883: Little Charlie & the Nightcats: That's Big!
AL-4884: W.C. Clark: From Austin With Soul
AL-4885: Coco Montoya: Can't Look Back
AL-4886: Lil' Ed & the Blues Imperials: Heads Up!
AL-4887: Shemekia Copeland: Talking To Strangers
AL-4888: Cephas & Wiggins: Somebody Told The Truth

と、例の 30周年モノの V/A が無いぶん一枚少ないけど、通常のアルバムでは前年とまったく同じペースですね。

ここでの注目はやはり 1989年10月10日、Texas 州 Austin で行われた Austin City Limits でワタクシが思うところでは(もちろんイロイロと異論もおありでしょうが)オリジナルである Willie Nelson のそれを遥かに上回る Ain't It Funny How Time Slips Away を聴かせてくれた Wesley Curley Clark の Alligator 登場でしょうね。
Austin 生まれの彼はすでに 1980年代の後半にアルバムも録音しており(ま、それには多少、それまでの S.R.V.との「活動歴」がモノを言ってたのかもしれませんが・・・)、Austin と言えばここ、っちゅう Anton's での演奏活動、さらに Austin を訪れるスター(?)たちのオープニング・アクトを務めるなどして充分にその実力は知られており(ただし日本ではそんなでもないようですが)、この Alligator 移籍までは Black Top で Heart of Gold ( 1994 )、Texas Soul ( 1996、これにはスタジオ録音での Ain't It Funny How Time Slips Away が収録されてます。・・・が、ワタシとしちゃあやはり Austin City Limits でのそれがおススメ)、Lover's Plea' ( 1998 )の三枚のアルバムをリリースしています。
ま、しょーじきに言うと、ワタシには Texas Blues ってより、明らかに Texas Soul って印象で(ってアルバムのタイトルだってまさに「そのまんま」なんですが)、「ソウル」にはさほど「親しくない」ワタクシにとっては、ところどころ「タイクツ」な部分も、「無い」とは申せません。
あ、別にソウルが嫌い、ってんじゃありません。ただちょとタイクツなだけ。
ま、でも前述のよに、Ain't It Funny How Time Slips Away でのスタジオとライヴ、ふたつのヴァージョンを比較して、ライヴの方が「いい」っての、ワタクシの迷信 ─「スタジオよりライヴが上回るのこそ本物のミュージシャン!」ってえ条件にぴったりでございましょ?
てなワケで、案外このひとのライヴ・ステージはなかなかイケるんじゃないか?なんて思っております。ま、本人のソウル指向がちょと、どう出るか?がワタシとしちゃ不安材料(失礼!)なんですが。
でも、ひところ、この人を日本に呼ぼう!なんて声も挙ってましたが、なんだか業界の反応は悪いですねえ。
ま、たしかに、この人ならチケットが売れそうだ!なんてビッグ・ネームは限られちゃうし、そればっか頼ると「またXXXかよ!」なんて言われ、しかもまったく趣旨を理解してないヤツからは「白人を呼べ」なんて言われ・・・そんならヤメちまったほーがマシ、とケツまくりたくなるのも無理ないよ。
ま、聞き飽きてることでしょーが、もいちど言っとくぞ。
ブルースのイヴェントには黒人の文化としてのブルースを「持って来る」ことに意義があるのだ。バックは全員白人でも構わん。メインが黒人なら。
だが、白人がメインってのは「どんなに(日本人や白人には)ブルースに聞こえるかしらんが」、それは「ニセモノ」。
ま、ニセモノのほうが手軽でいい、なんてのは「類似ヴィトン」がバンバン売れるこの日本ってとこの特徴なんでしょうがね。

W.C. Clark、やはり、と言うか、録音もミックスダウンも Texas 州 Austin ですがマスタリングは Chicago です。でもお馴染みの Monster Disc じゃなく Colossal Mastering。そしてそこで Bruce Iglauer が顔を出してるようです。

さて Lil' Ed ですが、なんだかずいぶんとリズムのヴァリエーションを増やしたな、てな印象ですよね。
最初の二曲や Empty House Tour なんて、どっちかってえと白人系の「ロカビリー」あたりにまで遡れそうなロックンロール・テイストが香ってくるし、逆に Four Leaf Clover なんて、どっか Thrill Is Gone を思わせるよな艶を感じます。
そうそうギターが曲によっちゃひとり多い、ってのも効いてるかもしんない。
録音は Chicago、Rax Trax。Lil' Ed と Bruce Iglauer の共同プロデュースです。

あんまり「どアップ」にせんといてくれる?と思わず言いたくなるジャケットの Shemekia Copeland はもうすっかりファン層を掴んでるようですね。
今回はドクター・ジョンがプロデュースで、とーぜんキーボードも弾いてます。
録音もミックスダウンもマスタリングも「すべて」New York!

2003

さて、2003 ってなると字面があまりよろしくないですねえ・・・ま、しかたないんですけど。

2003年の Alligator は、またまったく新しいシリーズをでっちあ・・・うっぷす、スタートさせております。それが Crucial シリーズっちゅうか、要はこれまでのアルバムのなかから抜粋したテーマ別「寄せ集め」てなもんでしょか。
Crucial には「決定的な」とか「最後の」てな意味合いもあるようですが、ここではスラングとしての「スゴくいい!」あるいは「スゲえ!」てな意味合いで遣われてるんじゃないでしょか。

AL-114: V/A: Crucial Guitar Blues
AL-115: V/A: Crucial Harmonica Blues
AL-116: V/A: Crucial Chicago Blues

三つ目はちとナンだな、てな感じがありますが(というか、他の楽器、例えばピアノなどでアンソロジーを編むほどのストックは無い?)ま、初心者向けのブルース・ガイドにはなってるんでしょうかね。

Guitar では Luther Allison をはじめ Michael Burks、Albert Collins や Son Seals に Gatemouth Brown。そしてとーぜん入れないワケがない(?)白人ギタリストたちも収録されております。
ワタクシと違って人種的偏見(ま、ワタクシは「定見」だと思っておりますが)が無い Alligator ですから、この基本姿勢は他のアルバムでも同様で、次のハープのアンソロジーでは Big Walter Horton & Carey Bell、Billy Boy Arnold、Sonny Terry、さらに Harp Attack からは Junior Wells & Billy Branch、そしてそれとは別に単独で James Cotton、Carey Bell のそれぞれのアルバムからも抜粋されており、他にもっちろん白人ハーピストも収録。
・・・と来ると三つ目の Chicago Blues ってのも?と思いきや、意外に(意外に?)もマジメに、ちゃんと Real Blues だけでまとめてあるのはさすが(?)ですねえ。
収録されているのは Luther Allison、Koko Taylor、Junior Wells、Hound Dog Taylor and the HouseRockers、Son Seals、Carey Bell、Magic Slim、Lonnie Brooks、Pinetop Perkins、Lil' Ed and the Blues Imperials、James Cotton に Fenton Robinson・・・
このヘンはまあ、良心的なセレクトと言えるかもしれません。どのアーティストからどのナンバーを選ぶか、なんてとこじゃそりゃ「好み」っちゅうもんがありますからマニアからはイロイロとありそうですが、まあ、とりあえず Alligator の代表的ブルースマンの紹介としちゃあいいんじゃないでしょか。
ただねえ、iTunes でダウンロードして自分なりに集めて聴く、しかもシャッフル再生で、なんてのが主流になりつつある昨今、もはやこうゆう「寄せ集め」アルバムの意義ってどうなのよ?てな気もしますけどね。
まあ、いろんなひとがいますからそれなりのニーズはあるのかもしれませんが。

続く 4枚は通常のアルバムで

AL-4889: Roomful of Blues: That's Right!
AL-4890: Dave Hole: The Live One
AL-4891: Marcia Ball: So Many Rivers
AL-4892: Michael Burks: I Smell Smoke

と、4枚だけですから、前年より一枚減ってます。ま、言い方を変えれば 21世紀に入ってからは毎年一枚っつリリースするアルバムが「減ってる(!)」とゆうことになりますねえ。

最初の Roomful of Blues っての、まあ、なんと言うかブルース版のディズニーランドっちゅう感じでしょかね。
なんだか良く出来たショーを観せられてるみたい。
は〜い、いかがですかー?ブルース、たのしんでいただけましたか〜?っちゅうノリやね。
まるでエレクトリカル・パレードみたいな「とっても判りやすい」楽しさを追求しました、みたいな・・・
いや、よろしいんじゃないですか?ワタシゃゼッタイ買いませんけど。

それとは対照的にある種「クドい」とも言える濃さがあるのが Michael Burks の I Smell Smoke でしょ。
このアルバムからは過去に二曲を BLUES Diary でも採り上げていますが、やはり「ハイライト」は一曲目のナンバー、あの Dion Payton でお馴染みの All Your Affection Is Gone でしょうねえ。
ちょっとそう言ってしまっては斬り捨て過ぎ、と言えないこともないけど、この一曲にこのアルバムのすべてが「ほぼ」集約されている、てな感じかな?
ま、実際には Lie To Me(と言うと紛らわしいけど、あの Don't Lie To Me とはぜ〜んぜん違う曲です)みたいな、もはや「スロー・バラード(?)」てな、ソウルに傾斜したよな曲も混じってはおるのですが、やはり彼のヴォーカルってのが、全体的なロック・テイストのアレンジメント向きで、あんまりしっとり歌われてもなあ、っちゅう浮遊感が(つまり、なんだか聴いてても落ち着かないんですわ、どっか。まあ、単に好みの問題かもしれまへんが、そこらは Carl Weathersby のほうがしっくり来ます)やや居心地を悪くする、と。
でも、このアルバムは個人的に気に入っております。
フと、Gibson 系のハムバッキングもいいよな〜、なんて日和りそになるくらいに、ね。

2004

どしたって Phillip Walker の Hello, My Darling を思い出しちゃうなあ、ってえナンバーから始まる Holmes Bros.のアルバムで幕を開ける 2004年の Alligator ですが、これまでちょっとリリース数が「減り」傾向だったものを、ちょっとガンバって「盛り返して」おります。

AL-4893: The Holmes Brothers: Simple Truth
AL-4894: Kenny Neal & Billy Branch: Double Take

ところで、これはちょっと個人的なことになりますが、この HP、Blues After Dark のコンテンツの一部に、地元、弘前でのブルースに関連した人名を扱ったところがあるのですが、そこにただひとり、弘前を通過して北海道に渡ったアメリカ人(弘前に滞在中、ブルース・セッションをして一緒に遊んだ)がおり、その後の消息がまったく判らなかったのですが、この The Holmes Brothers のこのアルバムからプロデューサーとしてクレジットされている名前が(単なる偶然、という可能性もあるとはいえ)「まったく」同じなのです。
当時はウェスト・コーストに暮らしていたハズで、前回のアルバムは東海岸でしたが、このアルバムでは Los Angeles 録音となっており、その Craig Street というのが「あるいは」という気もいたしますが、さて、どーなんでしょ?
続くアルバムは Billy Branch と Kenny Neal で、あの ORA NELLE の歴史的名盤、Little Walter と Othum Brown の I Just Keep Loving Her を「甦らせた」Double Take ですが、こちらは実はおフランスの Isabel の製作で、やはり、っちゅうかヨーロッパのファン向けに過剰なまでのアコースティック(っちゅう表現もヘンだけど)仕立てとなってますねえ。
そうそう、これまたカンケー無いハナシですが、その Billy Branch が青森を訪れた際に、地元の TV局の情報番組に出演し、その場で 丸山 実のギターいっぽんをバックに、その I Just Keep Loving Her を演奏してみせてくれたものでした。

そして前回で味をしめたか(?)例の Crucial シリーズの続編登場です。

AL-117: V/A: Crucial Slide Guitar Blues
AL-118: V/A: Crucial Texas Blues
AL-119: V/A: Crucial Live! Blues

だいたいこのシリーズは手持ちの写真をモノクローム化してハイ・コントラストにしてレイアウトし、多色刷りではあるがフル・カラーじゃない、っつうチープなデザインでジャケットが出来てるんですが、それがイチバン似合ってるのが Hound Dog Taylor がドド〜ン!っちゅう「スライド」特集でしょ。
偏屈なワタクシとしちゃあ、こんなの入れるなあ〜!っちゅうのも多々ありますが、ぎゃくに思い切って Michael Hill's Blues Mob を入れたとこなんかは評価してます。
「テキサス」となると、ちと「胡散臭い」けど Lonnie「いい仕事しまっせ、ぐふふ」Brooks なんてのを入れても良かったよな気がするけどなあ。
それと Ervin Charles ね。その二人を入れてジョニー・ウィンターとマルシア・ボールを外してたら「リッパな見識!」とホメちゃうとこなんですけど。
「ライヴ」についちゃあ、手持ちの駒を考えたらしかたないかな?てな内容ですが、まあ、くどくど言うのはヤメとこ。

残りの通常アルバム(?)は

AL-4895: Guitar Shorty: Watch Your Back
AL-4896: Hound Dog Taylor & the HouseRockers: Release The Hound
AL-4897: W.C. Clark; Deep in the Heart
AL-4898: Carey Bell with Lurrie Bell: Second Nature
AL-4899: Mavis Staples: Have A Little Faith

というところですが、ここ Alligator には Guitar Shorty の初登場ですね。この人についちゃ(ちゅうか、このアルバムから、かな?)日記で過去にけっこう採り上げてますので、案外読者には「お馴染み」かも。
Hound Dog Taylor のアルバムについちゃあ、クチの悪いのが(ってワタシに「クチが悪い」なんぞと言われる覚えは無い!なんて叱られそうですが)「余り物を集めてアルバムにした」なんて言ってましたが、ワタクシのよな Hound Dog Freak にとっちゃあ、彼の生涯での全録音を聴きたい!ってえくらいですから痛くも痒くもないぞ。

Carey & Lurrie Bell ですが、これ実は 1991年の録音なんですよねー。しかも録音は遠〜い Finland(!)の Kouvola ってとこ(さっぱ判らん・・・)の SBC Studios で、と言うと想像がつく通り、もろヨーロッパのファン向けのアコースティック主体の「静かな」フィニッシュ・・・ですからまあ、その音はシンパイ的中。
あ、そゆのが好きな方も多そうですから(だからリリースしてるワケだし)別にいいんですけどね。

ところでワタシにゃあさっぱり!ってのが Mavis Staples。
ネっからゴスペルにゃヨワいワタクシとしちゃ、なんたってここで知ってる曲、ったら最後の Will the Circle Be Unbroken っきゃないんだもの。ゴスペルを語る資格なぞございません。
あ、これまた伝聞ではございますが、あるアメリカ人が日本の「ゴスペラーズ」って名前を聞いて「唖然としていた」そうでございます。
なんにでも「ーズ」つけりゃあいい、ってもんじゃないようで・・・

2005

さて、2005年の Alligator には、ま〜正直に言うとあんまり語るほどの(って唯一の例外っちゃあ Shemekia Copeland でしょが、それひとつだけ採り上げてもかえってムナしいかな?と・・・)アルバムも無い感じなので「ぴゃ〜!」っとやっちゃいましょ。

この年の Alligator は

AL-4900: Roomful of Blues
Standing Room Only


AL-4901: Corky Siegel's Chamber Blues
Corky Siegel's Traveling Chamber Blues Show!


AL-5612: Charlie Musselwhite
Deluxe Edition


AL-4902: Little Charlie & The Nightcats
Nine Lives


AL-4903: Marcia Ball
Live! Down The Road


AL-4904: Tinsley Ellis
Live - Highwayman


AL-4905: Shemekia Copeland
The Soul Truth


AL-4906: Siegel-Schwall Band
Flash Forward


ね、あんまし重要な、って作品は見当たらないんですよ。

2006

かわって 2006年となると「もっと」てなもんで、まあ、なんと言いますか、書く側としちゃあ実に盛り上がりませんねえ。

AL-5613: Saffire--The Uppity Blues Women
Deluxe Edition


AL-4907: Lee Rocker
Racin' The Devil


AL-4908: Eric Lindell
Change in the Weather


AL-120: Various Artists/Anthologies
35x35 -- 35 songs, 35 Years of Genuine Houserockin' Music


リー・ロッカーってのはシルヴァー・フィニッシュのコントラバス奏者みたいですね。基本はロックンロールのようですが、まあブルース気取りよりはいいかも。
続くエリック・リンデルとかゆーのもまとめて、まあワタシにとっちゃ、なにも Alligator がやらんでも、っちゅうミュージシャンですが。

ところで次の AL-120、ってのがアンソロジーですから、ここまでだと「この年の Alligator は黒人ブルースのちゃんとしたリーダー・アルバムを一枚も出していない」ってことでしょ?
うわあ、このままで終わっちゃうのか?と思ったら、ようやく出てきました、リアル・ブルース・・・

AL-4909: Lil' Ed & the Blues Imperials
Rattlesnake


いやあ、良かったですねえ。まだヤル気はあったんだ・・・ でも次は

AL-4910: Cephas & Wiggins
Shoulder to Shoulder


まあ、こゆのがお好きなかたも多いんでしょうか。アコースティック仕立ての「静かな」ブルース。
こんなんじゃ踊れねえよな〜、つう気がするんですが「そんなもの求めてない」ファン向けかも・・・

AL-4911: Guitar Shorty
We The People


うん、相変わらず、っつうか「よりいっそう」Jimi Hendrix を意識した音になってるよな気がしますが、はたして、それが「プラス」になっているのかどうか「ちょっと」ギモン、てなとこもあるけど、まガンバっていただきたいものでございます。

2007

この年にはなんと 13枚をリリース、とそれだけ見ると、すんげえ「ヤル気」!と思っちゃいそうですが、その内実は・・・

AL-4912: the Holmes Brothers State Of Grace

AL-4913: ココ・モントーヤ Dirty Deal

AL-4914: JJ グレイ & モフロ Country Ghetto

AL-4915: Koko Taylor Old School

AL-122: Various Artists Crucial Rockin' Blues

AL-123: Various Artists Crucial More Guitar Blues

AL-124: Various Artists Crucial Acoustic Blues

AL-4916: ティンズレー・エリス Moment of Truth

AL-4917: リー・ロッカー Black Cat Bone

AL-3906: JJ グレイ & モフロ Blackwater

AL-3907: JJ グレイ & モフロ Lochloosa

AL-4918: エリック・リンデル Low on Cash, Rich in Love

AL-4919: ルームフル・オブ・ブルース Raisin' A Ruckus

まあ、こんなもんなんでしょね。

2008

え〜、まだ大晦日になってませんから言い切っちゃうのはナンですが、2008年は「いまのとこ」7枚がリリースされています。
個人的には最後の Lil' Ed & the Blues Imperials の Full Tilt が面白かったですねえ。ダンサブルなナンバーが多くて(あ、誤解されると困るんですが、「こってこて」の「ど」スローも入ってますので!)。

AL-4920: Smokin' Joe Kubek & Bnois King Blood Brothers

白人のデブ(あ、なんでかブルース系の白人ミュージシャンってデブ率が高いよね〜)スモーキン・ジョー(ギター)と、335 を弾きながら歌ってるらしい黒人の Bnois King って取り合わせらしいんですが、ライナーで見る限り歌は Bnois だと思うけど、その歌い方がねえ・・・語尾は伸ばすし、そこに気色ワルいヴィブラートなんぞやるもんだから、ワタクシとしては「いかに黒人がフロント」とは言え、このアルバムは「アウトっ!」

AL-4921: Eddy Clearwater West Side Strut

このアルバムには、ハープとして Billy Branch が参加してるんですが Walking Through the Park なんて、古き佳きシカゴのブーギ・スタイル、って感じでほんわかできます(?)

AL-4922: マルシア・ボール Peace, Love & BBQ

AL-4923: Michael Burks Iron Man

AL-4924: ジェニヴァ・マグネス What Love Will Do

AL-4925: JJ グレイ & モフロ Orange Blossoms

AL-4926: Lil' Ed & the Blues Imperials Full Tilt

うん、最後のは、なかなかいいです!
本気で踊れますよ。

2009

次第に白人ミュージシャンの比率が上がって来ている Alligator ですが、2009 年となると「まともに」黒人がフロントを取ったアルバムと言えるのはただ一枚だけになっております。
一時、白人ミュージシャンの名前は「わざと」カタカナ表記にして「いやがらせ」をしておりましたが、もはや最近では「圧倒的に」白人のほうが多いせいで、このままではカタカナだらけになってしまいそうだから(それにメンド臭いし)ここ以降はもうすべて英文のまま、そして Real Black Music と「当サイトが感じた」ものにだけはキャプションをつけることといたしました。
それにどっちにしろ、もはや世はダウンロードの時代ですから、過去のリリース情報としてはそこそこ資料価値があるかもしれないけど、最近のものについては「補記」程度でいいだろう、と考えております。
詳しいことがお知りになりたかったら Alligator のサイトに行けばいいし、ちょこっとずつではあるけれど iTunes で試聴することも出来ます。

AL-4927: Saffire--The Uppity Blues Women Havin' The Last Word

AL-4928: Eric Lindell Gulf Coast Highway

AL-4929: Buckwheat Zydeco Lay Your Burden Down

まあ、これがこの年唯一の「白人じゃないフロントによる、リアル・ブラック・ミュージックのアルバム」と言えるんじゃないでしょうか。他でも「黒人の声が聞こえてくる」のはありますが、それが「リアルな」ブラック・ミュージックと言えるか?については意見が別れる(もちろん当サイトはマチガイ無く「少数派」でしょうが!)ところでしょう。
2010 年のグラミー受賞作( the Best of Zydeco or Cajun Music Album )です。

AL-4930: Rick Estrin & The Nightcats Twisted

AL-4931: Tommy Castro Hard Believer

AL-4932: Tinsley Ellis Speak No Evil

AL-3908: JJ Grey & Mofro The Choice Cuts (VINYL LP)

2010

年が変わっても全体的な趨勢にさほど変化はありませんが、Guitar Shorty と James Cotton が目立ちます。

AL-4933: The Holmes Brothers Feed My Soul

AL-4934: Guitar Shorty Bare Knuckle

AL-4935: Janiva Magness The Devil Is An Angel Too

AL-4936: Anders Osborne American Patchwork

AL-4937: Smokin' Joe Kubek & Bnois King Have Blues Will Travel

AL-4938: JJ Grey & Mofro Georgia Warhorse

AL-4939: Charlie Musselwhite The Well

AL-4940: James Cotton Giant


 
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